それは皆と話していた時
「あ……貴方……誰?どうして……私の家にいるの……」
杏が俺達から距離をとるようにあとずさる。さっきまであんなに楽しく話してたのに……また……あれなのか。
渉(またか・・・・)
「お、落ち着くんだ杏。お、俺はお前の……」
「杏!落ち着いて!」
「嫌あ!来ないで、来ないで……私は貴方達なんて知らない……お婆ちゃん!怖い人がいるよ、助けて、助けて……」
不敵な小悪魔的少女は……いや先ほどまでそうだった小柄な少女は、とっくに他界してる故人に助けを求め、部屋の隅で怯えていた。
昔とは違い、膝を抱えて、哀れな小動物のように哀願する杏。
桜の魔法が消えてから、杏を苦しめる部分的に記憶が消去される障害、通称「リセット」。それと付き合っていくのは容易でないことを俺たちは改めて実感していた……。
「今まで嫌な奴と思っていたけど、あいつの親戚たちの話聞いてたらあいつの仲間になってたな」
「たしかにな、付き合っていないけどあいつとは恋人みたいなもんかな」
「よくいうぜ、ラブルジョワ。付きあってもないくせによ〜。男女の中でもねえくせに」
帰り道渉と二人で帰り道を歩く。