もう一つの青い光点は周りの光点が避ける中を堂々と闊歩している。
「高坂先輩!」
「なんだ、エリカか。首尾はどう?」
「私は9個です。先輩はいくつですか?」
「12個」
「流石です!」
「エリカも大したもんだよ」
「あの・・・ところで朝倉先輩は?」
「あぁ〜音姫。音姫は別格」
「別格?」
「そう、別格。音姫の周りには誰も寄り付かないから。だから生徒室で時機を待ってる」
「そうですか・・・・・・」
「でも、あたしは待っているのがイヤだから出張ってる。それに・・・」
「それに、私たちなら数で勝れば何とかなると思われているようですね」
「うん、どうやらそうらしい」
「舐められているようですね・・・」
「あぁ、まったくそのとおり・・・」
いつしかエリカとまゆきの周りを10ほどの少女が取り囲んでいる。
「優勝候補の高坂まゆき、そしてエリカ・ムラサキ、このピンチをどうしのぐぅぅ!!」
「こんなの、ピンチのうちに入りませんわ」
「あぁ、飛んで火にいる夏の虫ってな!」
「てりゃぁぁぁ!」
四方よりまゆき目掛けて一気に襲い掛かる女子生徒たち。
「北斗四方斬!!」
しかし、その攻撃はまゆきに命中することなく逆に全て叩きのめされてしまう。
「弱い・・・鍛錬の成果を試す稽古台にもならぬ・・・・・・」
一方、エリカにも2人の生徒が襲い掛かる。しかし、こちらもダメージを与えることができず、
エリカの鋭い攻撃を身に受けることになる。
「くぎゅぅぅぅ〜」
「くぎゅぅぅぅぅぅ〜」
エリカを襲撃した女子生徒たちは奇声を発しながら倒れていく。
「ツンデレに定評のある釘○ボイス!その威力恐るべし!!」
「感嘆するのはいいが、杉並。せめて分かるように解説してくれ」
瞬く間に仲間を倒された生徒たちはその場から逃げ出そうとするが、それを見逃すほど
二人は甘くなかった。
「行くよ、エリカ!」
「はい、高坂先輩!!」
「全新!!!」
「系裂っ!!!!」
「「天破侠乱!!!」」
「行くわよっ!!うてぃっエリカッ!!!」
「はいっ!!!!!」
「超級!!!!!」
「覇王!!!!!」
「電影だぁぁぁぁぁんっ!!!!!!!!!」
まゆき・エリカのコンビの戦いぶりを3人の女子生徒が眺めていた。
「流石ね〜高坂先輩。鬼の副会長、健在かな」
「ムラサキさんも強くてビックリ」
「そうね。あの二人が組んだら鬼に金棒というところかな」
「そうです、たとえるなら風見学園の超人師弟コンビ!
ロ○ンマ○クとウォ○ズ○ン!」
「今ので、かなり取ったみたいだけど・・・行っとく?」
「えぇ〜ちょっと危険すぎるんじゃ・・・」
「リターンは大きいけどリスクも大きい。この段階行くのは無謀と思うわ。
それより今はチクチクと集める方が何かと都合がいいと思う」
「そのとおり!さあ、試合ましょう!3人いっぺんでも構いません!!」
「では、取り合えずあの二人は無視・・・」
「まず12人のうちに入ることを目指した方がいいと思う」
「小恋のいうとおり。確実に倒せるのでないなら相手にするべきじゃない」
「この風見学園の赤い彗星と呼ばれた小鳥遊まひるが相手します」
「杏ちゃんが言うなら間違いはないわね」
「わたしも杏に賛成」
「茜も小恋も納得したということで手筈どおりに」
「そう、たとえるなら空を翔る一筋の流れ星・・・・・・」
「じゃあ、私はこっちの棟に行くから小恋ちゃんはあっちの棟に」
「わかった。杏、誘導お願いね」
「うん、小恋も茜も準備しておいて」
茜、小恋、杏の三人は作戦どおりにそれぞれの持ち場に移動していった。
「放置しないでください〜!!」
その場にまひるを残したまま・・・・・・
「待ちなさい!白河ななか!!」
「勝負!勝負!」
「そんなこと言ったって・・・・・・」
ななかは相変わらず追い掛け回されている。
「待ちなさい!」
「あっ、委員長だ!やばい!!」
「捕まったら説教されるわよ!」
「逃げよ逃げよ!」
「すいませ〜ん、もう廊下は走りませんので〜それでは〜!!」
「違う違う!私と勝負、勝負を・・・・・・」
言い終わる前にななかと彼女を追う生徒たちはその場から立ち去ってしまっていた。
「う〜ん・・・こっちも一人なんだけどな・・・・・・」
優勝候補筆頭の音姫とは同じとは思えない理由で何か避けられていることに麻耶は頭を
抱えていた。
「う〜ん、委員・・・もとい沢井麻耶選手、スルーされています。白河選手と同じ一人身の
参加者なのに流される様はやはり地味なせいでしょうか!」
「うむ。だがしかぁし!委員長たるもの、エロくてヤラしいのは基本スペック!
風見学園の委員長がその例外であるとは言い切ることができようか・・・・・・」
「う〜ん、なるほど〜」
「なるほどって、さくらさん・・・・・・」
「うっ、うらやましくなんかないぞ、義之ぃぃぃ!!」
「だから、何がぁ!!」
麻耶とは異なる理由で敬遠されている音姫は今なお生徒会室に留まり・・・食事を取っていた。
「う〜ん、われながら上出来!」
「音姫先輩食べています!美味しそうに食べています!!」
「玉子粥、蕎麦粥、茶粥、芋粥に牛乳粥まで・・・美味そうな五色の粥だ」
「今度音姫ちゃんに作ってもらおうかな、お粥さんでも」
「いや・・・なんで、こんな時に食べているのかと・・・そちらの方が・・・・・・」
音姫の座っている席の机の上には空になったタッパが5つ山積みにされていた。これら全てに
お粥が入っていて、その全てを音姫は食していた。
「義之くん、お粥は消化にいいんだよ」
「いや、それは分かりますが・・・・・・」
「おおっと!音姫先輩、今度は梅干を大量に取り出して・・・すっぱぁぁぁぁぁ!!!」
音姫はもう一つタッパを取り出すと、そこに入ってあった梅干を全て口中に入れた。
「そして、今度はバナナだぁ!これはエロい!!」
更にスーパーで買ってきたバナナ一房まるまる食した音姫は続いてペットボトルのコーラを
思い切りシェイクし、炭酸を抜く。
「生徒会長、コーラを振って炭酸を抜いた!しかし、これは美味しくないのでは・・・」
「いや、炭酸抜きのコーラは栄養価が高い。愛飲するマラソンランナーも多いと聞く」
「理想的な食事だね」
「・・・何から突っ込んでいいのか、皆目見当もつかないです」
その頃、雪村杏がななかと同様に追い掛け回されて、ななかと異なって校舎のそばに
追い詰められていた。
「雪村さん、追い詰めた!」
「覚悟!」
「その札を全部渡してくれたら、痛い目に逢さなくてよ」
しかし、杏は勝ち誇る参加者たちを見回すとニヤリと笑みを浮かべた。
「ちょっと少なめだけど・・・引っ掛かったのはあなたたちのほう」
「えっ、何?」
「つ、月島さんや花咲さんがいないじゃないの!」
「そうよ!観念なさい」
しかし、杏は言葉を発することなく、ただ笑みをこぼすのみであった。そして、どこから
ともなく音楽の調べが流れてき始めた。
「こっ・・・この音楽は一体!?」
「どこから!?」
「「どこ!どこ、どこ!?」」
「あそこよ!!」
少女の指差す方向、風見学園の教室棟の屋上の給水槽の上で小恋がギターで
"禁じられた遊び"を奏でていた。そして、今度は別の方角から異なる音楽の調べが
流れてくる。
「こっ・・・この音楽は"チャルメラ"!?」
「どこから!?」
「「どこ!どこ、どこ!?」」
「あそこよ!!」
少女の指差す方向、風見学園の特殊教室棟の屋上の冷暖房調節ファンの上で茜が
リコーダーを吹いていた。そして、小恋と茜の二人はそこから杏のいる校庭に向けて
飛び降りた。
「超萌戦隊!」
「雪!」
「月!」
「花!」
杏を中心に小恋と茜がポーズを取る。その様を周りの参加者が呆然と眺めていた。
「引いちゃってるよ、杏〜ドン引きされてるよ〜」
「これくらいインパクトをつけないと流されるわよ」
「流されるって、誰に〜」
小恋は穴があったら入りたいと思う。
「大体、わたしはベースだよ〜ギターは義之が担当なのに〜」
「小恋ちゃんは弾ける楽器だったからいいじゃないの〜
私はトランペットが弾けないから縦笛なんだよ〜」
「カスタネットかタンバリンの方がよかった?」
「巨乳つながりで木琴でもよかったんじゃないかな?」
「さくらさん、聞こえてないからツッコミはやめてください」
「それよりも、小恋ちゃん。目の前の」
「そ、そうだね・・・取り合えず、こちらの方の・・・・・・」
「そっちはもう済んでる」
「「えっ!?」」
杏の意外な言葉に小恋と茜が驚く。そして、まもなく三人を取り囲む参加者たちは
一斉に崩れ落ち、杏の手に半月刀が戻ってくる。
「この半月刀で一気に片付けた。そのまま投げても逃げられるから・・・・・・」
「それで、私と小恋ちゃんに屋上で楽器を弾かせたのね」
「そう。見事に注意を逸らせてくれた。だから、一気に倒せた」
「恥ずかしかったよ〜何もそこまでしなくてもわたしと茜がいれば倒せたはずなのに〜」
「小恋、ここで手の内を晒すことはないわ。それに」
「それに?」
「義之も惚れ直したんじゃないかしら」
「えっ、よっ、義之が・・・えっ、えっ、そっ、そうかな〜」
「いや、引いてる・・・これ以上ないくらいに・・・・・・」
実況席真横の檻の中で義之が呟く。
「よっ、義之ィィィ!こっ、このやろぉぉぉぉぉぉ!!!」
「いっ、板橋君・・・あっ、暴れないで」
「逆噴射しないで〜!!」
放送席では機材提供の放送部員が荒れ狂う渉を抑えるのに難渋していた。
「えいっ!ト○ーシャチョ○プ!!」
さくらの見事なト○ーシャチョ○プが錯乱する渉を停止させる。
「流石は学園長!見事な右ななめ45°!!」
「・・・すいません、帰っていいですか」
一次予選開始から45分が経過しようとしていた。リタイアする者が少しずつ出始め、
全体の光点はやや減少している。しかし枚数を稼ぐ者も、全体としては20枚を超す
赤い光点がポツポツとあるくらいで、札の取り合いは全体として膠着状態にあると
いってもよかった。そして意外なことにまゆき&エリカの生徒会コンビ、雪月花の三人は
トップグループにいるものの予想外に伸び悩んでいた。
「これは意外です。生徒会師弟コンビ、雪月花、数は多いもののなかなか思うように
伸びてはいません!」
「板橋、これは意外でもなんでもない」
「どういうことだ、杉並・・・じゃなくて。どういうことですか、杉並さん?」
「高坂まゆき、エリカ・ムラサキ、雪村杏、月島小恋、そして花咲茜・・・・・・
いずれもが優勝するに相応しい実力を持った強者揃い。
一人だけでも十分強いのに連れ立った行動しているんだ、そうでなものにしたら
姿を見ただけで逃げて隠れたくなっても不思議ではない」
「なるほど・・・・・・では、この5人は不利ということになりますか」
「そうなるだろう。そして、残る1時間強の時間をこの5人に接触することなく、上手く
札を回収することができれば、二次予選以上に進出することができる。い
その可能性、高いとは言えないが決して低いとも言えぬ」
「ということは、なんだかんだ追い掛け回されてはいるものの着実に札の枚数を
増やしているななかはかなり有利ということか・・・・・」
「パフォーマンスは最悪だけどね」
「しかし、そろそろ生徒会長様も動かないと時間的にやばくなるころだ」
「ん?まぁ、もうそろそろ半分過ぎる頃だし・・・・・・」
「違うよ、義之くん。ルールの面でもだよ」
「ルール?」
「そうだ。さっき、リタイアに関するルールを言ったと思うが」
「あぁ、聞いた聞いた」
「10時までにリタイアした場合は札を全て没収となるが10時以降のリタイアは
それまでに獲得した札は持ち点としてカウントされるルールとなっている」
「なんでまた?」
「勝ち逃げ防止と先行逃げ切り型の戦略を有効とする意味でだ」
「だから、音姫ちゃんものんびりし過ぎると肝心要の札が逃げられて取れなくなる
危険性があるということだよ」
「さて、その朝倉選手の状況はどうなっているのでしょうか」
「・・・・・・寝ている」
お粥と梅干、バナナを平らげた音姫はタッパを洗い、ゴミを処理して後片付けを
するとそのまま生徒会室の机に突っ伏して寝入っていた。だが、その様は少女の
寝姿ではなく、眠れる獅子の姿であった。その獅子がいつ目を覚ますか、その
時機はすぐに現れた。
「会長が目を覚ましたぁぁぁぁぁ!!」
9時50分、音姫を机から顔を上げて目を覚ます。身嗜みを整えるとモニターの
光点を確認、窓の方に顔を向けて、そして・・・・・・
「朝倉選手、座ったまま跳躍!窓から飛び出したぁぁぁ!!!」
「ちょ・・・音姉、そこ3階・・・・・・」
椅子に座ったまま立つことなく跳躍した音姫はそのまま生徒会室の窓をぶち破り、
真下にある池の上に着”地”した。
「どういうことだぁ!?生徒会長、池の上に立っています!!」
「う〜ん、水面をよくみてごらん」
「学園長のおっしゃる池の水面には・・・な、なんと会長のパンツがぁぁぁ!!」
「「うぉぉぉっぉぉ!!」」
「純白ではありません、イエローの可愛いパンツがぁ!!」
「こっ、これで10年戦える!!」
「な、なんで!会長は純白のパンツでないとぉぉぉ!!」
「「学園長、GJ!!」」
「「GJ!GJ!!」」
「・・・・・・見て欲しいのは水面の”波紋”の方なんだけど」
校庭では3階の窓を蹴破り、校庭まで飛び降り、池面に立っている音姫の姿に誰もが
途惑いを感じ、その穏やかそうな佇まいとは裏腹に恐怖におののいていた。
「それでは皆さん、試合いましょうか」
水面に波紋を生じさせながら、その反発する力で水の上に立っている音姫は一歩一歩、
その場にいる女子生徒たちに向かって歩いていく。その様子に圧倒された女子生徒たちは
後ずさりを始め、逃走に移ろうとする。
「逃がしません!天将奔烈!!」
音姫の拳圧は怒涛のごとくその場にいた女子生徒たちに押し寄せ打ち倒し、一気に
ドクターストップへと導いた。
「すっ、凄い・・・一気に五人、屠った・・・・・・」
「朝倉音姫、始動ぅぅぅ!!一気に青に変化だぁぁぁぁ!!!」
「そうでなくちゃ、面白くないよ。音姫ちゃん・・・・・・」
「流石は音姫先輩。優勝候補筆頭に上げられるだけのことはある」
「そうです、たとえるなら風見学園の完璧超人(除く胸)!
来○川綾○(除く胸)、はたまた向○環(除く胸)!」
「たぶん・・・急速に巻き返すかな、ちょっと巻き入れないと・・・・・・」
「そのとおり!さあ、試合ましょう!相手に取って不足はないです!!」
「・・・気のせいかな?なんか合いの手を入れられている気が・・・・・・」
「この風見学園の青い巨星と呼ばれた小鳥遊まひるが相手します」
「とにかく、生徒会の人たちを相手にしていたら札がいくらあっても足りないし・・・」
「そう、たとえるなら風を掃い荒れ狂う稲光・・・・・・」
「あっ、いた!白河ななか!!」
「あっ、やば!!」
「待てぇぇぇ!逃げるなぁぁぁ!!」
「ここを白河終焉の地にしてやるぅぅぅ〜」
複数の女子生徒らに追われたななかはその場を逃げ出す、まひるを残したまま・・・・・・
「放置しないでください〜!!」
未だに札を増やすことができないまひるはその場で考え込んでしまう。
「う〜ん、姿を見せることが出来ないのでは戦うこともままなりません・・・・・・
しかし、どうすればそれができるのでしょうか。
何が足りないのでしょうか・・・・・・」
「まひるに足りないもの・・・それは"ネタ"・・・・・・」
「はっ、誰!?」
まひるが声のする方に顔を向ける。窓の外では突然現れた入道雲がモクモクと胸像の
形と変化していった。その形にまひるは思わず叫ぶ。
「ミキィィィィィィ!!!」
「どうしたの、朝比奈さん?」
「いえ、ちょっと違和感が感じたもので」
「違和感?」
「はい、たとえるなら不的確なポジションなのですが、適切なキャラがいないので
同じシナリオに出てくるキャラをエイヤっと無理やりに放り込んだときにモニターの
前の視聴者が感じる『なんぞ、これ〜!?』というような感じです」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「朝比奈さん、疲れているなら休んでもいいわよ。今なら何とかできるから」
「あっ、いえ大丈夫です。それに・・・」
「それに?」
「風見学園OBとして"MATSURI"と聞いては休んでもいられません!」
「・・・そ、そう」
「看護師さん、すいません!急患です!5名です!!」
「「はっ、はい!」」
今や、野戦病院と化している体育館の中で朝比奈ミキは救急セットを持ち、急ぎ足で
駆けて行った。
「9時55分か・・・もう、音姫も動き始めた頃だな」
まゆきはポケットに入れた腕時計を見て呟く。
「こっちも頑張らないと音姫に追いつかれ・・・ん?」
まゆきたちの前に二つの人影が現れる。まゆきにも見覚えのある二つの人影はエリカの
国の住人であるフローラとジェイミーである。しかし、エリカの兄の従者である二人から
漂う気配は只ならぬものであった。
「どうやら・・・ご主人様のお供って雰囲気じゃないな、これは・・・・・・」
その気配に肌をそばだたせながらも、まゆきは歓呼の声を上げるのを押さえるのに
苦労していた。
「逃げられてばかりで飽きていたんだ。2対2のタッグマッチ、ちょうど・・・エリカ?」
エリカは戦闘態勢に入ろうとしているまゆきを制し、その目をじっと見る。
「そうか・・・しかし、あっちの何か腹黒そうなメイドの方、私の魂が何か戦えと
訴えかけてくるんだが・・・・・・」
「高坂先輩、申し訳ございません。ですが、ここは・・・・・・」
「わかった、ここはエリカに任せる。後で合流しなさい」
「ありがとうございます、高坂先輩」
エリカのたっての頼みにまゆきはその場を立ち去る。フローラとジェイミーもまた立ち去ろうと
するまゆきの前に立ちふさがろうとはしなかった。
「何故とは問いません。さぁ、かかってきなさい」
「その覚悟や良し!」
「負ければお国を連れて帰ります」
「王女、エリカ・ムラサキvsメイドさんチーム!1対2のハンディキャップマッチが!
今、始まろうとしているぅぅぅ!!」
「渉・・・あの二人、メイドさんじゃないぞ・・・・・・」
<続く>