「兄さん、脱いでください」
「え゛」
「もう一度だけ言います。脱いでください」
下だけです、と付け加える音夢。純一は抵抗しかけたが、憤怒の表情で仁王立ちする妹にひるんでしまい、
おずおずとズボンを下ろしはじめた。
「パンツもです」
「これ、トランクスなんですが」
ダンッ! 壁が電光石火の蹴りを食らい、激しい音を立てた。
慌ててトランクスも脱ぐ純一であった。
まもなく、上はTシャツ下は素っ裸の男と、こめかみに血管を浮き出させている女が対峙するという、
なんとも珍妙な構図ができあがった。
「では、浮気検査を行います。…気を付け!」
純一はしゃきんと背筋を伸ばし、直立不動の姿勢をとった。
音夢は満足げにうなずくと純一の前に進み出、足を斜めにかしげるようにして膝を付いた。
彼女の目の前に、純一のいちもつが垂れている。
いや、恐怖にすくみ上がって、ひどく縮こまっている。
音夢はそれをねめつけ、先端から根元までをじっくりと目でなぶっていく。
「音夢、洗ってないから汚いよ…」
弱音を吐いてしまう純一であった。
「もっと汚い人も居ますから兄さんは黙ってて」
「なにっ、お前、まさか浮気」
「違います。私の仕事、なんだと思ってるんですかっ」
音夢は根元の茂みをわさわさといじり始めた。軽くつまんでは引っ張り、指に挟まれて残った
陰毛を目の前でためつすがめつ観察する。
「サンプルを見る限りでは、他の人の毛ではないようですね」
ふん、と音夢は鼻を鳴らした。
「なぁ、音夢…」
言いかけたそのとき、純一は自分の分身に起こった変化に言葉を失った。
音夢が、純一のそれをくわえ込んだからであった。
「ひまからこはふぉひらへます」
意味不明のセリフと共に、音夢の髪の下から、じゅぱじゅぱという水音が聞こえ始めた。