「あ〜やべェ。間に合わないかも」  
放課後、人影の見あたらない校舎の中を、純一はことりと待ち合わせている校門へ向かって走っていた。  
「何だよあの問題は・・・あれが本当に俺達の年代が解く問題なのかァ?」  
終わらないのではとさえ思われた補習を何とか抜け出してきた純一は、未だ解らぬその問題に眉をしかめた。  
「ああもういい、忘れよ忘れよ。それより急がないと・・・言い訳しても、絶対見破られるからなあ・・・」  
そう呟きながら足を速める純一の前に、二、三人の男達が立ち塞がる。  
「お前・・・朝倉純一だな!!」  
「そ、そうだけど、何だよお前ら・・・グッ!?」  
突如鳩尾に差し込まれた衝撃に耐えきれずに、純一は肺の中の空気を全て吐き出した。  
 
意識が遠のく中、純一はあることを思い出していた。  
・・・あれはあのミスコンに端を発する。  
そう。壇上でのことりの告白。それに対する純一の、キスでの返礼。  
あの事件以来、学内では、朝倉純一と白河ことりは付き合っている、という全生徒共通の認識が出来たのであったが、  
そのことで、以前より非公式ながらも存在し続けていた白河ことりファンクラブが、悔しいながらも  
ことり自身の幸せのためならその関係を応援しようではないか、という“穏健派”と、  
断じて認められぬ、絶対にあってはならない、という“過激派”との二つに分かれてしまったのであった。  
“穏健派”“過激派”などと揶揄されるのは、過激派の輩はその名の通り、強行策もやむなしと企んでいると思われる発言を  
繰り返しているからである。  
奴らには君も注意した方がいい と、自身も穏健派の者に忠告されていたのを、純一は今更ながらに思い出す。  
『くそっ・・・油断したか・・・』  
そのまま、純一の意識は途切れた。  
 
突然の冷気に、また純一の意識が甦る。頭から水を掛けられたらしかった。  
暗い、じめつく空気。場所は体育館裏あたりだろう。  
身動きがとれない。二、三人に脹ら脛あたりを踏まれ、腕を羽交い締めにされてしまっている。  
「起きたか」  
目の前の、過激派のリーダー格らしき男が、純一の顔を見下ろしながら言った。  
「くそッ・・・何のつもりだよ・・・」  
「苦しいか?苦しいだろ?・・・しかし俺達のこの心の苦しみは、こんなもんじゃあないっ!!」  
「放せ・・・放せよっ・・・!!」  
「何、俺達も別にただ拷問がしたくてこんなことをした訳じゃあない。取引をしよう」  
「・・・!?」  
「明日・・・いや、今から白河嬢に、『もうお前とは付き合えない』と、こう言うだけだ。  
 簡単だろう?そうすれば、今すぐにでもこの苦しみから逃れられる」  
「イヤだと言ったら・・・アウッ!!」  
男の爪先が、純一の腹をえぐった。  
「この責め苦が続く。どうだ?いい条件だと思わないか?」  
激痛に、純一は項垂れる。男の爪先はそれを許さぬがの如く、純一の顎を蹴り上げた。  
そうして暴行は幾度にも与えられた。だが純一はなかなか提案を呑む気配を見せない。  
男は次第に苛立ちを見せ始めてきた。  
「お前なんかには・・・白河嬢は不釣り合いだ!!お前もそう思うだろう!!」  
「イヤ、だ・・・・・・ゥア゙ッ!!」  
「強情な・・・なぜ、こんな簡単なことも判らんような奴がッ!!」  
「・・・ィ・・・・・・ャ・・・・・・グアッ!!」  
「しぶといな・・・おいっ」  
羽交い締めが解かれた。が、もう既に抵抗する体力をなくしていた純一は、身動きすら出来ない状態にあった。  
だが、その口は如何なるとも承諾の言葉を漏らすまいとして、動悸を漏らしては、ぐっと閉じられる。  
「こうなったら・・・とことんやってやる・・・!!」  
 
 
「やめて!!!!!!」  
突如、悲鳴にも近い叫びが、あたりに響いた。  
「し、白河嬢・・・・・・!!」  
「・・・こ・・・・・・ことり・・・!?」  
「おっと、私もいるぞ」  
「・・・暦先生も・・・・・・!?」  
「朝倉君、大丈夫!!??」  
呆然と焦燥とが混じり合った表情を浮かべる過激派には目をくれずに、ことりは純一のそばに駆け寄った。  
「ことり・・・なぜ、ここに・・・?」  
「だって・・・朝倉君、いつまで待ってもこないから・・・心配して、学校中を探してたの・・・」  
「軟禁か何かしてんじゃないかって、私のことを疑ってきたんだぞ、この子は・・・」  
暦が口を挟む。  
「そうしたら、この近くで、何か・・・物凄く黒い感情が渦巻いてるのと、弱まっていってる朝倉君の感覚を感じて・・・・・・・・・ッ!!」  
そういって、ことりは過激派の方を睨みつける。  
その表情に、過激派は驚愕し、困惑し、恐怖した。  
その色は彼らが唯一無二の存在として崇拝する程に惚れ込んでいた、いつものことりの優しい笑顔ではなく、  
彼らへの怒りを率直にぶつける瞳を携えた、今まで誰も目にしたことのない物であったからだ。  
 
「・・・・・・」  
次第に、心なしか水の光を帯び始めたその瞳を前に、  
「待ってくれ・・・!」  
過激派のリーダー格の男は、最後の抵抗を試みた。  
「どうしてその男なんだ・・・外見はさておいて、そいつはいつもかったるいかったるい言って、  
生産的とはとうてい思えない行動をとって、ふざけているようにしか・・・」  
「・・・ふざけているのはそっちよ!!」  
緊張が、辺りを埋め尽くした。  
ことりの瞳から涙が、堰を切ったかのように溢れ出す。もう、男に為す術はなかった。  
「人の気持ちを知ってるわけでもないくせに、心の痛みがどうこうとか言わないで!!!」  
「・・・・・・!?」  
「ことり・・・?」  
さすがの純一も、ことりの憤る様に面食らわずにはいられなかった。  
「・・・ごめん、朝倉君。早く保健室行こう・・・・・・お姉ちゃん」  
「ああ。ほら、鍵だ」  
「ありがとう」  
暦から鍵を受け取ると、ことりは純一に肩を貸しながらゆっくりと歩き出す。そのおぼつかない足取りに、  
「て、手伝うよ」  
過激派の一人が声を掛けるも、  
「いりません」  
とことりは冷たく言い放った。  
「そんなこと言ったって・・・」  
「私の朝倉君に触らないで!!」  
「は、はい」  
ことりに気圧され、それは力無く引き下がっていった。  
 
「白河さん・・・」  
あれほどまでに狂気を滲ませながら純一を私刑に処していた過激派の連中は、意中のことりの憤りの前に完敗し、  
力無く突っ立っていた。  
二人の歩みを見守っていた暦が、そんな彼らに声を掛ける。  
「ま、お前らは修行が足らんということだ。・・・しかし」  
一同の顔が蒼白になる。  
「分かってるよな?自分らのしたコトは」  
「あ、あわ、あわ・・・」  
「て、停学?退学?それとも・・・」  
「さあな。全く、体育館裏に連れ込んでリンチなんて、いつの時代のセンスなんだか・・・」  
「り、リーダーがやろうって、言ったんですよ!」  
「共謀した以上同罪だ。・・・だが、私にあいつらを、面倒臭いことに巻き込む気はない」  
「え?」  
「金輪際、二人を邪魔してくれるな。もしお前らがそうすると誓うなら、ここでは何も起こってない。  
 私も何も見ていない。そういうことにしてやる」  
「は、はい!わかりましたっ!」  
「誓います!!絶対誓います!!」  
「よ、よかったあ〜」  
他の連中が二つ返事で了承する中、リーダー格の男はずっと黙り込んでいた。  
「・・・ふん。で、お前は?」  
「・・・・・・・・・」  
「どうなんだ?」  
「・・・分かってますよ。・・・拒んだところで、どうにもならないんでしょうからね。俺はあの男程馬鹿じゃない」  
「結構。さあお前ら、とっとと帰れ!」  
辺りは、すっかり暗くなっていた。  
 
 
純一が目を覚ますと、不安そうなことりの表情がみるみる笑顔に変わっていく様が、その眼前に映ってきた。  
「良かった・・・!」  
「あれ、俺・・・寝てた?」  
「ええ。朝倉君、ベッドに横になったら、すぐに寝ちゃったんですよ」  
「ふーん・・・」  
「ふーん・・・じゃないですよ!もしかしたら朝倉君、一生起きあがってこないんじゃ、って心配だったんですから!」  
「そんな、大袈裟だよことり・・・」  
「だって、だって、私の所為で・・・!」  
見ると、ことりの目は真っ赤になっていた。どれほど泣いたのだろう。  
「ことりの所為じゃねえよ。あれはあいつらが勝手にやったコトじゃないか」  
「そもそも、あれが一つだった頃から、私が迷惑だから止めてって、はっきり言っとけば、こんなコトには・・・」  
「もう泣くな、泣くなよ・・・」  
「ごめんね、ごめんね・・・」  
泣いてばかりいることりに戸惑う純一の気持ちを察したか、ことりの嗚咽は幾分か収まってきた。  
「落ち着いた?」  
「うん、大分。・・・朝倉君の方は?」  
「ああ、ほぼ全快だな」  
純一は全快ぶりをアピールしようと、半身を起きあがらせてファイティング・ポーズをとってみせる。  
「イヤまあ少し前まで音夢に広辞苑で頭どつかれて起きてたせいか、体は丈夫になってんのかなハハハ・・・ッつ!」  
「朝倉君!?」  
「ま、まだ少し残ってるかな、いやでも平気平気・・・」  
「寝てなきゃダメですよ!」  
起きていようとする純一を、あわてたことりが立ち上がって寝かせようとして・・・  
二人の距離が、あの晴れて二人が付き合うきっかけとなった、あのミスコンの時と同じになった。  
 
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
二人は黙り込んだまま、あの時と同じように見つめ合い、そして、あの時と同じように、唇を重ねた。  
「・・・ごめんな、ことり」  
「・・・え?」  
「ボコられてるとき、正直、とりあえず口先だけあいつらの要求のんじまう振りしちまおうか って、思っちまってた」  
「・・・そうしちゃえば良かったのに。どうして、そうしなかったんですか?」  
「・・・何故だろう。わかんねえ。・・・ってか、何故今こんなコト言おうって思ったんだろ。あーわかんね、ハハハ」  
「ふふふ・・・」  
照れなくてもいいのにな と、ことりは思った。  
「・・・多分・・・だけど。私も、今の朝倉君と、同じ気持ちですよ」  
「え・・・?」  
純一の疑問に答えずに、ことりは、今度は自分から、純一の唇を奪った。  
「び、びっくりした。ハハ、こんなコト、あの時にはなかったのにな」  
「朝倉君・・・今日は、あの時じゃないですよ」  
「・・・・・・」  
「今日は、あの時よりも、もっともっと、朝倉君が欲しい・・・」  
 
半ば震える手で、純一は自分のシャツを脱ぎ去ると、目の前には既に制服とスカートを脱いで下着だけになっていることりがいた。  
「黒・・・」  
「変・・・ですか?」  
「い、いいや・・・」  
面食らったのは確かだが、ことりの形の良い躰には、黒色の下着も十分似合った。  
純一はその躰を腕に抱き取ると、たまらずことりの背中の方へと手を伸ばした。  
「いい?」  
「うん・・・朝倉君になら、いい」  
伸ばした両手で、その留め金を覚束ない手つきで外すと、純一は息を飲みながら、ゆっくり下へとずらしていった。  
「そ、そんないい物じゃ・・・なんだか恥ずかしいよ」  
やがて、先ほど下着を纏っていたときと同じ形をした乳房を、純一は目の当たりにした。  
「そんな風に見ないで・・・恥ずかしい・・・・・・」  
純一は手を伸ばし、その二つのふくらみを手に取る。今度はことりの許可を取らなかったが、  
ことりも、特に拒む仕草は見せなかった。  
「ふああっ・・・私すごく・・・どきどきしてる・・・・・・」  
乳房を手で優しく愛撫しながら、その先端へ舌をのばし、舌で転がしてみたり、また吸ってみたりする。  
「気持ち・・・いい?」  
「んっ、すごく、気持ちいいよ・・・私、癖になりそで怖い・・・はああっ、くはあっ、んっ・・・」  
と、ことりが、堪えきれない、といった感じの声を甘く漏らしていく度に、純一の興奮は、限度を知らぬ程に高まり、  
何かたがのようなものが外れそうな感覚に陥る。  
 
と、突然、ことりがこう言い出した。  
「ね、朝倉君、私だけ、気持ちよくなってちゃ、悪いよ・・・」  
そうしてことりは、純一の股間の方へと顔を近づけ、純一のそれを優しくまさぐり始めた。  
「ことり・・・?な、何を・・・?」  
「お願い・・・私に・・・させて」  
突然のことりの言動に、純一は戸惑った。しかしそんな純一の困惑などつゆ知らず、彼の一物は更に硬度を増す。純一は意を決した。  
「じゃ、じゃあ・・・お願い」  
「初めてだから・・・あんまり、良くないかもしれないけど、じゃあ・・・」  
「じ、自分で出すよ」  
純一は慌てて、ズボンの窓から倅を覗かせる。ことりにこれを見せるのには少し抵抗があったが、いずれこうなってた、  
と何度も何度も己に言い聞かせて、屹立した一物をことりに見せた。  
「これが・・・」  
「あ、あのう・・・・・・」  
「ご、ごめんね。じゃあ、・・・んっ」  
やがて、ことりの可愛らしい口が、純一のそれを含んだ。ことりの口内は一物を暖かく包み、  
その中の舌は巧みとも形容できる動きで竿の先を丁寧に転がっていく。  
「ッはぁ・・・」  
純一は、思わず声を漏らした。  
くわえたままの形で、ことりが純一の顔を見上げる。  
「いいよ、すげえ、いい・・・ホントに初めてなの?」  
「んん、んんんん・・・」  
ことりが困惑した表情を浮かべる。否定しているらしかった。  
「ウソウソ・・・それぐらいいいってコトだよ・・・」  
その言葉に反応してか、舌の動きが更にいやらしいものになる。純一に、限界が訪れようとしていた。  
「や、やばい、出ちゃうよ、ことり。マジ、やばいって・・・!!」  
そう純一が言っても、ことりは口を離そうとしない。  
「ことり・・・・・・・・・ッ!!」  
純一は、口の中で達した。  
 
「大丈夫・・・?」  
口を離したことりに、純一がすまなさそうに声を掛ける。  
しかし、ことりは特に気にしてない様子だった。  
「平気っす。それより、気持ちよかったですか?」  
「そ、そりゃあ・・・」  
「あ。朝倉君、まだし足りない、って感じですね」  
「・・・!」  
確かに、純一のあれは、未だ高みを目指していた。  
「こうなった以上、最後まで・・・しよ?」  
こう誘うことりに、純一は不思議な気持ちを感じていた。なんかどうも、今のことりはこれまで自分がうかがい知ることりとはちょっと違う気がする。  
「私はずっと白河ことりですよ?それに今の私がおかしい、って言うんなら、おかしくしたのは朝倉君ですからね・・・?」  
そして、そんなことりにも魅力を感じている自分も、またここにいた。  
「んじゃあ、いくよ」  
 
ことりの上に覆いかかった純一は、唇と舌でことりの乳頭を頬張りながら、秘部の方へと右手を伸ばしていく。  
最初はショーツの上からゆっくりと、その生地に浮かび上がっている女のものに沿うように撫で回す。  
「んっ・・・はぁ・・・いいよ、いい・・・・・・癖になりそ・・・」  
やがてその間へと手を潜り込ませて、その溝に指を這わせていった。中は既に湿り気を帯びている。熱い。  
「ああ・・・朝倉君に触られてるってだけで、興奮するのに・・・・・・」  
「ことりは人を乗せるのが巧いね・・・・・・」  
たとえ会話が始まっても、純一はその手を止めない。いつの間にか、先ほどまでの羞恥心はすっかり消えていた。  
ことりの反応は、純一の悪戯心を更に擽る。  
「ほんと、ほんとですよう・・・・・・ひぁっ、あの時よりずっと前から、私、朝倉君のことが好きだったから、で、あっ」  
「なんの話・・・?」  
「いや、それはあの・・・で、朝倉君の方こそ、ホントに初めて、なの?朝倉君の方こそ、巧いよ、気持ちいい・・・・・・んはぁ」  
そして純一はことりの秘部に顔を近づけていくと、ショーツをゆっくりと下ろしていった。  
「わ、私が脱ぎますよ」  
「俺がやるよ・・・脱がせたい」  
「ええっ・・・や、やっ」  
「・・・こうなってるのか・・・」  
「は、恥ずかしいよう・・・・・・!」  
そうして全て脱がせ、一糸まとわぬ状態となったことりに、純一は  
「さっきことりがしてくれたこと・・・俺もしてあげるよ」  
といって、あそこへと舌をのばしていった。  
「ふわあ、ああ・・・・・・」  
ことりがたまらず声を上げる。  
水音をたてながら、純一が陰唇に舌をたてる度に、自分の中で、ある一つの願望が、自分の全てとなっていく気持ちになる。  
そしてそれは、純一も同じであった。  
「ことり、そろそろ・・・・・・」  
「朝倉君・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・いいよ」  
 
純一のそれが、ゆっくりと、ことりの中へと沈んでいく。  
その中は、先ほど指や舌でいじっていたときよりも更に熱を帯びていた。  
「・・・・・・っっ!!」  
ことりは身を捩らせる。想像とは違う何か違和感のようなものと痛みが、ことりを襲う。  
「・・・・・・ことり?」  
純一は戸惑った。先ほどまで全てを煩悩のままにことりにぶつかっていけたのは、ことりの甘い反応があったからこそ  
であったが故に、今までとは少し違うこの反応には不安を感じざるをえなかった。  
そんな純一に、ことりは優しく答えた。  
「大丈夫・・・少し、痛かっただけ・・・でも平気。だから、続けていい・・・・・・ううん、続けて欲しい」  
その言葉は、純一の焦燥する気持ちを察したが故のみに発せられたものではなかった。  
ことりは、違和感に襲われてもなお、その身に興奮を沸き上がらせていたのである。  
『今朝倉君に止められたら、それはそれで私はおかしくなりそう・・・』  
そう思いながら物欲しそうに見上げることりを見て、純一は改めて意を決した。  
「分かった・・・あとで後悔しても、容赦しないからな・・・」  
やがて純一は、陽物をことりの膣内で妖しく動かし始める。最初はゆっくりと、馴染ませるかのように蠢かし、  
そして少しずつ、その勢いを増していかせる。  
「・・・あっ、あはぁっ、すごいよ、朝倉君・・・んああっ・・・・・・」  
「・・・っは、嬉しいよ、ことり・・・・・・」  
やがてことりの躰から沸き上がってくる興奮は、今本来体が感じているはずの異物感や痛みなどを何処へと消し去り、  
如何とも形容しがたい幸福感の中へと、その身を引きずり込んでいく。  
その中で喜びを囀ることりの肉壁はますます潤いと握力を増し、一度歓喜を吐いた純一の一物を、再び頂へと押し上げていった。  
 
「・・・・・・ぁあっ、あっ、ああんっ・・・」  
「こ、ことり、俺、もうやばいよ・・・」  
「だ、だめぇっ。朝倉君、容赦しないって言ったのにぃ・・・・・・」  
「いや、だって、もう、限界なんだってばっ。それに、デキたらまずいだろ・・・?」  
「だからって、今、止めちゃうのはだめぇっ・・・」  
「や、止めちゃダメって・・・そしたら、膣内に出ちまうよ・・・」  
「いいよ、構わない。だから、最後まで入れててえぇっ・・・・・・ぁぁあっ・・・」  
「ああ、俺、もうっ・・・・・・・・・・・・!!」  
「・・・・・・はあぁ・・・・・・・・・・・・っ!!」  
 
「私、初めてなのに、すっごく興奮しちゃいました・・・」  
「そのようで」  
全てを終えたあと、二人は川の字に寄り添って━━ことりは純一に腕枕をしてもらいながら━━会話をはじめた。  
あれほどまでに乱れたのに、何故か照れくさい。  
「しかし、ことりがまさかあんなんなるとはなあ・・・いつものことりとは別人みたいだったよ」  
「や、恥ずかしいですよ・・・朝倉君だって、初めてとは思えない位巧かったじゃないですかあ・・・」  
「で・・・なんで俺が初めてだったって分かるの?俺そんな話したことあったっけ?ことりが初めてだったって言うのは、血が付いてたから分かったけど・・・なんで?男のそういうのって、分かるのか?」  
「い・・・そ、そうですよ。女にはそういうのって分かるもんです。そういうもんです・・・で、でも」  
「でも?」  
「お互い初めてなんて・・・結構、素敵かも」  
「・・・・・・かもね」  
「・・・・・・で、朝倉君、また・・・しましょう、ね?」  
「そりゃもちろん・・・って、ことりの口から、そんな言葉を聞くなんてな・・・ちょっとビックリ」  
「変?」  
「変つうか、いや、そういう訳じゃあないけど・・・」  
「朝倉君だから・・・ですよ」  
 
 
「ん・・・」  
ことりは目を覚ました。いつの間にやら寝てしまったらしい。傍らの純一はまだ寝ている。  
なにやら外は眩しい。・・・まさか。  
「あ、朝・・・!?」  
「あ・・・ことり・・・?」  
「あ、朝倉君、起きて。起きてください。朝ですよ。私たち、朝まで寝ちゃったみたい」  
「俺は朝じゃなくて朝倉・・・・・・って、え、マジ!?」  
見ると、もうすぐ部活の朝練に来る生徒が登校しはじめる時間であった。  
二人は急いで、脱ぎ捨ててあった制服に着替える。  
「おう、二人とも。そんな皺だらけの制服で・・・朝倉のには泥やらもついてるな・・・でこんな朝早くから保健室登校か?」  
突然の声に二人は思わずひゃっ、と素っ頓狂な声をあげる。保健室の入り口に、暦が立っていた。  
「お姉ちゃん!?」  
「こ、暦先生、俺達は何もやましいことは・・・」  
「全く、帰ってこないと思ったら・・・朝倉、中で出すなんて真似、してないだろうな?」  
「い!?い、い、いいや、そんなわけは」  
「これからの展開如何ではお前を殺すぞ」  
暦は、全てお見通しの様であった。  
 
 
そしてその後、純一はことりを暦に任せ、自分は家に帰ることにした。  
自分の部屋に入り、一応、着替えをすませる。しかしどうも、今からまた学校に行くのは「かったりぃ」と思われた。  
ふて寝を決め込んでいた頃、ピンポーーーン、と、玄関のチャイムが鳴った。  
純一は居留守を使おうとするも、何度も何度も鳴るので、仕方なく出てみると  
「あー、やっぱり、サボるつもりだったんですね!」  
ことりの姿があった。  
「どうしてここに・・・?」  
「私も家に帰らされたんです。それで、こっちに寄ってみたんですけど・・・」  
「悪い悪い。行くよ、行きますよ・・・」  
「あ、でも、朝倉君は昨日の傷の療養ってコトにしちゃったらどうですか?」  
「え?」  
てっきり叱られるかと思った純一は、ことりのその言葉に一瞬呆然とした。  
「それじゃあ私は、その朝倉君の看病・・・っと。休む理由には十分っすね」  
「オイオイ、ことりらしくないな・・・けど、それもいっか」  
「そうそう!それじゃ、お邪魔しますね・・・」  
どことなしか変わったようなことりに、純一は苦笑する。  
「はは、女があれで変わるって、本当なんだな・・・」  
と、家の中から声が聞こえる。  
「あ、そうそう、昨日の約束、憶えてますか?」  
「約束?」  
「また、してくれる・・・・・・って」  
「・・・・・・え」  
 

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