「あなた一体どういうつもりですか?」
「あっああん!はぁっ」
「いつも私を見ている…」
ホテルの一室、静かな部屋に響く二つの声、そして機械音。
今京子の手は縛り上げられ背に回されていた。
そして股間で蟲く男性性器を象った玩具。
「いやぁ、も、あっあん!」
一定の動きで振動するそれが物足りなくて自ら腰を振ってしまう。
(りゅ、流河くん…!)
L――流河は、京子がいる床の上から少し離れた場所にある、ソファの上に座っている。
カチャ、とコーヒーカップが音をたてた。
「今何を考えていますか?」
「え…あぅ!」
「何を考えてるのかと聞いているんです」
流河はコーヒーをすすりながら先を促す。
「う、ああっ、りゅうがくん!ほしいの!い、いかせて!」
その時、携帯の着信音が鳴り響いた。流河は緩慢な動きで電話に出る。
「…わかった。いつものケーキを用意しておいてくれ」
携帯を切るとソファから降りて京子の側まで歩みよる。
手を縛っていたタオルを解いた。
「は、ああっ」
京子の股間にあるバイブを引き抜く。
「はぁっはあっ」
哀願の目で流河を見上げた。早く流河くんが欲しい…!
流河は口を開いた。
「じゃあもう行くので。
後は一人で私の事でも考えながら気持良くなって下さい」
そして手にしたバイブを京子の右手に掴ませて流河は部屋を出ていった。
部屋には無機質な機械音だけが虚しく響いていた。