音夢とことりが列車に乗っていると、葉巻の栽培家というキューバ人と、旅行中というアメリカ人と相席になった。  
いろいろ話をしていると、キューバ人が四つの葉巻を取り出し、  
「あ、お嬢ちゃん達はパパへのお土産にでもしてくれ」  
と言って、各々に配った。  
キューバ人は自分の葉巻に火をつけ、一口だけ吸うと、それを窓の外へ放り捨てた。  
その様子を見て、思わずことりが  
「もったいない」  
と言うと、キューバ人は  
「この程度のものならキューバには腐る程あるから、もったいなくも何ともないさ」  
と、溜息のような口調で言った。  
暫くして、アメリカ人はバッグからクアースの缶を四つ取り出して  
「じゃこれも、お嬢ちゃん達はお土産にしな」  
と言って、各々に配った。  
アメリカ人はそれを一口だけグィッと飲むと、先のキューバ人と同じように、それを窓の外へ投げ捨てた。  
「ああ、また」  
とことりが言うと、アメリカ人は  
「こんな水みたいなビールならアメリカにはアホほどあるから、全然もったいなくないね」  
と言った。  
その様子を、音夢はずっとさっきから黙って眺めていた。  
そして熟考の末、何かを思い立ったかのように、膝を手で打った。  
 
 
数日後。  
微かな灯りしかなく、ほぼ真っ暗と言ってもいい室内。  
そこで気づけばいつのまにやら、全身の服を剥がれた状態でいることり。  
そしてその目の前には、全裸で、己が性欲の賜を見せつけながら、こちらに迫りくる異国の男達。  
「ひ…ひいっ」  
その男達の、欲望を覆い隠すことのない形相に、ことりは震えた。  
『この“ツアー”とやらにのって、正解だったな!イエローとはいえ上玉だらけだ……』  
『文字通り“犯せる”みたいだよなあ……へへ、考えただけでヌいちまいそうだ』  
その言葉や心の中は異国語でことりには解すことの出来ないものであったが、その真意は、想像に難くない。  
『ヒヒ、怯えてるようだな……おいお前、日本語多少できるんだろ、何か言ってやれよ……?』  
「オジョチャン、ダイジョブ、ダイジョブ……」  
やがて男達の手がことりの躰に伸び、否応もなく全身を躙られ始める。その身の嫌悪感と恐怖に、  
「い、いやあぁ……!!」  
ことりはただ、泣くことしかできなかった。  
そんな中ふと、ことりは自分のとは違う嘆きの声を耳と頭で感じるが、今のその身の状況下で、そこまで気を回す余裕などなかったが、とあることは解することができた。  
『他の子も……いるの……?』  
 
「い、いけません、いけません……!」  
その身を精液まみれにされる様を予見しながらも、環は拒む姿勢を崩さない。しかし数が違う上、元々の体格差がありすぎる以上、無惨に組み伏されるのは時間の問題であった。  
「い、いけません異人様…許して下さい……わ、私には、心に決めたお方が……」  
環は懇願する。しかし異国の男達には端から言葉が通じない。それどころか、その泣き顔は男達の嗜虐心を、ますます煽り立てる物にしかならなかった。  
『はは、こいつぁいいや、まさに“大和撫子”じゃねえか!』  
『全くだ。大枚はたいてこっちに来た甲斐があったぜ……!!あっちのアマは純粋な日本人でも、こんな“ツヤ”のある反応しねえモンなあ……』  
『泣かないでいいぜぇ……たぁっぷり、気持ちよくさせてやるからさあ!!』  
そして男の中の一人が、環の未だ穢れ知らぬ秘裂に、その身と同じく醜く肥えた男根を荒々しくぶち込んだ。  
「い゛ゃああああっ!!!!」  
その苦痛は、整った環の顔を無惨に引き裂く。  
『おい、こいつヴァージンだぜ……、た、たまらん……!!』  
『ホントだ、血が出てんなあ……んじゃ、こっちも、初めてかな……?』  
そう言うとその男は、環の純潔を奪った男に環を上にくるようにさせ、露わになった環のアナルをそっと撫でてみた。  
「あ゛、あ゛、……い、いやっ」  
無論体験したことのない、言いようのないその感覚は、環からますます正常な意識を奪う。その反応に、男は汚らしい音で舌なめずりをし、ケッケッと笑った。  
『可愛い反応……こっちもアレか。へへ、俺、お嬢ちゃんみたいなコのアナルをいじくんの、大好きなんだよなァ……!』  
そうしてその男は、環のアナルを、その尖った舌で執拗に弄り始める。  
「っあ、ぁへぇあ、ひ、ひへあへん、ゆふひて……」  
容赦のないその責めに、環は呂律が回らなくなり、全身に寒気を覚える。そのことで環の膣壁はより圧迫され、先に環の味を堪能していた男にさらなる刺激をもたらした。  
『うぁ、突然すげ、締まる……で、出る、出るぞっ!!』  
 
その様子を暫く傍らで自らを擦りながら眺めていた別の男が、立ち上がって環と二人を見下ろしながら、二人に声をかける。  
『全く変態だな…てめえらは。……ん、おい、イったんなら俺にも替われよ』  
そう言いながらもその眼と刀身は、興奮で赤く充血していた。  
『いやだね。はっきり言って最初は“痛い”だけだろ……苦痛じゃなくて快感に歪むお顔を拝見しない限りは、まだまだし足りねえな、このお嬢ちゃんとは……オラッ!」  
「っあっ!!」  
『俺もやだね……せっかく解れてきたんだ、これからがヤリ時さ……おめえは口でして貰えや』  
『け、いつもお前らはそうだ……ああそうさせて貰うよ。おいこら、口開けろ……歯立てたりしたらぶっ殺すぞ』  
そう凄みながらモノを口許に突きつけてくる男を、元々押しに弱い上、蹂躙され力果てていた環は抗することが出来るはずは、ない。  
「ん゛、ん゛、ん゛ん゛……!!!!」  
環は、運命に抗えなかった。  
 
『おお……こいつ、何か坊やみたいじゃないか……』  
『躰はまったくの女の物なのになあ』  
「み、見ないで、見ないでえ……」  
別のところでは、叶が同じように服を剥ぎ取られ、その裸体を嘗め回すように見つめられていた。  
『喜べボーイ、俺はバイなんだ……っぁは、どっちにしても俺のタイプだ、たまんねえ……!!』  
『ほーお……じゃあお前好みのボーイとヤる時みたいにしてやったらどうだ?』  
『言われなくてもそのつもりさぁ……!!』  
そうしてそのバイの男は叶の体の後ろに回ると、叶が警戒する間も与えずに、その晒されたままの菊門に己を、なんの躊躇もなく突っ込む。  
「っう゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」  
その情け容赦のない痛みに、叶は躰を捩り、目を剥き、口から涎を吐き散らしながら悶絶した。  
『っは、締まる、締まる……やっぱこっちは処女のが一番最高だな、く、くふぁ……!!』  
『はは……愛の欠片もねえな、オメエのファックはよ。もうちょっと可愛がってやるとか、そういう気持ちはねえのかよ?』  
『バカ言え、これが俺の『愛』ってやつだ。なんやかんやで最後に皆欲しがるのはファックだろ…なあ坊や?』  
「っう゛あ、っああっ!!」  
『な、いい声出すだろ…焦らす方が可哀相じゃねえか!』  
『へえ……んじゃ俺は、前を可愛がってやるかな……』  
別の男はそう言うと、そのバイの男とで叶を挟み込むようにして、がら空きになっていた叶の裂け目に、同じく容赦なく、一物をめり込ませていく。  
「あ゛……あ゛……!!!!」  
その身に禍々しい異物感を二つ感じながら、叶は言葉にならない悲鳴をあげ続けた。  
 
『ぅへへ、ぅえへへへ……』  
「いあっ、あ、あええ、いおいあうい……」  
また別のところでは、さくらがその身を幾人もの男達に撫で回されていた。さくらだけは他と異なり、両手両足を拘束され、口には猿轡を噛まされている。  
『たまらねえ……!!もう十歳かそこらにしか見えねえ』  
『全く……なあ聞いてくれよ嬢ちゃん、向こうじゃ嬢ちゃんみたいなコの写真一枚持ってただけでお縄なんだぜ……』  
「いっえうお、おえいおんあおああいあえあああいあ、“おいおん”あんえ、えんあいいいああえあ……!!」  
男達の言葉を英語に通じたさくらは解せるが、そう出来たところでこの拘束から逃れられるわけではなく、寧ろ他の者達よりも多くの苦痛と屈辱を感じねばならなかった。  
「ぅあ、あえお、おおえんあいあおーおおえ……」  
『だからさあ、嬢ちゃんの躰で慰めてくれよう……!!』  
今度は男達の舌が、さくらの幼い躰にしゃぶりついてくる。さくらは、まるで蛞蝓か蛭かが躰の表面を高速で這い回るような感覚に襲われ、吐き気すら感じた。  
「んあ゛あ゛、あ゛あ゛……っ!!!!」  
『ハァ、ハァ……ッ、美味ぇよ、嬢ちゃん……』  
『この肉の感触……。これだからペドはやめらんねえ…!』  
『嬢ちゃん、俺達をどう思ってるのかなあ。変態って思ってるかなあ。キモイって思ってるかなあ……』  
「……あ、ああいあえあお!いいあえんいいいあいおあああおああい……あ゛、ぅあ!!」  
『いいさ、嬢ちゃんを好きに出来るなら、俺人間やめるよ……』  
そうして幾時間もの間、男達はさくらの躰をむしゃぶり尽くした。その蹂躙にさくらは正常な意識を失い、猿轡の間から躊躇いなく涎を垂らし、その目になにも定めなくなった。  
 
構わず咀嚼を続けた男達の興味は、やがてさくらの未だ叢すら伴わぬ花の丘に向けられる。  
『……』  
これまで背徳をすすんで犯してきた悪漢達も、最後の砦を目の前に思わず唾を飲んだ。如何に玩具同然とはいえ幼子に最後の締めを施すことは、さすがに躊躇われたのである。  
しかしそこは男達の苛みに否応なくも熱せられた躰によって蜜が滴り、さくらの躰が女のものであることを鮮烈に証明している。その蜜の芳香はまるで蜜蜂を誘う花から噎せ返ってくるもののように、男達の欲望を強烈に焚き付けるものであった。  
『……構わねえよ、な? 嬢ちゃん』  
「……」  
『…………な! そ、それじゃあ……』  
そして男の一人がさくらに跨ると、その薫る花畑に、既に急ぐものを垂れ流していた肉棒をゆっくりと、躊躇いがちに差し入れた。  
「ッ……あ゛!!!」  
さくらは自我をなくして、この惨事の時を切り抜けようとしていたが、その衝撃に目を覚まされ、恐怖と嫌悪の内に破瓜を覚えねばならぬという屈辱を強制的に味わわなければならなかった。  
「あ゛ぁあ゛ぁああ゛ぁ!!!!」  
『おい……どうだ?』  
『っこ、これが幼女とのファックか……!!』  
『だ、だから、どうなんだ……?』  
『っさ、さぁ、最高だ、良すぎ……!!』  
『!!』  
『すげえ締まって……ぅ、うぉぅぁ!』  
男は、さくらの膣中に容赦なく種汁を放射した。そうして事を終えた男は腹満杯に獲物を喰らった獣のようにどす黒い笑顔を湛えていて、その顔に極上の快楽を見た他の男達が我先にとさくらとの性交を望むのは最早、必然であった。  
「………………ぉぃぃぁん、ぁぅぇぇ…………」  
さくらはそう呟いて、またその意識を霧散させた。  
 
「った、助けて、朝倉くん……!!」  
そしてことりもまた周りの者達と同じく、その身を男達に弄り倒され、そして今まさに純潔を略奪されようとしていた。  
未だに解せない。なぜ自分は、自分達は、こんな目に遭わなければならないのか。本来愛する相手にこそ許したい行為を、悪意に満ちたこの悪漢達に捧げなければならないのか。  
夢であって欲しい。悪夢であって欲しい。夢なら、覚めれば忘れられる。  
いや、夢でなくてもいい。助けて欲しい。それこそ朝倉くんが突如颯爽と目の前に現れてこの輩をすべて薙ぎ倒してくれないだろうか。そうすれば、自分は楽に泣くことができる。  
だがそれはいずれも、ことりが微かに残る正常心で必死に楽観した夢幻に過ぎない。そうして楽観したのも、今現実のこの身に降りかかる苦痛を少しでも忘れるためであった。  
『おい、さっき言った“アサクラク”ってなんだ?』  
『んー、よくわからんが、多分このコのボーイフレンドじゃねえか?』  
『そうかそうか、お嬢ちゃんには彼氏がいるのか。んじゃあ、この俺をそのアサクラクと思ってくれて構わないぜ……?』  
「オジョチャン、イイヨ、イイヨー……」  
「い、い、いやああぁぁ……あ゛あ゛!!」  
そうしてことりは、体内でうねる肉身の、その振動による衝撃と共に、想い人に合わせる顔をなくした事に、むせび泣いた。  
 
その阿鼻叫喚の宴をモニターから覗く、二人の影。  
一人は、数日前ことりと音夢にクアースを分けたアメリカ人の男。そしてもう一人は、その音夢であった。  
「はは、大成功だ!これなら、次もいける。リピーターもついてくれそうだ!……全く、君のアイデアを最初聞かされたときは首を傾げたけど、今はホントこの話に乗って良かったと思ってるよ、音夢君」  
「いえいえ。お客さんはあなたが集めてくれたんですから、二人の手柄ですよ」  
二人はモニターの灯りのみでお互いを確認しあいながら、ほくそ笑みを浮かべあった。  
「しかし、本当に取り分は折半でいいのかい?これだけの上玉を集めるのは、結構かかったんじゃないのか?」  
「いいえ、あの程度でしたら、わたしの住んでる島にはそれこそ、捨てるほどいますよ。というか……」  
「というか?」  
「捨てるほどっていうか、捨てたいくらいでしたからね」  
そう言い捨てて音夢は、未だ終わる気配のない宴を眺め続けた。  
 
了  
 

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