注意※メロが女体妄想です。
染みのついている本を手に取った。ロジャーの部屋。これは夢だ。
本の並び、壁の傷も正確に再現されている。色あせたカーテンの向こうには、裸足で走り回った庭が見えたが、
今は誰もいない。
「なんだってこんな時に、こんな夢」
建物の中はこんなにもはっきりしているのに、自分がどこに行こうとするかはわからなかった。が、足は
ある場所へと進んでいる。そこへ着いた時、メロは目を見開いた。この部屋は、ニアがよくパズルを解いていた
部屋だ。そして案の定、そこにニアは居た。
「こんにちは、メロ」
ハウスの中で、この部屋だけに上等なじゅうたんが敷かれていた。まるでいつも座り込んでいるニアのためだけに
用意されたようなこの部屋を、メロは意識的に無視してきた。それなのに。
「相変わらず、こんな部屋に居るんだな」
そういえばソファーもないんだった、とメロは吐き出すように呟いて、木のドアに寄りかかった。
「話をしましょう」
「お前と話すことなんてない」
「私はしたいと思ってきました、メロ」
「嘘だ。お前は俺のことなど、服のしわ程度にも気にならなかったはずだ」
「それは違います」
いつになく強い発音に、メロは相手をまじまじと見た。
細く柔らかな曲線ばかりで構成されていたニアの姿は、成長して、しなやかで力強いものになっている。
「・・・私にとって、あなたはライバルであり大切なパートナーです。わかりませんか」
「わかるもんか!俺は、お前に勝ちたい。それだけだ!」
力いっぱい叫びすぎて、メロは顔に手を当ててよろけた。とっさに差し出されたニアの白い手を払いのけながら、
自嘲のあまりこみあがってくる笑いをこらえる。
「ふ、俺が女だったら、それなりにいい関係になってたかもな?」
「冗談ですか?メロ」
ニアが眉間に皺を寄せて、顔を覗き込んでくる。
しばらくの沈黙の後、ニアが言いたげに口を動かしたが、言われる前に、メロは自分の胸を触っていた。
「あ・・ありえない」
「何がです?・・・それに、さっきの言葉、真に受けてもいいですか」