塔の騎士を倒した後、先に進んで行くとつらぬきの騎士メタスを模したデーモンが待ち構えている。数々の猛者たちを千切っては投げてきたデーモンを倒す物の一人も、ブヨ虫の罠ともいえるだろう王の公使を追ってたどり着いた霧の中。  
だが、己の腕には自身のある騎士は、王の公使たちの卑劣な罠にはものともせず己の剣のみに突き進んできたのだ。たとえ相手の罠だとしても、貫くが騎士道。  
デーモンを倒す物は、迷う事無く霧の中へと入って行った。  
そこにはやはり、いけ好かないブヨ虫がせせら笑いを浮かべていた。  
さあ、次はどんな手で私を追い詰めてくれるのか。  
デーモンを倒す者の一人である彼女は、武者震いすらしていた。  
だが、目の前のブヨ虫は、相応の死に様を見せつける。  
本来なら味方であろうつらぬきの騎士につらぬかれ、肥えた腹から相応の汚い血しぶきを上げて、息絶えたなきがらをゴミのように放られる末路。  
彼女はその相応の最後を笑止し、新たなる敵を見据えた。見上げるほどの背の高さ。そして、己の体以上に長い剣。その姿はつらぬきの騎士メタスを彷彿とさせている。  
彼女は身震いした。強さとその美しさに。  
「あなたを倒す事こそ、我が騎士としての誇り。女だからといって、容赦しないでね」  
フリューテッドに身を固め、鍛えた北騎士の剣と盾を構え、彼女は颯爽と剣を振るった。  
生まれが騎士だったのか、頑強スタミナ体力は男と変わらぬものがあった彼女だが、力が今ひとつ。そのためだろうか、相手の間合いの広さも伴い苦戦を強いられていた。  
全ての柱がつらぬきの騎士によってなぎ倒され、広い部屋に身を隠す場所がなくなる。間合いを詰めて相手を切るも、頑丈な鎧からではその威力がうまく通らないようだ。  
あせった彼女は、さらに切り込もうとむやみに踏み込む。  
しまったと思った時は、すでにつらぬきの剣のえじきとなっていた。  
「ぐぅうっ!」  
腹に重い一撃を受けたと思えば、宙吊りのような形をとられ、あっけなく床に放られる。  
それはさながら、ブヨ虫の最後と同じ格好となり、彼女の屈辱をさらに煽るような形になった。だが、彼女はデーモンを殺すもの。ブヨ虫と同じ道は歩まぬ。  
彼女はすぐさま起き上がり、目の前の目標を見据える。  
「そうでなくては、おもしろみがないわ」  
と、男が見たら婚約を破棄したくなるほどの、ぎらついた目を見せて。  
それでも腹に入った衝撃が重く思わぬ長期戦もあいまって、彼女の足は次第におぼつかなくなっていたようだった。それに気付かず彼女は、己の思う剣を振り続けていたが。  
「あっ!」  
不意に足がもつれたようになり、重い装備が災いして無様にもしりもちをつく。そこに振り下りたデーモンの剣だが、歴戦をかいくぐってきた彼女の肉体は、その一撃をかわしていた。だが、体勢を整えるほどスタミナが足りない。  
もう少しのところで立ち上がる事に、遅れを出してしまった。  
“しまった、これまでっ!”  
彼女は目を閉じ、己の死を覚悟する。  
所詮、楔の神殿につなぎとめられた身。たとえ此処で命絶たれようとも、ソウルの身となって復活できるのだ。チャンスは一回ではない。何度も何度も立ち向かえばよいだけ。彼女は覚悟するも次なる機会を巡らせ、この強き騎士に再度見える事に喜びすら感じていた。  
だが、とどめの一撃は彼女の覚悟も空しく、振り下ろされなかった。  
 
何故?と思って閉じた瞳を開けると、剣を下した騎士が己を見下ろしている。  
チャンスのはず。もし、己が逆の立場なら、一撃だけでなく力続く限り剣を振っていたであろう。だが、それをしないのだ。  
何故だ?と疑問に思う前に、相手の剣が床に放られた。ガシャンと重い音を立て、己の身長ほどの剣が地に付く。それを目で追っていた彼女は、今なら体制を整えて追撃できるとチャンスを逃す事なく、体を起き上がらせようとした。  
が、上半身をあげたとき、彼女はふと気付く。自身の下半身に、涼しさを感じたのだ。  
「なっ!」  
無様にすっころげた時に、なんとか相手の渾身の一撃をかわしたのだ。かわしきれなかった切っ先が、己の体をかすっていたようだ。しかも、一番無防備な股下部分である。  
フリューテッドメイルの全身鎧といえど、股下にまで甲冑をほどこせば動きに支障する。だから、その部分は鎧に覆われていないのだ。  
自身の腕は鎧の上からさらに攻撃を加えるという力技であるのに、相手は確実にダメージを与える正確な攻撃。しかも、絶好のチャンスに一撃を加えないという、情けまでかけられたのだ。己の腕の未熟さを見せ付けられたように、彼女は歯軋りをした。  
だが、相手はデーモンである。騎士道など、通じぬ相手であった。  
彼女はさらに立ち上がろうと下半身に力を込めようとしたが。  
「あ、きゃぁ!」  
女としての恥じらいがそれを遅らせてしまった。  
股下を剣がかすめたのだ。己のズボンは下着ごと簡単に引き裂かれており、自身の秘部は丸見えであったのだ。慌てて股を閉じ顔を赤らめたが、時すでに遅い。  
「ま、まさか…」  
相手が剣を投げた理由が、今の自分の状態を見て、知る。  
慌てて再度、敵であり己の目標でもあったメタスを見上げる。たとえ己の目標であった、つらぬきの騎士であったとしても、もはやデーモンである。理性とは程遠い存在。  
彼女の女を見せつけられ、メタスを模したデーモンは自前の剣を取り出していた。  
彼女の背丈の倍以上を誇るデーモンである。その武器は彼女の腕をも超えるほど。黒光りした一物はグロテクスとは程遠く、メタスの黒い鎧を模したかのように美しくも見えた。  
そのご自慢の武器を見て、彼女は「ごくっ」と喉をならした。  
よく自分好みの青を呼んでは、盾ガン構えの初心者っぷりをして助けてもらったりぃ〜。黒ファンが自分好みだったらぁ、武器防具外して無抵抗してみたりしたっけぇ…。それにぃ。ターバン青呼ぶときは貧金の鎧を装備したりして、むやみにしろべた貰ったっけ。  
など、相手のご立派な一物を見て、最近ご無沙汰だったと、デーモンさながらの脳内をめぐらせていた。そんな脳内だから、相手の腕に簡単に捕まり、竿状武器の餌食となるのだ。  
デーモンである。理性よりも本能で動くもの。  
立ち上がりかけた彼女の腰を右手で押さえ込み、彼女の背を床に押し付けるようにすると、左手で彼女の右ひざを押し上げるようにして、股をさらに開かせる。  
ぱっくり開いた股下は、デーモンさながらの妄想壁が彼女の秘部をすでに濡らしていた。  
股をさらに広げた事により、女の匂いが漂う。その匂いに誘われるかのようにデーモンは、前戯など一切なしに彼女の秘部を一気につらぬいた。  
「ああぁんっ。お、おっきぃ…。こ、こんなのっ…。こんなの欲しかったぁ…」  
デーモンさながらのデーモンを倒す者である。彼女の秘部はさらに愛液を滴らせる。  
その濡れた秘部が潤滑油のように、デーモンの動きをよくさせていた。  
 
つらぬきの騎士の名称どおりの攻めに、彼女は喘ぐ。ほどよく広い部屋中は彼女の喘ぐ声がこだまし、濡れた音がその声に相槌を打つように間断なく響いた。  
「あん、あん、あん、あんんっ」  
喘ぐ彼女を押さえつけ突き上げるデーモンの動きだが、一物が大きすぎるのだろうか、根元まで押し込む事ができずにいた。床に押さえつけていた彼女の体を反転させて四つん這いにし、片手で押さえていた腰を両腕で固定して、さらに突き上げる。  
「あああっ!ああんっ!つ、つよぉい…」  
最奥をさらに突き上げるように貫く、デーモンの一物。それでも全部が入らない。何度も引き抜いて一気に押し込むも、中々難しいようだ。  
そのたびに彼女の愛液が、ぼとぼとと床を濡らしていく。  
「もう、もうダメェ…。こんなの…ああぁあっ…」  
先ほどの勇ましい彼女は何処へ行ったのか。つらぬかれる度に体中を痙攣させてイク彼女。  
それでも彼女は、己の女性器の全てをつらぬかれる感覚に絶頂を何度も迎えていた。  
相手がイクばかりで自分がイけない事に苛立ちを感じているのか、それとも彼女の喘ぐ声に中てられて、デーモンの中の男が煽られたか。  
後ろ向きにつらぬいていた体位をもう一度彼女の体を反転させて正上位に戻すと、メタスを模したデーモンは、彼女の中をつらぬいたまま彼女を持ち上げると同時に、自身も立ち上がった。  
立ち上がった姿勢のまま、彼女の腰を両手で持ち上げて、一度一物を抜くデーモン。  
「あ、いや、そ、そんなの。だ、だめ…」  
彼女は囚われたデーモンの腕を握り締め、これから相手がどうするかを思い描く。  
と、同時に、恐怖とそれ以上の興奮が彼女の全身に走り、脳髄を満たしていく。  
「そ、そんなのしたら…。もう、普通のできなくなる…あ」  
彼女の力ない拒否も空しく、デーモンは本能に従った。  
彼女の体を一気に押し下げると同時に、己の腰を突き上げ、彼女の中心をつらぬく。彼女の鎧の重さも手伝い、黒い竿状武器は根元まで姿を隠した。  
彼女の下腹は膨れ上がり、つらぬかれた秘部からは血が滴った。  
「あああぁああああっぁっ!!」  
彼女の間延びした悲鳴が広間に延々とこだまする。  
それと同時に彼女の全身は痙攣を起こし、それに従う女性器は、迎えた一物を締め上げた。その搾り取るような締め上げが、ようやくデーモンの本能を満たすほどの刺激となる。  
どくどくと熱い滾りが迸り、彼女の下腹部をさらに膨らませた。  
「もう、もう、だめぇ…。し、死んじゃう…」  
彼女はだらしなく口をあけ白目を向くと体中から力が抜け、同時に彼女の肉体は蒸発するように消えてしまった。今まで溜め込んだソウルを血痕と供にデーモンの足元に残して…。  
 
所詮、楔の神殿につなぎとめられた身。たとえ此処で命絶たれようとも、ソウルの身となって復活できるのだ。チャンスは一回ではない。何度も何度も立ち向かえばよいだけ。  
彼女は覚悟するも次なる機会を巡らせ、この強き騎士に再度見える事に喜びすら感じていた。それをまた、実行に移すだけである。今度は、違った喜びでもって。  
 
彼女は再び霧の中へと赴く。何の迷いも無く。ただ、今度は前回と大きく違っていた。  
彼女の手の中に納まっているはずの剣は、霧の中に入ったとたん、鞘へと戻され、冷たい床に放られる。己の身長を越えるほどの、相手の剣と同じように。  
 
「今度は、奇跡を覚えたの。一度きりの復活。今まで魔法奇跡に頼った事なかったから、香料いっぱい持っているの、持ってきたから…」  
伸ばされる黒い腕を払う事すらせず、本来身を守るべく鎧すら脱ぎ捨てて。  
彼女が身につけているものは、奇跡をかけるために左手に持ったタリスマンと、大量の香料を入れた布袋だけである。  
儚い瞳の石を一度使うと、彼女は自身に奇跡をかける。  
それと同時に、自らつらぬきの剣に身を捧げるのだ。  
 
 
 
 
本来なら、此処でお助けマンが来るはずなのだが。  
デーモンをブヨ虫呼ばわりする、かつての英雄は、自身がブヨ虫に成り果てていたようだ。  
「ちょっと、ビヨールさん。いい加減僕の望遠鏡、返してもらえませんか?」  
ブヨ虫こと双剣のビヨールは、霧の中の彼女と同じフリューテッドに身を固めた青年、オストラヴァに肩をつつかれていた。もちろん、同じフリューテッドといえど、男である。  
「まあ、待たんか。年のせいで目がうすくてな。コレがないとよく見えんのだよ」  
と、元英雄は、どうやら他人の物まで拝借して、霧の中を覗いているようである。  
「おぬしはまだ、若い。自身の目で確かめるがよいだろう」  
などと、セリフだけ聞けばかっこいい事を言っているのだが、やってることは覗きである。  
ブヨ虫とて、こんな事はしないだろうに。  
「何言ってるんですか!僕、この霧が晴れないと、父の元に行けないんですよ!」  
と、もっともらしい言い訳をかましたオストラヴァだが、そこは若い分、見たいのは見たい。ビヨールの肩をつつくが、目線はまっすぐ霧の中である。  
「うわっすげぇ。今度はタリスマンを後ろに突っ込んで前後攻めやってる。つらぬくだけが技じゃねぇよ、あのデーモン」  
と、今度はまったく知らない男の声が、二人の隣から上がる。  
その声に、さすがに後ろめたさがあったのか、霧の中の視線を一瞬だけ隣に変えた。  
「あんた、誰?少し赤いんだけど。」  
と、乙。  
「ん?俺?黒ファントム」  
と、隣の男。  
「な〜んかさぁ。バグったっぽいんだよなぁ。あの女ホスト。超俺好みだから、隠密して後ろからヤってやろうかと思って黒侵入したら、追いつけなくて結局目標ロスト。  
ロストしたのに元の世界戻らなかったからおかしいなって思って霧前まで来たら、コレだぜ。でも、結果オーライですかねぇ。うわ、すげっ。あんなでかいの、入るんだな」  
と、乙が持つ物と似た望遠鏡でもって、ビヨールと同じ方向を見ている。  
「えっ、ちょっと、僕にも見せてくださいよ。霧が邪魔してよく見えないんだって。ちょ、僕の望遠鏡返してって」  
と、あせる乙。さすがは男の子である。自身の身分をすっかり忘れているようだ。  
「何を言っておる。霧がほどよいモザイクになって、妄想力を駆り立ててよいではないか」  
と、人の物を借りておきながら、何を言うか、であるビヨール。  
それでも若い乙はめげずにフリューテッドを押し当てて、自身の目で確かめるのであった。  
 
 

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