「追い詰めたっ!! さぁ、もういい加減観念したらどう?」
「はぁ・・・相も変わらず体力だけは有り余っているな、高坂まゆきよ」
校舎裏の一角にて、それまで走っていたためか、若干息の乱れた様子の杉並と涼しい顔をしたままのまゆきが対峙する。
「ふんっ、何とでも言いなさい。で? 今度は一体どんなくだらないことを企んでるの?」
明日は学園の文化祭。
そして文化祭などというイベント時に、祭り好き・・・というよりも愉快犯的なこの男が何も起こさない筈はない。
生徒会の面々は杉並の暴挙を止めようと、今日一日必死に走り回っていた。
「なぁに・・・撹乱用のトラップを多数、侵入者撃退用のトラップが少々、お遊び程度の軽い奴も幾つか仕掛けたかな?
そして後は・・・ふっ、ふふふふふ・・・・・・」
そこまで言って、突然不適に笑い出す杉並。
「何よ、気持ち悪い笑い方して・・・」
「放っておけ。それよりも楽しみにしておくんだな。今回は特別に、一際大きな花火を一つ仕掛けさせてもらったからな。
・・・まぁ、早く撤去した方が賢明だ、とだけは言っておいてやろうか」
「どうせ、またいつもの―――」
「ハッタリだ、とでも言いたいのか? 信じる信じないはそちらの勝手だがな・・・・・・おっと、これは失敬。
そもそも、信じようが信じまいが、そもそも高坂まゆき一人で発見などできる筈もないか」
さらっと口をつく挑発。まゆきは杉並の計算通り、聞き流すこともできずに馬鹿正直に反応してしまう。
「な、な、何ですって!? 随分言ってくれるじゃない・・・!」
「うん? どうした、そんなに頬をひくつかせて?
まぁ、戦力的に差がありすぎる敵を苛めてもつまらん。ふむ・・・何ならヒントくらいは教えてやってもいいぞ?」
「こ、このぉ・・・・・・!!」
あまりの挑発に耐えかねた彼女が一発殴ってやろうか、と近づこうとしたとき、
「まゆき、ちょっと落ち着いて」
「あ・・・お、音姫・・・」
背後から音姫が息を切らせて駆け寄ってくる。
その声に少し冷静さを取り戻したまゆきが振り向き、怪訝な視線を音姫の抱え込む『何か』に向ける。
「朝倉姉か。なんだ、随分と遅い到着だったな? それとも高坂まゆきが速い―――なっ、なにぃ!!!」
「えっ?」
それまで終始余裕の表情を浮かべていた杉並だったが、それを見た瞬間驚愕の表情で思わず叫んでいた。
「あ、朝倉姉よ・・・その手に抱えているものはもしや・・・・・・」
「あ、うん。杉並くんが仕掛けそうなところをチェックしてみてみたらたまたまあったんだよ。
でもダメだよ。こんな大きな花火を、しかもこんなに沢山・・・・・・いくらなんでもやり過ぎだよ?」
暫くの間、音姫を呆気に取られたような顔で見つめていた杉並だったが、不意にくっくっく・・・と笑い出したかと思うと、
「・・・・・・ふっ。どうやら、俺は少し朝倉姉を甘く見ていたようだな。今回は俺の負けだ」
両手を上げてそう宣言する。
彼にとってこれは(音姫たちにとっては迷惑極まりないが)一種のゲームのようなものだ。
勝つときは勝つ、その代わり負けたときは素直にそれを認める。それが彼の中でのルールでもあった。
「ま、そういうこと。私たちも伊達にアンタより数年長く生きていないってことよ♪」
杉並は音姫に向けていったのだが何故だか自分も入れているまゆき。
「もう・・・まゆきもまた悪ノリする。
あっ、それはそうと、まだ回収してない仕掛けもあるみたいだし。ちゃんと案内してもらうからね、杉並くん?」
「いやいや、いくら俺が親切心の塊のような人間でも、そこまで親切はしないさ。
第一、場所の全て分かっているジグソーパズルなど何の面白みもないだろう?」
あくまでもゲームの一環として考えている杉並に、はぁぁと盛大に溜息を吐く音姫。
「面白くなくていいんです! まゆき、とにかく捕まえちゃおう?」
「了解。さてと、じゃ、杉並? 逃げようなんて考えないでね?
そんなことされたら、取り押さえるときにお姉さん『ちょっと』痛くしちゃうかもしれないから」
先程の恨みを晴らしてやろう、とでも言いたげににやりとするまゆきに対して、いつもの表情でただ一言。
「・・・大人気ないな」
「う、うるさいっ! いいから黙って大人しくしてなさい!!」
そして再び杉並は踵を返して走り出した。
「ふぅ・・・最近難易度が上がってきたな・・・・・・」
生徒会の追撃を逃れた杉並が一人呟く。
彼にしてみれば相手が強敵であればあるほど、一杯喰わせた際の楽しみは大きくなるのでそのことに対する不満はないが・・・・・・
あの仕掛けは杉並にとって今までの中でも一、二を争うほど優秀な出来だった。
故に、それが無事発動することは彼にとっても非常に楽しみであったのだ。
それをあっさり見つけられた上に撤去されては彼も内心穏やかではなかった。
「まぁ、そろそろ今までの借りもまとめて返しておくとするか・・・・・・」
にやりと笑みを浮かべ、明日の予定を変更し、音姫に一度完膚なきまでの敗北を味あわせる為の計画を立て始めた。
そして、その翌日。
文化祭当日、校舎内外で様々な出し物が催され、賑やかな声が響き渡る中。音姫は誰もいない教室で目を覚ました。
(えっ・・・? 何で私寝ちゃって・・・? あ、あれ・・・体、動かない?)
驚き、瞬時に夢現の状態から醒めると慌てて自分の体を見てみる。
どうやらこの教室はどこかの空き教室らしく、長く使っていないためか、埃が積もっている。
そんな全く見覚えのない場所に、音姫は手足を縛られて座っていた。
あまりに異常な状況に困惑する音姫の背後から、
「やっと目が覚めたか、朝倉姉よ。ここまで運ぶのは流石に苦労したぞ」
と笑いを堪えているような声がかかった。
「誰っ!? え・・・・・・す、杉並、くん!?」
突然背後から現れた人物に跳び上がるほど驚いた音姫だったが、相手が自分のよく見知った人間だとわかると幾分安堵の表情を浮かべた。
と、同時に杉並の表情からこの状況が彼の手によるものであることを理解する。
普段は温厚な彼女も、流石に怒りの色を浮かべ、杉並に向って縛られた体を捩りながら、叱りつける。
「どういうつもりなの、杉並くん!? いくらなんでもやっていい事と悪い事があるでしょう!
悪ふざけはやめてこの縄を解きなさいっ!! こんなことをして―――」
「なぁ、朝倉姉よ。一つ俺とゲームをしないか・・・?」
大半の生徒ならば思わずすくみ上がるほどの剣幕で捲くし立てる音姫を前にして、杉並は世間話でもするような調子でそう言った。
音姫は一瞬ポカンとした表情を浮かべたものの、それも次の瞬間にはそれまで以上の怒りに変わる。
「ふざけないで!! 何がゲームですっ、いい加減にしないと本気の本気で怒るからね!?」
ぎしぎしと縄を軋ませて暴れる彼女を面白そうに眺めながら、涼しい顔で杉並は説明し始める。
「なぁに、簡単なゲームだ。俺の出す条件をクリアできたら朝倉姉の勝ちだ。その場合直ぐに縄を解くし、何でも言うことをきいてやろう。
因みにそちらに拒否権は無いぞ? ゲームを放棄するなら・・・不戦敗と見做すからな。そしてそちらが負けた場合は―――――」
「・・・・・・ま、負けた場合・・・?」
杉並の言葉に直感的に不吉な物を感じ取り、暴れるのを止めて不安を滲ませつつ、恐る恐る訊ねる音姫。
杉並はそんな彼女に、
「まぁ大したことではない。ただ犯されるだけだ」
まるで、それが何でもないことのようにさらりと告げる。
ひっ、と短く悲鳴を上げる音姫に対して、更に杉並は続ける。
「俺が思っていた以上に朝倉姉は男子連中に人気があるらしいな。
生徒会長とセックスできるのなら退学になっても構わない、という奴がこの学校だけでも30人近くいるのを知っているか?
そいつらが縛られて身動きできない今の朝倉姉を見たら・・・まぁ、後は言わずともわかるだろう?
サービスとしてここにはデジカメも複数置いてある。使う人間次第では・・・朝倉姉の痴態が全国的に公開されるというわけだな・・・・・・」
淡々とした表情で言葉を重ねていく杉並。その様子が逆に彼の言うことが脅しでないと暗に示しているようだった。
一方の音姫は既に顔面蒼白といった様子で震えていた。
「さて、それらを踏まえたうえでだ。もう一度聞いてみるとしようか。
―――――なぁ、朝倉姉よ。一つ俺とゲームをしないか・・・?」
それは、限りなく確認に近い質問だった。
既に彼女には頷く以外の選択肢はなく、負けた際に自分の身に降りかかる悪夢に怯えながら、音姫は黙って肯定の意を返した。
杉並はそれを見て、瞳の奥だけで静かに笑った。
「ふぁ・・・やぁ、熱い、な、なに・・・杉並くん、一体、何・・・飲ませたの・・・?」
それから約十分後、音姫は縛られたまま、体を怒りや羞恥とは別の理由で赤く染めながら、身悶えしていた。
音姫に杉並のゲームに乗ることを了承させた後、杉並は時計を置き、詳しい説明を始めた。
ルールは至って単純明快。
一時間の間に杉並が音姫をイカせられれば杉並の勝ち、我慢しきれば音姫の勝ちというものだった。
それは潔癖な音姫はこういった勝負は嫌がるだろうと予想しての選択だった。
そして杉並の読み通り、音姫は全力で嫌がり許しを請った。
だが、杉並が「だったらそちらの負けということか?」と軽く脅してやると、やがて諦めたように沈黙した。
始める際に杉並は小瓶を取り出し、音姫に飲むように言った。
今更逆らっても無駄だ、ともう理解していた音姫は黙って中に入っていたやけにどろどろした液体を飲み干した。
甘ったるい味が口一杯に広がった後、焼けるような熱さを喉に残しながら、それは彼女の中に入っていった。
その変化は直ぐに現れた。
意識せずとも息は荒くなり、腹の奥に感じていた熱さが徐々に体中に広がり始める。
まるで熱に浮かされたような状態なのに、感覚だけは鋭敏に研ぎ澄まされている。
頭を動かすたびに髪の毛が首筋をくすぐり、その刺激に思わず悲鳴が上がってしまう。
ブラに当たっている自分の乳首がピンと勃ってしまっているのがはっきり感じて、音姫は恥ずかしさに顔を真っ赤に染め俯く。
「ほう・・・流石だな。もう効いてきたのか。少々高めではあったが・・・それだけの価値はあったということか」
感心したように呟く杉並。その手が首筋に伸ばされ、その瞬間体中に走った刺激に思わず飛び上がりそうになる。
「ど、どういうこと・・・?」
「大体予測はつくだろう? まぁ俗に言う媚薬というやつだな」
「そ、そんな・・・杉並くん、ずるいよ・・・」
「はは・・・何を言うか。だったら一人の後輩を本校の学生連中が集団で追い回すのは卑怯でないと言うのか?」
杉並の皮肉を含んだ切り返しに黙り込んでしまう音姫。
そんな彼女を満足げに見下ろした杉並はちらっと時計を見て、
「さて、それでは制限時間もあることだ。そろそろ始めさせてもらうとするか」
遂に音姫の体に向って手を伸ばした。
「ひゃっ!! やめっ、やめて・・・そんなところ触ら、んっ、やっ・・・あぁ・・・・・・」
「・・・見た目通り小さい胸だな。だがその分、感度は良好のようだ。服の上からなのに感じているのか?」
制服の上から胸に手をあて、やわやわと揉む。
杉並の手が置かれた瞬間は痛みも覚悟したが、そんな音姫の予想とは裏腹に優しい手つきで音姫の感じるポイントを探っていく。
ただでさえ媚薬により何の刺激がなくとも体中がじんじんと熱くなり、むず痒いような感覚が走り続けているのだ。
そこへ確実に快感を引き出すよう、絶妙な力加減で胸を愛撫され、
ただでさえ人よりも敏感な乳首を、ブラの上からぐりぐりと押しつぶされては堪ったものではない。
音姫は今まで感じたことがないくらいの快感に、悲鳴とも嬌声ともとれる声を上げていた。
「そんなに大声でよがるほど気持ちいいのか? それは結構だが、あまり大きな声を出されて人に見つかっては困るのでな」
そう言うと杉並はタオルを取り出し、口の部分に巻きつけ、ぎゅっと縛る。
音姫はくぐもった声を上げながら抵抗も出来ずに杉並の愛撫を受け続けていた。
「ん・・・むぅ・・・・・・ん、んんん・・・・・・」
音姫の呻き声が教室内に響く。
「止めて」と言っているのか、それとも「もっと」と言っているのかはわからないが。
涙を浮かべながらもぶんぶん顔を振り、杉並から与えられる刺激に懸命に耐えている。
「・・・下準備は十分か。ではそろそろ始めるとしようか」
そう言うと、いきなり音姫の胸のリボンに手をかけたかと思うと一気に取り去った。
「んん!? むん、むうぅぅぅぅぅ・・・!!!」
何をされるのか感じ取った音姫がこれまでにないくらい暴れだすが、軽く押さえつけると片手で器用に上着を肌蹴てブラを露出させる。
「・・・・・・なるほど、な。確かに他の連中が夢中になるわけだ」
大きく開かれた制服から真っ赤に染まった染み一つない肌と、彼女の性格を表すように清楚な下着が見える。
紅潮した顔を微かに震わせ、泣き出しそうな表情でこちらを見つめる姿は、男の情欲を十分過ぎるほど駆り立てるものだった。
杉並も一瞬、本能的に今すぐ音姫に襲い掛かって、陵辱し、この少女を味わい尽くしたいという衝動に駆られる。
が、その欲望を強い精神力で捻じ伏せると、思考を切り替えて音姫を陥落するべく再び責めを始めた。
「はっ、何だこれは。服の上から触られただけでこんなに乳首を勃たせるとはな。
普段大人しそうに見せておきながら・・・朝倉姉は相当淫乱の気があるようだ」
「ん・・・・・・むぅ・・・・・・!」
ブラを外すと、音姫の乳首は既に堅くしこり、ピンと勃っていた。それを見つけ、わざとらしく驚いたような様子で杉並が声を上げる。
音姫も自分の状態には気付いていたが、人に見つかり、更に指摘されることでそれまでより遥かに強い羞恥心に襲われる。
腕を縛られている為耳を塞ぐこともできず、さりとてその生真面目な性格から聞き流すこともできず、延々と杉並の言葉攻めを受け続ける。
(後、後何十分残ってるの!? お願いだから・・・早く終って・・・・・・)
音姫にできることは、媚薬でいつもの何倍もの興奮状態にある体を抑え、ただひたすら時間が過ぎるのを待つだけだった。
しばらく胸を直に揉んだり、鎖骨部を舐め上げていた杉並だったが、乳首をはねたときに音姫が体全体で反応したのを見逃さなかった。
音姫の弱点を見抜き、そこからは控えめな(小学生と比べても大差ない)胸で健気に自己主張する蕾を重点的に刺激していく。
「むぅっ!? んんん!! むぁん!!」
それまでのじっくりと体全体を愛撫するやり方から、乳首を中心とする責めに変わり、音姫の反応は劇的に変化した。
それは媚薬のせいでもあるし、杉並がそれまで焦らすようなやり方で快感を蓄積していたせいでもある。
また音姫が弟を想い自慰をするとき、彼女がいつも好んで自分の乳首をくりくりと刺激していたせいでもあるかもしれない。
それまでは何とかびくんと跳ねる体や漏れる声を抑え、平気なふりをしていた音姫だったが、最早そんな余裕は微塵もなかった。
くぐもった悲鳴を上げ、与えられる快感から何とか逃げようと必死に体を捩り、達しそうになるところで懸命に踏みとどまる。
「んっ、んんんっ・・・・・・」
ちゅぱちゅぱと乳首に吸い付いていた杉並が、ふと視線を下に向ける。
視線の先には、まるでおしっこを我慢するようにせわしなく、縛られ不自由なまますりすりと合わされる音姫の太股。
「くくっ・・・朝倉姉よ、どうやら存分に感じているようだな。そんなに良いのか?」
目の前で快楽に翻弄される音姫を侮蔑したような視線で見ながら、杉並がそう言葉をかける。
目を見開きぶんぶんと首を振って否定する音姫だったが、
「ん、んんんんっっ!!!!」
「嘘を吐くな。感じていないと言うならこのぐしょぐしょの下着は何だ? 俺の手に付くこの液体は何だ?
そら・・・すっかりほぐれきって、俺の指一本程度なら朝倉姉の中に楽に入りそうだぞ?」
そう言ってスカートの中に手を入れると、濡れきった下着越しに掌全体を割れ目に押し付け、擦り上げた。
初めて異性に自分の最も大切な部分を触られて・・・・・・そしてそれ以上に、体中を焼き尽くすような快感の炎に絶叫する。
更に杉並の指が下着の隙間から音姫の膣に入り、ぐちゃぐちゃとかき回される。
処女である為、恐怖心や若干の痛みもなかったわけではないが、自慰とは比べ物にならない快感に余計な考えなど吹き飛ばされる。
「んんっ! むぐぅ・・・・・・んんんん、むんんっ!!」
奥まで遠慮なく・・・けれども処女膜を傷つけたり痛みを与えてしまわぬように繊細な指使いで音姫を責め立てる。
(そんな、ダメ・・・こんなの、こんなの気持ち良すぎる・・・・・・!!)
音姫はもう考えることも、我慢することも出来ずに、ただ与えられる快感に流されるのみだった。
杉並が音姫の目に浮かんだ涙を舐め取りながら、膣内を思う存分蹂躙し、音姫をどんどん高みへと連れて行く。
堅くしこったクリトリスを親指でぐりぐり刺激してやると、タオル越しに絶叫が漏れる。
「・・・・・・そろそろ限界か」
普通の男なら今すぐに飛び掛るであろう美少女の痴態を前にしても、杉並は冷静な表情で音姫の様子を観察していた。
そしていよいよ音姫が絶頂に達しそうだと判断し、ぐちょぐちょとスカートの中から淫靡な水音を響かせ、それまで以上に激しく指を出し入れする。
更におまけとばかりに愛液でヌルヌルになったクリトリスを押しつぶし、胸を少し痛いくらい力を込めて揉みしだく。
だが、音姫の呻き声が大きく、切羽詰ったものに変わり、そしていよいよ絶頂に達すると言うその瞬間だった。
「んんっ、むぅ、むぅんん、んん―――――!?」
その瞬間杉並が音姫の下着から手を抜き去り、それどころか全ての愛撫を一瞬にして中断してしまう。
先程までの気も狂わんばかりの快楽攻めから一転、突然の静寂だった。
(え・・・そんな、どうして、どうして止めちゃうの・・・!?)
彼女に一番初めに浮かんだのはそんな『おねだり』の言葉だった。
後ほんの少しで、僅かな刺激で絶頂に達することが出来る。
その瞬間で止められた体はその最後の一押しを、エクスタシーを強く強く求めていた。
「ふっ・・・どうした、朝倉姉よ? 随分と物足りなさそうな顔をしているが?
我慢ができなければ負け・・・というルールをまさか忘れたわけじゃないだろうな?」
笑いを隠そうともせずに杉並がそう告げ、彼女の唾液でびしょ濡れになったタオルを解き放つ。
「ん、ぷぁ・・・はぁ、は、あ・・・そんなこと、ない・・・・・・私は、別に・・・」
媚薬によって強制的に呼び起こされた体の火照りは、刺激が止んでからも一向に冷めることはなかった。
むしろ最初よりも更に感覚を鋭敏にし、今や身じろぎするだけで電流が体中を走り、その分だけ彼女の理性や精神力を奪っていった。
彼女の中で、このまま楽になりたいと、そしてあの寒気がするような快楽を味わいたいという衝動が強く湧き起こる。
それでも音姫は、今直ぐ屈服してしまいたいという欲求を限界ギリギリで堪え、杉並に精一杯強がる。
それを聞いた杉並は音姫の胸に再び手を伸ばし、乳首の周辺部を爪で引っかくようになぞりながら告げる。
「そうか・・・それなら別にいいのだがな・・・・・・まぁ後半分以上残っているが、頑張ってくれ」
「えっ・・・・・・!?」
差し出された時計に反射的に目を向ける。確かに杉並の言葉通り、その長針は半周すら進んではいなかった。
「あ・・・なんで・・・・・・な、うそ、でしょう・・・・・・?」
後少し、もう少しで終わる。ただそれだけを支えに杉並に抵抗していた音姫は驚愕に目を見開く。
あの時、杉並があのまま責め続けていれば、間違いなく音姫は絶頂に達していた。それをわざと杉並は途中で止めたのだ。
音姫はようやく杉並の意図を―――これから自分は時間切れまでの間生殺しのまま責め続けられること、
そして仮に奇跡が起こって三十分耐え切ったとしても、その瞬間呆気なく杉並にイカされてしまい敗北することを理解した。
(そっか・・・どんなに我慢しても、もう無駄なんだ・・・・・・)
この瞬間、音姫の気力を繋ぎとめていた糸が―――完全に切れた。
「ぁ・・・ん・・・いやぁ、もう、お願い、お願いだか、ひゃん!!」
それから杉並は何度となく音姫を絶頂寸前まで追い詰め、そのまま止めるという一連の動作を繰り返していた。
最早ショーツはその意味を成さないほどぐしょぐしょになり、彼女の座る椅子まで愛液が染み出ている。
音姫の乳首は限界まで張り詰め、はぁはぁと口で荒く呼吸を繰り返し、もう息も絶え絶えと言った様子だった。
そして勝つことが無理だと理解してしまった音姫が、再び自身の欲求に勝てる筈もなかった。
「お願いだから・・・何だ? 全部言ってもらわないとわからないんだが?」
そろそろ頃合と判断した杉並が、わざと惚けてそう誘導してやる。
既に逆らう気力も奪われた音姫は、その一言を待ち続けていたかのように、
「お、お願いだから・・・もう、私をイカせて・・・!」
即座に切羽詰った声でそう懇願する。
だが杉並はゆっくりと首を横に振り、冷たい眼で音姫を見つめると、
「人に物を頼む時はそれ相応の態度があると思うんだが・・・・・・わかるな?」
自分の立場をわからせるようにそう宣言する。
音姫は一瞬だけ躊躇いを見せた後、震える声で、
「・・・・・・イカせて、下さい。お願いします」
と、遂にその一言を口にした。
「まぁ・・・今日のところはこれで良しとするか」
幾分満足した表情で呟くと、ショーツの中に指を再び入れ、そのまま音姫の中に侵入させると動かす。
ぐいぐいと締まる膣内をなぞり、他と感触の違うざらざらした部位をくすぐるように刺激する。
同時に印核に指を当て、細やかに振動させてやると面白いくらいに音姫の体が跳ね上がった。
「ひぃぁぁ!!! や、ダメっ、ダメっ、そん・・・・・・強い、過ぎ・・・んああ・・・!!!」
びちゃびちゃと愛液を飛び散らせ、普段はやわらかい微笑を浮かべるその顔を快感に歪ませ、甘い声で絶叫する音姫。
強すぎる刺激から逃れようと頭を振る度に髪が乱れ、浮き出た玉のような汗が飛び散る。
「ああ、い、もう・・・ダメ、もう我慢が・・・・・・いやぁ、何か、何かくるよぅ・・・あ、スゴイのが、はぁん!」
ビクビク体を震わせ、嬌声が徐々に切羽詰ったものに変わっていく。
何度も何度も焦らされ続けて、ようやく辿り着く絶頂の大きさに怯えさえ見せる音姫。
「・・・そら、思う存分イケ、朝倉姉よ」
一際強く膣肉を擦り上げ、同時に敏感になった乳首に吸い付き、口の中のそれを軽く甘噛みしてやる。
「かひぃ・・・!!!! イ、ああああ・・・・・・イク、イク、イっちゃ・・・あ、あああああああああーーーーーー!!!!!」
盛大な叫び声とともに、音姫の膣内が急激に収縮し、杉並の指を痛いくらいに締め上げる。
椅子に縛られた状態のままで限界まで背を反らし、体全体で待ち焦がれたエクスタシーを味わう。
そして徐々に叫び声が小さくなり始めたかと思うと、引き攣らせていた体が一気に脱力したかと思うとがくんと頭が落ちる。
更にあまりの快感に全身を弛緩させた音姫から、シャアアア・・・っと音を立てて小水が漏れ出る。
汗と愛液とアンモニアの混ざり合った匂いが立ち上る教室内で、杉並は少し考えた後、
「ああ、シーツか何かを引いておくべきだった。これは中々後始末が大変そうだな・・・」
とだけポツリと呟いた。
「ほらいつまで呆けているつもりだ、朝倉姉よ」
勝負がついた後、杉並は絶頂に達し放心していた音姫の縄を解き、抱え上げて並べられていた机の上に寝かせてやる。
そして焦点の合っていない瞳で空を見詰めていた音姫の頬をぺちぺち叩いた。
その感覚に、時折体をびくっと痙攣させる以外は人形のようだった音姫が杉並へと虚ろな視線を向ける。
ただし相変わらず意識が混濁した状態で、口からは「うぁ・・・あ・・・・・・」と意味を成さない言葉が漏れてはいるが。
そんな彼女に、杉並は浸透させるようにゆっくりと言葉をかける。
「さて、ゲームは俺の勝ちな訳だが・・・負ければどうなるか、最初に言ったな?」
「負け・・・私・・・負け・・・・・・? 負けたら・・・? 負け・・・あ・・・い、いや・・・・・・いやぁ・・・!」
それまで完全に思考の外に追い出されていた条件・・・負けてしまえば犯されると言う事実が音姫の前に叩きつけられる。
まったく力の入らない体を弱々しく動かしながら、恥も外聞も捨て去り、必死に杉並に懇願する。
その様子を見ながら杉並が、
「そうか。そんなに犯されるのは嫌か・・・?」
と訊ねる。その言葉が救いであるかのように「お願します・・・お願します・・・」と何度も呟く。
杉並はまるで土下座するような格好でテーブルの上で手をつき、へたり込む音姫の背後に回ると、
「だったら、その代わりに俺の相手をしてもらおうか・・・」
「えっ、あっ、な、何・・・ひん!」
そのまま音姫を押さえつけるようにうつ伏せに倒し、尻を高く上げさせる。
いきなり押し倒されて、咄嗟に脱力しきった体で逃げようとするが、杉並がぬるぬるの割れ目を撫で上げるだけで抵抗できなくなる。
「あっ、ぁ・・・や、いや・・・止めて・・・・・・!」
「今更暴れるな。俺か、それとも見知らぬ大勢の男子生徒か、好きな方を選べ」
じたばたしようとする音姫を容易く押さえ、物欲しそうにひくひく震える膣口をかき回しながら、杉並がそう告げる。
その冷酷な声に、自分の逃げ道はどこにもないことを音姫は悟ってしまう。
音姫は絶望しながら、それでも見ず知らずの生徒、それも気の遠くなる人数を相手にするよりは・・・・・・と、やっとのことで、
「杉並くんが・・・いい、です・・・」ぽつりとそう漏らし・・・自らの意思で杉並を受け入れた。
「ごめん・・・なさい、弟くん・・・・・・」
こんなところで処女を散らされる悲しみから、この場にはいない思い人への申し訳なさから、静かに涙を流す音姫。
だが、そんな彼女に杉並が信じられない言葉をかける。
「安心しろ、純潔までもらったりはしない」
「・・・・・・ほ、本当に? 本当に、許して、許してくれるの・・・・・・!?」
常識的に考えれば、例え処女が奪われようが奪われまいが、杉並のしていることは犯罪で、音姫は被害者なのだ。
しかし、このとき音姫は絶望の底まで叩き落されていた状態だった。
故に、それが僅かな情けであろうとも、杉並に対し無上の恩、そしてほんの少しの愛情を感じてしまっていた。
・・・・・・はたして、杉並がそこまで音姫の心理状態を把握していたのかは、彼意外には知る由もないことだが。
「朝倉姉、尻をもっと上げろ。俺の目の前で小便まで漏らしておいて、今更恥ずかしがる必要はあるまい?」
「や・・・そんなこと言わないで・・・・・・」
相変わらず冷たい声でそう命令する杉並に対し、幾分媚を含んだ口調でそう抗議し・・・けれども従順に従う音姫。
杉並は高く突き上げさせた音姫の尻に顔を埋めると、べろり、と音姫の窄んだ菊門を舌で舐め上げた。
「ひゃうっっ!!! す、杉並く、あ、ふぁぁぁ・・・! そ、そんなところ、や、あああんっ!!」
「大人しくしろ。しっかりほぐしておかないと裂けるぞ」
まさか自分の肛門を舌で舐められるなどと、今まで考えたことすらない彼女は軽くパニックを起こし、前に逃げようとする。
が、それをさせまいと、杉並はしっかりと腰を押さえつけると、そのまま更に舌を中に捻じ込んでいく。
先程絶頂に達していたためか、彼女の菊門を唾液で濡らし、暫く舌をぐちょぐちょと出し入れしてやると、みるみる柔らかくほぐれていった。
「ほう・・・初めてなのに指をここまで咥え込むとはな・・・・・・普段からこちらも開発していたのか?」
音姫の秘所からたっぷりと愛液を掬い取り、それを潤滑油にして指をずぶりと挿入してやる。
相当興奮していた為か、音姫はいきなりの挿入にも痛みを訴えることはなく、代わりに甘い悲鳴を上げる。
「あん・・・あっ、いやっ、お、お尻の中に・・・杉並くんの指、が、はんっ!!」
ずぼずぼと人差し指と中指をピストンさせ、音姫を責める杉並。
彼の指がずぶりと音を立てて侵入する度、中で唾液と愛液をかき回す度、音姫は面白いくらいに敏感に反応した。
そうして彼の指がふやけてしまうくらい音姫を蹂躙した後、杉並はずぶりと奥深くまで突き挿していた指を抜き去った。
「あっ・・・いや・・・やめちゃ・・・・・・」
最初の凛とした態度からは想像できないほどに淫らな表情を浮かべ、誘うように尻をくねらせる音姫。
そんな彼女の菊門に杉並がいつの間に取り出したのか、自身の熱く滾ったモノを押し当てる。
あぁ・・・、と歓喜の声とも驚きの声とも取れる声を上げる音姫に、
「心配するな。好きなだけ味あわせて、やる!!」
「か、ひ―――ああああああんっっ!!!」
最後の一言に合わせるようにして一気に腰を突き出し、勢いよくアナルに挿入する杉並。
その瞬間に音姫は紛れもない悦びの声を上げ、ぎゅっと杉並のペニスを締め付ける。
十分過ぎるほどに杉並がほぐしていたせいもあり、とても初めてとは思えないほどに楽々と杉並の太いモノをアナルに受け入れている。
媚薬の効果もあるのだろう、最早媚態や漏れ出る嬌声を隠そうともせず、与えられる快楽を貪る音姫。
「くっ・・・流石に、この締め付けはきついな・・・・・・」
杉並もまた予想以上の音姫の締め付けに思わず苦悶の声を漏らし、ぐっと腰に力を入れる。
「はぁん・・・す、杉並くんの大きいのが、私の中で、いっぱ・・・んんんっ!! あっ、あん・・・すごい、しゅご、あっ!!」
ずぶずぶと出し入れされる杉並のペニスを、音姫の熱い腸壁が逃さないようにとしっかり包み込み、締め上げる。
うっかり気を抜けば音姫の中に放出してしまいそうなその快感に、杉並は眉根を寄せ、歯を食いしばって耐える。
「あ、朝倉姉、よ・・・穴の中がどうなってるのか、俺に、っく、言ってみろ」
それに負けまいと腰を抱え込み、ぱんぱん腰を打ちつけて音姫を言葉で、あるいはクリトリスを指で刺激して、音姫を高みへ昇らせていく。
「あんっ、やぁん・・・・・・杉並くんの、お、おちん・・・ちんが、私のお尻に、はんっ、あっ・・・出たり、入ったり、して・・・
あっ、ごりごり擦って・・・い、気持ち、いいの・・・・・・あ、やはぁぁぁん!!」
突き上げる度に甘えるように、抜き去るときには切ないように嬌声を上げ続ける音姫。
普段なら恥ずかしくて口にできないような台詞も、理性が完全に溶けているためか、臆面もなく大声で叫び、杉並を誘う。
そうして音姫のアナルに杉並が突き立て続け、どれだけ時間が経ったのか、次第に音姫の嬌声が短く、意味を成さない言葉に変わっていく。
杉並もまたそれに気付き、これまで以上に激しく音姫を責め立てる。
「あっ、ひぃっ!! やぁっ、きもひいいよお・・・・・・!! もう、もっ、い、あ、くるっ、きちゃう、きちゃ・・・ひゃあんっ!!!」
最早体を支える力もなくし、がくがくと膝を震わせ前のめりに倒れこもうとする音姫。
その尻をしっかりと抱え込み、杉並もスパートをかけるため、猛然と突きまくる。
「いっ、いいな、朝倉姉っ! イクときには、きちんとそれを、お、俺に・・・言ってからイクんだぞ!」
ひっ、ひっ、っと断続的に声を漏らす音姫に一際深く杉並が突き刺し、一瞬動きを止める。
音姫の中で杉並のペニスが一瞬大きくなり膨れ上がった。
次の瞬間、杉並のくうぅっ、という絞り出すような声とともに熱い液体が音姫の腸内にどくどく注ぎ込まれる。
そして射精する直前、それまで音姫のクリトリスをぐりぐり刺激していた杉並の指が愛液で滑り音姫の膣内にずぶりと突き挿さった。
「ふぁぁぁぁぁっ!!! す、杉並くん、イク・・・!!!! もうイキます、あ、や、はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
先程の絶頂と同じくらいの叫び声を上げて音姫が体を痙攣させる。
そして、そのまま強すぎる快感に意識を完全に吹き飛ばされ、彼女は気を失ってしまった。
杉並が半分萎えた自身のモノを抜き去り、音姫の腰を掴んでいた手を離すと、そのまま音姫は机に突っ伏した。
文化祭も終わりに近づいた時刻、空き教室にて全身を汗まみれにして倒れている音姫。
その秘所からは洪水のように愛液を、肛門からは彼の注ぎ込んだ白濁液を垂れ流しており、そこには普段の清楚さはなかった。
だがそれでも尚、その姿は彼女の魅力を損なうことはなかった。
少なくとも、杉並は射精後の倦怠感に包まれながらそう思ったのだった。
<1ヵ月後>
「いいっ、まゆきっ!! 杉並くんはこのルートを通るはずだからここに複数で待ち伏せて!
私は直接追う役になるから、そうしたら挟み撃ちになるはずよ。
あなた達は裏をかかれないように、この生徒会室を中心に張り込むこと。ほらっ、急いで!!」
生徒会室に音姫が他の役員達に的確、且つ鬼気迫る勢いで指示をとばす。
「ど、どうしたの音姫、何かあったの・・・?
文化祭以降は、杉並については生徒会の関与することじゃない・・・とか言ってたのに、何で今回はまたそんなに張り切って・・・・・・?」
「そ、それは・・・・・・うぅ、そ、そんなことどうでもいいから! 早くするっ!!」
まゆき達を追い出し、自分も杉並を捕獲するべく慌ててその場から駆け出す音姫。
その際、音姫の立っていた場所に、ぽたりと水のようなものが零れ落ちたことに気付いたものはいなかった。
その後・・・結局二人は杉並を取り逃がし、そして放課後の廊下を二人で歩いていた。
「はぁ・・・今日もまた逃げられたか・・・・・・って、ほら、音姫もそこまで気を落とさなくてもいいでしょうが。
本当にどうしたん? まさかあの馬鹿あんたに何かしたとか?」
「っ!? ごしy・・・杉並くんは馬鹿なんかじゃない!!」
それまでは見ている方が気の毒になるくらいに肩を落とし、意気消沈していた音姫だったが、
まゆきが杉並を「あの馬鹿」と言った瞬間、いきなり顔を上げると物凄い剣幕でまゆきに食って掛かった。
まさかそこまで音姫が怒るとは思っていなかったまゆきは、びっくりした様子で音姫を見詰める。
「あっ・・・その、ごめんね・・・・・・で、でも、まゆきもよくないよ? その・・・簡単に人を馬鹿呼ばわりするのは失礼だし」
「え、あ、ああ・・・えっと、うん。私が悪かったよ、ごめん。
でもその・・・・・・本当に何にもないの? 何かこの間から音姫変だよ?」
不審気な視線を送るまゆきに対して、音姫は誤魔化すように曖昧に微笑んだ。
「まぁ、何もないならいいんだけどね・・・・・・って、あれ? 何所行くの音姫、昇降口はこっちだけど?」
「あ、うん。いいの。私今日ちょっと寄って帰る所があるから、だからここで」
昇降口とは逆の方面へ向おうとしていた音姫は、そう言うとまゆきに背を向け、足早に去っていく。
そんな音姫の姿をまゆ気は釈然としない面持ちで見送ると、そのまま岐路に着いた。
音姫はどんどんと校舎の奥へ・・・今は特に使われていない教室が並ぶ場所へ歩いていく。
時間が時間ということもあり、昇降口からは程遠いその付近には全く人の気配はなかった。
その中で音姫は一つの空き教室のドアに手をかけると、周囲を一度見回した後で素早く中に入り、鍵を閉めた。
「ん、ああ、朝倉姉か。一体何の用だ? 今日は俺を捕まえることは出来なかっただろう?
敵のいない工作活動ほどつまらんものはない。だからこそ次から俺を捕まえられたら褒美をやることにすると言った筈だが?」
校舎の奥、普段生徒が寄り付かない場所にある空き教室に入った音姫は、そこで杉並の姿を確認するなり顔を輝かせる。
杉並がここを非公式新聞部の部室として無断借用していることは、音姫とごく少数の人間しか知らず、室内には音姫と杉並のみだった。
だから音姫は人前でのように演技をすることなく、
「はい・・・申し訳ありません。私は、ご主人様にご奉仕したくて・・・どうしても我慢できなかったので来てしまいました」
と、満面の笑みを浮かべ、心置きなく自分の主人に対して奴隷として振舞うのだった。
杉並の唯一計算外だったことは、音姫がマゾとしての非常に高い素質を持っていたということだろう。
杉並にしてみれば音姫に対して羞恥心や敗北を味あわせ、これまでの借りを返すことが当初の目的であった。
つまり、音姫を自分の奴隷に仕立て上げることなど考えてもいなかったわけである。
ところが、いくつかの原因・・・彼が本質的にSであること、音姫は潜在的に上から命令され、隷属することに興奮する性質を持っていたこと。
そして更に絶頂寸前まで追い詰められ、一切の思考力を剥いでしまった状態で杉並との上下関係が刷り込まれたこと。
それらが重なり合ったその結果・・・・・・
あの後目を覚ましてからも、音姫の潜在意識には自分が杉並より下の存在である、という考えが常にあったのだ。
勿論、これだけでは『奴隷』などという発想に至る筈もない。
これは単に彼が自分の何気ない(ことはないが)ゲームがもたらした心理作用に興味を持ち、その後も調教を続けた結果である。
と言っても彼は性に関して大して関心がなく、特に肉奴隷が必要なわけではなかった。
では何故そんなことをしたかというと、
『面白そうだったから』
ただその一言に尽きた。
だが、常に退屈を持て余し、故に新しい神秘を追い続ける杉並にとってそれは大きな要因だった。
彼にとって重要なのはそれが自身の退屈を紛らわしてくれるかどうかであり、逆に、それ以外の価値基準は何の意味も持たないのだから。
「あ、あの・・・ご主人様。それで、もし宜しければ・・・その、これを取らせて頂けないでしょうか?」
音姫がスカートの裾を摘まむと、腕をゆっくりと上げていく。
スカートが捲くれ上がり、下にあったショーツ・・・ではなく、ダラダラと愛液を垂れ流す彼女の秘所が露になった。
更に彼女の割れ目には小さめのバイブが突き刺さっており、今もそれはぶるぶると絶え間なく振動を送り続けている。
それを見た杉並が少しだけ驚いた様子で、
「ほぅ・・・まさか本当に下着無し、且つバイブを埋め込んだまま学校生活を送るとはな・・・・・・
くくく、随分と淫乱な生徒会長・・・いや、奴隷もいたものだ」
「そんな・・・酷い、あんまりです、ご主人様・・・」
冷笑する杉並に音姫は表情を歪ませ、泣きそうな声でそう呟いた。
だが、彼女が本気でそれを嫌がっていないであろうことは、その瞳に映る歓喜の色からも明らかだった。
「仕方がないな・・・言いつけをしっかり守った褒美として、今日は特別にイカせてやろう。
ただし、俺への奉仕が終わった後でな・・・」
それを聞いた音姫の表情が、一瞬で形だけの悲しみから悦びへと変化する。
「はいっ! お任せ下さい、ご主人様!」
スカートを摘まんでいた手を離すと、駆け寄るようにして杉並の前に行き、跪く音姫。
そのまま杉並に教えられたように、口で器用にズボンのチャックを下ろすと、半勃ちのモノを取り出す。
それがまるで恋人のペニスであるかのようにうっとりした表情で見詰め、愛しげに舌をちろちろと這わせる音姫。
先の部分をつつくように舐めた後、カリの部分を舌で擦り上げるように刺激する。
自分の仕込んだとおり、健気に奉仕する美少女を見ながらも、それまで殆ど無表情だった杉並が不意に呟いた。
「・・・なぁ、朝倉姉よ。桜内は朝倉姉が俺の奴隷になっていることは気付いていると思うか?」
「レロ、レロ・・・ン、チュッ、レ・・・えっ、お、弟くんですか?」
突然の予想外の質問に対して、思わず奉仕を中断してそう聞き返す音姫。
質問の意図を掴みかねているせいか、困惑した様子で、
「い、いえ・・・弟くんに変わったところはありませんから、多分気付いてはいないと思いますけど・・・・・・
も、もしかして、弟くんが何かご主人様に失礼なことをしちゃいましたか・・・?」
不安げな表情でそう訊ねる音姫。
彼女にとって桜内義之はただ一人の弟であり、『ご主人様』とは別の意味で大切な人間だった。
そのため杉並には義之と敵対することなく、友人でいて欲しいというのが音姫の正直な気持ちである。
が、どうやらそんな音姫の心配は余計なものだったらしく、杉並は一言「そうか、ならいい」と納得したように呟いた。
「気にすることはない。単に思っただけだ・・・・・・さぁ、朝倉姉、続きをしてくれ」
そう言って頭に手を置いてすりすりと撫でてやる。
杉並にとってはほんの気まぐれ程度のその動作に、音姫は感極まったように体を震わせ、目尻に涙を浮かべながら言った。
「あ、あの・・・ご主人様・・・その、もし良かったら、その・・・二人だけのときは、朝倉姉じゃなくて・・・・・・
その、名前で・・・音姫っていう風に呼んでもらうわけには・・・いかないでしょうか?」
恐る恐る顔色を伺うようにではあるが、いつもは滅多にしない自己主張をしている音姫。
杉並は恋人のように扱うことは調教とはまったくの別物だと考えているが、
「続きをしてくれ、音姫・・・・・・そら、これでいいか?」
それでも、たまには飴も必要だと思い、それくらいならと要求を呑んでやる。
その瞬間、音姫の瞳からボロボロと大粒の涙が零れた。
音姫が慌てて隠そうと何度も拭うが、いくら拭おうが止め処なく流れ落ちていく。
「や・・・ちが、違い、ぐずっ、ます・・・あ、これは・・・・・・ぅっく、何でも、ないんです・・・・・・ただ、嬉しくて・・・・・・
あ・・・ありがとうございますっ、これからも、ひっく、私でいっぱい気持ちよく、なってください・・・ご主人様!」
そう言うと、それまで以上に情熱的で献身的なフェラチオを開始する音姫。
口内深くまで咥え込み、自分の主人を少しでも気持ちよくさせようとあらゆる技術を使い、奉仕していく。
ついこの間まで男のものまで口にするなどと考えもしなかった少女は、今では完全に奴隷として振る舞い、そしてそれに満足していた。
自分の口の中でビクビクと震え、大きくなっていく彼のモノを、この上ない幸福感とともに、音姫は味わっていた。
自分のペニスを心底幸せそうに咥え、嘗め回す音姫を見ながら、杉並はもしこれを桜内義之が見たらどうなるだろうか・・・と考える。
笑って祝福するだろうか・・・? 否、それはないと杉並はわかっている。
もしも彼が、自分の姉が奴隷扱いされていると分かれば、殴りかかってでも奪い返そうとするだろう。
もしかしたら、嫉妬に狂った義之に殺される可能性もあるかもしれない。
それでも、
(桜内と殺し合いか・・・・・・まぁ、それはそれでまた面白い)
実際にそうなったとしても、おそらく自分は後悔することはないだろうと杉並は確信していた。
そう遠くない未来を想像し、一人笑みを溢し、
「まだまだ当分退屈しないで済みそうだ」
と小さく呟く。
彼の浮かべていたその笑みは、およそ十台の少年には不釣合いなほどに凄惨なものだった。