どうにも緊張していた。音夢はソファーに座りながら、自分が体を固まらせていることから、そう思った。  
 ことりと仲良くなるにはどうしたらいいか。それを彼女と相談したら、  
「とりあえず私の家に遊びに来ませんか?」  
 そうことりが申し出たので、こうしてことりの家に来たのはいいものの、  
「(・・・やっぱり緊張するよ・・・)」  
 自分はつくづく人見知りが激しい、というよりかは初めて入った友達の家とはどうにも緊張した。  
「なんだ・・・まだ緊張していたんですか、音夢」  
 くすくす笑いながらことりがトレイを持って台所から出てきた。  
トレイの上にはクッキーの入った皿が乗っていて、それをテーブルの上に置いた。  
「ご、ごめん。私どうにも・・・あがり症なのかも」  
 苦笑しながらばつの悪い顔を浮かべる音夢。  
「暫くしたら慣れると思いますので、クッキーでもお一つどうぞ」  
「あ、頂きます・・・」  
 ことりに勧められて音夢はクッキーを一つ摘む。まだ暖かい。  
「・・・これって、ことりが作ったの・・」  
「はい、音夢が遊びに来るということなので、さっき出来たばかりの出来立てほやほやっす」  
 Vの字を指で作ることり。  
「・・・すごいねぇ・・・」  
 音夢が感嘆の声をあげる。自分ではここまで上手くできないだろうと感心しているのだ。  
と、言っても音夢は料理自体できなかったが。  
「作り方を覚えれば簡単ですよ。今度音夢にも教えてあげますよ」  
「うん、ありがとう」  
 そう言って音夢はクッキーを一つ口に放り込む。口の中がバターの甘さで一杯になる。  
お世辞抜きに美味しかった。  
 
 クッキーが少なくなった頃にはすっかり緊張も解けて二人は会話で盛り上がっていた。  
「・・・でさ、兄さん中々起きてくれないからさ、私つい・・・」  
「つい・・・何ですか・・?」  
「ふふふ・・・聞きたい?」  
「・・・・いえ、遠慮しときます」  
 まるで怖いものを聞くのを嫌がる様にことりは無難にも断った。  
「ここから面白くなるのに、残念」  
「・・・羨ましいなぁ。音夢、朝倉君とずっとそうやって一緒にいてさ・・・・」  
「・・・・ことり・・・やっぱり」  
「・・・ごめんなさい・・・・そんな意味のつもりじゃなくて・・」  
 ことりは自分の言葉にはっとなり、謝る。  
 今、音夢は純一と付き合っていた。しかし、ことりが純一に気があったのは知っていた。  
だけど。  
 
「私は、音夢と朝倉君の仲を応援してあげるから」  
 
 そう言ってくれたのだ。自分の気持ちを押し殺してまで、自分たちの仲を祝福してくれたのだ。  
 凄い。自分にはできない事だ。音夢は思った。けれども・・・  
「ことり・・・やっぱりさ・・・自分の気持ちは正直言った方がいいと思う・・・自分の  
想いを伝えられないで終わる恋って・・・絶対後で後悔すると思う・・・だからさ・・  
恋敵である私が言うのもなんだけど・・・・」  
「・・・・・」  
「今度・・・兄さんと二人で話して合ってみたら。なんて、それでもし兄さんの気が変わって  
ことりと付き合い始めたら私が困るけどね」  
 苦笑する音夢。それが、彼女に言える精一杯の事だった。  
「音夢・・・・って、待って!!」  
 音夢が一通り話し終えて紅茶を一口飲もうとすると、何故かことりが必死になって止めようとする。  
 しかし既に遅く、一口飲んでしまった。  
 
「え・・・どうした・・の・・」  
 音夢は喋っていたら、突然体がぐらりと揺らめいて、そのまま体が動かなくなり床に倒れてしまった。  
 意識はある、・・・が、体が動かない。  
「ちょ・・・ちょっとことり・・・ど・・どういう事よ」  
「あ・・・ちょっと音夢を・・・その・・かわいいものだから、いたずらしちゃおうかなって思って・・・あの・・・薬を・・・」  
「は・・はぁ!?な、何考えてるのよことり!!」  
「あ、いや・・でもあんなシリアスな話になると思わなかったから。今となってはやりずらくなってしまって・・・それで止めようとしたんだけど・・・」  
「・・さ、さいてぇー、ことり」  
「へへへ・・・ご、ごめんなさい」  
 そう言っててへりと笑うことり。音夢は呆れた表情でことりを見上げた。  
 しかしことりはすぐに優しい顔になって言った。  
「・・・音夢、気持ちは凄く嬉しい。・・・でも、私はもう朝倉君と音夢の仲を見守る事に決めたんです」  
「・・・ことり」  
「だから、安心してください。音夢から朝倉君を取ろうとなんてしないから・・・絶対に」  
「・・・ありがとう、ことり。・・・ごめんね」  
 薬を飲まされたという事も忘れて、音夢は微笑してことりにそう、感謝の言葉を述べた。  
「・・・・でも、私もただ譲るだけじゃ悲しいので・・・」  
「・・・悲しいので・・?」  
 嫌な予感のする音夢。ことりは再びにへりと笑って音夢を見る。  
「朝倉君は音夢にあげます。だから、私は音夢をいただきますね♪」  
「・・・マ、マジ・・・・って、こ、ことり。待って・・・ん・・・んん・・・・」  
 ことりは有無も言わさずに、音夢の唇に自分の唇を重ねてくる。  
 最初は音夢も抵抗しようとも考えたが、それもやめて眼を瞑ってことりに委ねた。  
 暫くの間音夢とことりは唇を重ね合わせて、それを楽しんだ。  
 
「・・・ん・・・はむ・・・ん・・ことり・・」  
「ん・・・むぅ・・・」  
 ピチャピチャといやらしい音が部屋の中に響くが、気にしない。  
 ことりは何故かキスの仕方が上手くて、音夢の口内へ上手く舌を絡めてくる。  
 甘い。ことりのキスをそう思えた。さっき食べたクッキーの味だった。  
 舌を動かせば動かすほど味が出てくる。音夢は舌を動かしてそれを味わう。  
 二人とも息が荒くなってきたが、それも気にしないでただ夢中にキスをする。  
「・・・はぁ・・・ことり・・」  
 ようやく名残惜しそうに唇を離す音夢。ぼんやりとした眼でことりを見た。  
「ふふ・・・かわいいですね、音夢って」  
「・・・は、恥ずかしいからそういう事言わないでよ」  
 顔を赤らめてそう言う。  
「あら、じゃあこんな女の子同士でエッチな事をするのは恥ずかしくないんですか」  
「・・・い、意外に意地悪いわね・・・ことりって」  
 へへへと笑ってことりは動けない音夢をソファーに横にさせる。  
「・・・私、思えばソファーでエッチな事するの多いんだけど・・・」  
「そうなんですか。でも、女の子とエッチな事するのは初めてでしょう」  
「・・・まぁ」  
 普通はしない。そう思った。  
「ふふ、実は私も初めてなんです。人とエッチな事するの自体」  
「・・・それって」  
「奪われちゃいましたね。ファーストキス」  
 くすくす笑いながら、ことりは初めてとは思えない手つきで音夢の服のボタンを外していく。  
 次第に音夢のふっくらとした乳房が現れる。  
 純一と何度もやっているから見せた事も何度もあるが、今ここにいるのはことり  
 だったから、流石に恥ずかしかった。  
 
「なんだ、音夢って意外とあるじゃないですか」  
「・・・い、意外とってどういう意味よ」  
 ことりはさらりと爆弾発言を言うが、気にせずに音夢の乳房を揉んでくる。  
「あ、あん!!こ、ことり」  
「音夢って感じやすいんですね」  
「そ、そんな事・・・って、ちょ・・ちょっと」  
 ことりは音夢の乳首を口に入れてくる。  
「はぅ・・ん・・・あ・・・・」  
 その想像以上の快感に思わず声を上げてしまう音夢。  
「音夢、かわいい声出しますね」  
 ことりが意地の悪い笑みを見せる。  
「こ、ことり・・・後で覚えてなさいよ・・ああん!!」  
「何時までその元気が続くか・・」  
 笑いながらことりは音夢の下半身の方へと手を伸ばす。音夢のあそこは既に濡れている。  
 ことりは音夢のその濡れているあそこへと指を入れて上下にかき乱す。  
「ふあぁぁ!!・・・ん、ああぁ・・・」  
「気持ちいいですか、音夢」  
「あん・・・ん・・凄く・・・気持ちいいよ・・・ん、ああん」  
「そう・・・嬉しいです・・じゃあそのままイっちゃいましょう♪」  
「こ、ことり!!あ、あ、ああぁぁぁ!!!!」  
 ことりが音夢のあそこをかき回して、音夢は一気に絶頂を迎えてしまう。  
 音夢は息を乱しながら、ことりにぎゅっと抱きついていた。ことりも音夢を抱き寄せている。  
「ふふふ・・・可愛かったですよ、音夢」  
「・・・うぅ・・・こ、ことり」  
 なんか、ことりのその笑い方が無性に悔しかった。むしろ音夢は逝かされた、  
といった感じだったからだ。この見下げているかわいい小悪魔を何とか見返してやりたい。  
 そんなどうでもいい欲望が音夢の中で疼いていた。  
 すると、いつの間にか時間も経っていたので体も大分動けるようになっている事に気付いた。  
 音夢はしめたと思いにやりと笑う。  
 
「・・音夢?って・・きゃあ!」  
 音夢が笑ったのに気付いて不思議に思ったことりが何か言おうとした瞬間、  
 音夢はことりをソファーに押し倒して、ことりを下にした馬乗り状態になっていた。  
 ことりも一瞬何が起きたかわからずにポカンとしていた。  
「ね、音夢・・・!?」  
「ふ、ふふふ・・・こ、ことり・・・よくもやってくれたわね・・・覚悟はできてるの」  
「・・・・あー・・・もしかして・・怒ってます」  
「怒ってます!!」  
 苦笑することり。それで誤魔化そうとしているのだろうが、勿論そんな事で許すわけがない。  
「ふふ、安心しなさい。ことりもすぐに気持ちよくしてあげるからね・・・」  
「ね、音夢・・!!ちょ、ちょっと待って・・・って、ああぁぁん!!」  
 音夢はことりに何も喋らす暇も与えずに、ことりのスカートの中に手を入れて一気に逝かせようとさせる。  
「そ、そんな・・・・早すぎるよ・・・ああん!!!」  
 ショーツの中に指を入れてあそこをかき乱す音夢。ことりはかわいらしい声を上げて感じる。  
 今度は音夢が優位の立場に立った。ことりのこの乱れて声を聞きたかったのだ。  
もしかしたら自分はMの気があるのではと変な事を思ったが、決してそんなつもりはなかった。  
「ああああ!!!イっちゃう、イっちゃうよ!!音夢」  
 普段の彼女からは考えられないくらいの激しい乱れっぷり。女の音夢でもそれに興奮する位可愛かった。  
「イっちゃっていいよ、ことり」  
「ああん!!あ、あ・・・ああぁぁぁ!!!」  
 絶叫を上げてことりはその快楽に絶頂を迎えてしまった。  
「・・・はぁ・・・はぁ・・・ひ、酷いです・・音夢」  
 ことりはとろんとした眼で音夢を見上げた。音夢は苦笑してそのままことりをぎゅっと抱いた。  
 ことりも音夢にその身を委ねて、暫くその暖かさを感じあった。  
 
 
 
「これで二人の仲は急上昇♪」  
「・・・はぁ・・・」  
 次の日、登校時に歩きながらことりは音夢に後ろから抱きついて、楽しそうにそう言った。  
 仲良くなる方法として音夢を自分の家に呼んで体を寄せ合って手っ取り早く仲良くなろう、  
 というのがことり考えだったらしい。何とも無茶苦茶な方法だなと音夢は思った。  
「でも、こうして仲良くなれたんだから万事OKっす♪」  
「まぁ・・・そりゃそうですが・・・」  
 呆れた風に言う音夢。しかし、確かにもうことりに対しての蟠りはすっかり消えていた。  
ことりとはこれからも仲良くやっていけるだろう。そう思えた。  
「・・・な、なんか今日は二人ともやけに仲が良いな。なんかあったのか?」  
 隣に同じく歩いていた純一が疑問に思って呟いた。  
「な、何でもないです!!」  
 音夢は顔を真っ赤にしてそう言った。  
               Fin  

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