「いやぁ!」  
 誰もいない教室に、学園の制服を破かれ、半裸にされた音姫の悲鳴が虚しく響く。周りにいるのはいずれもこの風見学園の生徒。しかしいずれも不良と称される者たちばかりでその目は血走り、  
音姫を性の対象にしか見ていないことは誰の目にも明らかだった。  
「うるせぇよ!これでも咥えて黙ってな!」  
 不意に不良の1人が音姫の口にいきり立った肉棒を入れた。反射的に噛もうとする音姫だが、その直後、  
「いてぇ!噛んでんじゃねぇよ!こいつ!!」  
 そんな声と共に頬に熱い衝撃と痛みが走る。それは1度では済まされず、2度、3度と音姫に向けられた。  
「痛い!止めて!許して!なんでもするから!」  
 そのあまりの痛みに音姫は必死で許しを請う。だが、最後のその言葉がいけなかった。  
「なんでも・・・だな?」  
 その言葉と同時に、顔に走る衝撃が止まる。そして、  
「じゃあ、あんたはこれから俺たちの性処理便器だ」  
「・・・・・・え?性処理・・・・・・便器・・・・・・?」  
 意味が分からない。そんな下品な言葉自体、初めて聞いた。  
「あぁ、分かんねぇかなこの人は。これからあんたは俺たちに呼ばれりゃすぐに来て、犯されりゃいいんだよ」  
 音姫を殴っていた不良に説明され、それを頭の中で繰り返す。  
「・・・・・・・・・っ!いや!」  
 やっと理解したのか、顔色を変えて必死で拒否をする。  
「おやぁ、さっき『なんでもする』って言ってたよなぁ。それとも生徒会長とあろうものが嘘をつくのか」  
「う・・・・・・・そ、それは・・・」  
 言葉の揚げ足を取られ、返答に困る音姫。それがまた不良たちの性欲をそそるとも知らずに。  
「どっちにしても、あんたには選択の余地なんてないんだよ。さっきカメラであんたの半裸写真、ばっちり撮らせてもらったからな。嫌ならこいつをネットでばらまくぜ」  
「そ・・・・・・そんな・・・!」  
 文句を言っても、彼らは下品な笑みを浮かべるだけだ。音姫が拒否をすれば彼らは本気でやるだろう。  
 最早、彼女に逃げ道はなかった。  
「わ・・・分かりました。わ・・・・・・私、朝倉音姫は・・・  
み、みなさんの、せ・・・・・・性処理便器に・・・なります」  
 逃げ道を失った音姫は、悔しさと屈辱の涙を流して宣言し、  
 そして、平和な日々は終わりを告げた。  
 
 
 
 学園教室での女学生暴行という悪質な状況化に置いて、その少年は酷く異質な存在だった。  
 飢えた獣のように目が血走っている不良達の中で、微笑んでいる様は酷く不自然さが付き纏う。  
「――――嫌ならこいつをネットでばらまくぜ」  
 少年の仲間の不良が音姫を脅し、その顔を愉悦に歪ませる。  
 その脅迫に本気を感じ取った音姫の顔が絶望色に染まり、今にも消え入りそうな、か細い声を漏らしても、  
少年が笑みの形を作ったままの表情を崩す事は無い。  
「わ……分かりました。わ……私、朝倉音姫は……」  
 自らが言おうとしている言葉に対する嫌悪感と、その言葉が意図する事への恐怖感から、  
表情を真っ青にした音姫は唇を震わせるように、躊躇いが感じられる速度で言葉を紡いでいく。  
 それは音姫の平和な日々に終止符を打ち、自らを地獄へと引き摺り落とす宣言。  
「み、みなさんの、せ……性処理便器に……なります」  
 大きな瞳から涙の雫を零しながら音姫は性奴の契約を結ぶ。  
 不良達が恍惚、興奮に包まれて歓喜し、誕生したばかりの性奴隷を弄ぼうとした瞬間の事だった。  
「ねえ、音姫ちゃん」  
 微笑を浮かべてただ見ているだけだった少年が口を開いた。   
 周囲の不良は今にも音姫の肢体を貪ろうとしていたのを止めて、興味深そうに少年へと視線を向ける。  
 自分に集まる不良達の視線を感じながら、  
「俺の事、覚えてる?」  
 口元には柔らかな笑みを浮かべたままの少年は穏やかな口調で続ける。  
 その愛想の良い笑みと優しげな声と口調は、大抵の人間に好印象を持たせる事が出来るだろう。  
 勿論、このような状況下で無ければ、の話ではあるが。  
 乱暴される直前だった筈が今度は不良の一人に、にこやかに話し掛けられている、という  
自らを取り巻く状況の余りな変化に音姫は頭が追いつかないままながらも、少年の顔を見詰める。  
 周囲の不良も、曝け出した肉棒やズボンの前を膨らませたままに、興味深げに様子を眺めていた。  
 音姫は答えない。  
 より正確に言えば、少年の顔に見覚えが無いのだから、答えられないと言った方がいいかも知れない。  
「覚えてくれてないの?」  
 顔の笑顔はそのままに、少年は少し残念そうに訊ねる。  
「じゃあ思い出して? 制限時間は五秒」  
 右手の指を五本立ててから、明るい雰囲気を出して少年は言い放った。  
 教室の状況とは不釣合いな笑顔を浮かべたままに。  
「五」  
 少年は指を一本倒す。その行為と耳に聞こえた数字に音姫ははっと我に返る。  
「四」  
 少年はさらにもう一本指を倒しながら数字を減らす。  
「三」  
 音姫は慌てた顔になりながら少年を凝視し、記憶を辿る。  
 減っていく数字。それはまるで、再度訪れる陵辱劇へのカウントダウンのように音姫には聞こえてしまう。  
 尤も現実問題として、その感覚は強ち間違いでは無いと言える。  
「二」  
 勿論、少年が誰であるかを思い出したからと言ってこの状況から逃れられる訳ではないのだが、  
その時の音姫には、少年の問いに正解する事で何か状況が良くなるのだと脆い希望に縋るより他無かったのである。  
「一」  
 少年の無常な声。  
「ま、待って!」  
 そして音姫の悲痛な声の後。  
「はい、時間切れ〜。音姫ちゃん残念! で、思い出して貰えなかった俺も残念、っと」  
 指を全て倒した少年は笑顔のまま努めて明るく言い放ちながらも、その声には隠し切れない無念さがあった。  
 
「酷いなあ……俺は真剣に告白したのに。名前はまだしも、顔すら覚えてないなんて」  
 少年は笑みを作った表情を僅かに曇らせながら独白し、それを聞いた音姫は漸く相手が誰だか理解する。  
 とは言え、風見学園では男女問わずに人気者の音姫であるから、告白等それこそ日常茶飯事であり、  
相手も見知ったクラスメイトから、果ては会うのも初めてな付属の学生まで、兎に角幅が広い。  
 つまり、音姫が分かったのは目の前の少年が“自分に告白した人間”であるという一事実のみで、  
目の前の少年を個人として認識出来た訳では無かった。  
「俺は音姫ちゃんの事本当に愛してるのに、音姫ちゃんにとって俺は振った大勢の一人に過ぎないんだね」  
 そんな音姫の心の内を置いて独白を続けた少年は、  
「ねえ音姫ちゃん。君が俺の告白を何て言って断わったか覚えてる?」  
 今度は音姫へと新たな質問を投げ掛けた。  
 そもそも相手の事さえ覚えていないのだから、何と言って断わったのか等、音姫が覚えている筈も無い。  
 しかし、実際問題としては、音姫の断わりの言葉は大きく分けて二通りしか存在しないのだ。  
 その理由は朝倉音姫という人間が本当に真摯な人間だからに他ならない。  
 告白を断わるのに用いた言葉は、何時だって嘘偽り無い真実だった。  
 たった二通りの言葉。  
 一つが『恋愛とか良く分からないから、ごめんね』という、その時点での音姫の紛れの無い本心の篭った言葉。  
 そしてもう一つの言葉は暫く前より用いられるようになった。  
 言葉の変化の理由には、音姫自身の気持ちの変化が多分に関連していた。  
 その変化とは――  
「『私には好きな人が居るから』って言って断わられたんだけど」  
 ――“弟君”に対する自らの気持ちを自覚した事だ。  
 その頃から告白を断わる時の言葉は、常にそれであった。  
「音姫ちゃんの好きな人ってさ、付属3年の桜内でしょ」  
「――っ!」  
 音姫の僅かに息を呑む音。しかし音姫の口から返事は無い。  
 音姫は唇を噛み締めて、ただ俯いているだけである。  
「いや、隠さなくてもバレバレだって」  
 少年は少し面白く無さそうに言った。  
 朝倉音姫の通称“弟君”に対する過保護ぶりは風見では有名だった。  
 それを恋愛的な意味で見るのか、親愛的な意味で見るのかは意見が分かれるところではあったが、  
そんな音姫に好きな人が出来たというのであれば、その対象は“弟君”以外には考えられる筈も無かった。  
 沈黙を続ける音姫に対して、少年が次に言おうとした言葉は、  
「俺はかなり誠実だよ? あんな女誑しよりよっぽど――」  
「そんな風に……! あなたなんかにそんな風に弟君の事を言われたくない!」  
 黙りこくっていた音姫が突如弾かれたように言い放った言葉によって遮られる結果となった。  
 大切な“弟君”を狼藉者風情に侮辱されたという怒りからだろうか。  
 それまでのように恐怖心と絶望感に苛まれていた姿とはまるで別人に見えるくらいの毅然とした態度だった。  
 
「でもさ、本当の事だよ?」  
 少年は音姫の態度に僅かばかり驚きながらも、さも心外だと言わんばかりの表情で続ける。  
「例えばあの、白河ななかとかさ。えっと……何って言ったっけ、あの付属の三人娘は?」  
 少年が周囲に声を掛ける。  
 声を掛けられた不良は可笑しそうに考え込む素振りを見せた後、  
「たしか、松竹梅とかじゃね?」  
 笑いを零しながら言った。  
「それは流石に違うような……まあいいや。白河とかあの三人とか、結構一緒に居るところ見るけど?」  
 “それもかなり親密そうに”となるべく強調して少年は付け加えた。   
 音姫は何も言わない。  
 それに気を良くしたのか、少年は続ける。  
「あんな気の多い男を想ってたって不幸になるだけだよ?」  
「そんな事、あなたに言われる筋合い無い!」  
 諭すような口調で言った少年へと尚も気丈に音姫は言い放つ。  
 しかし、それがこの状況を変える一つのきっかけとなった。  
「はぁ……。こんなに言っても分からないなんて。……音姫ちゃんはもっと聡明な女の子だと思ってたよ」  
 それまでずっと顔に貼り付けていた笑みを消した少年は、溜息を一つ吐くと失望したかのように言い捨てた。  
 音姫にしてみれば、少年の言葉は非常に身勝手で、憤りを隠せない。  
 そんな音姫が何かを言おうとした瞬間、  
「もういいや。音姫ちゃんの心は手に入らないみたいだし、その代わり身体だけはこれから沢山愛してあげる事にする」  
 それまでの態度とは一変して、少年は酷く軽薄な笑みを浮かべて、あっさりと言い放った。  
 この態度こそが少年の本質なのかも知れなかった。  
 そもそも輪姦などという倫理を無視した行為に及ぶ人間の一人であるのだ、これまでの態度こそが異質だったと言える。  
 
「俺のこんなくだらねぇ戯言が終わるまで、待っててくれてありがとね」  
 軽薄な笑顔のままで、少年はちらりと目配せする。  
 視線の先に居たのは先程まで音姫の口に自らの肉棒を咥えさせていた不良だ。  
 不良は少年と目が合うと、その意図を察したのかニヤリと厭らしく笑って、再び自らの肉棒を音姫の口へと突き入れた。  
「むぐっ!」  
 完全に油断していた瞬間の出来事だった。  
 口内に感じる異物感と嫌悪感。そして鼻を突く耐え難い臭気が音姫を再び襲い始める。  
 その苦痛から音姫は無意識的な反応で僅かに肉棒に歯を立ててしまう。  
「――こいつっ! 物分りの悪い女だな!」  
 バチンと小気味良い乾いた音が教室内に響く。  
 左手で自らの肉棒の噛まれた部分を撫で触りながら、不良はもう一度音姫の左頬を叩く。  
 二度にも及ぶ頬に走る強烈な衝撃に音姫は一瞬呆然となり、暫くしてから痛みを知覚した。  
「次に歯を立てたらこれくらいじゃ済まさないからな」  
 高圧的な不良の言葉に、この場を支配する暴力による絶対的な上下関係における自らの位置を改めて音姫は理解する。  
 不良は音姫の頭を両手で固定した後、左頬の腫れ始めた音姫の喉奥を目掛けて、ペニスを三度突き入れた。  
「んぐっ!!」  
 喉を突かれた衝撃と、既に毀れ始めていた先走り汁が喉奥に付着した感触の気持ち悪さに音姫は咽返る。  
 音姫はその苦しさから逃れようとするものの、身体に染み込んだ暴力への恐怖から歯を立てる事は出来ず、  
かと言って、頭を押さえつけられている為に顔を背ける事も出来ず、追い詰められた音姫は舌でペニスを押し出そうとする。  
 それは音姫が無意識の内に取った防衛行動ではあったが、不良のペニスへと快感を与えるには十分だった。  
 
「くっ……積極的じゃねえか」  
 苦悶に満ちた音姫の表情を見れば、それが意図した行動で無い事は簡単に理解できたが、不良は敢えてそう言葉を掛けた。  
 自らのペニスを口外に押し出そうとする音姫の舌のざらざらした感触の心地よさに、不良は自分からその舌へとペニスを押し付け始める。   
 喉奥を突かれたままで口を閉じる事も出来ず、必死になって舌で押し出そうとしている為に、  
飲み込む事も出来ずに溜まる一方だった唾液が遂には音姫の口から毀れだしてくる。  
 普段から目にする毅然かつ清楚な“生徒会長”が、男の一物を咥えて涎を垂らす姿は、余りにも淫靡すぎる光景だった。  
 その光景に我慢の限界が越えたのか。  
「音姫先輩エロすぎ、もう我慢できない!」  
 これまでずっと離れて見ているだけだった、不良達の中でも頭一つ分小さい学生――不良の中ではパシリである――が  
ズボンのファスナーを下ろして、既に先走りで先端がべとべとになったペニスを取り出しながら、音姫へと近づいていく。  
 余談ではあるが、彼は付属二年に在籍しており、クラスメイトである朝倉由夢が密かに気になっていた。  
 その為に音姫輪姦の計画を先輩の不良達に持ちかけられた時、上手くやればその写真を使って由夢を自分の女に出来るかもしれないと  
先輩達に内緒で考え計画に乗ることにしたのである。尤も彼は所詮パシリであるから、どちらにしても逆らう事など出来はしないのだが。  
 従って彼にとっては、由夢への脅迫材料としての、音姫のあられもない姿を写した写真こそが必要なのであり、  
当初は音姫本人の身体にはそれ程の魅力は感じていなかったのだが、やはり下半身というものは本能に正直なようであった。  
 閑話休題。  
 勃起しながらも包皮に包まれたままのペニスを曝け出した彼は、音姫のすぐ隣まで来ると、  
だらんとしている音姫の右手に自らの包茎ペニスを無理矢理握らせて、音姫の手の上から扱き始める。  
「音姫先輩の手のひら、冷たくて気持ちいいっす!」  
 自分で手淫する時とは比べ物にならない快感。  
 その冷ややかな温度、女性的な手のひらの柔らかさ、何もかもが病みつきになりそうな程に心地よく、一心不乱にペニスを扱く。  
「お前、妹の方狙ってたんじゃなかったのかよ?」  
 自らの肉棒を音姫に咥えさせていた不良が、さも可笑しそうに声を掛ける。  
 その不良の行為は、肉棒を音姫の口内に突っ込み舌に押し付けるだけのものから、激しいイマラチオへと変化していた。  
 口での呼吸が殆ど出来ない音姫は、鼻で酸素を取り入れる事に必死の余り、目の前で交わされる会話にも気づく事は無い。  
「それはそうですけど……我慢の限界っすよ」  
 彼は陶然とした表情でペニスを扱きながら先輩の言葉に答える。所詮は付属二年。恋だの愛だのよりも肉欲が第一なのだ。  
 
 そんな二人の不良に奉仕させられている音姫の姿を、酷く無感情な眼差しで見詰める不良が居た。  
 とは言っても、音姫に告白して振られたという例の少年の方ではない。  
 先程から黙々と自らに課された役目――脅迫写真撮影――を果たしていた不良の方である。  
 彼はファインダー越しに見える音姫の痴態に心動かされる様子も無く、事務的な動作でシャッターを切り続けている。  
 写真撮影などこの場で一番損な役回りで、さらにこの場には不良達の中でも一番格下の付属二年のパシリが居るにも拘らず、  
彼が撮影役などに甘んじている理由、それは単純明快であり、つまりは彼が巨乳好きだからなのである。  
 彼はどうせなら風見学園一の巨乳と名高い花咲茜を犯したいと思っていたのだが、他の不良達が音姫を推したために  
仕方なく断念したのだ。  
 胸の大きさが女を選ぶ絶対的な基準である彼には周囲の不良達が、何故そんなに音姫を犯したがるのかが疑問で仕方が無かった。  
 音姫の胸は、お世辞にも豊かとは言えない極めて小ぶりな胸だ。  
 その為、巨乳が好きで仕方の無い彼にとっては、貧乳どころか無乳レベルであり、最早、性の対象として認識出来ないのである。  
 そんな彼だから、陵辱される音姫の撮影を行いながらも、意識は目の前の音姫達ではなく、自らの思考の内にあった。  
 ――――花咲茜のあの大きな生乳を力強く揉みしだき、乳首を嘗め回し、また思う存分吸い付きたい。  
 そうすれば彼女は、きっと良い声で鳴いてくれるに違いない――――と。  
 
 
 

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