「でね、ともちゃん。お兄ちゃんね、私が色々試着してみる度に『可愛いよ。可愛いよ』って、言ってくれるの…」
「ふうん…」
二人、行きつけのカフェ。そこで私は、ずっとこの調子で「お兄ちゃん」の話を続けるみっくんの聞き役に徹していた。
いくら話しても、話足りないらしい。その証拠に、みっくんのダージリンは全く減ってない。
私のほうと言えば、既にケーキも、アールグレイも、最初に出された水も、全て口に入れてしまった。
元々私たちは、私とみっくんと、あとことりとの3人で遊ぶことが多かった。
だが最近、ことりが、朝倉くんとつきあい始めた。
で、ことりが私たちと遊びに行く機会が、めっきり少なくなってしまったのである。
ことり曰く「朝倉くんには女の子と付き合ってるっていう自覚が足りない」らしい。
それで、ことりはその自覚を朝倉くんに持たせようと、ちょくちょく朝倉くんを遊びや買い物に連れ出している、というわけだ。
しかし実際、この組み合わせは意外だった。
朝倉くんの女子の評判はそんなに悪くなかった。実際私も、結構いいかな、と思っていた。だがしかし、ことりに対する男子生徒の人気度には遠く及ばない。
それだけに、朝倉くんにこれだけ入れあげる(言い方が変かな)ことりの図、というのは、皆にとってある意味新鮮であるとも言えた。
ともあれ、彼氏が出来てことりの付き合いが悪くなったのは確かだ。ま、女友達なんてそんなモンかもしれない。
「で、私その時結局何も買わなかったの。そしたらお兄ちゃんね『みっくんは何着ても似合うのにね』って…」
みっくんは、それ以前からこの調子だ。この子には、別にことりの付き合いが悪くなろうが、お兄ちゃんがいてくれればそれでいいのだろう。
ことりには朝倉くんがいる。みっくんにはお兄ちゃんがいる。二人とも幸せそう。
「ん?ともちゃん、聞いてる?」
「あ、ごめんなさい。聞いてますよ。あ、ところでみっくん、ちょっと携帯貸してくれません?」
「いいよ、はいっ。それでお兄ちゃんったら…」
その幸せ、友達の私にも、少し位、分けてくれてもいいよね。
「あ、ごめん、待った?えっと……」
「みっくんが呼んでるみたいに、ともちゃん、でいいですよ」
「あ、それでいい?」
前の日みっくんから借りた携帯から、その「お兄ちゃん」の番号とアドレスをひかえた私は、「みっくんのことで」と、彼本人を呼び出すことに成功した。
「ごめんね、みっくんが何か、とも…ちゃんに、迷惑とかかけた?」
「いえいえ、いつも楽しくお付き合いさせて貰ってますよ」
二人肩を並べる形で、地面に腰をおろす。
話してみる感じ、この「お兄ちゃん」は、整った顔立ちで、立ち振る舞いもスマートであり、その上とても優しい物腰。少女向けの漫画かライトノベルに出てきそうなキャラクターである。
これなら、あのみっくんはぞっこんになるはずだ。
「いやね…僕も兄として、みっくんにはしゃんとしてなきゃとは思うんだけど、どうしてもね…」
彼自身、妹には甘いらしい。そういえば朝倉くんも、妹に甘いんだっけ。
「でも、みっくんの気持ちもわかりますよ。私だって、お兄さんみたいなお兄ちゃんがいたら、きっとみっくんみたいに甘えちゃうんだろうな」
「そうかなあ」
「そうですよ…」
そうして私は、くつろぐ体勢でいた彼の間近まで寄ると、彼の下肢に手を伸ばし、その「男」の部分を一撫でする。
「!?…と、とも、ちゃん??」
「ねえ、お兄さん……私も、みっくんみたいに、甘えさせてもらえません……?」
待ち合わせに私が指定した場所は、街から外れた丘の上。火事でも起きない限り誰も来ないようなところだ。
「私、お兄ちゃんが、欲しかったんです……いつも、みっくんの話聞いてて、みっくんが羨ましいな、って……」
「ま、待ってよ、ぼ、僕とみっくんは、こんなことは…」
「え…でもみっくん、いつもお兄ちゃんといちゃついてるって……」
「そ、それじゃなくて…」
私の手は、いつでも「お兄ちゃん」の一物をまさぐれる位置にあった。
「ふふ、その『こんなこと』、みっくんと、してるんでしょう?」
「してない、してないって!」
「じゃ、したいでしょう?」
「い゛…」
「みっくん、可愛いですもんねえ…」
そのまま私は、彼の股ぐらの正面に顔を向け、彼のズボンを脱がしにかかる。
「ねえお兄ちゃん。おしゃぶり、したいよう……」
「や、やめてって、ともちゃん、僕はそんな……」
「みっくんとしたいこと、私としましょ…?私、みっくん役やりますから、お兄さんは、私のお兄ちゃんになってくださいね、お兄ちゃん?」
そういって私は、トランクスごと彼…お兄ちゃんのズボンをずらす。そうすると瞬く間に天に向けて屹立する一物が、私の眼前に現れた。
「っあ…」
「自分だけ、恥ずかしいですか?それじゃあ、私も…」
そうして私も制服を脱ぎ、ブラを外す。正直、胸のことなら、ことりにも勝る自信がある。
「じゃ、おしゃぶりするね、お兄ちゃん……」
私はお兄ちゃんの下肢深く顔を埋め、己が両胸でその眼前の陽物を丁寧に包みほぐすように狭持すると、その上に顔を覗かせた陽物の頂の裂け目を嘗味していく。
「……っ!ァ、ハァ…」
戸惑う様子を未だ見せていたお兄ちゃんであったが、私が愛撫を始めると、正直な吐息を漏らし始めた。舌技に加え、私がその両胸で陰茎を捏ね始めると、その声は更に熱くなっていく。
「っっ、ぁ…!!」
「えは…ね、気持ちいい?お兄ちゃん、気持ちいい?」
舌を離し、乳房の先端でお兄ちゃんの陰茎を撫でながら、私は聞いてみた。
「ん、んんっ、ん…」
お兄ちゃんは答えてくれない。今は、私がみっくんだというのに。
「足りないのお…?」
拗ねた声で私はまた、お兄ちゃんの陽物をその胸で狭持し直すと、お兄ちゃんの亀頭の裂け目辺りを、笛をくわえるように、口に含む。
「んんん、どうしてもおしゃぶりじゃなくて、ぺろぺろになっちゃうよう、お兄ちゃん…」
そう嘆きながら、私はお兄ちゃんから先走るものを吸い上げ、亀頭の笠を乳首で擽り、両胸の下からそれを支える手でお兄ちゃんの皺袋を弄ったりするうちに、お兄ちゃんは食いしばるような顔を見せ始める。
「く、く、あ…!!」
「ん、お兄ちゃん、いいですよ、出して、飲ませて…今、口を当てるから……んっ」
「あ、っぁあ゛!!!!」
お兄ちゃんの先端から吹き出す精液を、私は余すことなく飲み干した。
お兄ちゃんはぐったりと横たわると、未だその息を荒くしている。しかし私は、まだ物足りない。
私はその場に晒されっぱなしになっているお兄ちゃんの陽物を、またその口に含んだ。
「ま、また、おしゃぶり…?」
性根の抜けきった声を漏らすお兄ちゃんとは裏腹に、それは私の口腔の中でその身を膨張させていく。私はそれを確認すると、その口を離した。
「あ…」
「お兄ちゃん、まだ、寝ちゃだめ…」
「…?」
「私も、気持ちよくなるのお」
「……」
「お兄ちゃんには、最後まで、して貰うからねえ…!」
お兄ちゃんの返事を待たず、私はお兄ちゃんを跨ぎ、おしゃぶりの頃から今か今かとおねだりの声を滴らせていた私の女の中へ、半ば強引にお兄ちゃんを招き入れた。
「……!!」
驚くお兄ちゃんには構わずに、私はその腰を動かしはじめる。そうすることによって、お兄ちゃんの男と私の女の部分が混ざり合うように絡み合い、私もお兄ちゃんも堪らず声を漏らす。
「あっ、あぁあっ……!」
「はあっん、っぁん…」
驚くべきことに、お兄ちゃんの物は、一度達したあとにも関わらず、私の中で、先ほど私がその胸で掴み取っていた大きさよりも、更に膨らんでいくのである。
「凄いよぅ、お兄ちゃん…まだ、大きくなってく…はちきれそお……!」
「っぁあ、ぁああ…」
「お兄ちゃん、お兄ちゃあん……!!」
私は、夢中で腰を振り続けた。
こんな快楽が、毎日、四六時中得られるのなら、本当にこのお兄ちゃんの妹になってもいい、とさえ、冗談抜きで思えてくる。
みっくんも勿体ないことをする。こんな凄い一物を持つひとと、いちゃつきあうだけで満足しているだなんて。
…代わってくれないかな。
「お兄ちゃあん、お兄ちゃあんっ……っはぁ、あぁん、ああ、っふわあぁ……!……」
「んぁ、っあは、っぁっ、ぁぁ……」
もう、最後のほうは、何も憶えていない。
「…ッ!」
目を覚ますと、日がもう暮れようとしている。というか、私は、いつの間に寝てしまったのであろうか。
「お兄ちゃ…お兄さん?」
いない。私は制服を着ている。おそらく、寝ている間に着せられたのだろう。
「……次の約束、取り損ねちゃった……」
次は、お兄ちゃんのほうからもして欲しいな、と思いながら、私は帰路についた。
翌日。私とみっくんは、また二人であのカフェにいる。
「昨日のお兄ちゃん、なんか変だったの」
「変って?」
「遅く帰ってきてね、私が『どこに行ってたの!』って怒ったら…本当は帰ってきてくれて嬉しかったんだけどね、とにかく怒ったらね…」
「そうしたら?」
「突然私のこと、ぎゅっ、ってして『みっくんはお兄ちゃんのこと、嫌いになったりなんかしないよね』って言い出して…」
「……」
「私が『絶対そんなことない、大好き』って言ったら…」
「言ったら?」
「お兄ちゃんいつもより、もっと優しかった!」
幸せを分けてくれて、ありがとうみっくん。みっくんのお兄ちゃん、私も凄く好き。凄いから。
さて、あとは、ことりにも朝倉くんっていう幸せを、分けてもらおうかな……。
了