月は自宅へ向かって歩いていた。
何ヶ月ぶりだろうか。
Lに監禁されてから(正確には自分が望んでの監禁だが)1度も家に戻ることはなかった。
監禁中は戻れなかったと言っていいが、
監禁が解けてレムが死んだ後も進んで家に帰ろうとしなかったのは
どこか後ろめたいような妙な気持ちがあったからだ。
父は全て知っているが母と粧裕は僕がミサと同棲すると一言電話を入れたきりだ。
なるべくなら家に誰もいない時を狙うつもりだったが、
母は専業主婦だし買い物に出かけることはあるとしても何時頃にいつも出かけているかはわからない。
…何て言われるだろう。
月の思いとは裏腹にすでにもう玄関の前に到着してしまった。
ゆっくりと鍵を差し込む。
ドアを開くと母の靴はない。
どうやら出かけているようだ。
月はホッと胸をなで下ろし、靴を脱ぐと懐かしい我が家に上がり込んだ。
必要な物を纏めたら早く家を後にしよう。
階段をトントンと音を立てて上がり、自室のドアを開けた。
あの頃と何も変わっていない。
月は懐かしむのも早々に服や参考書を大きなボストンバッグに詰め始めた。
カチャリ
月はギョッとしてドアの方へ振り返った。
「お兄ちゃん!?」
そこには目を真ん丸くさせた妹、粧裕の姿があった。
「粧裕か…お前学校はどうした?」
「今日はテスト前だから早上がりだったの」
そういえば粧裕は制服を着ている。
「そうか…。久しぶりだな」
そう言いながら月は柔らかく微笑んだ。
「お兄ちゃん…家に帰ってこないの?」
粧裕は月のボストンバッグを見つめながら言った。
「ん?ああ。父さんが僕たちのこと認めてくれて仕送りもしてくれると言ったから、一旦荷物を取りに来たんだ」
「また行っちゃうの…?」
「ああ。これ纏めたらすぐ出るよ」
そう言い月が荷物の方に向き直したその時。
ドンと背中に圧力がかかる。
「お兄ちゃんもう行かないでよ…。ずっと家にいて…」
粧裕は月の背中に抱きつき、細い声で呟いた。
「粧裕…」
月は振り返ると粧裕の手を解き、両手を粧裕の手を肩に乗せた。
「急に出て行ってみんなには心配をかけてしまったと反省している。
だけどこれからはたまには連絡もするし、顔も出来るだけ出すようにするよ」
粧裕は黙ったまま聞いていたが月が全てを言い終わった瞬間、大きな目からポロリと大粒の涙がこぼれた。
「いや…。そう言ってまた遠くに行っちゃうんでしょ…?もうどこにも行かないで」
粧裕の涙は話してる最中も止まることはなかった。
月は内心ホトホト困ってはいたが、かわいい妹に泣かれてしまったら無理に突き放すことも出来なかった。
「粧裕、いつかはみんな大人になってそれぞれの人生を歩いていくんだ。
その上で家族がバラバラになることだってある。
僕がまたこの家を出ても、粧裕や父さんや母さんが大事な家族であることに変わりはない。
大人になるっていうことはそういうことも受け入れていかなければならないんだ」
「じゃああたしは一生子供でいい!お兄ちゃんとずっと一緒にいたいよ!」
そう言い粧裕が勢いよく飛びついてきた。
「うわ!」
月はバランスを崩しフローリングの冷たい板の上に投げ出された。
目を開けると粧裕が自分の身体の上にのし掛かっているのが見えた。
「お兄ちゃんどこにも行かないで…。ずっとあたしだけのお兄ちゃんでいて…」
粧裕の涙がぽたりぽたりと月の腹部に落ち、シャツを濡らしていく。
粧裕がこんなに哀しそうな表情をするのは可愛がっていたハムスターが死んだ時以来だろうか…。
月の身体に触れている部分が僅かに震えている。
しかし粧裕、お前の望むとおりにすれば僕はより理想的な状況で新世界を創ることはできない。
正直、今お前の存在は邪魔でしかない。
月は粧裕の身体をぐいと無理矢理押し退けた。
「粧裕、いい加減にするんだ」
それでも粧裕は目に涙をいっぱいに溜めながら抱きついてくる。
その都度押し退けても、粧裕は何度も何度も月に抱きついてくる。
力任せにねじ伏せるのは簡単だ。
しかし相手は妹。
あまり乱暴なことはしたくはない。
月は抵抗をやめ粧裕に抱きつかれたまま大きな溜息をついた。
「粧裕…。これ以上同じ事を言わせるなら、僕は2度とこの家に帰らないしお前と兄弟の縁も切る。僕にそんな決断をさせないでくれ」
静かに放った月の言葉に、それまで無我夢中で抱きついていた粧裕の腕の力がすっと抜けた。
静かに月の顔を見上げる。
目はすでにうさぎの様に赤く、白い頬には涙の軌道が無数にできている。
実際に見たことはないが、その表情はまるで死刑宣告を受けた囚人の様に絶望に打ちひしがれていた。
「やだ…。お兄ちゃん、あたしのこと嫌いにならないで…」
そんな粧裕の様子に月はまた微笑みを浮かべ小さな頭をポンと軽く叩いた。
「いい子だ。粧裕がそうしていれば僕は粧裕の事を嫌いになったりはしないよ」
粧裕は少し柔らかい顔つきになった。
しかしまたすぐに俯くと震える声で話しかけてきた。
「いい子にしてるから…ひとつだけお願い…」
「なんだ?」
「あたしを…抱いて欲しい…」
「な…」
「抱きしめるとかそんな意味じゃなくて、その……」
粧裕の予想外の言葉に月の胸は激しく高鳴った。
「僕たちは兄弟だぞ。本気で言っているのか?」
粧裕は俯いたまま弱々しく頷いた。
粧裕は本気だ。
月は粧裕のことをそういった対象として見たことは一度もない。
正直そんな気もさらさら起こらない。
月はグルグルと回る頭に冷静になれと暗示をかけた。
粧裕を抱くだって?
冗談じゃない。
僕にはそういう趣味はない。
しかしここで拒否すれば粧裕はどうする?
素直に諦めてくれるか?
立ち直れないほどのショックを受けるか?
また駄々をこねてつい先程の二の舞になるか?
それだけならまだいいが母と粧裕がいると動きづらいから家を離れることにしたのに
粧裕があまりにも僕の周りをうろつくことで僕の計画の予想外の邪魔者になりやしないだろうか。
いやしかしそんなことをしたことが父さんの耳にでも入ったら捜査本部内の僕の信用はゼロに等しくなる。
月悶々と考え続けていたが、結論を出すとスッと立ち上がり粧裕を見下ろした。
粧裕も何も言わずにただ月のことを見つめている。
部屋中に張りつめた空気が充満しているのがわかる。
それぞれの立場はまるで裁判長と被告人の様だ。
「…一度だけだ」
そう言い放つと月はストライプ柄のシャツを脱ぎ去った。
上半身裸になった月は顔を真っ赤にしている粧裕を抱きかかえそっとベッドに降ろし、自分は粧裕に覆い被さるような体勢をとった。
そして優しく2、3度口づける。
粧裕の唇は柔らかく、少しだけ涙の味がした。
そしてシャツのボタンをひとつひとつ丁寧に外す。
そこから現れたのは白く透き通る肌にピンク色の下着だった。
粧裕は恥ずかしそうな顔をしたがそれには不快感のような物は一切感じられなかった。
月がホックを外そうと粧裕の背中に手を回すと粧裕はそれを手伝うかのように少し上体を浮かす。
大事な所を守っているはずのホックは味気ないほどに簡単に外れ、まだ小振りな乳房が顔を出す。
優しく揉みしだくと成長中とはいえ意外と質量感がある。
先端をちろりと舌先で舐めあげる。
「ひゃぁっ!」
粧裕が初めて声を上げた。
そのまま月は右手で粧裕の右の乳房を弄び、左はつついたり舐め回したり吸い上げたりする。
「ん…あっ…」
先程の声は驚いて小さな悲鳴を上げたようにもとれたが今はそれとは全く違う、確かに官能の声だ。
先端はどんどん起き上がり堅さを増していく。
それに比例し粧裕の声も段々と妖艶さを増していく。
唇は粧裕の胸を捕らえたまま、右手をするすると下に伸ばしていく。
柔らかな太股を軽く撫で、プリーツスカートの中に手を進入させる。
粧裕の大事な部分は下着の上からでもぐっしょりと濡れている。
「粧裕、ここすごく濡れてるよ」
月がからかうように言うと、粧裕は恥ずかしそうに顔を背ける。
こんなにも僕を欲しがっていたのか…。
今一乗り気のしていなかった月だったが、粧裕の姿を見て覚悟を決めた。
今だけは粧裕のことだけを見て、粧裕のことを精一杯愛そうと。
そしてこんなことは最初で最後だ。
月は粧裕の顔をこちらに向かせ、もう一度口づける。
ゆっくりと舌を差し込むと呆気ないほど粧裕の唇は簡単に進入を許可した。
最初は恐る恐るだったが、慣れてくると積極的に月の舌に自らの舌を絡ませてくる。
ちゅ、と音を立てて唇を離すと、粧裕のスカートを捲り上げる。
ブラジャーと同じ、淡いピンク色のパンツは目で見てもはっきりわかるほどぐしょぐしょになっている。
愛おしむように濡れそぼったそこにキスをして、ゆっくりと降ろしていく。
まだ薄い恥毛が顔を出す。
まだ恥じらいがあるのか両足は固く閉じられている。
月は恥毛の上から割れ目をなぞる。
さほど深くまで差し込んだわけではないのに、月の往復して戻ってきた指は糸を引いていた。
月はそれを舐め取ると、またそこを撫でながら粧裕の耳元で囁く。
「粧裕、力を抜いてごらん。大丈夫、怖くないよ。僕を信じて」
目を潤ませた粧裕が少し不安げに頷く。
軽く開かれた両足の間を潜り、割れ目にそって撫で上げる。
「んっ…」
粧裕がくすぐったそうに声を上げる。
それにつれ足の力もゆるやかに抜けていく。
月は左手で粧裕の秘部を押し広げ、敏感な所を擦り上げる。
「ああっ!」
粧裕が今までにない激しい喘ぎ声を出す。
月は粧裕のぬめりを利用して指の腹で何度もこする。
「あっあっ…あん…」
それまでは恥ずかしそうにしていた粧裕が快楽に没頭し始めているのが手に取るようにわかる。
ここが弱いのか。
月が両手で包皮を剥くとぷくりと小さくピンク色の芽が顔を出した。
そこを舌で舐め回すと、ビクンと粧裕の身体が反応した。
「ひゃ!ああん…」
気持ちよさそうに腰をくねらせる粧裕。
月の部屋には粧裕の喘ぎ声とぴちゃぴちゃという水音だけが響いている。
舐め取っても舐め取っても粧裕の泉からは水が溢れだしてくる。
「粧裕がこんなにいやらしい子だったなんて知らなかったよ」
「やぁ…ん…」
粧裕の反応を楽しむように月は固くした舌で思い切り粧裕の膨れ上がった芽を擦り上げる。
「あああー!」
粧裕の身体が大きく摩痺し、絶叫を上げた。
「粧裕?もしかして、イッちゃったの?」
はあはあと全身で必死に呼吸している粧裕は月の問いに答える余裕もないようだ。
満足に動くことも出来ない粧裕の纏っていた衣服を全てはぎ取る。
小さく華奢な身体は僅かに桃色に染まっている。
月は粧裕の両足を広げるとジーンズの前を開け興奮しきった肉棒を取り出した。
粧裕の小さな身体に比べてそれはあまりにも大きすぎる。
2、3度先端を秘部に擦りつけ滑りをよくした後、入り口に当てる。
「粧裕、本当にこれでいいのか…?」
少しずつ平静を取り戻しつつあった粧裕が答える。
「うん。あたしはやっぱりお兄ちゃんが大好きだから、こうしていられることが何よりも嬉しいんだよ」
にこりと微笑む顔からは言葉通り満ち足りた気持ちが溢れだしていた。
「わかった。じゃあ、入るよ」
進入しようとする月を粧裕の内側が押し返そうとする。
それに抵抗するように月はぐいぐいと押し入れる。
「う…」
思わず粧裕が呻き声を上げる。
「痛い?」
「ちょっとだけ…。でも大丈夫だから…」
「ダメって言われてももう止まれないよ」
月は思い切り腰を打ちつける。
「いたっ!!」
粧裕が顔をしかめる。
「粧裕大丈夫?でももう全部入ったよ」
「ほんと?」
粧裕が目を開き月を見つめる。
「ああ。動くよ」
月はゆっくりと腰を動かす。
その動きに合わせて接合部はぐちゅぐちゅと卑猥な音を鳴らす。
「ああ…粧裕、気持ちいいよ…」
粧裕の中は熱く、驚く程月に絡みつく。
「あん…お兄ちゃん、あたしも…気持ちいい…」
何度かの往復を繰り返す後段々と粧裕が月の動きに合わせ腰をくねらせる。
「あっ!あぁん…」
粧裕は雌の顔つきで月を誘う。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!ああっ!」
部屋には粧裕の喘ぎ声が響き渡る。
「初めてなのにこんなに乱れて…粧裕は本当にいやらしい子だな」
「いやっ…だってお兄ちゃんのこと…大好きだから…ああん!」
粧裕の下の口は留まることなく涎を垂れ流している。
月もいつの間にか我を忘れ無我夢中になって粧裕を突き上げる。
「粧裕っ…もう…気持ちよすぎていきそうだ…」
「んっ!ダメ!もっとぉ…」
粧裕は物欲しげな表情で月の身体に絡みついてくる。
月は粧裕の芽をキュッと摘み上げた。
「ああっ!」
ビクリと粧裕が仰け反る。
「ごめん粧裕、もう限界だ…」
月は粧裕の身体を引き寄せ激しく腰を打ちつける。
「んあぁっ!!あっ…ああ…」
月は内壁の敏感な部分を集中的に擦り上げる。
「いやぁっ!お兄ちゃん!もうダメぇっ!あっ!あっ!あああーっ!!」
粧裕が2度目の絶頂を迎えた。
それに伴い内側もビクビクと麻痺し月を締め付ける。
「うっ!」
月は思い切り引き抜くと粧裕の腹部にびゅるびゅると白濁液を放った。
「はあ…はあ…」
大きく肩で息を吐く。
粧裕は気を失ってしまったのかぐったりとして動かない。
月は飛び散った液体を拭き取り粧裕の衣服をきちんと身につけさせるとそのまま抱きかかえ粧裕の部屋のベッドに寝かせた。
粧裕は安らかな顔をしている。
「さよなら、粧裕」
月は静かに目を閉じる粧裕を見下ろしぽつりと呟いた。
しかしその表情は先程まで交わしていた熱い情事とは到底結びつかない程冷たい物だった。
その後早々に荷物を纏め何事もなかったかの様に家を後にした。
END