「粧裕さん、ここですね」
Lが粧裕の耳元に囁いた。
目尻に浮かんだ彼女の涙をペロリと舐めあげながら、彼は彼女の濡れた秘所に差し込んだ指で、彼女を責めた。
「いやっ」
彼女の悲鳴に、彼はクスリと笑った。
もう何度も彼女とは体を重ねている。重ねる都度、大きくなっていく征服欲。
自分のものだけにしたい。自分のものだと信じたい。ただそれだけのために、彼は計画を今日、実行した。
部屋に入ってすぐに、立ったままでキスし始めた。
粧裕の口内を舌で蹂躙し、透明の糸をワザと引かせて唇を離す。自分の唇を親指で拭い、指についた唾液を粧裕の唇に塗った。
ぽてりとした感触の彼女の唇を指で確かめ、そのまま首筋へと指を走らせる。
目を閉じたままの彼女の体がビクリと動いて、今日も反応が良いことを示している。
シャツのボタンを上から3つだけ外し、Lは唇に笑みを浮かべながらブラジャーの内側へ指を滑り込ませた。そして、彼女の胸の先を軽く摘む。
「あふ……」
涎を垂らしたままの彼女の口から甘く切ない声が漏れた。
反応の良い、胸の先を丹念に触れるが、今日は違った。
彼はすぐに胸から手を離し、たくし上げたスカートの中の太股に触れ、ショーツの中へ手を入れる。太股に力を入れて、彼女が軽く拒絶したが、そんなことは彼には関係ない。
指をぐいっと蜜を零し始めている彼女の秘所に差し込む。
「ひゃっ」
驚いた声を出すが、すぐに脚の力は抜け、彼女は彼にしなだれた。
彼女の首の顔を埋め、なぞり上げるように舌を這わせ、耳たぶを噛む。
「粧裕さん、私のこを、好きですか?」
試すように問いかけると、彼女がうなづいた。
「では、こういうこをされても、平気ですね」
言うなり、彼は彼女の両手に手錠をはめた。
カシャンという金属音と冷たい物があたる感触に、粧裕は自分の両手を見る。
「竜……崎さん?」
「さあ、こちらへ」
そのまま彼女を窓際へと連れていく。
外には青空が広がる窓を背に、彼女の両手を頭の上へと押し上げ、上から吊るしたロープに手錠を引っ掛けた。
「やだ! こんなのっ!」
「嫌でも言うことは聞いてもらいます」
表情を消して言うLの言葉に粧裕は全身を粟立たせた。
広い部屋にぽつんと置かれたベッド脇にあるマホガニー製のサイドテーブル。ありがちな木が軋む音を立てることもなく、Lは引き出しを開け、ナイフを手に取った。
まだ彼女の肌を隠しているボタンを一つずつ、ナイフで切る。肌蹴たブラウスから覗き見えているブラジャーの紐もナイフで切り裂いた。
「きゃっ」
短い悲鳴とともに、彼女の小さな胸が露わになった。両腕を上げた彼女の胸は、より小さく見える。彼はその胸に、満遍なく舌を這わせてから、彼女を覗き込んだ。
「こうされるの、好きでしょう?」
「こんなのは、嫌い!」
目に涙をためて彼女が言った。
「そうですか。では、下のお口に聞いてみましょうか」
ボタンを外し、ファスナーを下ろすだけで短い制服のスカートは床にストリと落ちた。ショーツは膝の上で止まったままで放置する。
「粧裕さん、ここですね」
彼女の体は知り尽くしている。どこをどう触れれば彼女が敏感に反応するのか彼は知っていて、わざと聞くように、Lは彼女の耳元に囁いた。
目尻に浮かんだ彼女の涙をペロリと舐めあげながら、彼は彼女の濡れた秘所に差し込んだ指で、彼女を責める。
「いやっ」
「嫌いと言いながら、ここはこんなに濡れてますが?」
彼はクスリと笑って指を引き出した。その指を彼女の腹から胸へと這わせ、彼女の目の前に突き立てた。彼女の蜜を味わうように、音を立てて指を舐めた。
「嫌、嫌よ! 外して!」
「それこそ、嫌、です」
彼はにこりと笑って彼女の要望を突き放す。
「さて、と―――」
彼はナイフを放り投げ、代わりに袋を取り出した。
「あなたの最初のお相手です」
袋から出してきたのは、玩具だった。
「さぁ、足を開いてください」
ぐいっと無理に玩具を押し当て、彼女の中へ差し込む。
「ひっ」
一瞬の痛みに彼女が短く悲鳴を上げた。
悲鳴を上げた彼女の唇に、彼はキスをして彼女に微笑んだ。
「ちょっと待ってくださいね」
彼女から少し離れたところに、三脚を立て、ビデオカメラをセットする。その横に自分のために椅子を置き、彼はその上に脚を抱えて座りこんだ。
「バックの青空がよく似合ってます。ビデオを見るお兄さんの月くんも感心するでしょうね」
「お……兄ちゃんに? いやあぁぁぁぁ! やめてっ!」
「月くんが好きなんでしょう? 私よりも。こんな淫らな格好もするんだと見せたら喜ぶでしょうね」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんじゃないの。竜崎さんと比べないよ」
大粒の涙を零して彼女が叫ぶ。ジャラリと手錠が鳴り、動こうとした彼女の体をその場に縫い止める。
月を兄として慕っているのはLも承知している。それでも、自分だけを見て欲しいと願う彼にとっては、彼女の月への思慕は嫉妬の対象でしかない。
否。むしろ、彼女の思慕を止めるより、自分が彼女の中で一番だと確信したい。自分のために自分の望むことをする彼女を見て、安心したいだけ。
「そうですか?」
手の平の中の小さなリモコンのボタンを一つ押す。
「あぁっ」
彼女に差し込まれた玩具が動き、彼女は身じろぎした。
「もう少し、バイブレーションは大きい方がいいんですね」
「ふぁ」
リモコンのツマミをひねると、彼女が息を荒くした。
親指を噛みながら、彼は彼女が全身を上気させていく様を見ていたが、突然玩具の動きを止めた。
「やぁん」
内股を濡らした彼女が彼を懇願するように見る。瞳は半分濡れ、官能的な表情を見せている。
「やめないで、とお願いしたらどうです?」
「お、お願い……」
「最後まで」
「お願いだから、いかせて……」
「いいですよ」
振動を最大にして、再びスイッチを入れると、彼女が嬌声を上げ、背を仰け反らせた。
「淫乱ですね、粧裕さん」
「ち…ちが……」
足の力が抜け、崩れ落ちる体を手錠とその先のロープが吊り上げた。
「淫乱でなければ、好色? 言葉を変えても同じ意味ですが」
くくっと喉の奥で笑いを漏らし、彼は立ち上がった。
手錠を結んだロープを外すと、彼女は床に倒れた。
彼は彼女を抱け上げ、椅子の上に座らせてから、ビデオカメラを彼女の方に向け直す。
椅子の上でぐったりとしている彼女の足にまだ絡まっているショーツを彼が取り去った。そして、彼女の小さな頤に指をかけ、彼と視線を合わさせる。
「では、その淫乱なところをもっと見せていただきますね」
椅子の後ろから、彼女の両足を無理矢理に開脚させる。
「ビデオの焦点は粧裕さんの大事なところに合ってます。綺麗なアソコを月くんに見せてあげてください」
「いやっ」
彼の手を振り払おうと足を動かすが、彼の力の方が勝っている。
「離して欲しかったら、自分でアソコを触ってください」
「できない!」
「できますよ」
耳元で囁きながら、彼女の耳をゾロリと舐めあげた。
「やらないなら、ずっとこの体勢ですから」
両手の自由を手錠に阻まれながら、彼女が指を自分の中へゆっくりと進入させる。
「んっくっ」
低い呻き声をもらした後、彼女が大きく息を吐く。
「指はちゃんと動かしてください」
ゆっくりと動き出す指を彼女の肩越しに彼は確認し、彼女が再び甘い吐息を出し始めるのを聞いてから、彼は両手を離した。
それでも、彼女の指は動き続け、足が一瞬びくりとし、伸びきった。
「もういいでしょう」
快楽の果てまで行く瞬間に止められた彼女は呆然と彼を見上げた。
「イクのは、私に奉仕してからですよ」
よれたTシャツとジーンズを脱ぎすて、そそり立ったモノを彼女に見せると、彼女はうっとりとソレを見た。
ゆっくりと、両手でソレを取り、舌を筋に沿って這わせていく。
立ったままの彼を見上げながら、彼女は先端を口に咥えた。
彼は彼女の頭を撫で、彼女の行為を促した。
じゅるり ぴちゃ
唾液で音を立てて貪るように彼のモノを舐め、口をすぼめ、刺激を与えていく。
手錠の束縛をもどかしげにしながら、彼女が彼の二つの袋を優しく包み、そして撫でる。
Lは眉間に皺を寄せ、彼女の口から自分を抜き出した。
溜息を一つついて、彼女を見下ろすと、彼を包んでいた手が宙に浮いたままで、彼を見上げている。
「ご褒美をあげますね」
彼女を横抱きにし、ようやくベッドに横たえた。
「ああ、後ろからがいいですね、今日は」
彼女の腰をつかんで向きを変えさせた。
既に一度絶頂を迎えた彼女の中へ侵入するのは容易だった。
「あふん」
熱い彼を迎えた彼女の悦びは、色白の尻を揺らせながらすぐに上へと登り始める。
「ほら、こんなに反応するなんて―――」
淫乱に間違いありません。一呼吸置いて、彼が言葉を継ぐ。
頭の向こうに置いていた両手の代わりに彼女は自分の頬で体重を支え、両手を彼の方へと寄せる。そして、彼と繋がった箇所のさらに向こうにある彼の感じる場所へと手を伸ばした。
彼が揺れるたび、彼女の指は、彼女の中に入りきらない彼そのものに触れていく。
「あぁぁん」
彼の突き上げは彼女の奥まで達し、彼女が腰をくねらせる。
彼は彼女の腰を逃がさないようにしっかりと掴む。
「イってください」
「んんんん―――イっちゃう、よ」
さらに激しく貫いた彼の動きが止まるのと、彼女の最後の嬌声が上がるのは同じ瞬間。
彼女の背中に覆いかぶさるようにして、彼が体を横たえた。それから僅かに体をずらせて、彼は彼女を抱きかかえた。
荒い呼吸が次第に収まってくる。
Lは彼女の手錠を外して起き上がった。
ビデオカメラを手にして、彼女の横に再び戻ってくると、彼女は顔を背けた。
「そんなの―――」
彼は彼女の耳元に囁いた。
「私にだけ見せて欲しい粧裕さんの姿を、ビデオに撮るはずがないでしょう」
誰に見られるかわからない証拠など残しません。そう言って、彼女の目の前でビデオを開けると、テープは入っていない。
「え?」
「すみません。あなたを試しました」
まっすぐに彼を見つめる彼女の視線を避け、彼は彼女の両手を引き寄せた。
「痛かったでしょう」
こすれて皮の破れた彼女の手首に優しく唇を這わせると、彼女がふぅと息を吐いた。
「竜崎さんだけなのに。大好きだし、こんなことするのも」
二人が視線を合わせると、彼女は彼の首に両腕を巻きつかせた。