「見渡す限りのうまい棒…そろそろしっとりした甘味が食べたいです。」  
吉良を追う片手に、さくさくと軽い隙間だらけの駄菓子に辟易した  
Lの舌が乾かないうちの話である。  
 
(暗転:威勢のいい商人の声。城を背景に城下町。)  
 
「姐さん!何してんの?」  
おハルの美しい曲線を描く腰に、飛び掛るように抱きつくという人を舐めきったクソ眼鏡。  
粋な縞々模様を身に纏ったその男は言わずもがな。マットである。  
「買い物よ。Lの個人的なお沙汰で甘味探し中」  
離してどいてというおハルにかまわずだっこちゃんしたまま引きずられ  
ああ、菓子職人さんらも花見の季節は忙しいのかもなーとマットは笑った。  
「そういやさ、俺すごいもの仕入れたんだよね」  
にやりと笑う彼にげんなりとおハルは振り返る。  
「またエレキテルな玩具?」  
仕事にムラを出すくせに、自分の趣味にかけては労を惜しまないのだこの男は。  
長崎から仕入れたというピコピコ音の鳴る玩具を手に、彼はよく何時間も宿に篭っている。  
この引きこもりめ。とおハルは自分の腰に周る手をぎゅっとつねった。  
「今度のは一味違うよ。エレキテルで大人のための玩具さ」  
うはww痛ぇっすwwwと、やっと腕を解いたマットに、おハルは思わず「大人のため?」と復唱する。  
「そ、いつも世話になってるお礼にあげるよ」と彼は笑い、咥えた煙管を上下させた。  
 
「迷惑のお詫びならわかるけど、お世話なんてしたかしら?」  
宿の暖簾をくぐりながらおハルが問うと「毎晩ご馳走さまっす下の世話ー」  
と歌うように彼はのたまった。撃たれて死ねとおハルは思う。  
「ま、とりあえずお茶でも飲んでよ。」  
ぱくりと丸い砂糖菓子を口に含みながらマットはおハルに湯のみを差し出した。  
「ありがとう。…何か仕込んでないでしょうね」  
「んー?そんな馬鹿なことを俺がするなんて」  
勿論じゃないか!と親指を立てるマットに湯のみを投げつける。  
「ちょっと飲んじゃったじゃないの!!」  
ははははと笑う彼にこやつめと返せばいいのか。  
近頃の若者は何を考えているのか。まったく怖ろしいったらありゃしない。  
 
そんなおハルに背を向け、マットは行商箱からいそいそと手の平大の小箱を取り出した。  
「これこれー」  
にやにやと笑いながら手に乗せたそれを見るマットに、おハルも腰を上げてその箱を覗き込む。  
「何?蓋、開けてくれないの?」  
「大人の玩具ったら…」  
これしかないでしょう!と、おハルの襟元を掴みマットは強引に口付けた。  
そしてその口内奥深くへと舌先を伸ばす。  
こくっと喉元に流れた何かをおハルは思わず飲み込んだ。  
「ま、まさか…」  
お約束どおり。淫剤だ。腰に力が入らない。  
「あ、今のはまあ新しい薬ね。それも気に入ったらあげる」  
そそくさと鼻歌まじりに蓋を開け、マットが取り出したそれは、桃色した二つの楕円。  
その球体の間には細い管があり、見た感じは蛙の空気玩具のようだった。  
「ふ…ッマット…!」  
「はいはい足広げてねー」  
息が上がりだし、ふざけんな!と思うがいかんともせず。  
ちゃっちゃとおハルの下帯は脱がされ、茂みの奥へとマットの指が伸ばされた。  
「ん、濡れてる。これをこうしてー」  
つぷと音を立て縦に長い球体が一つ、おハルの胎内に沈みこむ。  
「ちょ、ちょっと!や、め…!」  
一体何をする気なのだ。新手の張り形にしては形も大きさもどうということはない。  
膝の間にあるマットの肩を押して抵抗するが、また「はいはい」と二つ返事。  
神経を逆なでするような適当さでおハルはマットに宥められた。  
「いつも気持ちよくさせて貰ってるお礼さ」  
胎内から伸びる管を伝って、マットの手中にあるもう一方の楕円からカチリと音がする。  
「や…!な、なに…!?」  
ブーンという振動がお腹に響きだし、マットが親指を動かすたび、その振動は強弱した。  
「ローターっつたかな。試すのは今日が初めてなんだけど」  
どう?とマットがわくわくした顔でおハルの顔を覗く。  
「ん…ッどうって…変!…これ、嫌…ッ」  
首を振ってそれを抜こうとするおハルの手を取り  
「なかなか良好か」とふむふむ満足げに笑うとマットは自分の下帯を解いた。  
「俺にも楽しませてね」  
「む、無理よ…!や…ッやめな、さい!」  
つるつるした膝を掴み、己を管が消えるその先にぐっと押し込む。  
「いやいや大丈夫。んーなんかくすぐったい感じだな」  
先っぽに当たってると、おハルの中をマットは探るようにかき回した。  
「あぁッ!や、やめ…!奥に、当たる…ッ」  
桃色に染まった頬にうるんだ瞳、つやつやと濡れる唇からこぼれるのは甘い吐息。  
「やーもう…。想像してたよりずっとエロイっすねwww」  
こりゃたまらんとふくよかな胸に手を伸ばし、「感度もいいし最高っすwww」とそれを揉みしだいた。  
「も、やめ…!マット…!!」  
経験したことのない快楽にぽろぽろと涙をこぼしおハルは身をよじって声を上げる。  
屈辱だ。くやしい。後で覚えてやがれ。  
ありとあらゆる物騒なことを考えようとするが思考が追いつかない。  
「あッ嫌!ン、あっいや…嫌!」  
「全然嫌そうじゃないんだけど」  
薬などなくてもこれは十分に「使える」ようだ。  
そう思いながらマットは手にした操作ノブの一番強度へと親指を滑らせた。  
「きゃぁあぁ!やめ…ッや…!やぁあぁ…!!!」  
大きく背を反らせきゅぅうとおハルの粘膜が己を締め付ける。  
くっと喉を鳴らしマットもそのまま精を吐き出した。  
 
「何ですか?これは」  
匙を口に咥え、あんみつを手にしたLが首をかしげる。  
その前をキラリと光るものが勢いよく飛んでいった。  
カッ!カカッ!カッ!と気持ちのいい音を立て的に突き刺さるそれ。  
「手裏剣、ですね。」  
千代紙で騙し舟を作り、それを組み合わせてニアはもりもりと膨大な手裏剣の山を作り上げる。  
「Lが聞きたいのはそういうことじゃないと思うが…」  
パキリとこちらも気持ちのいい音を立てメロはやれやれと手にしたチョコレートをかじった。  
カッ!  
おハルの目には目隠し。震えながらもおハルに凶器を手渡すしかないジェバンニに  
レスターが仕方がない、気の済むまでの辛抱だと首を振るう。  
「なかなか当たらないものね」  
ふうと息をつき、ある一本の木を狙っておハルはまた手裏剣を投げた。  
カッ!  
「ちょ、ごめんなさい。許してwwwwwww」  
その木の幹には、びっちりと縄で拘束されている婦女暴行犯、マット。  
 
「的はマット、なーんちゃって!」  
「うるさいです。松田。」  
 
人間だもの親父ギャグでもいいじゃない。本日も一件落着である。  
 
 

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