『今日も一人首を跳ねてやった。王に逆らう愚か者だ』
そうミラルダは自身の手記に走らせる。ボーレタリアを色のない濃霧が覆ってから、何度も書き連ねた内容だ。
城門近くにある処刑場をねぐらにする彼女は、そう記した所で被っていたものを脱ぐ。
出てきたのはまだシルバーの肩まで届く髪と、幼い印象残る顔。ミラルダ自身もそれは分かっていることである。
「なぜ私は、こうも幼い顔なのだ」
自身の顔を見ながらミラルダは悪態をついた。この断罪者という地位につく前、ミラルダは見た目のことを理由に蔑まれてきたからだ。
「だが、あの方はそんな私をちゃんと見てくれる……」
その方が誰であるかは、想像に難しくない。老王の事である。
自問自答するように考えると、体が自然と熱くなってくる。
それがなにから来るものなのか、ミラルダは分かっている。
短い銀の髪が少し揺れる。
だめだ、それはやってはいけない、そうミラルダは思うが、手はいうことを聞かない。
自然と延びた手が、服の上から胸をとらえる。小ぶりな胸、でも服の上からそれを触ると、ピリリとした刺激がある。
「王、ごめんない。こんなこと………んっ」
王への謝罪は、その行為を認めるようなもので、そこから両手で自身の胸を弄り始める。
「ううん、はぁん………」
やがて求める性的快楽は直に触れるべきだと言い始める。
拒否権はないし、ハナから拒否するつもりもなく、ミラルダは着ている服を次々に脱いでいく。
ベッドの上、横たわり自身の胸と女を見下ろしながら、再び情事を再開する。
「あっ、硬くなってぇ……、あ、いいの」
幻影の中、彼女の胸を掴む老王がやさしく微笑みかける。
幻覚であろうとも、王と情事をともにしているということが、ミラルダの女を濡らす。
「ああっ! 王、私の淫ら姿をみてください。私は、あふ、私は、王の事を思っているから、私の全てを……」
胸を弄っていた手の一つを秘所へと伸ばす。触れただけでわかる湿り気に、迷うことなく彼女は指を一本入れる。
少しばかりの抵抗を感じながらも指は入り、肉壁に指が当たる快感に体がしびれる。
「あああん、いい、いいです、王」
指を出し入れしながら、そのまま高みへと向かう。
すでに濡れていたそこからは蜜がこぼれ落ち、快感によって発汗した毛穴からは、雌の匂いが立ち上る。
指を出し入れする度に響く卑猥なハーモニーに、ミラルダの快感はさらに高まる。
「あ、んっ、だめ、くうん……」
よだれを垂らし、快感に己をゆだねるその姿に、断罪者としての面影はどこにもなく、あるのはただの雌の本性だけである。
「ああ、もういきます。いってしまいますぅ!」
もう終わりが近づいてると指の動きは加速する。そして、その終わりへと快感は勢いよく、ミラルダを飲み込んでいった。
「ああああぁぁぁ!」
体をしならせ、達する。体が痙攣し、勢いよく飛び出た液体がベッドを汚した。
余韻が終わり、ミラルダベッドで目をつぶる。明日もまた王に逆らうものを断罪するために……