下半身に与えられる刺激はまさしく至高のものだった。
鮮やかな手さばきは流石であると感嘆せざるを得ない。
それだけに、今の自分の状況は滑稽である。
グルームヘルム以外何も纏っていない私の体は、自らの意志に反して体を横たえている。
視線を下半身にやれば、金の仮面を付けた血のように紅い唇の女が、私の体を好き勝手にしているのが見てとれた。
片手は竿を扱き上げ、空いた手で玉に刺激を与える。
時折その手は思い出したかのように上半身の突起を弾くのだ。
熟練されたその手さばきに、時折呻き声が洩れる。
全くもって不可解な女だ…何を考えてこんな戯れなど。
「感じているのだろう?ユルト。もう少し声を出したらどうなんだ。」
「ふざけるのも大概にしろ、メフィスト。殺されたいのか。」
それまで私の性器を弄んでいた女は手を止めると、目を合わせて堂々と言い放った。
つくづく頭に来る女だ。
体さえ動くならば、今すぐその腸を引きずり出してやるというのに。
秘匿者の操る秘術に陥った私の体は、首から下は指一本動かせないでいる。
故に、沈黙の長と呼ばれ、恐れられてきた私は、この様な醜態を晒しているのだ。
「ふん…まあいい。気丈でいられるのも今の内だけだ。」
私の性器に手を掛けていたメフィストは体を傾けると、戸惑いもなくそれを口に含んだ。
生暖かく、湿った口内は乾いた手とはまた違った快楽を私にもたらす。
頭を上下に動かし、下から上へと大きく舐め上げたかと思えば、絶妙な力加減で扱かれる。
竿を扱く手はそのままに舌に鈴口をくすぐられ、呆気なく精を放った。
それを受け止めたメフィストはゆっくりと飲み込んでいく。
口の端を上げたその表情にやはり腹が立つ。
「何だ、もう達したのか。沈黙の長も大したことは無いようだな。」
術が解けたらこの女の頭がおかしくなるまで犯してやる。
私の不穏な野望に気付くはずも無く、メフィストは尚も力無くした男根を扱く。
与えられる刺激に頭をもたげ始めた男根は、鋼のように硬度を増し、天を仰ぐ剣となった。
私の性器の反応に気を良くした様子のメフィストは履き物を脱ぐと、自らの腰を落とし、男根を体内に迎え入れた。
口内よりも更に温度は高く、鍛えられた膣は私をキツく締め付けて来る。
中は十分すぎるほどに濡れそぼっており、轟く肉壁はメフィストが動く度に私に快楽を与える。
「あっ…はぁ…ん、ユルト…っ」
前後運動を繰り返すメフィストの口は、抑えることを忘れたかのように喘ぎ続ける。
恥じらいなどは全くないらしい。
規則正しかった動きは徐々に乱れ始め、膣内は収縮を繰り返し始める。
「あぁっ!ああっ!」
両手で体を支えていたメフィストが片手を自らの胸に当て、激しく揉みしだく。
喘ぎ声は激しさを増し、さながら叫びのようだ。
メフィストの体からは汗が水滴となって辺りに飛び散り、動く度に乳房が弾む。
体が動かないのは本当に不便だ――私自身も動いてこの女をグチャグチャにしてやりたいのに叶わない。
男根が固い部分を掠めた時、遂に膣内が痙攣した。
「ぁああぁあーーっっ!!」
「っ…うぁっ…!」
獣のような絶叫をあげてメフィストが果てる。
激しい痙攣を繰り返している膣に誘発され、私も二度目の精を吐き出した。
射精後の独特な気だるさの中で、メフィストが独りごちるのが聞こえた。
「本当に愚か者だよ…お前も…私も…。」