(この世は腐っている)
少年は不服そうに教室から下校する生徒達を眺めていた。
(あんな低能な野郎供にさえ腰を振る女がいるっていうのに・・・)
少年の名は夜神 月、容姿、学力、運動能力、どれも文句なし。
普通ならモテモテな高校生なはずである。普通なら。
月は底抜けなスケベ野郎なのだ。
(あんなことさえなければ・・・)
『あんなこと』というのは月が高校1年の秋のこと、
クラスメイトの弥 海砂(ミサ)のスカートの中を携帯電話のカメラで盗撮しそのコトがバレた事件である。
ミサは誰もが振り向くような小柄で病的なほど色白な美少女で綺麗な金髪を独特な形に結っている。
性格も明るく男女問わずの人気者である。
月は度々ミサのスカートの中を盗撮してはそれをオナニーのおかずにしていた。
しかし、その一件がバレて以来、学年中の女の子から汚物扱い、
それに加えその件で親が呼び出されたことにより自宅での肩身もせまい。
(帰るか・・・。)
月は溜息をつきながら教室を後にした。
ドン!
「キャッ!」
教室を出てすぐに廊下を走っていた生徒とぶつかった。
「アイタタタ・・・」
(ミ、ミサちゃん!?)
ミサは月とぶつかった拍子に尻餅をつき、短いスカートがまくれ黒いパンツが丸見えになっている。
月の眼は黒のパンツと白く細いフトモモに釘付けになっていた。
ミサはそんな月を睨みながら近くで呼吸するのも気持ち悪いかのようにそのまま起き上がり教室の中に逃げていった。
(・・・・・)
怒りとも哀しみとも言えるものを抑え、月はその場を後にした。
下駄箱にきた月が靴を取り出そうとした時、下駄箱の中に何か入っているのに気付いた。
(ノート?)
見慣れないピンクの表紙をしているがどうやらノートのようだ。
いつものようにクラスの女子が靴の中に入れた砂利を払いながら表紙に書かれた文字を見る。
『エロノート』
(なんだこりゃ?)
表紙をめくるとハングルが列んでいた。
(表紙はカタカナなのになぜ?)
不思議に思いつつ最初の一文を読んでみることにした。
月はたまたま独学でハングルを取得していた為、こんなのおてのものである。
【使い方・1】
このノートに名前を書かれた者は書いた者だけに対して好意を持ち、性的感情を抱く。