「弟くん、お昼なんだけど…もしよかったら一緒に食べないかな?」
「いや、悪いけど今日は先約があるから」
まぁ本当は先約なんざないんだけどね。
わかりやすくしゅんとしょげる姉。
が、騙されてはいけない。
この人は隙さえあれば俺との近親相姦を目論む人である。早い話変態だ。
どうせ食堂でいちゃつくのが目的だろう。見せつける意味合いも込めて。
姉は人並み以上に嫉妬深い。
まともな学校生活を送りたいのなら、あまり関わらない方が無難である。
俺は口先だけの謝罪も早々にその場を立ち去った。
「兄さん、昨日一緒に話していた女の子、誰なんですか?」
「ただのクラスメートだけど」
なぜ知ってる?とは言わない。藪蛇だから。
別にこいつがストーキングしているとしても俺は驚かない。
あの姉にしてこの妹ありだからな。
「なんだ、俺が女の子と話してたら気に入らないのか?」
敢えてにやりと笑ってみる。
「なっ…そ、そんなわけないじゃないですか!バカ!」
顔を真っ赤にして向こうから去っていった。
何とも単純な奴だ。
さて、夜も更けた。そろそろ寝るか。
部屋に入って鍵をかけておく。
さくらさんの部屋の。
おやすみ音姉、由夢。
てか人の布団で裸になるなよ。明日そのシーツちゃんと洗濯しとけよな。