「どうしたんだよ?由夢」  
 
「もう兄さんなんて知りません、ふんっ」  
(兄さんは私の気持ちなんて分かってないんだ!)  
 
由夢は義之にそっぽを向き、走り出した。 由夢がそんなことをしたことには理由があった。  
 
 
 
 
義之と恋人関係になった由夢。彼女はただの妹から恋人という関係に進めたことに最高の喜びを感じていた。  
しかし、義之はというと、いままでと態度があまり変わらず、自覚をしていない。他の女子ともいつも通りひたしげに話し、笑いあう。そんなことに由夢ははらがたっていたのだ。  
由夢が機嫌が悪い理由は義之には分からず、ついに由夢は義之の前から走り出した。  
 
 
「(兄さんなんて・・・・兄さんなんて・・・・・ あんなに好きなのに・・・・・・恋人なのに・・・・・・・なんで兄さんからは何も言ってくれないの・・・・)」  
 
言葉にならない兄、そして恋人への気持ち。  
由夢は義之の前から姿を消し、商店街を抜け、人通りの少ない道を風のように走る。義之に追いつかれないように。  
 
バシッ  
 
後ろから由夢の腕をつかむ音。由夢は腕に強い圧迫感を感じた。 誰かが、彼女の腕をつかんだのだ。  
 
「(兄さん?兄さんなの?)」  
後ろを振り向く間のかすかな時間の間に由夢はいろいろなことを思った。  
  義之であってほしいが義之であってほしくない。追いかけてきてくれたのならうれしい。だけど今は顔を見たくない。  
 
そして後ろを見た由夢。 が、彼女の表情は喜びを表さなかった。  
 
「エヘヘ。 君、かわいい顔してるね。 俺たちと遊ばない?」  
20歳前後のチャラけた格好をした男2人が後ろに立っており、その1人が由夢の腕をつかんで言った。  
 
「すいません。今、そんな気持ちじゃないんです。 放してくださ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅ」  
 
「へへへ。でかい声ださないでくれよ? イイ子にしてたら気持ちよくしてあげるからさ」  
男のうちの1人が由夢の口をタオルで塞ぎ、他の男が由夢の体をつかみ、近くにとめてある車に由夢をつれこんだ。  
 
「(何?・・・なんなんですか? 助けて・・・兄さん)」  
 
暴れる由夢の肌にスタンガンをあてた。   
 
「おとなしくしてねー。」  
 
後ろの後部座席へ放り込まれる由夢。  
男達は、運転席と後部座席へ。 先ほどスタンガンをあてられた由夢はもうろうとする意識のなかポケットの中の携帯をとりだし、とっさにメールを送ろうとこころみる。  
宛先は「お姉ちゃん」 アドレス帳でとっさにでてきたのが姉である朝倉音姫だったからだ。  
本当は義之におくりたかったのだが、早く誰かに助けてほしい恐怖感と、みつかってはいけないという恐怖感から誰でもいい。という感覚に由夢は陥っただ。  
 
「助けて」 それだけを音姫に送信した。   
 
そして、由夢は意識を失った。  
 
 
 
 
 
「ん・・・・・・・・・・・・・・・・」  
由夢が意識をとりもどしたとき、由夢はどこかもわからない部屋のベットに横になっていた。 されに彼女の手足はすべてロープのようなひも状のもので縛られていた。  
 
「やっと起きたー。これから君がされることって分かる?」  
男が、ひどくニヤけた顔で由夢の顔を覗き込む。  
 
すると男が由夢の胸を服の上から触りだす。  
 
「おおぉ〜以外と胸あるじゃん。 柔らけー」  
 
「や・・・・・・やめて・・・・ あ・・・っ 」  
知りもしない男につかまっている恐怖感と胸をさわれている羞恥から由夢は声があまり出ずにいた。  
 
そして男2人がかりで服をすべて剥ぎ取っていく。  
 
「いやぁぁぁあぁぁ 助けて、助けて兄さん! お姉ちゃんっ 嫌あああああああぁあ」  
 
「へへへ、暴れても無駄無駄。おとなしく俺たちに体をみせてちょーだい。」  
 
あっという間に由夢は上下下着だけの姿となった。  
 
「おぉ。上下ともに白色ですか。清楚だね〜〜。 んじゃぁ、乳首拝見といたしますか。」  
 
チョキ。 ブラの紐を男がハサミで切り取った。  
 
「おぉ・・・ 乳輪ちっちゃくてきれいなピンク色だね〜。 男に触られた事あるの〜?」  
そんなことをいいながら胸の頂点をつまむ。  
 
「ぁっ ぁあん・・・・  み・・みないでぇ」  
(兄さんにも触られた事ないのに・・・・・・・・・・・)  
 
 
「へへ へへへへへへへへ」  
 
 
 
ドン、バタン!  
 
 
何かがドアを破る音だった。  
 
「お前ら、人の恋人になにしてんの?」  
義之だった。   
蹴破ったドアの後ろに義之は立っていた。その顔はいつもの温厚な顔ではなく、鬼の形相だった。  
 
義之は何も言葉を発せず、男2人に殴りかかった  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
義之は男を2人を倒した後、ボロボロな体をひきずって黙ったまま由夢の手足を縛っているロープを解いた。  
そして上着を由夢の肩にかける。  
 
「兄さん・・・・・なんで?・・・・なんで私なんて助けたの?全然相手してくれなかったのに・・・ こんなにボロボロになるまで・・・・なんで・・・・・・・私なんかどうでもいいんじゃないの?・・・・・いったいどうして・・・?」  
由夢は頭がパニックな状態で同じようなことばを繰り返しつぶやく。  
 
義之は黙ったまま由夢を抱きしめる。  
そしてつぶやく  
「好きだから・・・・・好きだからにきまってんじゃねぇか。 なんで俺が命かけてるんだよ、お前が好きだからだろうが。」  
 
「兄さん・・・・・兄さん、兄さん 怖かった。怖かったよ、助けてほしかったよぉ。ありがと・・・ありがと・・・・・グスッ」  
由夢はお礼の言葉を何度も何度もなきながら義之につぶやいた。  
 
「ごめんな。音姉に聞いたよ。さびしい思いさせてごめん。 もう絶対こんな思いさせないから・・・・・・・・俺が絶対守る・・・・・・」  
 
 
 
 
 
 
それから男達は警察に連行され、由夢と義之は病院にいったあとに家に帰った。  
 
 
「ふふふ・・・兄さん、ボロボロだね。顔もキズだらけだよ?」  
由夢は安心した表情で義之に言う。  
 
そのことには義之はもとの温厚な表情にもどっていた  
「うるせぇ。必死だったんだよ。」  
バツが悪そうに義之は頭をかく。   
由夢はこんな義之といっしょにいることが嬉しくてたまらないのである。そして、もう1つ嬉しい理由がある。  
 
「ちゃんと 好き っていってくれたのこれが初めてだよね?」  
そう、義之は恥ずかしさから最も大切な言葉を由夢にまだしっかりいってなかった。  
 
「あたりまえじゃないか。いわなくったって俺はお前が好きなんだよ。 言わなかったのはその・・・恥ずかしいじゃないか。」  
 
「ふふふ・・・ まぁいいや。兄さんが私のために助けてくれたから。 ありがと。兄さん」  
 
 
 
「好きだよ。」  
 

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