ね、白馬の王子様って信じる?アタシは絶対いるって昔から信じてるの。
いつかきっとアタシはその人と出会って…すっごい恋に落ちるの。
そう、例えば世界を巻き込んじゃうぐらい、すごい恋。
やっと見つけた。
アタシの王子様。
「ん…っ、あ、あ、」
自身の胸をまさぐりながら、ミサは華奢な身体を捩る。
人差し指でプクリと勃ちあがった乳首を刺激する。
「ひゃ、あん!」
ふるふると頭を振ると、ブリーチで少し痛んだ金髪がパサ、と音を立てた。
「や、ああ…」
「よくあきないなー、毎日毎日」
頭上から振ってくる呆れたような声に目を向けると、異形の者がため息をついて見下ろしていた。
つい先日から同居するようになった、死神。
「またあいつの事考えてるの?」
ミサは左手を下着に差し込みながら答える。
「…ん、そうだよ。…ぅ、あ」
「顔もわからないヤツなのに」
「ふ……、あ、ん、んん!」
「…全く」
死神の声はもう半分聞こえていない。ミサの意識はほぼ、下着の中の右手に集中する。
そこはもうぬるりと濡れて、黒いレースが湿り気を帯びていた。
濡れたそこをそろそろとなぞる。まるで焦らすような動きで。
「あ、…あ。キ、ラ…あっ」
名を呼んぶと、身体がビクリと震えて、その拍子に目からポロリと涙が落ちた。
寿命の半分と引き替えに手に入れた瞳。
アタシの王子様を手に入れるためだもん。命の半分なんて惜しくないよ。
なんの躊躇もなかった。それくらいキラに焦がれていた。
「や、ぁ、…きゃ…!」
両足を恥ずかしいぐらいに開いて、誘うように腰を動かす。
『…やらしいな、ミサは』
想像の中でキラはミサを辱める。
その想像に、今まで関係してきたどの男のセックスよりも興奮した。
自ら陰核を甘くつまんでクリクリと刺激する。甘い痺れが背中を走って、思わず俯せて顔を枕に埋めた。
「やだ…もっ、がまんできないよぉ」
ヒク、としゃくり上げて、掠れた声で強請る。頭の中のキラに。
『欲しいって言えるだろ?』
ミサはベッドの端の追いやられていた性玩具を手探りで手にとって、スイッチを入れた。
は、と息があがる。ブーンという機械音に、知らず期待が高まった。
「あ…あ!」
そろそろと入り口にあてがうと、玩具の動きに声があがってしまう。
『…欲しいって言ってみろよ』
「あ、あ、ほし…ほしい…の!や、あ」
涙と喘ぎ声は枕の中に吸い込まれていく。唾液を飲み込む暇もなくて、口元にだらしなく涎が垂れた。
バイブの動きに合わせて腰を淫らに動かして快感を追う。
「あ、あああっ、きもちい、ん、あ。き、らぁ…きゃぅ!」
深く秘所に差し入れると、背筋を反らせてミサは絶頂を迎えた。
「…きもち、よかった…ぁ」
はぁはぁと肩で息をしながら呟く。
余韻に浸るように目をつぶると、水を差すように死神が笑った。
「…キラは女かもよ?それともオヤジかも」
その言葉に、勢いよく起きあがり反論する。
「ぜーったい、そんな事ないもん!だってアタシの王子様なんだから!!」
頬を膨らませる。
まったく、しらけちゃったじゃん。ミサは胸の上にたくし上げられたままだった黒いTシャツをおろした。
何気なくテレビをつける。時間は丁度七時でニュースが放送されている。
「大変なことになりました…」
「?」
キャスターの焦った声がミサの注意を引いた。
『キラです』
…やったぁ。思わずミサは声をあげていた。
ほら、やっぱりアタシ達は運命で結ばれてるんだって。
とりあえず、今はテレビのブラウン管がラブレター代わりってとこ。
「問題は何て応えるかだな〜〜〜」
そうだよ。キラはアタシの王子様なんだから。
乙女の感って言うのかな、初めてキラの事を知った時ピンときたの。
きっと二人は出会って、世界を巻き込むぐらいの恋に落ちるんだから。