「それじゃあ先輩方! おっ疲れさまでしたぁ〜♪」  
 カラオケ屋から外に出た途端 思いっきり酒に酔った美春が、万歳をしながら声をあげた。  
 今日は一学期の終業式。打ち上げと称して、純一、杉並、ことり、眞子、美春の5人は、  
授業が終わってからカラオケ屋でどんちゃん騒ぎを行った。  
 始めは健全に歌って、談笑してる感じだったのが、いつの間にか注文品に酒が混じり始めてて、  
「いやぁ〜白河先輩はほんっっとに歌が上手ですねぇ〜」  
「そんなことないよぉ〜美春ちゃんも上手だったよ〜♪」  
「え〜ほんとですかぁ〜そんなこと言われたら美春嬉しくなっちゃいますよぉ〜」  
 とりわけ、美春とことりは、周りが「もうだめぽ(つД`)」と言いたくなる位くらい酔っ払ってしまっていた。  
「……もう今日はこれでお終いだよな?」  
「まぁ、この状況じゃなぁ……」  
 純一の諦めに近い確認を、杉並は呆れながら肯定する。  
「じゃあ俺はことり送ってくから、眞子、美春のことよろしくな」  
 と、純一がことりの手を取ると彼女は嬉しそうに擦り寄ってくる。  
「わかったけど、あんた、途中ことりと二人っきりだからってヘンなことするんじゃないわよ」  
「ほぅ…ヘンなこととはどんなことかね、水越先生?」  
 墓穴を掘ってしまい一気に顔が赤くなる眞子。  
「ヘンなことはヘンなことよ! いいからちゃんと送ってきなさいよ!」  
「へーへーわかってるよ。杉並はどうするんだ?」  
「ん? 俺は親友に対して野暮なことはしないさ。朝倉、グッドラック!」  
「サンキュー、マイフレンズ!」  
 二人して親指をビシッと立てる。  
「……ばーか」  
 そんなやりとりを眞子は冷ややかな視線で見つめていた。  
 
 ヘンなことをするなと言われれば、してしまいたくなるのが人の常。  
 家に送ると言っておきながら自宅に誘い、甘い一時を堪能する。……はずなのだが。  
(この時間から誘ったら、深夜になるよなぁ…泊まってもらえばいいけど、  
 ことりの家から何言われるかわかんねぇし……なにより……)  
 明日は音夢が看護学校から帰ってくることになっていた。  
 そんな状況で彼女を泊めて、ベッドに仲良く寝てるところを見られたら何言われるかわからない。  
 一応、純一とことりが恋人同士なのは音夢にも伝わってるが、いい気はしないだろう。  
(今日は……泣く泣くことりを家に帰すか……)  
 夏休み最初から男として悲しい決断をすることになってしまった。  
「朝倉くーん、さっきからムズカシイ顔してるよー」  
「そ、そうか?」  
「ことりさんとこれからどーやってえっちなことしようかなぁって顔してたー♪」  
「!? お、思ってないぞ、決して思ってない」  
 ニヤニヤと笑うことりに、純一は顔の前で思いっきり手を振ってみせた。  
「ほんとにー?」  
「うっ……まぁ完全に思ってないかと言われたらちょっとくらいは思ってたわけで……」  
「……ん〜じゃぁこっち行こ、朝倉くん♪」  
「ちょっ、ことり!?」  
 純一の手をぐいっと引っ張って、ことりは脇道にそれて桜公園の中をどんどん歩いてく。  
 桜並木の奥に入って例の桜の大木の辺りまで来た所でことりは足をもつれさせた。  
「わっ!?」  
「ことり!」  
 反射的に純一がことりをかばう様に倒れ、二人して芝生の上に転がり込んだ。  
 
「痛て〜」  
「ごめんねー大丈夫?」  
 アルコールが抜けきれてないことりの心配はどうも、楽しんでるようにしか聞こえない。  
「ったくなにやってんだよ……」  
「だって……ここなら二人っきりだよ♪」  
 微笑んで見せた後、ことりは純一に覆い被さったままキスをした。  
 突然のことに純一は驚いたが、ことりが舌を差し入れてきたときにはしっかりと舌を絡ませていた。  
「んっ、んん…んんっ、んっ……っ…はぁ…」  
 唇が離れ、銀色の糸が二人の舌を繋ぎ、消える。  
 いつもより激しいキスに純一の方が陶然としてしまっていた。  
「ね、もっとキスしよう?」  
 純一が答えるより早くことりは再びキスをしてくる。  
 お互いの唇を重ね、挟んで舐めて、舌を絡ませ、口内を愛撫するように舌を滑らせる。  
 もうすっかり慣れた行為だが、今日のことりはアルコールが入ってるせいか、いつもより積極的な感じがする。  
(やば……これだけでも気持ちよすぎ……)  
 そんなことを考えてた時だった。ことりの右手が純一の股間に伸びてきて服の上からモノをさすり始めた。  
(──!?)  
 純一はビクリと反応するが、ことりはお構いなしにキスを続け、膨張を促すように掌を蠢かす。  
 すっかり純一のモノの戦闘体勢が整った頃、ようやくことりが唇を離す。  
「朝倉君の大きくなっちゃたね」  
「ことりがしたんだろうが……」  
「じゃあ責任とって、気持ちよくしてあげる♪」  
 
 言うが早く、ことりは純一の足の間に入り込み、一刻も早い開放を望んでいる純一のモノを、  
制服のズボンのチャックを開け、トランクスの隙間から敏感な部分が衣擦れしないように丁寧に取り出す。  
 夏とはいえ外気に触れれば少しだけひんやりとしたものを感じ、純一はここが屋外だということを再認識した。  
「ふふっ……じゃぁ、するね」  
 モノの逞しさを感じながらゆっくりと上下に擦っていたことりは、艶っぽく微笑んだあとモノに口付ける。  
(……気持ちいいけど……なんか落ち着かねぇ……)  
 上半身を起こして、フェラチオをすることりを眺めながらも周囲に気を配る。  
 周りはいくつかの葉桜の並木に囲まれ、うす曇の空からは月の光も差し込まないから、辺りはけっこう暗い。  
 歩道の方から一瞥したくらいじゃ見つからないだろう。  
 だからと言って“自分たちと同じ事をしようとこの辺りにやってくる輩”がいないとも限らないし、  
夏休みに入ってすぐ夜遊びしてる奴がいないか教師たちが見回りにくるかもしれない。  
「──って、痛てぇ」  
 ことりにモノをぎゅっと握られ、一気に意識がそっちに向かう。  
「朝倉君、集中してない〜。やめちゃうよ?」  
 頬を膨らませて上目遣いに不満の意思表示。  
「悪りぃ、周り気になってさ……続けてくれる?」  
「しょうがないなぁ〜」  
 なんていいながら、さっきより熱心にことりは奉仕を再開する。  
 
「…んっ、んっ……じゅる…んっ……んふふ……んんっ……」  
 ことりは行為を続けながら、着ている制服のボタンを外し、肩を開けさせ、胸元を露わにする。  
 妖艶に微笑みながら、零れる唾液を抄くうように吸い上げ、舌を延ばしてモノを根元から舐めあげてゆく。  
(こんなヤラシイことり見るの初めてかも……酔ってるからか?)  
 いつも行為の最中は恥ずかしそうにしてることりが、今は愉しんでいるようにさえみえる。  
 純一の性を貪るように口での奉仕を続け、唾液のたてる水音の激しさは増すばかりだ。  
(やばっ……もう……)  
 限界まで張り詰めたモノを一気に爆発させようとした時だった。  
「んふふ〜……だぁーめ♪」  
 ことりがモノをぎゅっと掴み、尿道を強く親指で押さえつけ純一の射精を止めてしまった。  
「──!? ちょっ──ことり!?」  
 射精されなかったことに体が間に合わず、腰だけが軽くビクッと反応する。  
「ダメ、さっき集中してなかった罰だよ。まだ出させてあげない♪」  
 そう言ってまた、口技を再開する。  
 モノを咥えて激しく頭を前後させ、強く吸い付きながら、含んだときには舌を満遍なく絡ませる。  
「んんっ、んっ、じゅぷっ……んんっ、じゅる…んっ、んんっ、んっ……」  
「ことりまた……」  
 そうされるとあっさりと絶頂に追いやられるのだが、  
「だぁーめ♪」  
 また、同じようにして射精を止められてしまう。  
 そうしてまた口技を始め、絶頂が近づくと止められてしまう。……その繰り返し。  
 蛇の生殺しという言葉を純一は始めて身を持って体験した。  
「じゅぷ、んっ……んんっ、んん、んっ…じゅる…んんっ……」  
 そしてまた、射精が近づく。  
「……ことり……もう勘弁してよ……」  
「んふふ……どうしようかなぁ?」  
 意地悪く微笑み、べたべたに濡れ最大限まで屹立したものをゆっくりと手でしごく。  
 純一の性を思い通りに操っている今のことりは、まるでサキュバスのごとく淫らだった。  
「じゃあ『ことりの口でイカせてくれ』って言ってくれたら、出させてあげる♪」  
 
「──なっ」  
 ことりが信じられないようなことを口にする。  
 いつもなら似たようなことを言ったら、ことりの方が真っ赤になってしまうというのに。  
 そんなこと言ってまで射精を望むなんて、純一にとっては屈辱以外の何物でもない。  
「じゃなかったら、ずっとこのままなんだから♪」  
 言って、モノの先端をぺろっと舐めることり。それだけでも、今の純一の理性を犯すのは容易かった。  
「──っ!」  
 正直、我慢の限界。  
 どうせことりは酔っていて、このことはもう明日には覚えていないはずと純一は踏んだ。  
「……ことりの口でイカせてくれよ……」  
 それを聞いて、ことりはにっこりと微笑んだ。  
「……声がちいさいなぁ♪」  
「──!?」  
 天使とさえ思えていたことりを、純一は始めて悪魔と形容したくなった。  
「馬鹿……これ以上ここで大きな声だしたら……」  
 さすがに誰か気付くかもしれない。  
 実際は周りに誰もいないかもしれない。だけど、いるかもしれない。  
 ほんの少しの不安が純一の焦燥を駆り立てる。  
 しかし、当のことりは意に介さず、またも先端をちろちろと舌で刺激する。  
(──もう、やけくそだ!)  
「イカせてくれよ!」  
「………………………♪……」  
(くそっ……あとで覚えとけよ……!)  
 純一はこの屈辱をしっかりと心に焼き付け、絶対に倍にして羞恥を返すことを誓った。  
 
「──口でイカせてくれよ!!」  
 しんと静まり返っていた辺りに、なんとも情けない叫び声が響き渡った。遠くで犬が吠えている。  
「………………よくできました♪」  
 これ以上なくにっこりと微笑み、ことりは今日一番の激しさでモノを吸い立てた。  
「んんっ、んっ、んっ、んん、じゅぷっ、じゅる、んっ…んんっ……」  
「……ことり、今度こそ…」  
「んんっ、いいよっ。んっ……たくさん出してっ♪」  
 やっと聞けた女神の許し。塞き止められていた鈍い感情さえ開放できそうだった。  
「──っ! 出るっ!」  
 瞬間、目の前がチカチカするような衝動が体中を駆け巡った。  
「んんっ!…んんっ〜…んっ、んっ……っぷはぁ……あっ……」  
 溜めに溜めたモノが一気に開放され、ことりの口内を満たし、受けきれなかった分が顔に勢いよくかかった。  
「……んっんんっ……んっ……すごい……こんなにたくさん出たの初めてだねー」  
 そうさせた本人が驚いたように口に含んだ精液を嚥下し、  
顔にかかった分を指で拭って、それを純一に見せつけるように舌を延ばして舐め取る。  
 そんなヤラシイ光景にあれだけ出したのにまた反応しそうになってしまった。  
 
(……やばっ……)  
 慌てて気をそらそうと視線を外した時、  
「朝倉くーん♪」  
 甘えるようにことりがぎゅっと抱きついてきて、勢いで純一を押し倒すと、顔を両手で支えてキスをしてきた。  
 当然のように舌が差し込まれ……  
(うわっ……俺の精液の味残ったまんじゃねーのか!?)  
 慌てて純一はことりを押しのける。自分の精液を味わうなんてたまったもんじゃない。  
「……ことり?」  
 押しのけたまま横でぐったりしてることりを見ると、すうすうと寝息を立てているではないか。  
 あまりに幸せそうな寝顔にさっきまでの屈辱が一気に沈静化していく。と、思ったのだが、  
「…………おい、さっき声し…………辺だろ?」  
「……よな……絶…………ッてるって……」  
(──!?)  
 木々の向こう側から数人の会話が微かに聞こえた。  
 純一は心臓が飛び出るほど驚き、慌てて身支度を整える。  
 仕方なしにことりをおんぶして急いでその場を離れた。  
(ちくしょう、なんでこんな面倒な目に合わなくちゃいけねぇんだよ……)  
 確かにこうなることは望んだが、こんな屈辱的な結果は望んでいない。  
「……んっ……朝倉くん……♪」  
 一人のん気に寝息を立てることり。  
(覚えてろよぉ〜あんなことや、こんなことしてやるからな〜)  
 目指すは朝倉家。  
 夜はまだ、これからが本番──( ̄ー ̄)ニヤリ  
 
 
「…………ん……あれ……?……」  
 ことりがゆっくりと目を覚ますと、視界には見慣れぬ天井があった。  
 が、見慣れないだけで、見た記憶がある。確かこれは、  
(……朝倉君の部屋……?……!?……)  
 はっきりとしない意識の中で身を起こそうとした時、ことりは頭の上で両手首が縛られていることに気が付いた。  
 動かそうにも動かない。どうやらベッドにくくりつけられてるらしい。  
「……なんで? ……どうなってるの?」  
「やっと目覚ましたんだ……」  
 必死に状況を把握していたことりの所に、純一がトランクス一枚の姿格好で、  
右手には液体の入ったコップを持ってベッドに登ってきた。  
「朝倉君、これどうなってるの? それになんで裸になってるの……」  
 逞しい胸板を見せられてことりは顔を赤くする。  
 純一はさっきまでとはまったく逆の反応をみせる彼女を見下ろしながらニヤニヤと笑ってみせた。  
「ことりはさぁ、カラオケ屋から出てからどうしたか覚えてないの?」  
 今日はみんなでカラオケ屋に行った。歌って騒いで飲んで……そう、酒を飲んで酔ってしまったのは思い出せる。  
「……えっと……お酒飲んでから…………」  
(……それから……あれ……どうしたんだっけ?)  
「……私 酔いつぶれて、朝倉君がここまで運んでくれたの?」  
「……やっぱり覚えてないのか……」  
 少しむっとした顔をしたあと、純一はコップの液体を口に含んでことりに覆い被さると、  
キスをしながら彼女の口内に液体を口移しする。  
(……んっ!……これお酒……)   
 喉の奥がちりちりするだけじゃなくて、純一の舌が口内を蹂躙することにも頭がくらくらする。   
 カラオケ屋で飲んだのより度数が強い感じがした。それで逆に記憶が刺激された。  
「みんなと別れたあとさ、ことりが俺のこと桜公園に引っ張ってって……そこからはもうわかるよな」  
 出かけた答えを純一が口にする間、ことりは焼けてしまったかのように顔を紅潮させた。  
「この唇で、俺のチンポを自分が満足するまでフェラチオしたんだよなぁ」  
 
(──!)  
 純一が口にした男性器の卑猥な呼称に、ことりはおもしろい程反応した。  
 一度スイッチが入ったことりは割とHには積極的な方だが、お互いに猥語を口にしたことはない。  
 気持ちいいことには慣れているが、いやらしいことには慣れていないと言ったところか。  
「あんなにおいしそうにチンポ舐めてることり初めて見たよ」  
 純一だって別に言葉攻めが好きなわけではないが、今回はことりの羞恥心を煽ってやるのが目的なので、  
酒を飲むだけ飲んで酔いを回して、自分の思考を崩してるからこそあっさりと猥語を口にすることができるのだ。  
「それになかなかイカせてもらえなかったのキツかったんだぜ」  
 少し低い声でことりに囁き、自分が怒っていることをアピールする純一。  
 コップは目覚まし時計の横に起き、右手で制服が軽く開けたまま彼女の体を弄っていく。  
「……あ、あれはっ、酔っ払っててどうかしてたんだよっ」  
「叫ばされたのは結構屈辱だったんだけどな」  
「ごめんね。もうそんなこと絶対しないから…手外して、ね? 今日はいっぱいシテいいから許して…」  
 必死に弁明することり。しかし、純一はそんなことはどうでもいいと言わんばかりの笑顔で、  
「別に怒ってないからそんな泣きそうな顔するなよ。  
 結局気持ちよくしてもらったのはホントだからさ、今度はことりを気持ちよくしてやるよ」  
 言って純一はことりの制服のボタンを外し、服を完全に開けさせ、  
背中に手を回しブラを外して、程よく実った形の良い乳房を露わにさせた。  
「ん…そんな……私はいいよぉ……」  
 そんなことりの声は無視して、純一は首筋に舌を這わせながら、優しくゆっくりと胸を揉んでいく。  
「はぁ……ぁっ………んっ……」  
「こっちも触ってやらないとな」  
 純一はことりのスカートの中に手を入れると、ショーツの上から秘所を擦るように触れた。  
 
「んっ…あっ……朝倉君……ん、はぁ……普通にしようよぉ……」  
 潤んだ瞳で訴えてくることりの表情に、純一は要求を飲みそうになるが、そうはいかない。  
「普通じゃなくてもことりは気持ちよくなれるんだからいいだろ?」  
 左手で右胸を揉みつつ、舌と唇で左胸を刺激していると、秘所を擦り続けていた右手に湿り気を感じた。  
「現にことりもう濡れてきてるよな」  
「だってぇ……」  
 仕方ないじゃないとでも言いたげなことりの視線。  
 一方的に攻められてることに羞恥を感じてるのは確かだが、まだこんなもんじゃ足りない。  
「じゃ、もっと感じてもらうかな」  
 言って純一はことりの足の方へ移動し、スカートを捲り上げると、ショーツをずり降ろした。  
 その間ことりは身をよじるが、両手が不自由な分たいした抵抗にもならなかった。  
 そのままM字開脚させ、秘所を視姦する純一。  
「やだっ、こんな格好恥ずかしすぎるよ! そんなじっくりみないでよぉ」  
 部屋には明かりがついているから、ことりの膣口が雫を滴らせているのがはっきりと見える。  
「ん…? 見てるだけなのに愛液溢れてきてるぞ。恥ずかしいのに感じてるんだ」  
「違っ、そんなことぉ……もう許してぇ……」  
 消え入りそうな声で許しを請うことりに被虐心が刺激され、純一は音を立てて彼女を愛液を啜った。  
 じゅっ………ちゅっ、じゅる……  
「やぁっ、ダメっ、そんなぁ……音がやだぁ…んっ……あぁっ……」  
 そこから純一はことりの秘所を念入りに刺激した。  
 陰唇を舌で丁寧に舐めあげ、愛液が溢れれば吸い上げる。  
 唾液と愛液を絡めた舌でクリトリスを舐めている時は、指を膣内に差込み、締め付けてくる襞をこすってやる。  
 そうやって万遍なく、実に30分、いや一時間近く愛撫を続けてやると、ことりは切なげに喘ぐしかなかった。  
 
「んっ、あっ……ああっ……はぁぁ……」  
「すごいな……指出し入れするだけで愛液溢れて、シーツびしょ濡れだよ」  
 純一はことりが達しない程度にGスポットを指で擦り続けていた。  
 イキたくてもイケない。そんな純一が味わった苦悶を彼女にも味合わせているのだ。  
 ただそれも、そろそろ限界が近づいてるのは明らかだった。  
「あんっ…お願い朝倉君……私もう……ああっ……だから……きて欲しいの……」  
 ことりがこの台詞を言うのをどれだけ望んだことか。ここからがホントの復讐の始まりだ。  
「何が欲しいの? ちゃんと言わないと分かんないよ」  
 今自分は口の端を吊り上げて笑っているに違いないと、純一は思った。  
 何が欲しいか位はわかる。だけどそれをことりに言わせたいんだという意思表示にもなっているだろう。  
「それは……朝倉君のアレが……」  
 いつもなら“来て”“欲しい”とさえ言えば応えてくれるので、“アレ”と言うことすら口篭もる。  
「もうちょっと後押ししてやるかなぁ」  
 純一はコップを取って酒を飲み干すと、またことりに口移してやる。  
「んっ、んんっ……んっ……んぁ……」  
 ついでに舌で酔わせるように口内を蹂躙してやる。また少しだけことりの性の開放を促す。  
「今度は言えるよな? 言えないと、このままずっと指でイカないように刺激し続けるよ」  
(……あっ……恥ずかしいけど……もうこんな切ないの耐えられないよ……)  
 観念したように目を瞑り、うつろに見開いて、ことりは言った。  
「朝倉君の………朝倉君の……お…おちんちんが欲しいのぉ……」  
 
 顔から火が吹き出る程の羞恥だったが、やっと言えた。これでこの切なさから開放される。  
 ──そう、思っていたのに。  
「そっか、俺のチンポが欲しいんだ。でも、まだ俺──」  
 純一がトランクスを脱ぎ捨てると、  
「勃ってないんだよね」  
 そこにはまだお辞儀をして平時のままのモノの姿が合った。  
「……そんな……」  
 明らかに残念そうなことり。その呟きに“男のモノを欲しがっている”に自分に気付きまた羞恥した。  
「ことりがさっきあんなに搾り取るから簡単に勃たなくてさ。  
 また口でしてくれたら勃つかもしれないからしてくれる? かわりにこっちには……」  
 純一はベッドの下に隠しておいた、ピンクの大型なカプセルのようなモノを取り出した。  
「朝倉君それって……」  
「わかるだろ? ローターだよ」  
 言って、そのままことりの膣内に挿し入れてやった。  
 軽い挿入感に身を強張らせることり。そして純一はコードでつながれたスイッチを入れた。  
「あっ! やぁっ、やだっ、これ……膣内で震えてぇ……あっ……ああっ……」  
「弱・中・強って三段階の強さがあるから、今は弱ね。  
 だんだんに強くしてやるから、それでイッちゃってもいいよ」  
 イッてもいい。  
 それは純一にとって“開放”だったように、ことりにも開放の言葉になるはずなのだが。  
「やぁっ、嫌っ、こんな道具でなんてぇ…あっ……朝倉君のじゃなきゃやだよぉ……」  
 彼女がそう考えるのも十分作戦の内だ。だから、焦らす。もっと焦らす。  
 
「じゃあ、早く勃たせないと。ほら」  
 純一はことりの口元にモノをやると、頭だけしか動かせない不利な体勢でも、健気に舌を這わせてきた。  
「んっ、んんっ……んっ…じゅる…んっ、ちゅっ、んんっ…」  
「気持ちいいよ ことり……ことりも気持ちよくなっていいよ」  
 モノが徐々に勃起してくのに合わせて、純一はローターの刺激を強くして中〜強にしてやる。  
「んんっ、あうっ、んっ、じゅちゅ…ん…震えが強いよぉ…んんっ……」  
 懸命に刺激に耐えながら、唇を、下を這わせることり。   
 そんな彼女の悶える姿と献身的な奉仕に、純一の臨戦体勢も整った。  
「朝倉君、ねっ? もう大きくなったよ?」  
「あぁ、頑張ったなことり」  
 純一はローターのスイッチを切って、彼女の膣内から愛液でびっしょり濡れた本体を取り出す。  
 正常位で繋がれるように体勢を変え、純一は彼女の膣口にモノを当てると、そのまま止まった。  
「あっ……朝倉君……」  
「ことり、“どこ”に“なに”が欲しいの?」  
「えっ………」  
 ちょっとした絶望的な表情になることり。純一の最後の復讐。  
「言ってくれないと、またローター使うよ」  
「だめっ、言う、言うから……朝倉君意地悪すぎるよ…もう私こんななのに……」  
「ことりがそれだけのこと、俺にもしたんだぜ」  
「言ったらちゃんとしてくれる?」  
「もちろん。ことりもしてくれただろ」  
 会話の合間もモノの腹を使って、陰唇からクリトリスを擦ってやる。  
「……わ、私の…アソコに……」  
「アソコじゃだめ。別の言い方あるだろ?」  
「……私の……お……おまんこに、朝倉君の……おちんちんが欲しいの……!」  
 
「………………よくできました♪」  
 公園でのことりと同じ台詞を言ってやり、すでにぐっしょり濡れた彼女の膣内に一気に挿入した。  
「ああっっ!あっ、あっ、んんっ、あっ、やっ、きちゃうっ、だめっ、ああっっ──!」  
 根元まで差し込んだ瞬間、ことりの膣壁が一気に収縮し、純一のモノを締め上げてきた。  
「あっ……ああっ……あんっ……はぁ、はぁ……あっ……」  
「入れられただけでイッちゃったのかことり?」  
 肩で息をしながらゆっくりと頷くことり。  
「そんなに俺のチンポ欲しかったんだ?」  
 恥ずかしそうにことりは顔をそむける。どうやら言葉攻めだけはまだ続くようだ。  
 ことりの足をまたM字に開かせながら、純一は結合部を見ながら腰を動かす。  
「学園のアイドルのおまんこが、男のチンポ飲み込んで…悦んで愛液溢れさせてるよ」  
 三文小説のようなセリフも、今のことりには刺激に変える要素になる。  
 じゅぷじゅぷとわざと空気を含ませるように動き、一層いやらさしも強調させる。  
「あっ…ああっ、あん、んっ……朝倉君…んんっ…そんなに音…ああっ、たてないでぇ……」  
「これだけ愛液溢れてるんだから無理だよ。ことりがいやらしいのが悪いんだよ」  
「あふっ、ふわっ…私……やらしく…なんてぇ…あっ、ああっ、そこ……」  
 少し体勢を変え、いつもことりが感じる場所を重点的に擦って突いてやる。  
「そこ、何? 気持ちいいんだろ? もっと口に出せよ。やらしいことりも好きだから」  
 
 ──好きだから。  
 その言葉こそが、ことりにとっての“開放”だった。  
 
「──気持ちいい!……気持ちいいの…あっ、ああっ……だからぁ……」  
「どこが気持ちいい? 何が気持ちいいんだ?」  
「朝倉君のおちんちんがっ、私のおまんこの気持ちいいところを…たくさん擦って気持ちいいの!」  
 もしこれを録音しておいたら、後で死にたくなるくらい恥ずかしい台詞を吐き出しながら上り詰めてゆく。  
「ダメっ! 私またっ、あんっ、きちゃうっ、イッちゃうよぉっ!」  
 淫蕩な表情で、快楽に悶えることりの姿と声を聞いていたら、純一にも一気に絶頂が襲い掛かってきた。  
「俺もっ──イクぞことり! 膣内に出すからなっ!」  
「うんっ、来て! 朝倉君の、膣内にっ──あっ、もう、ダメッ、イクっ! んんっ、ああっっ──!」  
 ことりの膣奥にモノを沈め一気に射精した。  
 彼女の膣内も精液をしぼり取るように断続的に痙攣していた。  
「あっ──ああっ…んっ…あっ、あっ……ああっ……はぁ、はぁ……ああっ……」  
 快感の余韻に浸りながら、愛しい男の射精を実感することり。  
 その時ふいに手首の抵抗感が消えた。  
「ごめんなことり。痛かったろ?」  
「……んっ……大丈夫だよ…ちょっと跡ついちゃってるけど」  
「今日は泊まってくよな? まだいいだろ?」  
 言って収めたまま萎えていないモノを動かし2回戦を要求する。  
「………………うん♪ いっぱいしよう♪」  
 夏休み最初の夜はこうやって更けていった。  
 
 
 翌朝──  
「…………ん……あれ……?……」  
 ことりがゆっくりと目を覚ますと、視界には見慣れぬ天井があった。  
 が、見慣れないだけで、見た記憶がある。確かこれは、  
(……朝倉君の部屋……?……!?……)  
 はっきりとしない意識の中で身を起こそうとした時、横に全裸の屋主が寝ていることに気が付いた。  
「わっ!……あっ……そっか。昨日はここで」  
 結局いつまでシテいたのか覚えていない。ただたくさん恥ずかしい思いをさせられたのだけは覚えていた。  
 その時──  
 ピンポーン。  
 家のインターホンが鳴った。  
「朝倉君、朝倉君、起きて。誰か来たみたいだよ」  
「んっ……いいよほっといて……居留守使ってればそのうち帰るだろ?」  
 しかし、約10秒間隔にインターホンを鳴らしてくる訪問者。  
 「居るのはわかってるんだから出て来い」と告げているようにも聞こえる。  
 いい加減うんざりし始めたとき、訪問者は強行手段に出た。  
「にーさぁーん! 寝てるのー?」  
「──!!!!」  
 訪問者の声にがばりと起き上がる純一。  
「しまった! 今日音夢が帰ってくるんだよ!」  
「ええっ!? そんなの聞いてないよ! ど、どうしよ…あ、とりあえず服着なくちゃっ…あれっ、服どこ!?」  
 二人が慌てふためいてる間も、音夢はどんどんこちらに近づいてきていた。  
「くそっ、合鍵なんて持たすんじゃなかった!」  
 純一も慌てて服を探すが見つからない。きっとこの部屋に入る前に脱いでたんだろう。  
 急いでクローゼットから別の服を出そうとしたとき──  
「兄さん、いるんでしょ? 開けちゃうからね」  
 
 時すでに遅し。禁断の扉が開かれた。  
 
《ことりSS 終わり》  

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