頼子さんが倒れた…。しばらく家事を彼女一人にまかせていたからだろう…。
彼女は毎日朝倉家の家事を全て一生懸命こなし、外に出る練習もしているのだ。
「あ…あの…本当にすみません、純一さん…。」
申し訳なさそうに涙目で言う頼子さんを純一はあわてて慰めた。
「いや、俺の方こそ悪かったよ、頼子さんのことを考えてあげれなくて…。」
いつもならもういるはずの音夢がまだ帰ってこない…。おそらく風紀委員の仕事
で居残っているのだろうが、なにもこんな日に限って遅くなくてもいいだろう…。
「ごめんな頼子さん、とりあえずゆっくり眠って休んでくれ…。俺は…」
「…あ、あの、純一さん?傍にいてもらえませんか?…こ…こんな日でもないと…」
頼子さんをベッドに寝かせて、何か元気がでるものでも買いに行こうとした純一
だったが、滅多に無い彼女の頼みなので、聞くことにした。…考えて見れば、
頼子さんは平日のほとんどはいつも一人なのだ…。以前文化祭のときに、音夢の
ことを心配はしたが、頼子さんの気持ちも考えてあげれなかったのだ…。
「純一さん…。そ…その…、と…隣に来てもらえませんか?」
頬を赤く染めながら頼子さんは言った。…何か変なものでも食べたのだろうか?
頼子さんらしくない気もしたが、音夢にはさせて頼子さんには断るというのも変
なので、頼子さんの隣に入る純一。しかし妹と一緒に寝るのとは理由が違う…。
純一の鼓動が高まってきた…横を見ると頼子さんはもう寝ているようだ…。
…そういえば頼子さん、家が無いとは言っていたけど、親はいないのだろうか…?
純一は自分達のために懸命になって働いてくれる頼子さんをとても愛しく思い、
寝ている頼子さんの頭を優しく撫でた。彼女が目を覚まして、顔を近づけたときに
「ただいまにいさん、頼子さん。今日は美春が遊びに来ましたから。」
「お邪魔しま〜す、朝倉先輩♪」
音夢の突然の帰宅に純一は慌ててベッドから出ようとしたが、頼子さんのことを
思うと今ベッドから出るわけにはいかない…。頼子さんは「行かなきゃ…」と
こんなときでもメイドの仕事をしようとするが、純一は彼女を止めた。
「にいさん…?入るよ?」
音夢は自分が見た光景に固まった…。あとから入ってきた美春も、初めて見る頼
子さんと純一が一緒に寝ているのを見てしまい、何も言えなくなってしまった…。
しかも純一は後ろから彼女の体を抱きしめ、頼子さんの顔は赤くなっているのだ。
「にいさん…ちょっと話があるから、下に来てもらいますね…。」
音夢はそう言ってから純一の耳をつかみ、廊下へ出て行った。純一は美春に
頼子さんのことを頼み、音夢にことの説明をしながら下へ降りていった。
美春は、頼子さんの傍へ行き、彼女自身の魅力である明るさで頼子さんと接した。
最初は美春におびえていた頼子さんだったが、彼女と話しているうちに自然に
楽しく話をするようにまでなっていた。
おそらく頼子さんは楽しく話をしたかったのであろう。美春との会話も弾み、
二人の顔からは笑顔が絶えない。会話というコミュニケーションは大切なことだ。
突然、美春が頼子さんの胸に飛びつき、ぎゅっと顔をうずめた。頼子さんは慌て、
「…どうかなさいましたか?」
と美春の肩を抱き、聞いたが、顔を上げた美春を見て、頼子さんは驚いた。
美春の目からは大粒の涙が溢れているのだ…。美春は頼子さんに自分の秘密を
全て打ち明けた。話しているうちに頼子さんが美春という人を知らないことに気づ
いたが、それでも美春としていようとする自分がいて、とても怖くなったという…。
そんな美春に、頼子さんも自分の秘密を明かし、自分達は似ているかもしれない
と美春を慰める。いつのまにか美春は頼子さんのことが…また、頼子さんも美春
のことが好きになっていた。お互いに求めていたものを与えてくれたのだから…。
抱き合い、キスをする二人…しかし、お互いの秘密の部分にやはり興味がいってしまう。
「あぐ…あ…ああッ!」
「くぅ…ん…ッ!」
美春は頼子さんの猫耳に愛撫とキスを繰り返していた。頼子さんも美春の背中の
鍵穴付近の敏感なところを指でなぞる。その度に二人から切なげな吐息が出る。
我慢ができなくなった美春は頼子さんのメイド服の紐をほどき、一気に脱がした。
頼子さんも美春の制服を脱がした。肌で感じる温もりを確かめ合いながら二人はまた抱き合った。
「やっぱり…ここも気になりますからね…」
美春は頼子さんのショーツの上から指を触れ、頼子さんの喘ぎ声
を確認してから下着も脱がし、彼女の裸体を見て、少し溜め息を吐いた。
「羨ましいです…頼子さん、こんなにスタイルよくて…」
と頼子さんの身体を愛撫し続ける…。頼子さんはそうされつつも、美春の
下着も脱がしていった。そして、美春の胸に顔を近づけ、彼女の乳房を思いきり吸った。
「あ…んッ…!よ、頼子さん…嬉しいです…」
頼子さんは美春の片方の乳房を可愛がりながら、右手で鍵穴の付近を撫で続ける…。
負けじと美春は頼子さんの一番大切な部分と猫耳を指と舌でなぞり、お互いの愛を確かめ合っていた。
「はぅ…美春さん…好きです…んっ、…好き…んあッ!」
「くっ…あ…あれ?…あ…ちょ…ちょっと興奮しすぎたみたいです…」
美春のからだがいきなり崩れてきたので、頼子さんはそれを抱きとめ、額にキスをする。
「あの、頼子さん…背中のゼンマイを巻いてくれませんか?」
そう言われてゼンマイを受け取った頼子さんだったが、美春が上に乗っているために、
鍵穴を見ることが出来ない…。仕方が無いので、美春を抱きながら鍵を差し込んで思いきりまわした。
「ッ!アアアッ!」
鍵が勢いよく入り、美春の目からは涙が浮かび、大声を上げた。
「…あの…言わなかった私も悪いんですけど…もうちょっと…優しくしてください…」
「…ご…ごめんなさい…。」
謝りながら慎重にゼンマイをまく頼子さんだったが、彼女の優れた
聴覚が、純一と音夢がリビングから出る音をキャッチした。
「美春さん、急いで服を着てください!お二人が来ます!」
「ええ〜〜!?」
しかし美春が制服を着るのは間に合うかもしれないが、頼子さんのメイド服は
どれだけ時間がかかるかわからなかったので、美春は下着だけ着て、
頼子さんに制服を着せる…。制服を着てみたかったということでごまかせばいいだろう。
頼子さんが服を着終えてから二人が部屋に入ってきた。
「頼子さん、もう体も良くなったの?…あ…美春の?…附属の制服がよく似合ってますね♪」
後ろで半死人のようになっている純一を気にせず、笑顔で言う音夢に頼子さんは少し笑ってしまった…。
着替えるから少し下で待っていてほしいと二人に告げ、急いで服を着なおす頼子さんと美春。
外もだいぶ暗くなり、美春も家に帰ると言う。玄関に見送りに来た朝倉兄妹と頼子さんにさよならを
言って、帰ろうとした美春だったが何かを思い出したように頼子さんに近づいて笑顔で言った。
「…あ…そうだ頼子さん♪今度チョコバナナとバナナパフェを一緒に食べに行きましょうね♪」
「…は…はい♪もちろん♪」
珍しい二人のやり取りに純一は何かあったのかと尋ねるが、二人そろって「それは秘密です」と笑いながら言った。
終