「おっと、こちらでも親父狩りかぁ!しかも、かなりのご年配の方!  
 親父狩りにしても酷すぎる、老人虐待ではないのかぁ!?」  
 そのモニターには一人の老人を三人の女子生徒が取り囲む様子が映し出されており、  
数多の父兄と同じように倒されると観客の誰もがそう思った。しかし、次の瞬間の映像は  
その老人に瞬殺される三人の女子生徒の姿であった。  
「親父狩り上等のこの空間で女子生徒をなぎ倒すこの老人は一体誰だぁ!?」  
 その老人はすばやく三人の札を取るとモニターを確認、そして窓を見て下を確認すると、  
そこから一気に下に飛び降りた。  
「急がないと・・・」  
 由夢は主戦場となっている附属の校庭に向かって一路駆けていた。由夢の所持する札の  
枚数は現在のところ、二次予選進出を保障する枚数であったがそれで大丈夫とは言い  
切れるものでもなかった。その由夢の目の前に一人の老人が文字通り天から降ってきて  
立ちはだかる。その人物の姿に由夢が、放送席では義之とさくらが驚愕する。  
「おじいちゃん・・・」  
「お兄ちゃん・・・・・・」  
「純一さん・・・・・・」  
 呆然とする由夢の前で、その老人−朝倉純一は構えを取る。  
「由夢、お前の拳を封じる」  
 由夢は怒りとも困惑とも言いがたい複雑な表情を浮かべ、何とか言葉を紡ぎだすことが  
できた。  
「それは・・・私だけですか?」  
「いや、音姫もだ。ただ先に会ったのが・・・」  
「私というわけですか」  
 会話を交えながらも徐々に戦闘態勢を取りつつある両者。  
「さくらさん、何で純一さんが!?」  
「う〜ん・・・音夢ちゃん、根に持つタイプだからね・・・・・・」  
「すいません、よく分からないのですが・・・・・・」  
「まっ、お兄ちゃんに負けるくらいなら本選に出る価値はないということかな」  
 由夢と純一は互いに相手の隙を探りつつ、にらみ合う。  
「でも・・・おじいちゃんとはいえ、手加減をするつもりはありませんから・・・・・・」  
「年寄りの冷や水、そう言いたいのだろう。由夢よ。  
 心配はいらんよ。歳による衰えは認めるが、対策は講じてある」  
 そう言って、純一が取り出したものにさくらは再度驚愕し、立ち上がる。  
 
「わしは人間をやめるぞ!由夢ぇぇぇぇぇ!!」  
 純一はそう叫ぶと石仮面を被る。石仮面から出た骨針が純一の頭部に突き刺さる。  
「「えっ?えっ!えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」  
 義之と実況の渉、会場中の観客から叫び声が上がる。  
「さっ、さっ、さくらさん!あれは何ですか!!」  
「大丈夫、あれは石仮面の作用だよ。死ぬわけじゃないよ、なるんだよ」  
「なるって・・・何にですか?」  
「吸血鬼」  
「・・・・・・」  
「吸血鬼」  
「・・・・・・・・・」  
「原理を説明するとね・・・・・・」  
「原理はいいです・・・それより、何で純一さんがそんなものを持っているのだろう・・・・・・」  
「いや、うちの物置に置いてあったから」  
「はぁっ?」  
「お兄ちゃんが貸してと言ったから、つい」  
「なんでそんな物騒なものをホイホイ貸すのですか!?」  
「・・・・・・・・・」  
「・・・・・・・・・」  
「にぱー」  
「笑ってごまかさないでください!」  
 会場でどよめきが起こる。石仮面を外した純一の姿が老人ではなく彼らと同じティーンの  
若者になっていたからである。  
「由夢よ、これで互角、いや互角以上だな」  
「いえ、私の方がまだ有利です!!」  
「由夢よ・・・デレるのはまだ早い!!」  
「だっ、誰がデレですかぁ!!」  
 双方のパンチが交錯し、激しい打ち合いに転じていく。  
 
「バトルホッパー!!」  
 ジェレミーは天高く腕を突き上げ叫ぶと乗り手のいない一台のバイクが突如として現れて、  
彼女の元に疾走する。しかし、その様に学園長のさくらは渋い表情を見せる。  
「バイク通学は禁止なんだけどな〜」  
「そんな問題じゃないと思いますが・・・・・・」  
 ジェレミーはバトルホッパーに跨り、校庭を疾走し、大きくジャンプ!そしてフローラの肩の  
上に乗る。  
「ブレーザーカノン砲、発射準備完了!」  
「照準OK!」  
「「シューティング!!」」  
 バトルホッパーのヘッドライトから必殺の波動光線を発射され、エリカに向かっていく。  
「なんの、カタルシスウェーブ!!」  
 エリカの技とフローラたちの技が激しくぶつかり合い、その衝撃波が風見学園中に轟く。  
そして、その衝撃波は麻耶の吹く笛の音を遮り、美夏は反撃の機会を得る。  
 
「いっ、怒る!!」  
 瞬間、美夏は瞬転をする。  
「天枷美夏、スクール水着ぃぃぃぃぃぃ!!!」  
「たぁぁぁぁぁぁ!!」  
 怒りに満ちた美夏は回し蹴りを放ち、駐輪場の柱を折り曲げる。  
「ここまでみたいね・・・か。札を取れなかったのは残念だけど、実戦データが取れた  
 だけで良しとしましょうか」  
「う〜何をゴチャゴチャと!」  
 天枷美夏を撃破する機会が失われたことを悟った麻耶は逃走に移る。しかし、今まで散々  
攻撃され、ようやく反撃の機会を得た美夏にとっては納得できるものではない。すかさず  
追いかけようとするが・・・・・・  
「ジェットスクランダー!!」  
 麻耶は天枷研究所から飛来してきたジェットスクランダーと合体、そのまま天高く飛翔  
していった。  
「さようなら、美夏!本選で会いましょう!!」  
「まっ、待てぇ!!」  
「うむむ・・・美夏は空を飛ぶことができない。ここにも美夏の弱点が・・・・・・」  
「先生・・・普通、人類は空を飛びませんが・・・・・・。  
 というか、空飛んでる委員長の方が圧倒的におかしいです」  
「降りてこい!!」  
「本選で会いましょう!!」  
 ジェットスクランダーで飛び去る麻耶を美夏は唇を噛んで見送ることしかできなかった。  
 
「くっ、埒が明かない!」  
「さすがはななか!」  
 3vs1では勝ち目がないと、逃走の機会を探りながらも防御に徹するななかに対して、  
雪月花は決め手を欠いていた。しかし、一方のななかも隙あらば逃走と考えていながらも  
誰か一人が常にななかの逃走路を塞ぐ雪月花のコンビネーションの前にその機会を得る  
ことがまったくできなかった。ここに至り、雪月花はついに切り札を切った。  
「小恋、茜、ジェット・ストリーム・アタック」  
「「OK!」」  
 杏・小恋・茜の3人は終結し、直列に並んでななかに向かって突進する。先頭の小恋の  
渾身の右ストレートにななかがタイミングを合わせてカウンターを放ち、腕が擦れる刹那、  
ななかの脳裏に小恋の思考が流れ込む。  
「(まずい!)」  
 小恋の背後からジャンプした杏が対角線上にチョッピングライトを振り下ろす。小恋の  
思考を読んだななかはその攻撃をかろうじてよけることに成功する。しかし、その直後に  
今度は茜の左のスマッシュがななかを襲う。  
「危ない!」  
 茜の攻撃もかろうじて避けることができたななかであったが、転倒したためにその場から  
逃走することは叶わなかった。  
 
「全部避けられた!」  
「でも、転んでる!」  
「小恋、茜、もう一回、ジェット・ストリーム・アタック」  
 雪月花の三人が態勢を整えて再度の攻撃に移ろうとするのとななかが立ち上がり迎え  
撃つ準備をするタイミングはほぼ同時であった。  
「行くわよ、ななか!」  
「来なさい、小恋!」  
 親友同士が向かい合い、突進をする。  
「月島のあの動きはなんだぁ!?振り子のように左手を振っている!!」  
「むっ、あれはフリッカージョブ!出所が分からないから避けられないぞ!!」  
 小恋のフリッカーがななかの身体に突き刺さろうするまさにそのとき。  
「避けられないなら、身体ごと逃げる!」  
「わっ、わたしを踏み台にぃぃぃ!!」  
 直前でジャンプしたななかは小恋の背中を足場にして、続いて攻撃に移ろうとしていた  
杏目掛けて対角線上のキックを振り下ろす。  
「くっ!!」  
 杏はななかの動きを見て咄嗟にガードをしたが、その蹴りの力は強く、またウェイトも  
少ないことがあり、吹き飛ばされてしまう。  
「こっ、このぉぉぉ!!」  
 しかし、杏を蹴ってノーガードになったななかはその次に控える茜の左フックを喰らって  
杏同様に吹っ飛ばされた。  
 杏とななかが双方ダメージを受けて痛み分けになったが、月島小恋と花咲茜の二人は  
無傷であり、ここで戦力のバランスは大きく雪月花サイドに傾いた。だが、ここでななかを  
追撃しようとする小恋と茜を杏は押し止めた。  
「なんで?今がチャンスなのに〜」  
「追いかけたら・・・没収される」  
「アラート!アラート!ここは立ち入り禁止区域です!速やかに退出してください」  
 押し止められた二人にもその警告の声が聞こえた。ななかは茜に左フックで立ち入り禁止  
区域に吹き飛ばされていたのである。  
「ななかは不可抗力で吹き飛ばされたことになるから猶予はあるけれど、私たちが  
 突入すれば、それは故意による侵入と看做されて・・・」  
「没収される・・・・・・」  
 立ち入り禁止区域ではななかがよろよろと立ち上がり、反対側の扉から立ち去ろうとして  
いた。好機を逸したことに茜が臍を噛むが、杏は次の展開に警戒をしていた。  
「それに、お出まし・・・」  
「逃げられちゃったね、残念」  
 赤い光点4つの入り組んだエリアに誘われた音姫が雪月花の前に現れた。  
 
<続く>  
 

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