下から上へ。
下から上へ。
下から上へ。
永遠に続くかと思われるほど、先ほどからこの動きが繰り返されている。
「くぅ……ん」
のどの奥から泣くような声を出して、沙斗未は身をよじった。
「もうやめてぇ……」
布越しに触れる分厚い舌の感覚に、沙斗未は興奮しきっていた。
下着は唾液と、自らが分泌する液体でじゅくじゅくに濡れている。
スカートの裾をわられ、内股を手のひらで開かされ,
下着の上から性器を舐められているからだ。
「いやぁ……ちゃんとこすってよう……」
性器へと伸ばした自分の指はそのまま掴まれた。
強い力で押さえつけられ、自分ではもうどうしようもなくなる。
「あぁ……あぁ……あぁん……」
さらに執拗に続けられる布ごしの緩慢な舌の動きに
もはや身を任すしかない。
「だれかたすけて……ぇ」
いつ終わるともしれない淫猥な愛撫に沙斗未はただ悶えるばかりだった。
インハイを間近に控え、熱の入った練習が夜遅くまで続けられていた日のことだった。
後片付けを終え、手伝わせていた1年を先に帰したあと
沙斗未は自分の教室に選手のデータを入力したFDを忘れていたことを思い出した。
深閑とした階段を上り、暗い廊下を通って教室に入ったところで
不意に後ろから抱きしめられ、口をふさがれた。
驚いて激しく抵抗するも阻まれ、叩きつけるように机に押し倒された。
椅子が倒れ、大きな音が響いたがもとよりこの階には誰もいない。
「誰かっ、誰か来……!!」
押えられた手を無理やりはずして叫ぼうとした瞬間、こめかみを強く殴られた。
薄らぐ視界に、襲撃者の腕に巻かれた青いリストバンドが映った。
下腹部から伝わる熱く嫌な感触で沙斗未は目を覚ました。
窓から月の光が差し込んでいる。教室ではない……どこかの準備教室のようだ。
煙草の臭いのする古いソファに仰向けにされ、両手首は壁際をつたう鉛管に
厳重に縛り付けられている。
(ぁ……ッ!)
視界の下方で何かが蠢いていた。にぶい感触が股間からつたわり、
沙斗未の身体が小さく跳ねた。
スカートの中に、誰かが、顔をもぐりこませている。
股間のつけねをおしひろげている手のひらの感覚……そして
下着の上から、湿った何かが押し付けられ、ゆっくりと、
そこを弄っていのがわかる。
舌で、舐めているのだ。
さとみの性器の、割れ目の部分を。
下着の上から。
絶叫しようとしてかなわず気付いた、口腔内に布が押し込まれている。
目の前にぼんやりうかんでいるのは裸の男の尻だ。
わかりたくないのに判ってしまった。
くちの中に入っているのは、こいつのブリーフだ。
狂ったように身体をねじり、相手を振り払おうとするが
足は男の両の脇でがっちりと固定されており、
股間を広げ押えている手も、万力のごとく動かない。
その間も、男の厚い舌は、規則ただしくうごきつづけている。
下から上へ。
下から上へ。
下から上へ。
下腹部の奥が熱い。何かが滾っている。
「ふ……!うぅ……!」
沙斗美の、きつく閉じた目の端から涙がにじみでた。
激しい怒りと羞恥と悲しみで頭はガンガンと脈打っているのに
下半身に力がはいらなくなっていく感覚に、沙斗美は恐怖した。
とろとろと熱い何かが、膣から分泌されているのがわかる。
半分靴下のずりおちた脹脛が、微かに痙攣する。
けがらわしい。耐えられない。
なのに……
もどかしい。
もっと、
もっと、
それを、
強くこすりつけて。
スカートの中で、陵辱者がふふっと篭った笑いを漏らした。
ぬるい鼻息が恥丘にあたる。尻がふるえる。
瞬間大量に分泌された愛液を、男はチュッと吸った。
沙斗美の身体が激しく痙攣する。
硬く立った乳首がタンクトップに擦れるのがわかってさとみは泣いた。
男の舌が再び同じ動作を繰り返し始める。
押さえつけていた手が少し緩んだ。
沙斗美は、反射的に腰をあげて、自ら性器を男に押し付けた。
分厚い舌がゆっくりと沙斗美の分泌液を舐めている。
「だれかたすけて……ぇ」
夜が更けていく。
***
いつのまにか外れた両手首の戒めが結び直され、
糸をひく涎とともに口から吐き出された白いブリーフが、
再び口腔内に押し込まれても、沙斗未の瞳はぼんやりと
空を見つめていた。
偏執的な愛撫で幾度か絶頂に達した体は鈍重にソファへと沈んでいる。
足元から立ち上がった人物は、夏用のニット帽で鼻の下までを覆っていた。
しかし上半身に着ているものが指定制服のカッターシャツであるため
瑞穂高校の生徒であることは明らかだった。
むきだしの下半身からは、沙斗未の股間に顔を埋めながら果てたのだろう
情けない状態の性器がぶらさがっていた。
陵辱者は少し身をひき、細い糸で編まれたニット帽越しに沙斗未の様子を眺めた。
スカートはまくりあげられ、白い太股がいやらしいまでに露となり
下腹部にぴったりとはりつく、濡れた下着からは陰毛が透けて見える。
上衣の裾から少し見える腹と臍、ほどけかけたリボン、
涙に汚れた頬、ブリーフを詰められた口、呆けた瞳、痛々しく上部で緊縛された腕……
月がもたらす光と影がそれらをより淫らに演出している。
男の鼻息が荒くなり、垂れ下がっていたものが再び漲りはじめた。
片手でそれをしごきつつ、仰向けに横たわる沙斗未の上に覆い被さる。
セーラー服の上衣を脱がそうとするも、意外に複雑な構造に適わず
首元まで乱暴に捲り上げた。シンプルながら愛らしいピンクのブラジャーがあらわれる。
ふるえる手がそれをつかんで、上へとずらしてゆく。きつく押し込められていた二つの果実か
弾力をもってはじけでた。クールで美しい面立ちに似合わずそれはふてぶてしく大きかった。
「うぅ!」
羞恥心が甦り、沙斗未が身を捩る。男は片手でそれを覆うようにつかんで
もう片方のふくらみにツンと立っていた突起を口に含んだ。
「うぅ!んぅぅ!!」
敏感な器官を舐めまわされ、沙斗未の白い身体全体に朱がはしる。
加減をしらず揉みしだかれる若い乳房が痛い。
舐めるだけではあきたらず、男は谷間に顔を埋め擦りつけはじめた。
「はぁ、はぁ、はぁ……あ、あん崎さん……杏崎さぁん……」
固く張った乳房が男の顔の動きに合わせて揺れる。
べろべろと這わされた舌のあとから唾液の臭いが立ち上った。
男が激しく己の性器を扱きあげつつ顔を胸にこすりつけるうち、
男のニット帽がずれはじめ、やがて頭部からはずれて落ちた。
「あっ、杏崎さん!好きです杏崎さんっ!!!」
射精と共に感極まって顔をあげたその男を見て、沙斗未は目を疑った。
それは、昨年同じクラスだった男子生徒だった。
特別目立ちもしないが、暗いというわけでもない。
沙斗未がバスケ部のマネージャーになり、チームが勝利を収めはじめた頃
選手に頑張れと伝えてくれと、彼の友人と共に言ってきたこともある。
しかしもともとバスケ部以外の交友関係に興味の薄い沙斗未にとってみれば
今の今まで忘れていた存在だった。
「う……うぅ……」
沙斗未の瞳から悔し涙が溢れ出た。見たこともない男に陵辱されるのも許せないが
それが顔見知りの男であったことに、倍増の激しい屈辱感を覚えた。
顔を見られて動揺した彼は絶句し、次の瞬間発狂したように喚き始めた。
「好きだったんだ!好きなんだ!!クラスが別れてからも……ずっと見てて……
でもあんたはバスケ部に夢中で……あいつらにばかり……あいつらに……
あんな男ばかりの中で、いつかあんたが……あいつらに獲られると思ったんだ……」
「あんたがあいつらに獲られる……そして犯される……
あいつらがあんたを……部室で、犯すんだ……脱がして……触って……
俺が見たかったあんたのおっぱいも……あそこも……みんなとっちまう……
あんたはあいつらの全員のちんぽを咥えて、舐めてしゃぶって、精子を飲むんだ!そうなんだろう!!」
彼はバンバンと壁を殴りつけ、号泣しながら沙斗未を睨めつけた。
月の光の中でその目が異様にひかっていた。