心を引き裂かれるような悪夢から、ようやく覚めることができた。  
いつものあの夢だ。  
定期的にみる、私の子供の頃の夢は、私を辛い過去に引き戻させる。  
でも、今回はいつにも増して酷かった。  
…この神殿の硬い床で寝ているから、夢見が悪くなるのだろうか。  
さすがにこの床にそのまま寝るのはどうかと思い、薄い布を何枚か敷いてはいるけれど…。  
 
気付けば私は、全身汗びっしょりで、濡れた衣服が体にまとわりついていた。  
…気持ち悪いな。  
このぺたぺたした感触は、きらい。  
先ほど見た悪夢を思い出しそうになって、私は顔をしかめた。  
着替えよう。下にたくさん服の替えがあるから、適当に選んで着ればいいだろう。  
夢のなかで、あぁこれは夢なんだ、と認識することができたら、いくらか気が楽になるのにな。  
でも、夢だとわかったところで覚めなければどのみち…。  
 
立ち上がろうとすると、後ろから声がした。  
この声…火守女のあの子だ。  
「大丈夫ですか…?」  
「ぁ……あぁ、大丈夫だよ!心配してくれてありがとう」  
「随分苦しそうでしたので…あの、…いけませんでしたか?」  
…?何に対して引け目を感じているのか、ちょっとわからない。  
でも、思い出すとすぐにわかった。  
私が悪い夢から覚めるきっかけとなったのは、彼女の声が聞こえたから、…じゃなかったっけ。  
危ない危ない。忘れるところだった。  
ちゃんと感謝しておかないと。  
「ううん。むしろ、起こしてくれて嬉しいぐらい。…本当にありがとう」  
「か、感謝されるほどでは…私のほうこそ、…ぁ、ありがとうございます…」  
「あはは。何に対して感謝してるんだか。そんなに丁寧になり過ぎなくてもいいのにねー?」  
そう私が茶化すと彼女は、ぁう、とか、ぅぅ、とか可愛らしく呻る。  
…ほんとうに素直で可愛い子だ。  
「…ふふ。かぼたんはえらい子、えらい子ー☆」  
ふざけて頭をなでなでしてやると、ますます彼女は顔を赤らめていくのだった…。  
 
ちなみに説明すると、かぼたんというのは、…そう、私が勝手に名付けたもの。  
この世界でそう呼ぶのは私しかいないけれど、だって、名前がなかったら、呼びづらいしね。  
最初はこの名前にとまどっていた本人も、今では諦めたようで、何も言わなくなったし。  
 
ひとしきり彼女をからかった後、服を着替えるために、私たちは下へ降りた。  
下の広間のようなところは、今は人気のないがらんどうになっている。  
いや、人気がない、というのは間違いか。  
…少なくとも私やかぼたんを含め何人かの女性がいるから。  
私は今や持ち主のいなくなった大きな麻袋から、適当な服をとりだした。  
黒くて、ずいぶん軽い服だ。  
これなら動きやすくていいかもしれない。  
おまけに丈夫な素材でできているようで、試しに引っ張ってみたが、簡単には破けそうにない。  
私はこの服に着替えることに決めた。  
 
さっきまで着ていた服はどうしようか迷ったが、焼いて処理することにした。  
木でできた触媒を持ち、火を放つと、燃えやすい布は火になめつくされて、あっという間に灰になる。  
先ほどまで服であったそれは、風にあおられると、細かい霧みたいになってどこかへ飛んでいってしまった。  
…魔法は便利だな。  
なんだってすぐに灰にして消し去ってしまうんだから…。  
 
「燃やしてもよかったのですか…?」  
傍で座っていたかぼたんが、もったいないとでもいうような顔でこちらを見る。  
「いいの。洗うのも面倒だし。それに、いい加減ぼろぼろでみっともなかったしね。替えなきゃいけないな、  
と思ってたところだったの」  
「……みっともなくはないですよ。あなたの、戦いの証なのですから…」  
「…そう。かぼたんは優しいね。…私、そういうところ、好きだよ」  
私は、ふっと笑うと、彼女の蝋の奥の瞳を見つめた。  
向こうは私の視線などわかるはずはないが、恐らくその時は直感的に感じ取ったのだろう。  
何かを言おうと口を開閉した後、赤くなってうつむいてしまった。  
 
もう随分前から、私の彼女に対する「好き」は、友達としての「好き」とは違うものになっていた。  
それが、変なことなんだってことも分かっている。  
だって、おかしいよね…?  
私は女なのに、女の子の髪に触れたいとか、む、胸に触れたいとか考えて…!  
でも気付いたときには遅かった。  
もうどうしようもないし、とめられない。  
日ましに高まる思いに、私は私を偽れなくなって、遂には飲み込まれてしまった。  
今ではもう、自分は同性を愛してしまう変な人間なんだ、ということを認めている。  
 
「…じゃ、そろそろ行って来るね。あなたの解放のためにも、頑張ってくるから」  
ボーレタリアの要石の前へ向かい、私は軽く手をふる。  
すると彼女はこちらへ近づき、ふわりと私を抱きしめてきた。  
「…あなたの解放のためでもあるのです…どうか、お気をつけて」  
「ん、ど、…どうしたの。私なら、大丈夫だよ…!」  
耳元でする声が、背中に触れる手が、なんだかくすぐったくって、…恥ずかしい。  
こんなにも距離が近いのは初めてかもしれない。  
私の気持ちも知らないで、平気でこんなことをしてくるのが恨めしいよ、全く。  
彼女はようやく体を離すと、傍の階段にちょこんと座った。  
「お帰りを、…お待ちしております」  
「う、うん。わかった。じゃあね!」  
そう短く告げると、私は急いで要石に触れた。  
危なかった。あともう少ししたら理性が崩壊するところだったかもしれない。  
…それにしても、かぼたんの体、柔らかかったな。  
あのまま襲わなかったのは、ちょっともったいなかったかも。なんてね。  
あぁ、それより、はやくデーモンを退治してしまわないと…。  
 
 
 
 
 
……あの人、デーモンを殺す者を見送った私は、階段に座って高鳴る心臓を鎮めようとしていた。  
あぁ、いけないとは思っていたけれど、つい抱きしめてしまった。  
まるで水と水が引き合い、一つとなるように、自然と私はあの人の体を包み込んでいた。  
…私は、あの人のことが昔から気になって仕方がなかった。  
自分でも把握できない程、いつから存在していたのかわからない古いデーモンである私が人間を愛するなど…。  
私たちは人にとっての敵であり、同時に私たちにとっての敵は人だというのに。  
いや、どちらかというと敵というよりは、糧か。  
そんな私たちと人との間に、こんな感情が芽生えることは、果たして許されるのだろうか。  
 
私は手に持った杖をいじりながら、どこからか吹いてくるかすかな風の音を聞いていた。  
…静かだ。  
目が見えない代わりに、私はとても耳がいい。  
今や神殿に反響する音は、風の唸り声しか聞こえないが、以前はここももう少し人の声で満ちていたものだった。  
私のことをいつも気にかけてくれたトマスさんや、ボールドウィンのお爺さん、他にも他にも…。  
皆あの日に、殺されてしまったから…。  
あの人たちの声で頭を満たしていたとき、ふいにあの炎の音が記憶の中で蘇った。  
 
あの日。  
吹き上がる数多の炎の柱が、この神殿を襲った。  
誰がなんの目的で行ったものかはわからない。  
私は、たしかその時はラトリアの要石のあたりに座っていたから、巻き込まれることはなかったけれど、結果として、  
あの魔女の人と、神の信徒である女性、それと私以外は全て殺されてしまった。  
生き残った二人も、その魔法を放った者の姿は見ていないらしい。  
 
再びここが襲われるようなことがあったら、どうしよう。  
僅かに生き残った者も、殺されてしまうかもしれない。  
いや、あの時は不在だったから助かったあの人だって…!  
それだけは嫌だ。他の人が殺されていいとは言わないけれど、あの人が死ぬのだけは見たくない…!  
 
その恐ろしい考えから逃れるために、私はひざを抱えてかたく目をつぶった…。  
 
 
 
 
 
「…ただいま」  
ボーレタリアから帰ってきた私は、傍でうずくまっていたかぼたんに声をかけた。  
…返事がないなあ。  
寝ているのかもしれない。  
まあ、丁度いい。…そのまま寝ていてね、かぼたん。  
 
私は階段を上って二階へ行った。  
以前ユルトを籠から出してやったから、そろそろここに入り込んでいるはずだ。  
早く殺してしまわないと、他の人が暗殺されてしまう。  
はは、もう何度目かな?あいつを殺すのは…。  
最初はびっくりした。  
てっきり味方で、害のない人間だと思っていたら、実は彼は暗殺者だったのだから。  
これでまたあのウサギみたいな兜が増えるな、と笑いながら彼の元へ向かった。  
 
貴公か。ラトリアでは世話になったな…」  
全く…お前が沈黙の長なのはとっくに知っている。  
本人としては隠し通せているつもりなのだろう。  
そのあたりは見ていて少し愉快だ。  
 
さあ、どうやって殺そうか?毒や疫病で少しずつ、ってのもいいし、高いところから突き落とすのもいい。  
あぁ…でもそれじゃあ下にいる人たちをびっくりさせてしまうな。これじゃあだめだ。  
魔法でもいいけど私の魔力は強いからきっとすぐに死んでしまうだろうな。  
前回、魔法で殺した時はあっけなさ過ぎてつまらなかった。  
終わりなき苦悩の針は今持ってたっけ…?  
口に手をあててにやける私に気付いた彼が、怪訝そうに口を開いた。  
「…なにが可笑しいんだ?」  
「…いいえ?気にしないでください。くく…!」  
決めた。  
さっきボーレタリアで拾ったグレートソード。  
あれでふっとばしながら殺そう。そうだ、そうしよう!  
腕の力が足りないからあまり威力はないだろうけど、その分長く楽しめるだろうな…!  
私の、男をなぶって遊ぶ悪い癖がゆっくりと頭をもたげてくる…。  
 
おもむろにその得物を取り出すと、真上からたたきつけた。  
血が跳ねて、私の頬を染める。  
その赤い液体の生あたたかい温度に、ぞくりとした快感を覚える。  
しかしそれと同時に、今日見たあの悪夢が頭をよぎった。  
あぁもう、なんでそんな嫌なものが今でてくるの…!  
とめどなく流れ込む過去の記憶に、私の脳内はあっという間に黒く塗りつぶされてゆく。  
その、私がひるんだ僅かな時間で、彼は体勢をたて直し、武器を構えた。  
 
……私は、男なんか嫌いだ。  
こいつらは無理やり人の体を奪って、汚してゆく、最低のヤツらだ!  
嫌いだ、嫌いだ、大嫌いだ…!  
心が真っ黒に染まり、半狂乱になった私は、これでもかというほどにガンガンと鎧を打ちつけた。  
彼も武器でそれを防ごうとするが、この大剣の前では武器もろともなぎ倒されてしまい、  
私が剣を振るうたびに刃先から血がほとばしって、床に赤い弧を描いていった。  
彼の腕に肉厚の刀身が当たったとき、ゴツ、と鈍い音がした。  
手甲が外れたその腕からは、なんとも形容しがたい色の、薄く青みがかった白い骨が顔をのぞかせる。  
でも私は、そんな生々しいものなど見慣れているので、構わずに攻撃を続けてゆく。  
彼は痛みで絶叫しながらも、命だけは奪われまいと必死に抵抗するが、起き上がってはふきとばされるその姿に、  
私はおもわず腹を抱えて吹き出してしまった。  
「ぷ、あっははははッ!ざまぁないね!さあ、ほらほら、はやく!いつまで寝てんの!」  
のそのそと芋虫みたいに起き上がってきたところを再びガンガンと打ちつける。  
 
ひとしきり叩き続けた後、いい加減腕が痺れてきたし、この行為にも飽きてきたので、次の一発で終わることに決めた。  
しかし、振りかぶったその手は、下ろすことはできなかった。  
 
「おやめ下さい。もう、死んでいます…」  
「…か、かぼ、たん…!いつからそこに…!」  
振り向いてその姿をみた瞬間、私の中の猟奇的な狂気が一気に醒める。  
後ろでは、先ほどまで私に弄ばれていた彼が、細かな霧となって消え去るのを感じた。  
彼女は、私の腕から手を離すと、またもや抱きついてくる。  
「だ、だめだよ、血がついちゃうよ!離れて…!」  
「…この前の、トマスさんたちを襲ったのも、あなたなのですか…」  
「…………、さあね」  
「なぜ…、あんなに優しい人たちだったのに…」  
「…………」  
「お答えください…!なぜですか…あぅっ!」  
私は武器を放ると、丁度よくそこにあった私の寝床に彼女を押し倒した。  
抵抗もあったが、この子のか細い腕の力なんて高が知れている。  
おまけに、私は既に半分人外の存在なんだし…!  
「トマスさんたち…?あっはは!心配しなくてもいいよ。あいつらはすぐに復活するんだから。  
そうだよ、私がデーモンを倒した後に、すぐ生き返るの!だから、別になにも心配することはないんだよ?」  
「で、でも…」  
「……私はね、かぼたん?よく聞いて。ずっと昔から、あなたのことが好きなの。でも、男なんて大っきらい。  
…殺したいくらいね。それに、男にあなたをとられるくらいなら、私は躊躇うことなくこの手を血で染めるよ。  
そう、私は血濡れになっても、あなたを私だけのものにしたいの。わかる…?」  
私の言葉に、どう反応していいのか困惑している彼女の唇に、優しくキスをした。  
「…ん………っ」  
ただ唇を重ねるだけでは満足できなくなって、中に舌を這わせる。  
彼女の中はとても熱く、私の舌を、いや、私の体ごと溶かしてしまいそうで…。  
その熱が体の芯まで浸透したとき、私の欲望を抑える何かが完全に崩れ去った。  
 
巻きつけた黒布の隙間へ、まるで水面の静けさを保つかのように、…優しく、ゆっくりと手を入れる。  
やわらかな胸に触れると、彼女は少しだけ身体を震わせた。  
「愛しているの。あなたのことを。…それとも、あなたはこんな穢れた私なんて、受け入れてはくれないかな…?」  
「…………」  
私からの問いかけに、しばらくの沈黙のあと、彼女は恥らうように口を開いた。  
「…あなたが、私のことを想ってくれていただなんて、そんな…」  
きゅっと唇をかたく結んで、はにかみながら、続ける。  
「嬉しい…、です」  
…?そうなんだ……?  
私は多分拒絶されるかな、と思っていた。  
だから、今日の夢は実は醒めていなくて、いまだ眠り続ける私が見ている夢なんじゃないの…?と疑ってしまいそうになる。  
「私は今まで多くの、楔に捕らわれた人たちを手助けしてきました。しかし、いずれも帰らぬ人となって…。  
…私は、恐れていたのです。あなたも、過去の人たちと同じ轍を踏んでしまうのでは、と…」  
「か、ぼたん…」  
「他の方がいなくなってもいいとは言いません。しかし、あなたがいなくなるのだけは、どうしても耐えられないのです」  
「…あり、がとう」  
これは、なんか夢じゃない。  
触れた手から伝わる、温かく甘い体温と、命の鼓動…、それらが現実のものだと私に教えてくれるから。  
 
彼女を包み込む布を、すこしずつ、剥がしてゆく。  
次第に露になる白磁のような肌は、ため息がでるほど美しく、よく磨かれた真鍮のように輝きを放った。  
その繊細な美しさを壊さないように、割れ物を扱うときのような優しさでそっと背中に手を回す。  
「……ぅ」  
「…あ、ごめんね。もしかしてさっきから私の手、冷たかった?」  
試しに火照った私の頬にふれてみたが、たしかにひやりとしている。  
私は手足が冷えやすい体質だからなあ…。  
「い、いえ…!冷たいですけど…気持ちいい、です…」  
もごもごと語尾を弱める彼女に、思わず笑ってしまった。  
「ふふ。相変わらずかわいいね、かぼたんは。もっと、素直になっても、いいんだよ…?」  
なんだか私は、愛おしい気持ちでたまらなくなってしまった。  
 
後ろに回した手はそのままに、ふっくらとした胸を舐め始めると、僅かに声がもれる。  
でも、そんな微かな反応だけでは、私の本能が満足しない。  
もっと、もっと声が聞きたいし、彼女の乱れた姿だって見たい。  
自分が行うことが、相手に悦を与えることができるなんて、なるほど、確かにこれは心が猛り立つ。  
私はいつも受ける側だったから、逆の立場の感情なんて、わからなかった。  
でも私はヤツらみたいに乱暴で、即物的な、愛のこもらないやりかたはしない…決して。  
そう、ヤツらと同じになりはしない…。  
だから今から私は、自分が本当にしてほしかったことを、この子にするんだ。  
子供のときの私の代わりに。  
 
背中の手を、秘所へと伸ばすと、彼女は身体をこわばらせた。  
「…っあ……ぅ」  
「怖がらないで。痛いなら、痛いと言ってほしいの。変な遠慮なんか、しないでね」  
彼女が頷くのを確認すると、入り口のあたりを、指でほぐし始める。…なるべくゆっくりと。  
中は冷えた指先を温かく包み込み、しっとりとした肉壁は触れていてとても心地よい感触だった。  
慣れるまでは指であっても多少の痛みを与えてしまうから、いきなり奥へ入れ込むというような真似はしない。  
彼女は目を蝋で塞がれているから、なかなか状態が読みとりづらいけれど、そこは僅かな声の調子で判断をする。  
「あ……んぅっ…!」  
「大丈夫?ごめんね今、爪でかすっちゃったみたい…」  
目が見えない中、こんな敏感なところを他人に触れられれば、誰だって緊張するはずだ。  
かたい爪が中で当たるたびに、彼女はぴくりと身体を震わせて反応する。  
「あの……」  
「ん?なに?」  
「私、いま、幸せです…」  
愛撫をする手とは別のもう片方の手で、私は思い切り彼女を抱きしめた。  
 
しばらく慣らした後、奥まで指を入れた。  
すこし心配だったけれど本人は、もう大丈夫です、と笑みを浮かべた。  
中から指を引き抜くと、奥から一気に愛蜜があふれ出てきて、それは太ももをつたって床に、いや、正確には私の、  
粗末な寝床の上に滴った。  
「…ぁ、す、すみません…!あの、汚してしまったのでは…?」  
申し訳なさそうに彼女が尋ねる。  
「気にしなくていいよ。…それに、あなたはひとかけらだって渡しはしないんだから。  
たとえその相手が床であってもね?あははっ」  
いつものように冗談を言うと、彼女はまた赤くなって、うぅ…と喃語のような意味のない言葉をくりかえす。  
その口を塞いで舌と舌をからませ、下では再び中をかきまぜて、彼女により悦を感じさせる場所はどこなのかと探った。  
秘所を扱われる刺激に反応して、時折口からもれる熱い吐息が、顔にかかってくすぐったい。  
 
指を出し入れする速度を速めると、彼女の息も激しくなり、喘ぐ声にも艶がかかってくる。  
いつの間にか私は入れる指の数を無意識の内に増やしていた。  
「…はぁ…ん…はあっ…!」  
荒い息に少しだけ苦痛の色があったような気がしたので、大丈夫かと尋ねる。  
「いいえ…痛くは、ないです…それより、もっと……っ!」  
彼女は私の身体にしがみついて、もっと、もっと欲しいです、とせがむ。  
私はそれに応えるために、さらに出入りを激しくして、より多くの快楽を与えようとした。  
私も自然と息が荒くなり、彼女の舌を吸う行為に、少し息苦しさを覚える。  
「ごめ、ん…少し苦しいよね…?」  
相手もきっと息苦しさを感じているだろうと思い、口をはずすが、逆に今度は彼女から口を塞いできた。  
「苦しくはない、です…だから、離さないでください…」  
「わかった…んん…っ」  
舌と粘膜が濃厚にからみついてくる。  
それらはとても熱くて、この子は熱でもあるのかと疑いそうになる。  
 
指で犯している膣が、だんだんと縮小しはじめ、もうじき絶頂に達するということを知らせた。  
「…ぁっ……も、う………!」  
まるで心臓の鼓動のように規則的な動きでしめつけてくる。  
その周期が短くなったかと思うと、彼女は私の胸の中で果て、深い睡魔に飲まれていった…。  
 
 
「起きた…?」  
私の寝床の上で寝ていたかぼたんに、私は優しく声をかける。  
独特の、巻きつくような、束縛するようなあの服は、彼女が眠ったあとに、私が改めて着せてあげた。  
…本人が寝ているぶん大変だったけどね。  
私の言葉に、彼女はのそのそと起き上がり、眠たそうな声で答える。  
「ぉ、おはようございます…。あれ…?この服…?」  
「あぁ、いいんだよ。アフターサービスってことで」  
「…あふたー??と、とりあえず、ありがとうございます」  
よくわかっていないかんじで、おたおたする動作が相変わらず可愛い。  
 
しばらく二人でぼんやりしていたところに、私は彼女に言っておかなければならないことがあるのを思い出した。  
「あのさ、かぼたん…ごめんね?」  
「…?どうされましたか?」  
「いや、あの、トマスとか、ボールドウィンの爺さんを殺したの、怒ってるんでしょ…?」  
「…だって、あの方々は、生き返ると仰ったではありませんか」  
「ま、それはそうだけどさ?許してくれるなら嬉しいな…なんて。ああ、でも、それにしてもいつまで続くんだろうな…」  
はあ、とため息をついて、ひとつ大きく背伸びをした。  
ほんとうに、いつになったら、このループする世界は終わるのだろう。  
「なにがです…?」  
「その、トマスとかが生き返るって話なんだけど…実は、せっかく倒したデーモンも一緒に蘇っちゃうんだ。  
ええと、デーモンを全部倒したあとね、かぼたんがあの古い獣を封じてくれるの。そこまでは意識もちゃんとあるんだけど、  
気がつくとまた、私が最初にここにきたときの状態に戻ってるんだ。つまり、ふりだしに戻るの」  
信じてくれないかな、と思っていたけれど、彼女はただ黙って聞いてくれた。  
「かぼたんは覚えてないかもしれないけど、私たちはもうずっと前から一緒だったんだよ」  
「…………」  
相変わらずおしのごとく黙っている。  
なにも反応がないから、信じてくれているのか、それとも信じてくれていないのか、どうにも判別しづらい。  
「やっぱり、こんな話、信じないよね…」  
私が落胆していると、突然彼女がくすくすと笑い出すものだから、一体何事かと思った。  
「…な、なに?なんか可笑しかった?」  
「…ふふふ。実は私は、知っていたんです」  
…え?かぼたんも私みたいに、記憶を受け継いでいたってこと…?  
予想だにしなかった切り替えしに、驚きを隠せない。  
「私ですよ。私が、この世界をふりだしに戻していたんです。古き獣から力を借りて。  
私も、あなたとお別れするのが辛かったから…。だから、永遠に続くこの世界に、あなたを繋ぎ止めてしまおう、  
そうすれば、いつまでも一緒だって…」  
 
そう言って、彼女は静かに笑うのだった…。  
 
 

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