長編エロ尻小説
「秘密特命捜査官 NAOMI 〜DEATH NOTE事件〜」
(ファイル28)
「鬼塚センセ〜、南空さんが逃げようとしてますけどぉ〜」
惣流のネコ撫で声が、怒りで我を忘れた鬼塚を正気にさせた。
「おっと、そうだった!こんなことしてる場合じゃなかった!」
鬼塚は床にへたり込んで震えているナオミを見ると、ニヤニヤ
しながら近づいた。
「卒業式にはちと早いが、まあいいか。
南空ぁ〜、先生とセックスしようぜぇ〜、ガハハハ・・・」
野獣のごとき貪欲な表情で、鬼塚はナオミに向かって行く。
「・・・いっ、いや!・・・やっ、やめて!!・・・来ないで!!」
逃げようとするが、足がもつれて立ち上がれない。
それをあざ笑うかのように、鬼塚はナオミを抱え上げ、スカートの
ホックを外す。
「・・・きゃあっ!?」
足をバタつかせるナオミから、チェックのスカートが剥がれ落ちた。
白い肌と対照的な黒い毛が、淫靡な匂いを纏う性器を必死で守ろうと
しているが、そんな努力も鬼塚を喜ばせるものでしかなかった。
「・・・ずいぶんと汚れているじゃないか・・・」
それを聞いて、顔がかっと赤くなったナオミは、震える足を蹴りに
昇華させ、鬼塚の顔面を叩き始めた。
「・・・ん?」
それは弱々しいものだったが、ただの苦し紛れではなく、きちんと
体系化された蹴りだということに、鬼塚は気がついた。
彼はふいに腕を緩め、床にナオミを落とした。
ナオミはストンッと腰のバネを生かした着地をするや否や、鬼塚の
股間めがけて膝蹴りを入れる。
しかし手ごたえはない。
睾丸を体内に入れる沖縄古流唐手「コツカケ」。
鬼塚には弱点がなかった。
渚のときとはちがい容赦のない、しかし絶望的な抵抗を続ける。
正面突き、入り身突き、横面打ち、掌底打ち・・・
だがすでに渚との闘いで、ナオミの腕は限界にきていた。
「・・・無駄だ。あきらめろ」
どこか憐れむように、鬼塚は言った。
しかしナオミはなおも震える腕を使い、鬼塚に挑み続ける。
ペチンッ、ペチンッと腕力がなくなった打撃音が虚しく響く。
「・・・南空」
「やあああ・・・!!」
つかの間見せた毅然とした表情が、脆くも泣き顔へと変わる。
ガッと太い腕を掴み、鬼塚本人の背中で関節技を組み上げるが、
鬼塚がふんっと息を込めると瞬間的に倍に膨れ上がり、その反動で
ナオミは床に撥ねつけられた。
震える眼つきで、絶対的な力を持つ鬼塚を見上げるナオミ。
鬼塚はふざけた表情をやめ、真顔でナオミと対峙した。
「あきらめろ、南空。オレはおまえを逃がす気はない。
おまえはここで、オレに処女を奪われる運命なんだ」
「・・・運命」
「そう、運命だ。それを大人しく受け入れろ、南空ナオミ」
(・・・運命・・・運命・・・運命・・・運命・・・)
何度も同じ言葉が、ナオミの心を繰り返し流れる。
それはいつの間にか、父親の声色に変わっていた。
急に抵抗する力が失せ、剥き出しの下半身を隠すかのように
正座したまま、ナオミはぼんやりと視線を漂わせ始めた。
そんな痛々しい少女を遠目で見ている鈴原である。
「なにしてんだよ、冬二!早くズラかろうぜ!
まさか助けようとかいうつもりじゃないだろうね?
あの面子を相手に、まともな理屈なんて通用するものか!
逆にひどい目に合わされるだけだぞ!」
「・・・判っとるわ。ワイだってヤクザとか怖いしな・・・」
泣き顔の鈴原は、自分のチカラのなさを呪った。
(ワイはまだ子供なんやな・・・怖くてしゃーないわ。
なんて無力なんやろか・・・そんな自分が情けなくて、許せへん。
・・・でもワイにはもうなにも、なにもできへんのや・・・
堪忍やで、ナオミちゃん・・・恨まんといてや・・・堪忍や・・・
ホンマに神様、ワイはあんたを恨むで・・・)
病弱な妹とナオミの姿が重なり合い、それが涙で滲み合う。
涙を拭いながら教室をあとにする鈴原を横目に、洞木日香里も
後退りながら惣流明日香に声をかけた。
「・・・じゃっ、じゃあ、わたしも帰るね、明日香」
無言の惣流をそのままに、洞木も逃げ出した。
急にがらんと静まり返った教室に残された碇真嗣は、恐る恐ると
渚に声をかける。
「・・・ボッ、ボクたちもそろそろ・・・」
「まあまあ、いーからいーから。こんな経験、滅多にないし、
せっかくだから見学していこうよ。ねっ?真嗣クン?」
「・・・やっ、ボクは・・・塾の時間が・・・その・・・」
「塾では社会勉強なんて、教えてくれないよ?」
天使のような微笑を浮かべる渚は、いつも以上に強引だった。
碇はどうすることもできず、ただ無言のまま俯いている。
その様子を見て、渚は顔にこそ出さなかったものの、心の中で
ほっと息をついた。
ふいに鬼塚は、後ろを振り返った。
「なんだ、おまえら?見学でもするつもりか?」
だだっ広くなった部屋には、鬼塚とナオミ、タバコを咥えている山口、
ニヤニヤ笑っている惣流とへらへら笑っている渚、そしてオドオド
しながら困っている碇の6人が残った。
「まあいい。オレ様はギャラリーがいたほうが、燃えるタチでな」
そう言うと、床に落ちていたナオミのスカートを山口に放り投げた。
「久美子!シワにならないように畳んどけ!」
「・・・ちっ!えらそうに・・・!」
そうは言いながらも、咥えタバコではあるが丁寧にスカートを畳み
始める山口だった。
「・・・南空、ずいぶん下が汚れちまったな。あいつはオレ以上に
ゲス野郎だからよ」
指を指された渚は、エヘヘッと照れ笑いする。
「・・・辛かったろうに。まだ風が冷たい。風邪を引くと困るな・・・
おいっ、久美子!タオルだ!!」
「・・・はい、はい」
ため息混じりに傍らのスポーツバッグから、バスタオルを取り出す。
タオルをもらうと、鬼塚は南空を立たせようとする。
またもや顔を赤らめるナオミに、鬼塚は照れもせずに言う。
「・・・別に恥ずかしがることはない。おまえは素晴らしい。
顔もスタイルも頭脳も運動神経も、他のどの人間よりも優れている。
もっと自信を持っていい。おまえはグレートな少女だぜ、南空」
馬鹿だからなのか、それとも何らかの真理を得ているのか、臆面もなく
褒め殺す鬼塚だったが、ナオミの反応は悪くはない。
タオルで股間を拭かれるのを、顔を真っ赤にしながら恥ずかしがって
いるが、以前のように必死で抵抗することもしなかった。
鬼塚の頭の毛を掴みながら、指を噛んで声を押し殺している。
鬼塚はナオミの下半身を丁寧に拭きながら、なおも語り続けた。
「南空、初めて逢ったときから、おまえの相手は絶対にこのオレだと
ずっと想ってきた・・・おまえは自分の能力が優れているがゆえに、
傷つき、悩み、そして虐げられてきた。だが、捻じ曲げられてきた
その美しさも、いまのオレには愛しくさえ感じる・・・」
ナオミはいつしか恍惚の表情で、鬼塚を見下ろしていた。
それはまるで騎士が、王女に忠誠を誓うような光景だった。
「オレに抱かれることによって、おまえの固く閉じられてきた運命の
扉が開くような気がする・・・だから、いいよな、南空?
オレが最初のオトコでも・・・」
ナオミはなにも答えず、潤んだ瞳で鬼塚をただじっと見ている。
「・・・よし、決まったな」
鬼塚はナオミを抱え上げ、腰にバスタオルを被せると山口に言った。
「久美子!三階の特別室に行くぞ!」
「・・・でもアソコは・・・」
「細かいこと言うんじゃねぇよ!オレ様が行くっつったら行くんだよ!」
何もかも強引に話を進める鬼塚に、山口はただじっと唇を
かみ締めるしかなかった。
(・・・ふ〜ん、ひとりぼっちの南空さんを口説くのに、『やさしさ』を
使ったのか。なかなかどうして、鬼塚センセもやり手だね。
勉強になるなあ・・・)
渚は、傍らの碇をそっと見ながら思う。
ナオミを抱きかかえた鬼塚は、まるで大人しい小鹿を口に咥えている
獰猛な肉食動物のように見えた。
しかし鬼塚の眼は、やさしい穏やかな光を帯びている。
(・・・案外、本気で惚れてたりして・・・フフフ・・・まさか、ね)
(3〜4日後に続く)