せっかく遊びに来た粧裕は、来るなりLに  
「今忙しいので、本でも読んで待ってください」  
 そう言われて放置された。  
 せっかく今日は髪を下ろして、ジーンズじゃなくタイトスカートを履いて少し大人っぽくしてきたのに。  
 粧裕はそう思ったが、彼が忙しいこともわかっているので、渡された本を大人しく読むことにした。  
 最初は彼の向かい側にあるソファに座って本を読んでいた彼女だったが、体勢を変えてソファの上に腹ばいになって本に向かったり、仰向けになったりしてごろごろしていた。  
 それでも、Lが傍にいるのに構ってくれないのがつまらなくなり、彼女は本を持ったまま、彼の傍に這いずり寄った。  
「退屈ですか。もう少しですから、辛抱してください」  
 書類から目を離さずに言う彼に、彼女は頬を膨らませた。  
 けれども、我侭を言うのは子供のようで嫌だ。とはいえ、近くには居たい。  
 粧裕はLが膝を折りたたんで座り込んでいる椅子を背もたれに、床の上に座った。  
 丁度彼のつま先とつま先の間に自分の頭が来る位置は、彼がギシリと椅子の上で動くのをすぐに感じらるし、近くにいるしで、彼女には丁度良かった。  
 仕事、終わるまで待ってよう。そう決めて、その場所で再び本を読み始めた。  
 が、元来静かにずっと待つのは苦手な方である。  
 すぐに飽きて、頭をぐいと仰け反らせると、後頭部が椅子にポスリと当たった。視線をさらに上へ向ければ、書類の隙間からLの顎が見えた。  
 彼は書類を摘んでは一目見て、すぐに次の書類を摘み上げてと、忙しくしている。瞬きもせずに彼の動きを凝視していると、不意に彼が見下ろした。  
「そんな格好で楽しいですか?」  
 自分の座り方が変だということは気にも留めず聞く彼に、彼女は後ろ頭を椅子にくっつけたままで、首を横に振る。  
 それ以上、何も言わずに彼が再び書類に向かうので、彼女は頭をぐるりとめぐらせた。  
 目の前に彼の足の指が見える。  
 ほんのちょっとのイタズラ心が起きた。  
 どんな反応をするのか。ただ、見てみたい。彼女はそう思っただけ。  
 彼を見上げながら、足の指にちゅっとキスした。  
 すると、書類を下ろそうとした彼の動きが一瞬止まった。  
 今度は舐めてみる。  
 Lは突然つま先から腰まで突き上げるように走った感覚に手を止めた。  
 
 彼女は彼の足の指に再びキスし、ちゅぱりと咥えてしゃぶってみる。  
 書類越しに見ている彼の顔が変わるのがわかった。  
 体を重ねるといつも見せる、眉を少し寄せ、目を細めた表情。苦しげなのに、切なげで。自分だけが気持ちいいわけじゃい、彼も気持ちいいのだと、見るたび嬉しくなる彼の表情。  
 彼女は嬉しくなり、もっと舌を使って舐め始めた。  
 彼の腰が時折、びくっと動く。  
 それがまた彼女には面白かった。  
 彼女を見下ろした彼の視線を受けながら、足の指全部を愛撫する。彼の顔がますます切なげになっていく。彼女の大好きな表情だ。  
 そんな彼を見ていると、彼女の体の中心が熱くなってくる。疼くような感覚は、彼に体に触れられるときのものだった。  
 彼のつま先に添えていた片手をゆっくりと自分のスカートの中へ入れると、ショーツ越しに、自分が濡れているのがわかる。  
 気がつけば、指をショーツの中に入れ、濡れた箇所をこすっている。  
 ちゅぷり  
 唇をすぼめて彼の足の指に刺激を与える。書類の向こうに見えている彼がわずかに顎を上げた。それを見て、粧裕は彼自身がどうなっているのか確かめたくなった。  
 自分の愛液がついたままの手で、ジーンズ越しの彼自身に触れてみる。厚い布越しでもそそり立っているのがわかる。  
 欲しい。  
 そう思った彼女は、ボタンを外し、ファスナーに指をかけた。彼のトランクスが見えてくる。  
 薄いトランクスの布の下に、欲しいモノがある。  
 彼女は唇に笑みを浮かべ、指をトランクスのボタンにかけようとした瞬間。  
 彼が書類をバサリと投げ出した。  
「それはダメです」  
 言うなり、彼は彼女の肩をわずかに押した。彼女は手で体を支える。彼はさらに彼女を後ろへ押した。  
 ころんと柔らかいカーペットの上に転がってしまった粧裕は驚いて目を見開いた。  
 
「そのままそこで寝転がってください」  
 こんなに熱くなってるのに放置されるのか。  
 彼女は落胆しながら彼の言うままに、椅子の傍らに寝転がる。  
 彼は足を下ろして、器用にも足の指で彼女のTシャツを挟んで捲り上げた。  
「あんっ」  
 思わず彼女が声を零す。  
「ブラジャーを外してください」  
 彼女が手を後ろに回してホックを外すと、彼のつま先は彼女のブラをずりあげた。  
 こぼれみえた彼女の胸のピンク色の先は既に勃っている。はじくように触れると、彼女があっと呟いた。  
 足の指が彼女の胸のふくらみの形をなぞるように触れていく。いつも手で触れられるのとは違うぎこちなさと、普段とは違う状況に、彼女は戸惑いながらも興奮を隠せない。つい、手をスカートの中へと伸ばしてしまった。  
「ダメですよ」  
 伸ばした手を足で止められ、彼女は指を咥えて切ない喘ぎをもらす。  
 彼の足の指が胸の先を弾くようにして弄ぶ。  
「んっんっんっ」  
 彼女が甘い声とともに吐息を漏らす。その唇を彼の足の指が撫でた。彼女は再び彼の足の指をくちゅっと口に含む。舌を絡めるように彼の足の指を愛撫する。  
 彼の足の指もまた、彼女の舌を甚振るようにつついては撫でる。  
「はぁっ」  
 彼女が大きく息を吐くと、彼は彼女に命令した。  
「ショーツを脱いでください」  
 仰向けのまま、彼女はもどかしげにショーツを膝まで下ろす。彼のつま先が彼女のまだ薄い茂み上を、肌に触れるか触れないかぎりぎりのところを上下した。その感覚は、彼女に懇願の言葉を吐き出させる。  
「やぁん。お願い……触って……?」  
 彼はふっと笑みを見せ、彼女の願い通りに足を動かせた。  
 彼女のこりこりとした豆を足の親指が刺激を与える。  
 いつも優しく触れられるソコに、いつもとは違う刺激を受け、彼女は腰を浮かせた。  
 
「ふぁあぁん」  
 ぴちゃ びちゃっ  
 濡れそぼった秘所は音を容赦なくたてる。  
「んぁ……もっと……」  
 うっとりと緩ませた瞳で彼を見上げてお願いをする。  
 彼は親指だけを彼女の中へ入れる。  
 手の指とは異なり、固く、そして冷たい感触が彼女の内部に当たる。  
「んくっ」  
 喉をのけぞらせ、彼女は自分の指を噛んだ。  
 体の芯がさらに熱くなるのを彼女は感じながら、一番欲しい奥まで彼の指が届かないことがもどかしく、登りつめれない切なさに目を潤ませた。  
「あ……んっ」  
 腰の角度を変え、自ら望む箇所へ彼の指を導こうとするが、うまくいかない。  
 半開きになった口で、彼女が彼に望みを告げた。  
「入れて、お願い……欲しいの」  
「いいですよ」  
 立ち上がったLは彼の頬を撫で、テーブルに積み上げた角砂糖を一つ、彼女の口に入れた。そのまま指で彼女の内頬をこすり、舌を撫でる。  
「う、ん…そうじゃなく……て」  
 甘くなった唇の端を彼女が舐めながら、とろりと彼を見る。  
 彼は彼女の秘所を指で押し広げると、角砂糖をそこに入れた。指でぐいっと押し込むと、彼女が小さく悲鳴を上げた。  
「ここに欲しかったんでしょう?」  
 言いながら、彼は彼女の内側に舌を入れ、舐める。  
 彼の唾液と彼女の愛液が混ざり、彼女の熱で角砂糖が溶け始める。  
 音を立てて啜ると、彼の口の中に甘い味が広がった。  
「あふっ、んっ」  
 舌先にあたる角砂糖を舐め、彼女の内壁を舌についた砂糖でザラリと刺激する。ざらついた感触が彼女を追い立てる。  
「あああっ」  
 腰を動かし彼女が自分の望む箇所へ彼の舌と指を誘った。  
 じゅるっ  
 彼がべたつく甘い蜜を啜る。  
「やぁぁぁぁっ」  
 背を大きく反らせた瞬間、彼女は絶頂を迎え、息を吐き出した。  
 指と口の周りを赤い舌で舐めながら、彼は彼女の唇に軽いキスを落とす。彼女の息はまだ大きく荒い。  
「バスルームで綺麗にしましょうか」  
 彼女を抱き上げ歩く彼の首に彼女の腕が絡まった。  
 

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