長編エロ尻小説  
「秘密特命捜査官 NAOMI 〜DEATH NOTE事件〜」  
(ファイル00)  
 
賢明なる読者諸君にはすでにお判りであろうが、このエロ尻小説は  
「ナオミ」シリーズの中のひとつという、まことにどうでもいい  
裏設定があったりするのである。  
 
この「ナオミ」シリーズの作者は、真仙誠というペンネームからも  
推察できるように、本格的時代劇小説を書こうと思って小説家を  
志した経歴があり、かなり世間的にズレていると言わざるを得ない  
人物であろう。  
賢明なる読者諸君にはすでにお判りであろうが、当然の如く  
そのような無謀なことが許されない世の中でポイズソなのである。  
こうして真仙誠たる負け犬は、自由解雇労働者として日々を送る  
ハメに陥っていたが、ある日、何度か持ち込みをしたことのある  
顔馴染みの編集者から「独立して出版社を作ったので何か書け」との  
天の恵みにより、タダ同然ながらも小説を書くチャンスが廻ってくる。  
こうして小説家の道が開かれることになった負け犬が、初めて発表した  
作品こそが「ナオミ」シリーズの第一作なのである。  
 
今でこそ「秘密特命捜査官 NAOMI」などという、いかにも  
エロ臭が漂うタイトルではあるが、当初は本格的推理小説という  
位置付けであった。  
「アーカム大学連続殺人事件」という、いささか地味な印象の  
その小説は、日本推理小説大賞に受賞こそしなかったものの、  
審査員たちから「将来が有望な新人現る!」と評価される作品  
であった。  
しかし、しょせんは付け焼刃の偶然で書き上げた話だったので、  
2作目の「XYZ殺人事件」では、  
「タイトルからしてアレ」  
「すでに一作目にして才能枯渇」  
「sage!」  
とさんざんな評価を受ける始末。  
そこで独立した編集者転じて社長により、作品の路線変更が  
決定される。賢明なる読者諸君にはすでにお判りであろうが、  
つまりテコ入れである。  
 
デビュー作に見られた重厚な舞台設定や綿密な推理などはなくなり、  
安易なスパイアクションものへと変身を遂げる。  
もともとこの出版社では、門田○明や志茂田○樹のような作品、  
ぶっちゃけ判りやすく言うと、「サラリーマンが時間つぶしに読む  
エログロハードバイオレンスもの」で勝負したかったので、  
「ナオミ」がその余波をもろに被ったのは、言うまでもない  
ことであろう。  
なぜこの出版社が、門田○明や志茂田○樹のような作品、ぶっちゃけ  
判りやすく言うと、「サラリーマンが電車の中で気軽に読めて、  
即ホームのゴミ箱逝きになっても心が痛まないようなもの」を  
主力商品と考えていたのかというと、作品の量産が可能という、  
ぶっちゃけ判りやすく言うと、一年戦争における連邦軍のような  
戦略を念頭に入れてマーケティングをしていたからなのである。  
ゆえに正確な資料も文章の推敲も、まったく必要なかったわけである。  
 
この社長なる人物は、「ガンダム」(それもファースト)の熱烈な  
シンパでもあったので、「ナオミ」は「ガンダム」の余波も受けたと  
いう説を採用するならば、もう袋叩き状態だったと言わざるを得ない。  
 
こうして大統領直属捜査班「POINTER」やら秘密特命捜査官と  
いった荒唐無稽な舞台設定が出来上がっていくのである。  
なお途中でFBIも付け加えられたのは、  
「だってそのほうがリアリティがありそうじゃん」  
という社長命令だったわけだが、いち社長のただの思いつきが、  
物語をますますカオスに突き落としていく要因になったことは、  
付記せねばなるまい。  
 
ナオミの敵は世界征服を企む悪の秘密結社だったり、生物兵器の  
実験で生み出された化け物だったり、また舞台も深海から宇宙までと  
まさに地球規模の範囲にまで及んだ。  
そろそろ宇宙人が攻めてくるのではないか、とファンの間で囁かれて  
いたが、不幸中の幸いで「911テロ」というおいしいネタが飛び込み、  
そのため11巻でようやく敵が、「普通の」テロ組織に戻り、強さの  
インフレ状態は治まったのである。  
不謹慎ながらも、「ナオミ」は本物のテロ組織に救われた形となった。  
 
話はエロ問題に移るわけだが、これに関しては、作者のストイックな  
姿勢が貫かれ、ナオミは直接エロ攻撃を受けないという暗黙の  
了解があった。  
だいたいパターンとしては、その巻のゲスト(女性キャラ)がエロい  
ことになり、ナオミは敵の組織に捕まったり、拷問されたりするのだが  
エロいことになりそうな寸前に脱出するわけで、そうしたことから  
この作者は子供の頃、ルパン三世の不二子ちゃんにエロスを感じた  
経験があるのではないか、という分析をする研究者もいる。  
 
路線変更後のナオミのコスチュームは、素肌にライダースーツと  
いうのが定番なのは、いまさらここで語るまでもないのであろうが、  
のちにファンから「ナオミ=尻」という、神の定理が生まれた  
経緯については語らねばなるまい。  
ナオミがエロいことをされない条件として、社長が提示したものは  
「ナオミのキャラをもっと立たせろ!」  
というものであった。  
キャラを立たせろ、という業界用語は、最近流行の低俗なマンガ  
文化の影響で誤解されがちだが、本来は「読者のちんぽを立たせろ」  
という意味なのである。  
 
こういう崇高な背景があり、「ナオミ」シリーズではおなじみの、  
素肌にぴったりとフィットした皮のライダースーツに盛り上がる尻を  
強調した描写がだんだん多くなっていくのだ。  
が、それは俗説であり、最近の学説では作者の真仙誠は相当の  
むっつりスケベで、むしろ彼が積極的にそれに加担したという  
資料も近年になって発見されている。  
 
本格的推理小説と銘打ったデビュー作からの読者は、こうした  
路線変更についていけず、ほとんど脱落していくわけであるが、  
ナオミのエロ尻に萌えを刺激された少数のエリートマニアたちが、  
「ナオミ」シリーズをエロ尻小説として布教活動するわけである。  
(主に2ch・コミケ・虎の穴などで布教活動が見られた)  
が、作者の真仙誠は10冊目を超えるあたりで、そろそろ他のものを  
書きたいと思うようになり、またある事件によりその思いが  
よりいっそう加速していく。  
秋葉原という、当時「不浄の地」とされた場所で握手会が催され  
そこで興奮したコアなファンたちから「エロ尻センセイ」コールが  
巻き起こり、警察が出動する騒ぎにまで発展する。  
(これが、かの有名な「エロ尻センセイ 秋葉原の乱」である)  
のちに真仙誠が騒乱罪の疑いで、公安から取調べを受けたとき、  
「ボクは無実です!尻とかエロとか、無理やり書かされているだけ  
なんです!本当は司馬遼太郎とか、ああいうのやりたいんです!!」  
と涙ながらに語ったという逸話も残っている。  
 
「ナオミ」シリーズは足掛け4年、巻数にして12冊で完結した。  
最終巻ではナオミがのちに結婚するであろう、レイ・ペンバーと  
セックスをする描写が、控えめに挿入されていたが、これは  
ファンでも賛否が別れ、「エロ尻」的には邪道だという意見も  
多々見られた。  
が、皮肉なことに、ナオミが初エロした最終巻は「ナオミ」  
シリーズの中で最高の売り上げを記録するのであった。  
 
さて念願かなって時代劇小説を書いた真仙誠であったが、  
エロ尻小説時代のクセが抜けきらないのか、史実無視の娯楽第一  
主義で作品を書いたため、頭の固い老人が多い時代劇文壇から  
「あれは邪道」  
「しょせんエロ尻はエロ尻」  
「沖田君がカマを掘られる日も近い」  
とさんざんな評価を受ける始末。  
傑作を書いたと思っていた真仙誠は失意のうちに、元の弱小出版社に  
舞い戻り、そこで社長から  
「センセイ、エロ尻がオレたちを待っていますよ!」  
と励まされたのか、騙されたのか、諸説はあるものの、エロ尻小説  
復帰作第一弾として書き上げたのが、  
「秘密特命捜査官 NAOMI 〜DEATH NOTE事件〜」  
(「ナオミ」シリーズの後日談)  
であるということは、賢明なる読者諸君にはすでにお判りであろう。  
 
 
(本編は2〜3日後に、たぶん続く予定)  
 

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