粧裕は頬にあたる冷たい感触に目を覚ました。  
冷たく、固く、濡れた感触。それに身体の節々が痛む。反射的に顔を顰めた。  
ここはどこだろうと記憶をたぐる。学校の帰り道、友人と軽くお茶をしてその後…。その後が思い出せない。  
と、目の前に揺らぐオレンジの光に気付いてそちらに視線を向けて、粧裕は驚きに息をつめた。  
「え…」  
3、4人の男達が床に横たわる粧裕を取り囲んでいる。目つきの悪いもの、肩に入れ墨のあるもの…どの男も日本人ではないようだ。  
その後ろに、一人、金髪で華奢な少年が積み上げられたコンテナに腰掛けている。  
「な、なによ…これ……」  
小さく呟いた声が届いたのかどうかわからなかったが、金髪の少年は顎をしゃくると、周りの男達に指示を出した。  
「起こしてやれ」  
一人の男に髪を掴まれて、粧裕は強制的に半身を起こす形になる。手荒な真似はまだやめておけと少年が言うと、男は素直に従って、粧裕の髪から手を外した。  
「はじめまして」  
言いながら、少年がコンテナから降りて、近づいてくる。目を覚ましてから、まだ状況把握が出来ていない粧裕が、呆然とただその様子を見つめるしかできない。しかし、この湿った空間の雰囲気と、周りの男達の気配は、粧裕を恐怖に陥れるのに十分な威力を持っていた。  
粧裕の両手は後ろ手に縛られている。どうにかして自由を得ようと身を捩るが全く無駄なことだった。  
 
「夜神粧裕」  
粧裕は、目の前に立ち、チョコレートを片手にニヤニヤと自分を見下ろす金髪の少年を、怯えた目で見つめた。  
髪は肩まで伸びて、綺麗に揃えられている。華奢な身体は周りの男達から浮いているようにも思えたが、その目つきに粧裕は背筋を凍らせた。直感的に、恐ろしいと思った。きっと涙を流して許しを乞うても、この男の前では単なる前戯にしか鳴らないに違いない。  
「あ…なんで…私…」  
震えて言葉を噤むこともままならない。息を吸おうとすると喉がつまり、ヒッ、としゃくり上げるような音がした。  
金髪の少年がまた口を開く。  
「夜神粧裕、怖がらなくていい」  
「……」  
「ちょっとビデオに撮っておまえの父親と兄に送りつけるだけだ」  
「え……?」  
少年の言っている意味がわからない。しかし、そんな粧裕を尻目に少年はチョコレートを一かけ口の中に放り込むと、周りの男達に「やれ」とだけ声を掛けて、またコンテナのある場所に戻っていった。  
「…な…に…きゃ、や…!」  
目の前で突然ナイフを取り出した男に、粧裕は頭が真っ白になる。  
「心配するな、殺しはしない。生け捕りにすることに価値があるから」  
少年の声はもはや粧裕の耳に届かない。ギラリと鈍くひかる刃が近づいてくる。粧裕はわけもわからず叫んだ。  
「や、やだ…やめてよぉ…な、なんで…あっあ!」  
「ひひ…」  
肩に入れ墨の入った男が卑劣な笑い声を上げながら、粧裕のカットソーを胸元からナイフで裂いていく。ブチブチと糸の切れる音を楽しむかのように、ゆっくりと胸元まで切り込むと、一気に左右に引き裂いた。  
「きゃあああ!」  
「うるせえなぁ…おい、ビデオ回してるだろうな」  
もう一人の男は、ビデオを片手に、この状況を楽しむかのように口元を引きつらせてせせら笑っている。  
粧裕は震える唇に、気を失わないようにすることで精一杯だった。  
「ああ…コレ裏に回せねえかな?この女上玉だから儲かるぜ」  
「すげえ白い肌だな…早く胸出せよ」  
「ひひひ…そう急くな」  
 
男は呟くと、いきなり粧裕のブラジャーを上に押し上げた。形のよい乳房がプルンと空気に晒される。  
頭の禿げた男が、その形の美しさに舌なめずりをして、太い指が乳房を鷲づかみにした。  
「へへへ、すげえやわらけえーっ」  
円を描くようにして揉みしだく。痛いぐらいの握力だったが、粧裕は恐怖でその感触もよくわからない。  
「や…や…あ…」  
言葉を失い、唇も色を無くした粧裕は、ただ喉からもれる声を口の端からもらすだけだ。  
その反応に、男たちは不満を持ったようだった。後ろの金髪の少年に声を掛ける。  
「メロ、この反応じゃ俺たちもつまらねぇ。クスリ使ってもいいだろ?」  
「……好きにしろ」  
「へへ、ありがてぇ、おい、持ってこい」  
入れ墨の男が、禿の男に目配せすると、禿の男がアタッシュケースから注射器を出してそれを入れ墨の男に渡した。  
「あ…いや…やめて…お願い…」  
針から漏れる透明の液体に、粧裕は気が遠くなる。腕を強いちからで掴まれて、袖を二の腕までまくられ、粧裕はいよいよ暴れ出した。  
「やだあああっ!お、お父さん!お兄ちゃん!助けてぇぇ!」  
やめて、やめて、と叫ぶように連呼する粧裕に、周りの男はサディスティックな笑みと視線を送る。  
真っ白な腕に、針が刺さり、液体が注入されていく。粧裕の頬は涙でくしゃくしゃになっていた。  
今までの人生で感じたこともないぐらいの恐怖と絶望が粧裕を襲う。  
「ひひ、即興性だからな、もうすぐ天国にいけるぜ?」  
はははは、と笑う男達に見下ろされながら、吐き気と頭痛で目の前がくらくらするのを感じた。  
息が短くなる。  
「しかしえろい胸してるなこの女」  
後ろから再び胸を鷲づかみにされ、乳首を人差し指で親指でつままれ、粧裕は息を飲んだ。くりくりと乳首に刺激を与えられ、体温が上昇する。  
きゅ、と強くつねられ、思わず声が出た。  
 
「っ、あ」  
「お、もう効いてきたか?それともこの状況に感じちまったかぁ?」  
脇の下から顔を覗かせ、乳房を舌でなめずり回す。ざらざらした感触に鳥肌がたった。  
「下の方も脱がせるか」  
ナイフがスカートの裾を切り裂いていく。ピーっという音をたて、白い腿が露わになった。  
全てをウエストまで切り裂かれ、白い下着が下半身を覆っているだけになる。  
太股の内側を、ナイフの先端がツツ、となぞる。その合間も胸に刺激が与えられ、声を我慢して粧裕は震えるだけだった。  
と、われめの部分を唐突になぞられる。  
「ひっ!」  
優しく何度もそこをなぞり続ける指先に、快感が背筋を走った。  
「んっんっ」  
「お、乳首よりあそこのほうが好きなのか」  
「んっやっちがっ、きゃ!」  
一瞬強くこすられて、粧裕は背筋を反らせた。膝ががくがくするのを抑えられない。  
「なんか湿ってきたぞ…感じてんのか?」  
にやつく男が、気を良くしたのか、下着の横から指を差し込み、直に触れてくる。  
既に熱く濡れてきていたその感触に、男は更にイヤらしい笑みを浮かべた。  
その指が割れ目の奥、クリトリスを探し当てる。  
「ん、んん!」  
熱に浮かされたように声がでる。クスリも効いてきたようだ。理性が焼き切れそうになる。  
「ふう、う、んんっ」  
「腰が浮いてるぜ」  
どうにかして声を抑えていたが、知らず腰が蠢いてしまうのを止められない。どうしても快感を追ってしまう。  
その快感のせいか、悔しさのせいか。涙が目の端からこぼれ落ちる。  
もう粧裕の下半身は言い訳も出来ない程に濡れそぼっていた。ぬちゃぬちゃという水音が耳にうるさい。  
耳を塞ぎたかったが、両手は依然として自由にならないままだった。  
 
「その可愛らしい口が寂しそうだなぁ、おい」  
カメラを構えていた男が、ズボンのジッパーを下ろし、まだ力無くぶら下がったものを粧裕の目の前にさらけ出した。  
「舐めてくれよ、な?」  
「ん、あ…ひ…」  
下と胸を同時に弄られ、逃げ場もなく、おもわず目の前の男のペニスをまじまじと見る。  
粧裕の戸惑いなど無視をして、薄くピンクに染まっている唇に萎えたペニスがすりつけられる。  
「ほら…いいこだからさぁ」  
「ふ…」  
粧裕はその瞬間、もう理性というものを捨てた。  
おそるおそる舌を出して、ぺろりとペニスの先端を舐める。舌に感じるその感触さえ、性感帯を刺激し粧裕は声をあげた。  
「あっ」  
「もっと舐めてみろよ」  
さっきよりももっと舌を出し、ちろちろと先端を舐め始める。  
「ふ、ん、んん」  
 
「舐めてるだけじゃなくて、吸ってくれよ」  
「ん、あ…」  
粧裕はもはや快楽のとりこだった。素直に男の性器の先端を口に含む。中で男の性器が質量を増した。  
「もっと竿の方も…あ、いいぞ…」  
「ふ、あ」  
「淫乱女が…うまそうにしゃぶりやがって」  
屈辱的な言葉も、今は粧裕を高ぶらせる道具にしかならない。とろりとした目で、勃起したペニスをチラチラと見る。  
早く入れて欲しい…そう思うことにもはや羞恥はなくなっていた。  
ちゅるちゅると音を立てながら唇と舌で男の黒ずんだペニスを愛撫すると、男は堪らなくなったのか腰を使い始める。  
「ンっんっんん!」  
口腔を女性器に見立てて激しく疲れながらも、下半身そして胸も同時に責められ、粧裕の白い肌はピンクに染まり、ますます男達の性欲を煽った。  
「く…っ」  
 
「おまえら、もう下がっていいぞ」  
 
男の腰の動きが早まり、もうそろそろ達しようとしていたその時、それまで黙っていた金髪の少年――メロと呼ばれていたか――が、コンテナから降りて再び粧裕の元へ近づいた。  
「え」  
「お、おいメロ」  
男達は粧裕を責める手を止め、一様にメロを凝視する。  
「じょ、冗談言わないでくれよ、俺のイチモツの処理はどうすんだ」  
強面の男たちが、一人の少年の言葉に動揺している様は、はたから見れば面白いものだったに違いないが、快楽の絶頂の手前で手を止められた粧裕はそのもどかしさに身をくねらせた。  
「や…あ、やめないでぇ…んっ」  
「おまえらにはおまえらのボスが女を容易してくれてるだろ…ほら、どけよ、今から俺がこいつの相手するからよ」  
メロは男達をどけ粧裕の間近までくると、しゃがみ込み、粧裕と目線を同じくした。  
当然周りの男達から非難の声があがる。  
「いやでもそれは酷いんじゃねえか…」  
しかし、それも一瞬の出来事だった。  
「ひ」  
メロの冷たい視線が彼らの口を塞いだ。はは、と愛想笑いをしながら後ずさるように粧裕から離れていく。  
「じゃあな」  
メロのその声と共に、男達は逃げるようにその場から去った。  
途端に静かになる。聞こえるのは、水滴がコンクリートを叩く音と、男が置いていったビデオテープが起動する音だけだった。  
「あ、あん…」  
放置された熱に、粧裕が思わず声をあげると、メロは粧裕の顎に手をかけた。  
「夜神粧裕」  
粧裕の唇をメロの長く骨ばった指が這う。ぷるんと、唇を弄んだかと思うと、その指は粧裕の口内に侵入し、舌と歯列をなぞっていった。  
 
「舐めろ」  
「は、あ…ん…」  
ちゅぷちゅぷと音をたてて、言われた通りに粧裕はメロの指を舐める。それはまるでさっき男に施したフェラチオを思わせる仕草だったが、メロは表情を変えず、粧裕の淫行を観察するように見つめたままだ。  
「今から俺が言うことに答えろ」  
「…?」  
「口を休ませるんじゃねえ」  
「んんっ」  
舌を強く摘まれ、粧裕は愛撫を続けながらメロの次の言葉を待った。  
こんな問答よりも、早く身体を責めて欲しい…そう思ったが、この恐ろしい少年の前でそんな事を言えるはずもない。  
足の間にある熱に、腰が蠢いてしまう。太股まで愛液で濡れているのがわかった。  
「夜神粧裕…おまえに夜神月という兄がいる。そうだな」  
「ん…んん」  
月、という単語に粧裕は目を見開く。  
月、それは確かに自分の兄だ…しかしそれにどんな関係が――  
「答えろ」  
「ひゃ…は…ん、は、い」  
口の中ではいまだメロの指がある。しかし、粧裕は喘ぎながらも返事をした。  
「じゃあ、今から夜神月のことを考えながらセックスするんだ、いいな」  
 

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