【もしも『五日後の話』 のあとに続きがあったら…】 
 
幸い髪には飛んでいなかったので、事後処理は洗面台で顔を洗うだけで済んだ。  
部屋に戻って月は自分のベッドに腰を下ろした。  
壁にもたれかかりため息をつくと、何故かLが隣に座り込んできた。  
 
「ちょ、なんで僕のベッドに…。自分のベッドに行けよ…!」  
 
「お礼に月君もイかせてあげたいのですが…」  
 
顔を寄せられまるで能面のような表情でLは月に提案を上げる。  
その表情を見て、月は慌てて顔を振った。  
 
「い、嫌だ。結構だ。だいたい、約束が違う…っておい!」  
 
「私だけ気持ち良くなっては不公平だと思うので」  
 
Lの発言は提案ではなく宣言だったようで、月の拒絶も関係なく、  
Lは言いながら目線を合わせたまま月のパジャマの下に手を入れた。  
 
「ぶしつけですが…もう夜も遅く、早く休みたいでしょうし。  
ちゃんと気持ち良くしますから」  
 
そんなことは聞いていない、と月は訴えたかった。  
しかしLの指が素早く下着の上からそこを押さえてきた為に、声を上げまいとして口を噤んでしまったので、  
その抵抗の言葉が外に出ることはなかった。  
 
下着の上からLの指がそこをまさぐる。  
布越し一枚きりで際どく何度も擦られ、そのうち月は堪え切れずにくぐもった声を発し始めた。  
じわりと下着が湿って来たところで、Lは横の隙間から指を潜らせる。  
直に、しかし直接的に感じるところは外して、まるでじらすように、緩い快感を与え続ける。  
ときにわざとその部分に指を掠らせると、その度にオーバーに月の腰がびくりと揺れた。  
行為が始められたとき早々にその手を振り払えばよかったのに、快感を緩く与えられ、月は何故か抗えなかった。  
 
月が快感に掴まり始め無意識に腰を上げて反応し出したとき、一度Lはさっとそこから指を引き抜いた。  
 
その抵抗出来ない圧力のような感覚がふいになくなり、思わず月はえ、とLの方を見た。  
Lが月の下着の中から取り出した手を見せるように顔の前に掲げる。  
それは、今までの月の痴態を証拠付けるように、しっかりと月の愛液で濡れ、  
部屋の明かりを受けててらてらと光っていた。  
Lはそれを指の付け根からぺろりと一舐めし、それから呆然とする月と目が合ったのを感じて、にっと笑った。  
 
「以前も思いましたが……、  
どうも月君は相当感じやすい…相当淫らな体をしているようですね?」  
 
その言葉に半分我に返った月は、煽られた羞恥にきゅっと唇を噤んだ。  
Lの行動に逆らえない自分が悔しくて、泣きそうな目でLを睨み付ける。  
 
Lはその視線をさらりとすり抜けて、手をパジャマのズボンの中に無遠慮に突っ込み、月の太ももを直に押さえた。  
そしてもう片方の濡れた手をゴムラインにかけ、そのまま下にずり降ろした。  
 
片足を抜かせ、自由になった足を大きく広げる。  
下着は染みを作っていて、足を開かれた為に薄くそこに張り付いていた。  
濡れている為にその下が微かに透けている。  
 
「あ、うぅ……ふ…」  
 
そこをLに人差し指で面白がるように指されるだけで、月はびくりと反応してしまう。  
不本意ながらも、体を走る刺激には耐えられない。  
この体になったときから、自分はおかしくなったのだ。  
以前には考えられない程の快感が、この体を走り月を乱れさせる。  
この体に変化してしまったから、この体のせいで、と月は頭の隅で必死に自分へ言い訳をしていた。  
 
気がつけば下着も降ろされ、下半身のみを露にし、足を広げて快感を迎え入れる自分がいた。  
そして、月の大事な部分に、Lが頭を寄せ、愛撫をし始めている。  
その事実は月にとって全く受け入れがたいものだったが、  
熱いそこからもたらされる快感の嵐はとうに体全体を支配していて、  
すぐに月はそれどころではなく激しい波に身を寄せることなった。  
 
月の喘ぎ声と淫らな水音が高く部屋に響く。  
 
「そんなにイイですか?  
……月君のここ、私が何もしなくても、このままイってしまいそうですよ」  
 
煽る台詞も、わざとぴちゃぴちゃと立てられる音も、その全てが月の快感を引き上げ、  
更にそこから熱い蜜を溢れさせるのを、知っていてLはけしかける。  
それを月が憎らしく思う前に、体はその通りに反応してしまう。  
本能のままに快楽を求め、既に月の理性はどこか遠くに放られてしまった。  
 
とめどない愛液とともに、甘い嬌声が体の奥から発せられ、月は自身の乱れた声にまた欲情する。  
耐えられなくなって、月は眼下の跳ねた黒髪の頭を上から掴んだ。  
天井を仰ぎ、先程も自分が同じように股間に顔を埋めていたことを月は思い出した。  
お互いにただ慰めあうなんて、と一瞬月の頭に苦い思いが掠め、  
しかしその行為を思いだすことは、月の熱をますますヒートアップさせただけだった。  
体が勝手に揺れ、そこから響く感覚でいっぱいになり、視界が潤んで訳が分からなくなってくる。  
 
「りゅ、ざっ…もうっ、あっ、っ、あ―――――――!!!」  
 
最後は激しく揺り動かされ、月は体を大きく震わせて頂点まで達した。  
 
長いオーガニズムの後も、まだ敏感になっているそこを、月はLに散々舌を這わせられた。  
月の分泌した愛液の量は相当なものだったようで、確かにそのままにしておかれる訳にはいかなかったが、  
だからと言って何かで拭き取ればいいのにわざわざそんな方法をとらなくても、と月は心の中で不満いっぱいだった。  
だが、かなり深く達した為にそうされている間体が痺れてうまく動かなかったことと、  
後になってからそこに話を持っていくことはそれだけで羞恥を感じてしまう為、  
月は結局Lに何も言うことが出来なかった。  
 
パジャマのズボンはもういいやと思い、月はパンティーだけを新しく出してきて穿き直した。  
下だけ下着姿のままの月がベッドに潜り込んで布団を頭からかぶると、  
自分の寝床に戻ればいいのに、またもやLは同じベッドの中に潜り込んで来た。  
顔を合わせたくなくて月がそっぽを向くと、Lが構わずに後ろから月を抱いてくる。  
 
「………お前最後までしたくなったんだろ」  
 
「否定はしませんけれど、…約束は約束ですから」  
 
そのまま自分の肩に唇を寄せ、Lは月を抱く腕をさわさわと動かし、穏やかに月の体を撫でた。  
その動きでLの中に情欲が残っていないことを知り、  
月はもうどうでもいい、と、されるがままに体を優しく撫でられていた。  
 
 
後ろから抱かれたまま、自分の体を優しく撫で回すLの手にされるがままになっていると、  
やがて激しかった快楽の余韻も薄れて来た。  
例え相手はLであっても、人肌に触れられるのは気持ちが良く、  
日中の、そして先程の行為による緊張と高まりからの疲れから、体も休息を欲していて、  
だんだんと月はまどろみの中へ誘われて行った。  
Lの体温は月を優しく包み、或いは愛おしむかのように服の上を滑る。  
そのうちそれは胸の膨らみの上で月のそれを柔らかく揉むような動きに収束していった。  
月の背中を自分の懐に抱き、薄い布地で出来たパジャマの上から、  
そこにその存在を確かめているかの如く、Lはゆっくりと、指を動かす。  
月は、ゆるやかに与えられる胸の感触に、うとうととしたまどろみの中で気がついた。  
 
「ん、…竜崎……もう、終わったはずだろ……」  
 
「……気持ちいいです、月君…」  
 
返事にならない返事を独り言のように返されて、月は相手をする気がなくなった。  
 
月のそれはマシュマロのように柔らかく、Lはどれだけ長い間そうしていても、まるで飽きが来なかった。  
月がただ眠いだけなのか、それとその勝手さ加減に諦めたのか、などはLには分からなかったけれど、  
自分のその行為に対して月があまり抵抗を示して来なかったので、  
そのうちLは後ろからパジャマのボタンを器用に外して、その手を服の中に侵入させていった。  
直に触れる月の肌は滑らかで、膨らみに手を置くと、まるでそれはLの掌に吸い付いて来るようだ。  
その感覚的な快感に、Lは情欲とは遠いところで虜になった。  
 
充足感に満たされて、まるで惰性のようにLはその行為を続ける。  
Lのそんな感情が伝わって来たのか、初めは力なくLの腕を掴んでいた月も、甘んじてその状況を享受しようとしていた。  
 
しかしあまりにもそれが長い間続けられたので、月はなんとなく我慢が出来なくなって、ふわりと後ろを顧みた。  
目が合うのはなんだか照れくさかったので、そのまま体を反転させて、Lの顎の下に頭を沈めた。  
胸に在ったLの掌はそのまま背中に回って月を緩く抱いた。  
 
心地よいまどろみの中で、今日の僕はどうかしているんだな、と月は思った。  
だいたいにして自分があんな行為に走ってしまったことも、その後の行為をろくに抵抗をせず受け入れたことも、  
全く以ておかしいとしか言い様がない。  
いくら負けず嫌いの性分とはいえ、好きでもない相手に……。  
 
(好きだって?  
僕が?竜崎を?)  
 
有り得ない、と笑って月は小さく頭を振った。  
彼と自分が異性であることは今や十分に実感していたし、  
男と女であるという意味では、確かにそのような感情かお互いの間に生まれるのも、  
人間生活の理の中には有り得ることかもしれない。  
でも、自分と彼の間にそんな関係が生まれるはずはなかった。  
未だ自由に開放されることを許されないこの手錠からも、日中に於けるLの自分に対する刺々しい言動からも、  
彼が今でもずっと自分をキラだと疑っているということは嫌になるくらい明らかだったし、  
彼が自分のことを、好きだから抱いたり抱こうと思ったりする訳ではないことは、  
月はよく分かっていた。  
 
……そんな彼を、自分が好きになるはずはない。  
 
もう一度月は小さく頭を振った。  
それを身震いだと思ったのか、Lは月を抱き締める腕に力を込めた。  
 

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