最近、よく起こるこのもやもや感が不快に思えてならなかった。  
 何時からだろうと考えてみる。  
 そう、アメリカから帰ってきた頃ぐらいから。純一と会った時ぐらいから。  
 じゃあ、このもやもやは純一のせいなのだろうか。違う。純一のせいじゃない。  
 純一といると、むしろ充足感に満たされる。心地よいぐらいに落ち着くことができる。  
 なのに、純一と別れるといつもこんな気持ちになってしまう。何故だろう。  
 焦っているから。大切な時間。大好きな人。それが奪われてしまうのではないのかと、  
いつも不安になる。  
 どうして不安になるのだろう。  
 それは、純一の好きな対象が自分でないから、とさくらは思った。思ったというより、  
そう感じた。傍にいるだけで分かるのだ。ボクの事を見ていない。いつも別の所を見ている、と。  
 誰の方を見てるのだろうと、さくらも純一の見ている方に目を向ける。  
 朝倉音夢。純一の妹。純一に一番近い存在。純一が見ているのは、いつも音夢の方だった。  
 音夢の方はどうなのだろう。そんなのは、考えなくても分かる。  
 音夢も純一の事が好きなのだと。やはり分かってしまうという前に、そう感じてしまう。  
 純一も音夢も、ずっとずっと昔から知っているから、思っている事、感じている事がすぐに  
分かってしまうのだ。いとこだから、何となく分かってしまった。  
 そんなに分かっているというのに、どうして純一はこっちを見てくれないのだろうと、  
さくらはずっと思い悩んでいた。どんなにアプローチしても、どんなに思いを伝えても。  
 全部空振り。  
 純一がさくらを見てないから。音夢しか見てないから。  
 さくらは、いつの間にか音夢の事が憎くて堪らなくなっていた。  
 
 何か、物音がして、音夢は目が覚めた。  
 まだ寝ぼけなまこな目を摩りながら体を起こそうとするが、起きれない。  
 体が動かない。手も、足も。まるで鉛が圧し掛かってる様に、重い。  
「・・・何だ、起きちゃったのか・・・音夢ちゃん」  
 頭の上から、声が聞こえた。音夢以外の、女の声。聞き覚えのある声。  
「・・・・・さ、さくら」  
 声を出そうとするが、声も出ない。今にも消えてしまいそうな、ほんの微かな声しか出せなかった。  
「気分はどう、音夢ちゃん」  
 さくらが微笑んでいた。だけど、いつもの明るいさくらの笑みじゃない。  
 冷たい笑み。まるで、何かに取り付かれてるかの様に、別人の笑み。  
 恐い。音夢はさくらの笑みが恐かった。  
「・・・・何・・・・さくら・・・・これは」  
「音夢ちゃん。お兄ちゃんの事好き?」  
 さくらは、音夢の質問には答えずに突然何の関連性もない質問をしてくる。  
「何を・・・・・」  
「ボクはね、お兄ちゃんの事が大好き」  
 さくらは笑顔のままで、音夢の額に手を乗せてきた。  
 振り払おうとするものの、金縛りにあった様に、首も動かなかった。  
「大好きで・・・・本当に大好きで・・・・ボクだけを見てて欲しいの・・・・  
でもね、音夢ちゃんはいつもボクの邪魔をする・・・・いつも・・・いつも・・・・」  
 静かで、しかし何処か苛立ちが混じってる様な、そんな声でさくらが喋っている。  
 このまま、殺されてしまうのではないか。  
 そんな気さえよぎってきて、音夢の鼓動は激しく脈を打っていた。  
 
「・・・でもね、ボクは、音夢ちゃんの事も・・・・嫌いじゃ、ううん好きなんだよ・・・・  
ずっと昔っからの親友で・・・・ずっと仲良しで・・・・・・お互いの事も、よく分かっていて・・・・  
だからね・・・・苦しいんだよ、音夢ちゃん。ボクのそんな想いと想いが錯綜して、交じり合って・・・・  
どっちの感情を取ればいいのか悩んで・・・・迷って・・・・苦しいんだよ・・・音夢ちゃん・・・」  
「さく・・・・ら・・・」  
 一瞬、さくら表情が悲しそうに見えた。  
 そう思うと、すぐにまた微笑んで、そして突然口付けをしてきた。  
 あまりに突然過ぎて、何が起きたのか分からず、頭が真っ白になった。  
 我に返ってさくらを振り払おうとするが、さくらは離れない。  
 そうしている内に、さくらはさらに深くキスをしてくる。舌を口内に入れて、イヤらしそうに音までたてる。  
 舌と舌が絡み合い、夜の静かな室内には小さな喘ぎ声と水音だけが響き渡る。  
 唇を離した時に、月明かりに銀色の糸がきらきらと輝いた。さくらの顔は、ほんのりとどこか火照っていた。  
「大好きだよ・・・・音夢ちゃん・・・・本当に大好き・・・・」  
 さくらは、正気じゃなかった。音夢にはそう見えた。  
 その小さな体に、何か薄暗い闇が取り囲んでいる。それがさくらを蝕んでいるんだ。  
「・・・さくら・・・・・目を・・・覚まして・・・・」  
「ボクはちゃんと起きてるよ・・・・音夢ちゃん。これは、ボクの意思・・・・ボクが望んだ事・・・・  
そして・・・・その引き金を引いたのは・・・・音夢ちゃん・・・・・」  
「な、何を・・・・・・あんっ!!」  
 さくらが音夢の胸に突然顔を埋めてきて、途中で声が途切れた。  
「・・・・あったかいよ・・・・音夢ちゃん」  
 さくらはそのままパジャマの上から胸を擦ってきた。膨らかな胸。寝間着はYシャツ一枚で、  
薄い布地の上からのさくらの愛撫は少し揉むだけで簡単に形が変わった  
「胸・・・・おっきいよね・・・・・羨ましいなぁ・・・・・ボクは、こんなにないから」  
「ふぁ・・・や、やめて・・・・さく、ら・・・・んん・・・・ぅん・・・」  
 
 元々(何か薬でも飲まされたのか)大きな声は出ないが、それでも必死で喘ぎ声を耐えた。  
 音夢自身も恥ずかしかったから、耐えているのに、声は音夢の意思とは関係なく出てしまう。  
「音夢ちゃん・・・・もっと声を聞かせてよ・・・・音夢ちゃんの甘い声」  
 さくらは手を休ませる事なく揉み続ける。強すぎる事無く、まるで音夢に快楽を与えるがごとく。  
「あんっ・・・・さ、さくら・・・・やめ・・・ん・・・・なさい・・・・ん」  
「やめないよ・・・・音夢ちゃんがキモチよくなってくれるまで」  
「こ、こんなの・・・・ぅん・・・ま、間違ってる!!」  
 手に、一瞬力が入って、音夢はまた一際大きな声を出してしまった。  
「・・・・何て言ったの」  
 さくらの声に、苛立ちが入っていた。  
 それでも、音夢は躊躇する事なく言った。  
「間違ってる!!だって・・・・私達・・・・女の子同士・・・なんだよ・・・こんな事・・・・」  
「・・・・ボクは・・・・ボクは間違ってない!!」  
「ぐっ、あああぁぁっ!!!」  
 さくらは急に取り乱して手に力を入れてしまう。音夢は胸を形が変わるほど強く掴まれてしまい  
悲鳴にも似た喘ぎ声を出してしまう。  
 さくらははっと気付いてすぐに力を抜いて手を離した。  
「ん・・・・はぁ・・・はぁ・・・」  
「・・・・ボクは・・・・間違ってない・・・・ボクにだって・・・ボクの想いがあるんだ・・・・  
譲れない願い・・・・ずっと願い続けてきた祈り・・・・そして約束」  
 音夢は息が乱れながら、悲壮なさくらの顔をじっと見続けた。  
 さくらの願い。それは、恐らく自分と同じなんだろうなと、音夢は思った。  
 同じ願い。同じキモチ。音夢にもよく分かった。  
 ずっと何年も、何年も大好きな人に会えないで待ち焦がれる思い。  
 それに耐える事ができるのだろうか。少なくともさくらは耐えてきた。  
 ずっと耐えてきたその想いが、ついに瓦解してしまったのだ。  
 無理もなかった。もし音夢だったら、さくらの耐えてきたその半分も耐え切れなかった。  
 
 さくらは、また笑顔に戻る。冷たい笑み。  
「もうお話も終わりにしよ。早くしないと、夜が明けちゃうよ」  
 そう言うと、さくらは音夢の服を脱がし始めた。  
 音夢は、抵抗するのにも躊躇し始めていた。  
 そんな音夢の迷いにもお構いなしに、さくらは下着以外を全て取り外してしまう。  
 豊かな乳房が露になり、音夢は恥ずかしさのあまりに顔を紅潮させてしまう。  
「音夢ちゃん・・・・カワイイよ」  
 音夢は顔を背けた。それでも、さくらは音夢の乳房へと口をつけてくる。  
「っん・・・・・ふぁ・・・・・くっ」  
 音夢は目を閉じて必死に耐えた。耐えても、声は漏れる。  
 さくらも、最初は舐めるだけだったが、段々とペースに乗ってきて、口を近づけてゆく。  
 空いた手で、音夢の大事な所へと差し伸べる。くちゅり、とイヤラしい水滴音がした。  
「何だかんだ言っても・・・・音夢ちゃん・・・・感じてるんじゃん。ボクにさ」  
「ち、違・・・・・それは・・・・」  
 そう言ってるうちにも、さくらは舌を乳房からへその方へと流れてゆき、そしてさらにその下の  
方にまで進入させていく。  
「これ、邪魔だな」  
 そう言って、下着を取る。音夢の花弁が露となる。  
「い・・・・やぁ・・・・・ぁ・・・・」  
 舌を花弁に入れてくる。舐めれば蜜が溢れる。舐めれば舐めるほど零れてゆく。  
「イヤラシイなぁ、音夢ちゃん」  
「わ、わたし・・・・は・・・・ふぁああ!!」  
 今までで、一番激しい乱れ。頭が真っ白になっていき、何も考えられなくなってくる。  
 ただ快楽だけが思考を支配してきて、音夢の体は、もっと欲しがっていた。  
 
「今キモチよくしてあげるからね・・・・音夢ちゃん」  
 さくらは舌で這うのを止め、代わりに指をそっと入れてきた。  
 それだけで、今の音夢には刺激が強すぎて、体がびくりと反応する。  
 まるで自分の意思とは違う、別の意識が頭を洗脳していき、正常な判断ができなくなっていく。  
「あんっ!!あ、だ、だめ!!ホントに、イ、イッちゃう、んああああ!!!」  
 言葉も最後まで続かずに絶頂を迎える。  
 さくらは指を離して、イってしまった音夢を見ると満足げに微笑んだ。  
 すると、ポケットから何か取り出した。それは、テープレコーダー。  
「これ、何を意味するか分かるよね」  
 音夢は、まだおぼつかない目でじっと眺めていた。  
「本当は、こんな手を使いたくなかったんだけど。ボクじゃ音夢ちゃんには勝てない。  
それがよく分かってるから。でも、ボクにも譲れない願いなんだよ・・・・」  
 つまり、脅し。それだけは分かった。  
「他の人は、こんなものではどうかは分からないけど、音夢ちゃんになら十分効果はあると思うんだ・・・・  
手を引いて欲しいな、音夢ちゃん」  
 音夢は、何も言う気になれなかった。  
 というのも、音夢自身も悩んでいた。  
 さくらをここまで追い詰めてしまったのは、自分なのかもしれない、と。  
 さくらを恨むつもりはない。恨めっこなかった。  
 こんな酷い事をされてもまだ、さくらは大事な人、大好きな仲の良い親友なのだから。  
「ふふふ・・・・じゃあね・・・・おやすみ・・・音夢ちゃん」  
 さくらはあの冷たい笑みと共に、静かに戸を閉めて去っていった。  
 真っ新な頭の上には、何も想いが浮かんでくることがなく、ただ泣いていた。  
 
 
 
 夜が明ける。長い夜が。  
 音夢は、あれから寝ていなかった。眠れるわけがなかった。  
 ずっと考えていた。何か、漠然とした事を。色々な事が頭に浮かんできて、真っ新な  
白に埋め尽くしていく。  
 このままではいけない。ただそれだけは、克明とはっきりしていた。音夢にとっても、  
さくらにとっても、このままでは良くない。  
 だから、これからどうしればいいのかを、懸命に思索していた。  
 だけど、頭に思惑が去来するだけで、どうすればいいのかなんて全く思い浮かばなかった。  
 朝。純一を起こさずに登校した。遅れて登校してきた純一は、とても怒っていたが、音夢は  
一言二言で言い繕っただけ。  
 上の空だった。ようやく、純一も何か異変に気付いたらしく、音夢に気遣いの言葉を掛けてくるが、  
大丈夫の一言で終わってしまった。  
 授業中も、先生の話が耳に入らず、ただ窓から空を眺めているだけだった。  
 嫌になるぐらいの快晴。  
 空の調子は、音夢の気持ちなんかお構いなしに、すこぶる快調らしい。それが不愉快でならなかった。  
 さくらが悪い訳じゃない。自分の想いと想いの交わり合いによる葛藤。その末に、さくらは  
自分の想いの方を選んだ。自分勝手な考え。  
 だけれど、音夢はそれを責める事ができなかった。  
 何故なら、今音夢も全く同じ問題で悩み、そして決断を下せないでいるから。  
 こんな事、今まで考えもしなかった。さくらの気持ちなんか、知らなかった。  
 ただ、純一と自分自身の事だけしか考えてこなかった。  
 さくらは一人で悩んで、苦しんでいた。もし自分勝手な人間だったら、悩みはしない。さくらの  
選んだ選択肢だった。  
 音夢は、どちらの想いを選べば良いのか分からなかった。  
 譲れない想いがあった。純一の事が大好きだから、だから譲れない。  
 
 それでも、さくらも見捨てる事もできない。  
 一人で、孤独に戦い続けてきたさくらも、絶対見捨てる選択肢を選びたくなかった。  
 またこのもやもや感がぶり返してきた。  
 優柔不断だった。どちらか一方だけを取るなんてそんな事、できなかった。  
 こんなもやもや感を、苦しみを、さくらは乗り越えて選んだんだ。  
 ただ凄いと、音夢は思えた。  
 
 時期に陽も落ちる時間帯である。  
 辺りは夕陽により眼が覚める程に真っ赤に染まっていた。  
 昨日、音夢に言われた事を、ふと思い出した。目を覚まして、と  
 さくらは、起きているつもりだった。自分で取り返しのつかない事をしてしまった事も、自覚している。  
 自分勝手で、わがままで、音夢を不幸にしてしまった。  
 全部分かっていた。それをすべて承知して、さくらは自分の選んだ選択肢を貫き通した。  
 音夢の恨みも悲しみも、全部受け入れる覚悟ができている。  
 今日、純一の隣には、いつもいるはずの音夢がいなかった。だから容易に近づけて、  
長い間お喋りもできた。  
 だけど、ただそれだけだった。やはり純一はさくらの事を見ていない。時間をかければ、  
また変わってくるのかもしれないと思った。  
 そうまでして純一の事が欲しかったのか。一瞬疑問に思ってしまって、さくらは頭を振って  
今の考えを掻き消した。  
 いっその事、恨んでくれればいいのだ、音夢は。一生恨んでも足りないぐらいに。そのぐらい  
はっきりとしていてくれた方が、ずっと楽だった。  
 家の前に、音夢がいた。制服姿のまま、蹲って、泣いているのではないかと思った。  
「音夢ちゃん」  
 さくらが声を掛ける。音夢が顔を上げてさくらの方を見上げた。酷く疲れた顔をしていた。  
 この顔を知っていた。悩んでいる顔だった。さくらもついこないだまで、同じ様な顔をしていたから分かる。  
   
 大丈夫、と言いかけそうになって、言葉を飲み込んでさくらはまた笑顔に戻る。  
「どうしたの、音夢ちゃん」  
「・・・・お話があるの」  
 それだけ言うと、音夢は立ち上がった。まだ、目は悩んでいる。  
 さくらは少し考えて、家に入れてあげる事にした。  
 恐らく、テープを渡せ、か兄に近づくな、と言いに来たのだろうと思った。  
 音夢も、自分の想いの方を選んだのだろう。当然だった。最後に辿り着く場所は、  
やはり自分が基点なのだ。ならば、尚更負ける訳にはいかなかった。  
 居間に案内する。音夢が座布団の上に静かに座る。茶も出して、さくらも台の向かい側に座った。  
 暫く、沈黙が部屋の中を包んだ。お互い何も言わない。  
「テープ、渡さないよ」  
 さくらが笑顔で言った。音夢の言葉を待っていたのだが、言葉が出でこなかったので、先に言った。  
 音夢が微かに反応した。  
「それを言いに来たんだよね。だったら」  
「・・・違う」  
 音夢がようやく、か細く答えた。  
「じゃあ、何しに来たの」  
 言い方が冷たい。さくらは自分でもそう思えた。これが本当に音夢に言いたい事なのか、  
胸の内で自分に問いかけてしまう。  
「・・・・もう、止めようよ。こんな事」  
「じゃあ、お兄ちゃんの事はどうなるの」  
「そうじゃなくって!!」  
 音夢が必死に頭を振る。何を言いたいのか分からなかった。  
「兄さんの事は・・・・関係ないの・・・・私は、さくらとこんな風にケンカしたくない・・・・って、言ってるの・・・」  
 さくらの表情が、初めて変わった。  
 
「私・・・ずっと考えてた・・・・自分を選んでしまうか、さくらの気持ちを考えてあげるか・・・・  
一生懸命考えた・・・・頭真っ白で、何も考えられなくて・・・・それでも考えた」  
 それで、音夢は自分の方を選んだ、とさくらは思っていた。  
「・・・・でも・・・・私、選べない・・・・どっちか一方だけ選ぶなんて・・・・そんなのできない・・・」  
 焦れったくて、さくらは苛立っていた。何を今更。  
「自分を選べばいいじゃんか!!音夢ちゃん、ボクの事が嫌いだったら!!」  
「できる訳ないでしょ!!だって・・・・・私・・・・さくらの事、嫌いじゃないから・・・・大好きだから・・・」  
 ただ切に、自分の思いを打ち明ける音夢にさくらは戸惑っていた。  
 予想外の音夢の想いにさくらはどう対処していいのか分からなかった。  
「ずっと、昔から・・・・さくらと仲良かったから・・・こんな形で嫌な仲になりたくないから・・・・  
さくらとずっと仲良しでいたいから・・・・だから・・・・もうこんな事、やめようよ・・・さくら」  
 鼓動が激しくなる。焦っていた。  
 ただ、次の言葉を言おうと。でも出てこない自分に、焦っていた。  
「さくら・・・・」  
「・・・・そんな、そんな眼で見ないでよ、音夢ちゃん。ボクはあんなに酷い事したんだよ・・・  
音夢ちゃんの事傷つけて・・・だから、もっと恨めしそうな眼をしてよ。もっと怒ってよ。怒鳴ってよ。  
泣いてよ。ボクの事憎んでよ。でないと、ボクは」  
「できないよ・・・・そんな事」  
 手に湿った感触のものが触れた。涙。いつの間にか、泣いていた。  
「でないと、ボクは・・・・音夢ちゃんの事嫌いになりきれないんだ。本当は、音夢ちゃんの事が大好きで、  
大好きでしょうがないのに・・・・どうしてこんな事をしちゃったんだろうって・・・・」  
 何を言ってるんだろう。さくらは、訳が分からずに言葉が出てきてしまっていた。  
 涙も、溢れて止まらなかった。  
「ボクは、間違ってない・・・・間違ってないはずなのに・・・・でも、そのせいでボクは・・・・」  
「さくらは!!さくらは間違ってなんか・・・・ないよ・・・」  
 音夢を見た。音夢も、泣いていた。  
「ボクは・・・・音夢ちゃんを傷つけてしまった」  
 
 それが、限界だった。溢れてしまった感情を止められなくて、さくらはその場に蹲って、泣いてしまった。  
 音夢も一緒になって泣いた。泣いて、ただ二人して泣いていた。  
 
 いつの間にか、音夢に抱きかかえられている格好になっていた。  
 音夢が優しく頭を撫でてくれる。それが心地よかった。  
「・・・・暖かいなぁ・・・音夢ちゃん」  
 そこには確かな温かみがあった。  
 あんな事をしなくても、望めばそこにはちゃんと欲しいものがあったのだ。  
「・・・・さくら。私は、さくらの事大好きだよ」  
 音夢が、さくらの顔をじっと見つめてきた。  
「・・・・何か、さくらにキスしたくなってきちゃった・・・♪」  
「えっ・・・・」  
 さくらがちょっと驚いて苦笑してる音夢を見た。  
「だって、さくらカワイイんですもの」  
 どうにも子供扱いされてる様でならなかった。だけど、たまには悪くないかな、と思った。  
「いいよ、音夢ちゃんなら」  
 顔が近づいたと思ったら、唇が触れていた。さくらも音夢に合わせて口付けをする。  
 昨日とは違う。心の痛みはなかった。  
 ただ、お互いもっと知りたい、その思いで溢れている。  
 体を寄せ合って、抱き合う。音夢の抱擁は暖かくて、音夢の香り、体の柔らかさが体を通して伝わる。  
「変だよね、私達。女の子同士なのにね」  
 音夢が笑った。変じゃない。大好きなんだから、仕方ない。  
 体が、まるで火の様に熱い。熱いと思った時は、既に濡れていた。音夢がそこに触れてきて、  
それで濡れている事に気付いた。  
「やだ・・・・・音夢、ちゃん・・・」  
 さくらは頬を赤らめる。大丈夫だよ、と優しく囁く音夢。  
 
 音夢はさくらをそっと横にして寝かせてあげる。  
 首筋から口付けをしていき、さくらはその動作一つ一つに刺激を感じて、体を動かしてしまう。  
「ん・・・音夢、ちゃん・・・・ふぁ・・・・」  
「さくらが、気持ちよさそうな顔してくれると・・・私も嬉しくなっちゃうな」  
 そんな事を言いながら段々と下の方へと舌は這ってゆく。  
 途中で服に差し掛かり、するりと脱がせてゆく。さくらのまだ小さな乳房が露となる。  
 意外に音夢が大胆で、さくらは恥ずかしくなってきた。  
「ね、音夢ちゃん・・・・意地悪だよ」  
「あら、本当の事なんだもん・・・・さくらの恥ずかしがってる顔、もっと見たいなぁ」  
「んあぁ!」  
 音夢がさくらのその小さな乳房に舌を這わせる。あまりにくすぐったくて、さくらは一際大きな喘ぎ声を  
出してしまう。音夢は、もっとさくらの声が聞きたい、と言って更に乳房に刺激を与えだす。  
「ふぁ・・・・ん・・・・んっ・・・ああ」  
 音夢にただ成すがままに遊ばれてしまうさくら。  
 それでもよかった。音夢になら、幾らでも自分を晒したかった。  
「さくら・・・・私、もう我慢できないよ」  
 音夢がじれったそうに腰を揺らしていた。  
「うん・・・・じゃあ、一緒にイこう。音夢ちゃん」  
 二人が下着を取ると、既に下着は湿っていた。  
 お互いの花弁を宛がうと、ゆっくりと腰を揺らして擦り始めた。  
 動く度に、喘ぎあう二人。赤々と夕陽に照らされた居間に、ただ二人の喘ぎ声だけが響き渡る。  
「ん、あん!!ああん!!」  
 腰を揺らす度に背筋がゾクゾクとする。  
 まるで、動かせば動かすだけ、音夢を感じられる様な思いだった。  
 もっと音夢を感じたい。だから、腰の動きを速めていく。  
 
「あんっ!!ああん!!さ、さくら、速、すぎるよ、んぁ!!」  
 音夢は、まるで喜んでいる様に叫んだ。  
「音夢ちゃん、音夢ちゃん!!大好きだよ!!ああぁ!!」  
「わ、私もさくらのこと、んぁあああ!!」  
「ふぁ、ああああ!!」  
 お互いが同時に絶頂を迎えて、そしてしばらくは抱き合ったままで一緒になっていた。  
 
 テープはさくらがすぐに壊してくれた。こんな物は必要ないんだ、と言っていた。  
「音夢ちゃんも、人の事言えない程の乱れっぷりだったけど」  
 音夢が帰る時、玄関の前でさくらがにやりと意地の悪そうな笑みを見せた。  
「だ、だから!!あ、あれは・・・その・・・・ふ、不可抗力で」  
 音夢は慌てて取り繕うとすると、さくらが笑ってきた。音夢もつい釣られて笑った。  
 やっぱり、私たちはこんな感じが一番合っている、と音夢は思えた。  
「あ、でもでも」  
 さくらが付け加える様に言った。  
「お兄ちゃんの事、諦めた訳じゃないよ♪」  
 笑ってるのだけれど、何処か笑ってない様な笑みを浮かべるさくら。  
「と、当然です・・・・お互い正々堂々勝負致しましょう♪」  
 音夢も負けじと同じ様な笑みを返した。ただ、昨日の様な重い空気は漂ってない。  
 もっと清々しい、明るい感じ。  
 これからも、さくらとは長い対決があるだろうけど。  
 でも、きっと仲良くやっていける。そんな気がした。  
「あ・・・ね、音夢ちゃん」  
「ん?」  
 音夢が背中を向けると、さくらがもどかしそうに尋ねてきた。  
「・・・・・これからも、ずっと友達だよね」  
「・・・・勿論よ♪」  
 音夢が満面の笑みを浮かべて、ただそれだけ答えた  
 

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