長編エロ尻小説  
「秘密特命捜査官 NAOMI 〜DEATH NOTE事件〜」  
(ファイル05)  
 
合体してからまだ2〜3分ほどしか経っていない。  
セックスに至るまでの濃さから考えれば、レイのテクニックは前戯も  
含め、稚拙だと言わざるを得ないだろう。  
しかしナオミは満足していた。  
たしかに肉体的に満足するのには、ほど遠い。  
セックスの入り口で、終わってしまったようなものだからだ。  
だが彼女にとっては、レイが自分のカラダに執着してくれているのが  
嬉しくて、それが精神に深い充足感を与えているのだ。  
もともと27歳になるナオミの性体験は、ほとんどゼロに近い。  
中学生の頃のレイプという忌まわしい体験を除くと、レイ以外の  
オトコに抱かれたことはなかった。  
そのレイにしても、ほんの半年前に知り合ったばかりで、彼女が  
セックスを覚えてから5ヶ月にも満たない。  
しかも仕事の忙しさから、互いにセックスするヒマもなかった。  
 
ナオミはレイに出会うまで、もっぱらオナニーをして自分を  
慰めていた。  
仕事がハードだったのと私生活での内向的な性格、そして友達が  
いなかったことが重なり、休日でさえも遊びに出かけたり、  
ショッピングを楽しんだり、飲みに行って騒ぐこともなかった。  
心に溜まるストレスを解消するには、自慰行為しかなかった。  
仕事帰りにこっそり、「ハウ・トゥー・セックス」関連の本を買い込み、  
家で厭らしい妄想に耽るのが、彼女の週末の過ごし方だった。  
つまり南空ナオミは、耳年増なのである。  
性に対する豊富な知識と、また応用力に優れた頭脳を持つナオミの  
セックスは、パートナーの望みを叶え、満足させるためのもので  
しかない。  
それはまるで風俗嬢のようなものだ。  
風俗産業に従事しているならともかく、プライベートな肌の重ね  
合わせで、そのような姿勢を自ら貫くのは、ナオミの内面性が  
どこか歪んでいるからなのだろう。  
しかしせっかく掴んだオトコを失いたくないという強迫観念から、  
今の彼女は持てるすべての能力をフル活用し、風俗嬢として扱っても  
いいから愛して欲しい、と必死なのだ。  
周囲から羨ましがられ、また嫉妬されていた有能なエリート捜査員の  
正体は、実はただの寂しいオンナにすぎなかったのかもしれない。  
 
義務感で行う後戯をそそくさと済ますと、レイはごろんと寝転んだ。  
どうもそのまま寝てしまう気配なので、ナオミも火照った体を  
冷まそうと、眼を閉じた。  
厳格な家庭に育てられたナオミは、幼い頃から禅を学ばされて  
いたので、必要なときに精神をコントロールする術を持っていた。  
そしてそれは秘密特命捜査官としての任務にとても役に立ったし、  
現在はレイを満足させる淫乱なオンナを演じるのにも有益だった。  
もっともカラダは正直なようで、更なるセックスを要求するかの  
ごとく、ナオミの形の良い乳首や尻は一段と張り、桃色の肌からは、  
湯気がホカホカ立っている。  
ナオミはもう一度、傍らの愛するオトコを未練がましく横目で  
ちらっと見たものの、やはりこのまま寝入るようだった。  
軽く息をつきながら、ナオミはまた眼を閉じた。  
そのときレイが言った。  
「ナオミ、キミは素敵な女性だ。感謝している」  
 
「どうしたの、レイ。いきなり」  
突然の言葉に、ナオミは照れるように笑った。  
レイは顔をナオミに向けた。  
「キミに逢えて本当に良かったと思う。ボクは幸せだ」  
「・・・それはわたしだって・・・レイと出逢えて、本当に幸せよ」  
「ボクは何があろうと、キミのことは絶対に守る。絶対に・・・」  
「うん・・・それは判っている。あなたと出逢った頃から、  
わたし、ずっとそう思っていたわ・・・」  
表向きにではあるがFBIに勤めているからには、それに関連した  
仕事もしなければならない。  
アメリカ合衆国に侵入した中東系テロ組織を壊滅させたナオミは、  
骨休みという意味合いもかねて、数ヶ月間FBIの雑用任務に廻された。  
そこで出逢ったのが、レイ・ペンバーだった。  
レイはけっして口数が多いほうではなく、ナオミも社交的な性格では  
ないため互いに薄暗い地下倉庫で黙々と書類整理をする日々だった。  
ある日、ひょんなことからFBI内部に過激なグループが存在する  
ことを、破棄寸前だった一枚の書類からレイが突き止めた。  
その警察官で構成された過激派グループは、罪を犯した子供たちを  
次々と狩り殺す狂気の集団だった。  
 
家庭の事情や貧困から犯罪や麻薬に走る子供たちに、常日頃心を  
痛めていたレイは、犯罪記録を違法に入手して、狩りを続けている  
そのグループに参加することを断り、死にかかっている少年を  
担いで逃げ、必死で守り抜こうとした。  
誰かを守るための警官が、容赦なく子供たちを殺す。  
それがレイには、許せなかった。  
けっきょくその少年は死を免れなかったが、自らの危険を顧みず、  
ひたすら誰かを守ろうとするレイの姿に、ナオミは生まれて初めて  
他人に対する愛情を感じた。  
ナオミの活躍でその事件は解決し、極秘裏に処理されたが、大きな  
流れの片隅で、守れなかった少年に自責の念を抱いて苦しみ続け  
ているレイを放って置けるほど、ナオミは冷淡な女ではなかった。  
苦しむレイを癒すつもりでカラダを開き、いつしか自分が癒されている  
ことにナオミは気が付く。  
そもそも苛酷で壮絶な日々を送っていたナオミが、ほかの誰かを  
癒すことなど、できるはずもなかったのだ。  
レイに奉仕することで、自分の存在意義が生まれる。  
国家や組織ではなく、愛するオトコのために尽くしたい。  
そんな幻想を抱くほど、ナオミは人生に疲れ果てていた。  
 
FBI過激派グループ事件で、レイは英雄どころかまったくの  
役立たずという厳しい評価を受けていた。  
妨害工作があったとはいえ、上層部に真相が伝わらず、少年を助ける  
ため逃げ回ったあげく、その少年を救うことすらできなかった。  
成果を重んじる社会的風潮のなかでは、レイのとった行動はまさに  
役立たず以外の意味を持たない。  
レイは、いつクビを切られてもおかしくはない微妙な立場にいる。  
そんな折、キラ事件に関連して、日本への潜入捜査の話が舞い込んで  
きたのだ。ナオミやレイの母親は猛反対したが、彼は周囲の説得に  
耳を貸さず、すぐさまそれに志願した。  
レイは自分が日系アメリカ人で、日本語も堪能だから候補に入った、  
と思っている。  
実際には、超能力を使えるキラに潜入捜査員が暗殺される可能性が  
高いと考えたFBI長官が、消されても組織的に痛手を被らないような  
人間を、何人か意図的にピックアップしたひとりだった。  
「今回の仕事が無事に終われば、ボクは昇進できる。  
そうすれば今の暮らしよりもっと楽ができる。  
これから子供が生まれたりして、いろいろ大変だからね。  
ママやナオミには、苦労をかけたくないんだよ」  
彼は彼なりに将来のことを必死に考え、そして焦ってもいた。  
実のところナオミの個人資産は、レイの年収の20倍以上はある。  
しかしそれを言うと、自分の秘密も打ち明けなければならない。  
レイに嫌われたくない一心で、ナオミはずっと言い出せないでいた。  
 
「わたしは平凡な暮らしであれば、それでいいの。  
早く仕事を終わらせて、この国から出ましょう」  
ナオミの不安がる顔を見ながら、レイはやさしく微笑んだ。  
ナオミはこの愛しい男がいつか、誰かを守るために命を  
落とすことを知っている。  
この人は、そういう男なのだ。  
やさしくて勇敢で、ちょっと不器用だけど、わたしが愛する  
たった独りのオトコ・・・  
ふいにナオミの瞳から、大粒の涙が出てきた。  
オロオロするレイに、ナオミはしがみついた。  
「ナオミ、大丈夫だ。心配するな」  
「・・・うん」  
窓から煌びやかな街の灯りが見える。  
「近いうちに雪が降るって、ニュースで言ってたわ・・・」  
ナオミは抱きしめてもらいたい理由をさりげなく伝えて、  
レイはそれに答えた。  
「あなたのカラダは、とても暖かい・・・」  
安らかな寝息を立てるレイに、ナオミはそっと囁いた。  
(この幸せが、ずっと続きますように・・・)  
 
それがレイと過ごした、最後の夜だった。  
 
 
(2〜3日後に続く)  
 

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