「ふぅ…」
風呂からあがり自室のベッドに横たわると、麻衣は小さなため息をはいた。
入浴後の火照った身体に少しひんやりとした布団の感触が心地いい。
その感触をもっと確かめようと頬を押し付けようとすると、
髪に巻いていたタオルが形を崩し、栗色の長い髪がはらりと流れ落ちた。
麻衣は部活後の体育館での出来事を思い出した。
「せっかく髪おろしたんだから哀川がとかしてあげるね〜」
そう言って自分の髪をとかしてくれた哀川。
バスケットボールを扱う時の力強さと違う、
優しくなでるように髪に触れてきた哀川の手の暖かさが蘇ってくる。
哀川にとっては何気ない行為だったのかもしれない、
しかし男性にそうやって触れられることのなかった麻衣にとっては一大事な出来事だ。
しかも明日はウィンターカップで負け、落ち込んでいた自分を励まそうと
哀川はデートに誘ってくれたのだ!
哀川は時々麻衣の身体に触れてくる。練習試合の打ち上げの時、
哀川の家のキッチンで抱きしめられた事もあった。
もしかしたら明日もまたなにかあるのかも……
そう考えたところでハッと我に返った麻衣は急に恥ずかしくなり布団を頭からかぶった。
「やだぁ…あたし…なに期待してるんだろう」
身体をぎゅっと抱えると、心臓の音がうるさい程に伝わってくる。
恥ずかしいという気持ちとまた触れられていたいという気持ちが入り乱れ、
何気なく哀川に触れられた髪や肩を風呂上りで熱を持った自分の手で触れると
ゾワゾワとした感覚が麻衣を襲った。下腹部が熱くなるのを感じる。
麻衣は最近覚えた一人でするあの快楽を求めた。
イケナイとわかっていながら手の動きを止めることができない。
胸まで手を下ろすとパジャマを押し上げる硬く立ち上がった乳首に触れた。
「あ…」
電流が通り抜けるような感じ。親指で回すようにさするとパジャマに擦れ、
軽い快感がたまらない。両手でつまんだり大きく揉み上げたりすると、
麻衣の唇から熱い息が漏れた。
パジャマが汚れないようにと布団の中で下の部分を脱ぐ。
左手は胸に残し、右手の中指でパンティの上からスジをなぞる。
ジュワっとパンティが濡れるのがわかった。何度も何度も擦るように触れると
それだけでは物足りなくなり少し上の固く膨れた粒に指の腹をおしやった。
「ふぅん…っ」
優しくしかし細やかな振動をそこにあたえると自分でも
驚くくらいに愛液が溢れ出してくる。
たまらなくなりパンティの中に手を入れ直接刺激をあたえると
ピチャピチャと水音をあげ、その音が更に麻衣を興奮の渦へ引き込んでいった。
「哀ちゃ…ぁん、んん、はぁ…哀…ちゃ…んっ」
いつの間にか哀川の名を呼んでいた。もうすぐあの瞬間が訪れる。
振動を与えていただけの指を掻き回すように動かし始める。
麻衣はより大きな快感を得ようとつま先を伸ばすように脚と腰に力を入れた。
その直後全身に貫くような快感を麻衣は手に入れた。
肩で息をしながら、右手を確認するとぬるぬると湿った指が見えた。
その指をタオルに擦りつけ、小さな罪悪感と明日への期待を残しながら、
一人遊び後のけだるい身体が麻衣を眠りに落としていった。