今日は、午後からの授業しかない。  
そんな朝早く、私の携帯に同じ学校の子からの電話がかかってきた。  
「ねえ、朝倉さん。今日暇?」  
「え?」  
「暇だったらさあ、学校終わってから合コン行かない?」  
「合コン・・・・・・」  
「向こうは医者の息子とか来るらしいんだあ。ここでいい縁作っときゃさ、就職ん時困ることがなくなるじゃん、ね?よくない?」  
「でも・・・私は遠慮しときます。そういうの、苦手だから」  
「えー、どうして?いい話だと思うんだけどな〜。まさか『お礼参り(←看護学生などがとある病院に、卒業後そこに就業することを約束するかわりにそこに学費等を負担して貰うこと)』があるの?」  
「そうじゃないけど、とにかく、ごめんなさい」  
「マジ〜?困ったなあ。朝倉さん、結構可愛いからさあ。居てくれたら戦力になると思ったんだけど・・・」  
「ほんとごめん」  
 
級友の低俗な頼みを、私は何とか振り払った。  
「・・・くだらないわね」  
正直、そうとしか思えない。合コンなんて、やれる相手なら誰でもいい と思うような獣じみた輩が行くものだ、と私は思っている。  
私はそんな荒淫じゃない。私には、あの人でなければダメなのだ。  
・・・それに第一、私は暇などではない。  
 
朝食を済ませると、私は何するより先に、PCのスイッチを入れる。  
OSが起動し、とあるアプリケーションをスタートさせた。  
「兄さん、帰ってきてるかな・・・昨日はどこか遊びに行ってたみたいだったけど・・・」  
やがてそれは完全にスタートし、そのウィンドウは朝の、少し薄暗い部屋の様子を映し出す。  
『あー、やっぱ、かったりいなあ・・・・・・』  
「んもう、兄さんったら・・・そっちは朝から学校でしょう?サボるつもりなの?」  
そこには、自室でくつろぐ兄さん・・・・・・朝倉純一が部屋でだれる姿がありありと映っている。  
「・・・おはよ、兄さん・・・うふふ」  
私は、画面の兄さんに微笑む。  
 
話は私が島を離れる少し前に遡る。  
・・・私は結局、島を離れるその日まで兄さんに本当の気持ちを伝えることが出来なかった。  
でも、兄さんのことが気になる。兄さんの顔をいつも見ていたい。  
こう思った私は、美春を通して、その父である天枷教授にあるものを作ってもらった。  
それが、マイク付き超小型無線カメラ。  
『この島が好きだから・・・・・・離れててもいつもこの島の様子をいつも見ていたいんです!』  
と美春と教授に言うと、両者とも感激して、快くこの開発に着手してくれた。  
そうしてできあがったこれは、正直私もまさかここまで、と思う程に高性能だった。  
その名の通り超小型で、ちょっと目につかないところにつけておけば人に気付かれることはない。  
それでいて、そこらのジャンク屋で手に入る似たやつとは比べものにならない程に画像を鮮明に映し出す。  
またマイクもついており、こちらからの調整で雑音をとって「人の会話」のみを拾って聞き取ることも出来る。  
そうして撮影された映像はリアルタイムで私の家のパソコンに送られ、私はそれをこのために特別にプログラミングされたアプリで見ることが出来る。殆ど誤差はない。  
そしてなにより微少な電力で動くので、実家の屋根にこっそりつけておいたソーラーパネルが作る電力を溜めている蓄電池に、数あるそのカメラの電源コードを一括してつないでおけば、十分に動いた。  
これは教授にとっても会心の出来らしく、『あの子にもこのノウハウを生かしてやりたい』などと語っていた。私には意味がよくわからなかったが。  
こうして手に入ったそれを、私は玄関と居間と台所、一応私の部屋と、そして兄さんの部屋に、こっそりセットしておいた。  
そしてここに来てから、私は家では兄さんが家にいる日は毎日、兄さんの様子を眺めて過ごした。  
「兄さん、寂しくなんかないよ・・・・・・私はちゃんと見ててあげてるからね・・・・・・」  
 
『ピンポ━━ン、ピンポ━━ン、ピンポ━━ン・・・・・・』  
むこうでチャイムが鳴ったようだ。だれていた兄さんが起きあがる。誰だろう。  
私は一応、玄関のカメラに映像を切り替えてみる。・・・すると。  
『あー、やっぱり、サボるつもりだったんですね!』  
『どうしてここに・・・?』  
「し・・・・・・白河さん・・・?」  
私は目を疑った。白河さんが兄さんを訪ねる理由などあるのだろうか・・・まさか、そんな、まさか。  
『私も家に帰らされたんです。それで、こっちに寄ってみたんですけど・・・』  
『悪い悪い。行くよ、行きますよ・・・』  
物凄くうち解けた感じのやりとり。その様を見て、私の不安は一瞬で形をなした。  
「ウソ・・・・・・」  
信じられなかった。私と兄さんとの間で障碍となる存在は、さくら、或いはせいぜい眞子か美春ぐらいだと思っていた。  
確かに兄さんと白河さんが会話をしているところを見たことはあったが、それは別段艶っぽいものとも思えなかった。  
白河さんは容姿端麗で歌も上手く、それでいて人当たりもよく、常に人の気持ちを察した発言の出来る性格。校内でファンクラブができる程だった。  
そんな彼女と、いつもぐうたらしている兄さんが引っ付くなんて、思いもしなかったのである。  
あの時はさくらのみに気をとられ過ぎていた。白河さんも女である。兄さんになびくことは十分考えられたのだ。  
・・・・・・油断していた。そう私が焦燥する間も、二人は楽しそうに会話をする。  
『あ、でも、朝倉君は昨日の傷の療養ってコトにしちゃったらどうですか?』  
昨日の傷!?白河さ・・・この女、私の兄さんに何かしたの!?  
『え?』  
『それじゃあ私は、その朝倉くんの看病・・・っと。休む理由には十分っすね』  
『オイオイ、ことりらしくないな・・・けど、それもいっか』  
『そうそう!それじゃ、お邪魔しますね・・・』  
よくない、よくない!!  
『はは、女があれで変わるって、本当なんだな・・・』  
あれって何!!?・・・まさか・・・・・・嘘。  
『あ、そうそう、昨日の約束、憶えてますか?』  
『約束?』  
『また、してくれる・・・・・・って』  
『・・・・・・え』  
私は、自分の全てが音を立てて崩れゆくのを感じ、半ば意識を失いかけた。  
 
そんな私の様子を知るはずもなく、二人は手をつないで居間の方へと向かっていく。  
我に返った私は急いで居間の方のカメラに切り替えると、二人はソファに並んで座っている。そしてそのまま照れくさそうに見つめ合うと・・・・・・唇を重ね合わせた。  
「だ、だめぇっ!!」  
虚しく響く。私の声は届かない。  
『あー・・・なんか今日のことり、昨日に増してやらしい感じ・・・』  
『ん・・・・・・だから・・・・・・それは朝倉くんだから・・・・・・』  
前からこの白河という女にはその完璧すぎる内容に少し取っつきにくさを感じていたが、今日ほどこの女  
が忌々しく見える日はなかった。  
この女は見てくれは清楚な才女を装っているが、その中身は私がいなくて少しガードが甘くなっている兄さんを躰巧みに誑し込む婬虐な雌狐であると思える。  
『あ・・・そうだ。朝倉くんの部屋・・・・・・見てみたいな』  
『いや・・・ちょっと、散らかってるけど』  
『掃除してあげますよ』  
少し寝たぐらいで兄さんの女房面をする白河に、私の苛立ちは膨れ上がる。  
私は居間のテーブルの上に兄さんがいつものように携帯を放り出しているのを確認すると、自分の携帯をひっつかんで、兄さんの携帯番号にコールした。  
すぐさま、画面の向こうで兄さんの携帯が鳴る。兄さんはそれに気づくと、それに手を伸ばした。  
「兄さん、兄さん!」  
早くとって、早く!と私は兄さんを電話越しの声を聞く前から呼んでしまう。・・・すると、  
『だめ!』  
と白河が兄さんから携帯をかすめ取ると、その着信を止めてしまった。  
「な・・・!!?」  
私は唖然とする。  
『こ、ことり・・・』  
『・・・ね、今日は二人っきりで過ごそ?そうじゃないと、二人ともずる休みした甲斐がないっすよ』  
『ふぅ、もう、困った奴だなあ、ことりは。いつからそんな悪い子になったんだ?』  
『ん?・・・・・・それも朝倉くんの所為・・・・・・』  
何から何まで兄さんの所為にして自分は被害者面する白河に、私は今までにない憤りを覚えた。  
兄さんも兄さんだ。何故にこうもこの雌狗に甘いのか。学園のアイドルと寝たということに浮かれているのであろうか。  
『でさ、さっきの電話・・・誰からだった?』  
『!・・・・・・知りません・・・』  
この嘘つきめ。あんたはさっき携帯をひったくった時、サブディスプレーを少し見てたじゃないの。  
 
二人は二階へ上がっていく。私は兄さんの部屋のカメラに切り替えた。だがしかし、二人が入ってくる様子がない。  
居間、台所、玄関。どこにもいない。それに確かに二階へは上がったはず。  
まさか・・・・・・━━今日はいやな予感が連続する━━と思い、私は私の部屋のカメラに切り替えてみると・・・・・・いた。  
『・・・別に音夢の部屋なんか見たって、しょうがないだろ・・・』  
『・・・綺麗にしてあるんですね』  
いくら誰も使わない部屋といえど、埃はたまる。兄さんは時々、私の部屋を掃除してくれていた。そして綺麗になった私の部屋を見渡して、少しもの悲しそうな顔をすることがあった。  
そんな兄さんを見て、私は兄さんの思いに嬉しくなると同時に、今あの場にいられないことを悔やんだりもした。  
そんな私と、あと兄さんだけに許せるその場所に、白河はずがずがと入り込んでくる。なんて厭な女。  
『あ、そうだ、朝倉くん・・・・・・』  
『?』  
『ね、今、ここで・・・・・・しよう?』  
「!!!!」  
白河は妖しく微笑んで、とんでもない言葉を吐きだした。これには兄さんも度肝を抜く。  
『オイオイ・・・冗談だろ?』  
『いいじゃないですか。別に、誰も見ていないんですから』  
見てるわよ!!  
『けどさ・・・・・・』  
 
ふと、白河の様子が変わった。何となく、俯きがちになる。  
『・・・・・・音夢に・・・・・・後ろめたい思いをするから?』  
『い、イヤ、そういうワケじゃないけど・・・』  
『・・・・・・朝倉くん、この部屋に入ってきてから、・・・ううん、この家にいる間は、なんか寂しそう。・・・音夢のことを、いつも気にしてるみたいで』  
『・・・・・・』  
『正直、私、音夢に嫉妬してる』  
そういって、拗ねた顔を見せた白河に、兄さんは慌てて口を開く。  
『イヤ、なんでことりが嫉妬しなきゃならんのさ。あいつは俺の妹なんだ。それ以上でもそれ以下でもない。でも兄貴が妹の心配してやるのは当然のことだろ?』  
「・・・・・・!!!」  
兄さんが私へ抱く思いを、今はじめて兄さんの口から聞く。よく考えたら、兄さんは私をどう思っているのか、今まで知らなかった。  
『確かに、さ。今まで二人暮らしの時間が長かったぶん、人目にはべったりな兄妹に見えるとは思うぜ?実際、俺も、音夢のことを気にしすぎだとは思う。あいつはあいつで、しっかりしてるのにな』  
『・・・・・・』  
『・・・もし俺と音夢が兄妹以上の関係だったら、俺は音夢が島を出るのを止めたかもな。俺、結構我慢弱いから。  
 だけど俺と音夢は"兄妹"だ。あいつが自分の夢の為に島を出る決心をした以上、"兄貴"という枠の俺が止める権利はないし、あっても止めないよ・・・』  
兄さんは常に私のことを想ってくれている。しかしそれは私が本当に望む"想い"ではない・・・・・・・・・もどかしかった。  
『朝倉くん・・・・・・ごめんね』  
『ん?』  
『さっきの電話・・・・・・実は音夢からだったんです』  
『・・・・・・』  
『私、音夢と朝倉くんとを疑ってしまって・・・・・・だって、この家にいるときの朝倉くんの中には、いつも音夢がいる、ような気がしたから・・・・・・  
 それで・・・やきもちを妬いちゃって・・・・・・こんなところでしよう、なんて・・・・・・』  
『わかってくれ。俺が"女"として好きなのは・・・ことり。お前だけさ』  
『ごめんなさい・・・本当は、朝倉くんの気持ち、わかっているのに、こんなことを・・・・・・』  
もどかしい・・・・・・私が望む兄さんの"想い"を享受する相手は、既にいることも。  
 
 
その後二人は私の部屋を出、兄さんの部屋へと移る。私もつい、どうしても、兄さんの部屋のカメラに切り替える。・・・もう、どうしようもないというのに。  
二人はまた、その唇同士を繋げあう。そして兄さんは白河・・・いやことりの後ろに回り、その制服へと手を伸ばす。  
やがて、ことりの制服のみを脱がした兄さんはその豊満な両胸の先を捏ねるように手に取りながら、  
ことりのショーツの方へ手を伸ばすと、そこに浮かぶ女の形を幾程か転がすように撫でたのち、その内を弄り始めた。  
『んっ・・・あ、ああぁ・・・・・・』  
堪えるような表情を浮かべながらも、その吐息に悦びを滲ませることり。その声を、感度を最大に設定されたマイクは拾い上げ、私の元へ送り込んでくる。  
「ことり・・・・・・ずるいよ、ことり・・・・・・」,  
いくら兄さんが一番にその幸せを願う相手だとしても、私が先ほどまでにことりに抱いた嫉妬と憎しみは、そう簡単には拭えなかった。  
・・・・・・そうだ。自分の頭の中でも、今はことりになろう。兄さんに愛されることりに。兄さんに今愛されていることりに。  
人は浅はかだと、おかしいと笑うかもしれない。でもこの想いは止められない。どうしようもなかった。  
私は片手で自分の胸を揉み、空いた手で自分のショーツの内に手を伸ばすと、今ことりがされているように、その手を動かす。  
そしてぐっと目を閉じ、今のことりを自分の中に取り入れ、その先に兄さんを見た。  
途端に私の"女"は潤いを帯び、私の動悸を荒くする。  
『はぁは、あ・・・あ、朝倉くぅん・・・・・・』  
「はぁぁ・・・兄さん、兄さあんん・・・・・・」  
二人の声が混ざり合い、ますます私は自分とことりとの境界線をなくす。  
ぼやける眼でふと見ると、ことりも兄さんも既に一糸纏わぬ姿。そしてことりは兄さんに脚を広げられると、その内へ顔を近づけられ、その快楽に先走る欲求を漏らす裂け目に、兄さんの舌で辱めを受けた。  
『あぁっあ、っぁは、あん、あ・・・きょ、今日の、あ、朝倉くん・・・す、ごいのぉ・・・』  
やがてあからさまに快楽に貪りつきはじめることりの鳴き声と共に、生々しいほどにいやらしい水音が、私の耳に流れ込む。  
「あぁ、あんなことを・・・恥ずかしい・・・・・・」  
そういいながら、私は同じく、一嘗めした指を二つ重ね、漏らしたかの如く湿った私の中を、丹念にまさぐる。  
「んぁ、や、やらぁ。恥ずかしいのおぉ・・・」  
 
これまで、幾度となく兄さんを想って自慰を行った。だがしかし、ここまでの興奮は未だかつてない。  
『んはゃぁ!?』  
突如ことりが悲鳴とも思える声をあげる。兄さんはことりに腰を少し上げさせると、ことりの後ろの急所までまさぐり始めたのだ。  
『そ、そんなの・・・昨日は・・・・・・さ、触られる、け、気配もなかった、のに・・・んひゃあ!!』  
『ん・・・ちょっと、やってみたくなってさ・・・抵抗、ある・・・・・・?』  
『はゃ、あ、ふぁ・・・ん、ううん、いいけど・・・少し、脚が、っるしい・・・』  
すると兄さんはことりを四つん這いにさせる。素直に従うことり。そしてまた、その愛撫は再開された。  
『ひゃ、んっぅ、んふぁ、ぅあ、ぁあん、あん、んふぁあん・・・・・・』  
ことりはごくごく自然に素直に、その快楽を賞味する。大胆な兄さんと涵養なことりに、私は暫しその様を凝視してしまったが、すぐにたまらなくなり、その湿った指先で真似てみる。  
「ふぅぁわっ・・・!!」  
何となくくすぐったいような感触。少し怖い気もしたが、悪くない。  
「ふぁあっ、くぁあっ・・・」  
今度は少しおろそかにしていた前の部分の愛撫も混ぜてみる。  
「あぁあっ!!ふゃ、ひやっん、す、すごいのお、兄さん・・・・・・」  
兄さんに前と後ろ、両方を可愛がられる感覚に、私は足腰が震えた。  
 
そうこうしていると、  
『ね、朝倉くん、も、もう、お願い・・・もどかしいのお・・・・・・!!』  
と、ことりが兄さんにその臀部を晒した格好で哀願し始める。  
『ああ・・・俺も、もうそろそろ、欲しかったんだ・・・!』  
肝心の瞬間。いよいよ、だ。  
兄さんはことりにそのままの体勢をさせたまま、その腰を優しく掴み、ゆっくりと、その今か今かと強請るように涎を滴らせることりの膣中に、闖入していった。  
『ぁあっ、ぁ、っぁん・・・・・・っ・・・!』  
兄さんの愛撫で既に際まで上り詰めていたことりは、それによってさらなる高みへと引き上げられる。  
それだけでも十分であろうに、兄さんは腰を動かしながら更にことりの果粒への愛撫をも織り交ぜた。  
「兄さん・・・・・・いやらしい、いやらしいったら・・・・・・っふぅ・・・!」  
私はその様子にひたすら、ことりが漏らす吐息を自分のものとし、兄さんの愛撫をその目で感じながら、一心不乱に水浸しの秘部を弄び続けた。  
ことりのほうも、他人には絶対見せないであろう乱れぶりを、兄さんに晒し続ける。  
その興奮は兄さんの陰茎を淫靡に締め上げているようで、兄さんもその息を荒くする。  
『く・・・っ、こ、ことり、凄げぇっ・・・・・・!』  
『朝倉くん・・・だって。ひゃ、ふ、んあぁ・・・』  
「兄さん、兄さあん・・・」  
私は快楽と嫉妬、その両方に悶えながら、声を漏らす。  
「わ、私も、す、凄いよう・・・・・・!!」  
やがて、終わりの時が、兄さんにも、ことりにも、そして私にも来ようとしていた。  
『こ、ことり・・・・・・俺・・・限界が・・・・・・っっ!!』  
『だ、だめぇ、止めちゃだめ・・・抜いちゃだめ・・・・・・だって、私も・・・・・・』  
「兄さん、私も、私もおっ・・・」  
混乱する。全ての見境がつかない。ただ躰が感じるこの悦びのみが全て、といった感じだ。  
『・・・ぁっ、ことりぃぃっ・・・!!』  
『朝倉くん、私、もう、あ、あああ・・・・・・っ!!』  
「にいさああああああああん・・・・・・・・・!!」  
 
二人は絶頂を迎えあったあと、その未だ収まりきらない躰を暫し重ね合ったあと、二人でまた、先ほど玄関や居間でやっていた、穏やかな雰囲気の会話を始めた。  
そして、同じように極限までその身を焦がした私は、その火照りを一人で抑えたあと、そんな二人の様子をぼんやりと見つめていた。  
『・・・・・・朝倉くん、ほんとに昨日が初めてだったんですか?なんか凄くエッチだったんですけど?』  
『イヤ、マジだって・・・・・・俺がエロいのは、ことりの所為ってことで』  
『んもう・・・・・・』  
『あ・・・でも、また、膣中で出しちゃったんか・・・・・・』  
『男の子がいいですか?女の子がいいですか?』  
『そうだなあ・・・え゛!!?』  
『ふふ、冗談ですよ・・・・・・』  
 
「・・・・・・」  
とてもお似合いな二人に、私は項垂れる。先ほどまでの興奮が、全てが、空虚なものに思われた・・・・・・いや、興奮しているその時ですら、私はどこか虚しさを感じていた。  
「兄さん・・・・・・私、叔母さんになるの・・・?この年でオバサンなんて呼ばれるの嫌よ・・・・・・」  
私は、PCのスイッチを切った。  
そして、ずっと早くに、家を出た。  
 
 
そして学校が始まった。だが正直、なんか意欲が湧かない。  
そうしていると、  
「ねー・・・朝倉さん・・・」  
休み時間、朝に電話をかけてきた子が話しかけてきた。  
「ん・・・・・・?」  
「朝の話なんだけどさ・・・やっぱ、だめ?」  
「と言われても・・・・・・」  
「イヤさー・・・こっちなかなかいい面子集まんなくてさあ・・・・・・頼むよー」  
「・・・・・・なんで私なの?」  
「実はさー、向こうの一人に前に朝倉さんととったプリクラ見せたらさ、『この子呼んでくれるんだったらこっちが費用全部出すよ』って言うんだよねー」  
「・・・・・・」  
「イヤ、それぐらい朝倉さん可愛いんだって。ね、マジ。お願い!」  
「・・・・・・それじゃあ、行ってみようかな・・・」  
「ホント!?」  
 
半ば勢いで、彼女の誘いにOKを出してみた。  
未体験だ。正直、どうなっちゃうのか、私にはわからない。  
 
 
「いいの、兄さん?私、浮気しちゃうかもよ・・・・・・?」  
 
了  
 
 

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