長編エロ尻小説  
「秘密特命捜査官 NAOMI 〜DEATH NOTE事件〜」  
(ファイル35)  
 
(なにもかもうまくいかねぇ・・・)  
机に座りながら、天窓から零れ落ちる星空をぼんやりと眺める。  
タバコの煙が眼に沁みた。  
鬼塚英吉は、かつて有名な暴走族のリーダーとして名を馳せていた。  
(・・・あの頃は、楽しかったな)  
相棒の弾間龍二と肩を並べ、仲間と一緒に湘南の海岸線ルート134を  
朝まで走り回っていた。  
今日がクソみたいな日でも、素晴らしい未来に胸を高鳴らせ、爆走し  
続けたあの懐かしき日々。  
早く童貞を捨てたいと思っていても、周りに集まってくるのは  
落ちこぼれのヤンキーたちばかりで、それでも毎日ケンカやバカ話で  
盛り上がっていた。  
そんな彼もいまでは童貞どころか、学校の処女を喰いまくっている。  
(・・・なんでオレは、学校のセンコーになったんだっけ・・・)  
五流大学卒業間近、職が見つからず焦っていたときに、ひょんな  
ことから知り合った女子高生。  
彼女は学校の教師と付き合っていた。  
教師になれば、好きなだけ若いオンナと付き合えるかもしれない。  
不純な動機ではあるが、それが教職への道を歩んだきっかけだった。  
(・・・まあ、初心貫徹はしているがなぁ・・・)  
ぷはぁ〜と煙を吐き出す。  
 
教育実習のときに出会った少女がいた。  
「しぇんしぇ〜〜、って〜ウチのクラスだったんでしゅねぇ〜〜っ!」  
妙な赤ちゃん言葉の明るい少女は、家庭の事情で悩んでいた。  
言葉遣いとは裏腹に心が荒れすさんでいた彼女は、クラスのヤンキー  
どもを舎弟にした鬼塚のアパートに転がり込んできた。  
毎日のように通ってくる少女に戸惑う鬼塚。  
同じ教育実習生仲間から「後悔チンポ立たず」という助言をもらい、  
欲望のままに犯っちまえ!などとノリで考えてしまった。  
そして実行に移す。  
すき焼きを作っていた彼女の後ろから、ガムテープで口を塞ぎ、  
無理やりレイプしてしまう。  
その少女自身、最初は抵抗したが、すぐに大人しくなった。  
(イヤよ、イヤよも、好きのうち、ってのは本当だったんだ!)  
エロ週刊誌に書いてあった通りだ、などと思いながら、無事童貞を  
捨てられたものの、彼女が処女だったことに気まずさを感じる。  
「あ〜〜っ、水樹・・・あのよぉ・・・」  
「・・・気にしないでいいよ・・・どうせ最初っから、期待なんかして  
なかったから・・・センコーなんかに・・・」  
そう言ってアパートを出て行った少女は、そのまま駅のホームから  
飛び降りて、自殺してしまった。  
 
なぜ自分のアパートに、毎日のように通ってきていたのか。  
自分のことが好きだったからではないのか。  
なにか相談したいことでもあったのだろうか。  
考えれば考えるほど、落ち込んでくる。  
自分の中にあった、大切なものが壊れてしまった気分だった。  
しかしこのまま教師になるのを止めるのは、逃げるようで嫌だった。  
運良く彼のことを気に入ってくれた、女性理事長の口添えもあり、  
私立の名門学苑に潜り込むことができた。  
自殺した教え子のことに胸を痛めつつも、偉大な教師になろうと  
決意を新たにする。  
だがそれもつかの間だった。  
学校に寝泊りするという条件のため、校内をうろつき回っている最中、  
イジメに遭いロッカーに閉じ込められていた男子生徒を見つける。  
興奮気味の彼は屋上から飛び降りようとし、それを止めようとした  
鬼塚は、逆に突き飛ばしてしまう。  
死亡した生徒は鬼塚のズボンを穿いていたため、真っ先に警察に  
疑われるが、頑として殺人の容疑を否定する。  
証拠不十分でなんとか釈放されるが、またひとつ、大切ななにかを  
失っていく鬼塚であった。  
 
生徒の自殺騒動の件で、名門学宛での就職はなかったことになった。  
なにか別の仕事でも探そうかとも思う。  
とはいえ、五流大学ではそうそう、まともな職などはない。  
茶髪でピアスをしたヤンキーなど、世間は目もくれなかった。  
短いながらも二度の教師生活のおかげで、学校の教師に性犯罪者が  
多いことに気がついた彼は、それを利用することを考えつく。  
学校の上層部の弱みを握り、教職にありつこうとした。  
もともと大学に入ったのも、替え玉受験によるものであったし、  
そういう犯罪行為には慣れていた。  
学校の教師たちは、溜まるストレスを不道徳な刺激で紛らわせるか、  
カルト的な運動にのめり込むか、まったくのサラリーマン商売として  
やり過ごすかのどれかであって、尊敬できるような人間は皆無だった。  
生徒たちもみんな無気力で、ひ弱で、陰湿で、壊れやすかった。  
(どいつもこいつもくだらねぇ・・・)  
だったらこっちも、好き勝手にやって面白おかしく生きてやる。  
しだいに鬼塚は、そう思うようになる。  
その心のうちに、自殺した2名の教え子たちの面影を宿して。  
 
開き直る鬼塚は、まるでなにかから逃げ出すように、メチャクチャな  
行動を繰り返し、自分なりの学校に変えていく。  
女子生徒たちの処女を喰いまくるようになったのも、この頃だった。  
口封じのためと称してビデオや写真を撮り、それを裏業界に流した。  
イジメや受験勉強で疲れている生徒たちに麻薬を売り、その金で  
教育委員会の連中や警察幹部らと豪遊する。  
まるで転げ落ちるかのように悪事を重ね、エスカレートしていく。  
バレそうになるとすぐに逃げ、また別の学校で同じことを繰り返した。  
「この外道がっ!!」  
なにが原因だったか忘れたが、親友の弾間龍二に殴られた。  
あれ以来、唯一の拠り所だった想い出も忘れた。  
(なにもかもうまくいかねぇ・・・)  
苛立つ鬼塚の前に現れたのが、山口久美子だった。  
好き放題に暴れる鬼塚に、敢然と立ち向かっていく女豹。  
何度も返り討ちにし、だがそれでも闘志を失うことがなかった。  
いつの頃からか、彼女を愛するようになっていた。  
(あいつは・・・オレと同じ匂いがする・・・)  
すがりつくように、彼女のカラダを抱きしめた。  
 
山口の実家でもある黒田組の連中は、気のいい奴らばかりだった。  
とくに若頭の大島京太郎とはウマが合った。  
小指がない手でドスを握り締め暴れまくる大島に、鬼塚は熱い心を  
激しく揺さぶられた。  
ふたりでコンビを組むのが面白かった。  
まるで昔に戻ったような開放感があった。  
ここでなら薄汚い自分を見せてもいいような気がした。  
強気で脆弱な自分を理解してくれる愛すべきオンナ。  
破天荒な自分を笑って受け入れてくれるバカな仲間たち。  
最初から教師などやめて、素直にヤクザになっていればよかった。  
ふたりだけの秘密基地で、互いの傷を舐め合うように夜を過ごした。  
白いシーツに身を包んだ山口から、学校を辞めて一緒にならないかと  
逆プロポーズされる。  
素直にうれしかった。  
春になったら、共にこの人生を歩んでいこう・・・  
誰にも理解されなくてもいい。  
自分を受け入れてくれる愛すべきオンナとともにあるのならば、  
それは素晴らしいことではないか。  
たとえ世界中が敵になろうと、この温かさは信頼に値する、  
たしかなものだったのだ。  

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