<10月□日>
今日、兄さんの本棚の裏からHな本を発見した。
後でさり気なくお姉ちゃんに報告して、また廃棄してもらおうと思う。
兄さんは何度お姉ちゃんに怒られても、巧妙に隠し場所を変えたり、あの手この手でこのゴミを死守しようとする。
その努力は本当に涙ぐましいし、私だって兄さんが頑張っているなら大抵のことは応援してあげたいけど・・・・・・ごめんなさい、私は今すぐ目の前のこの汚物を焼き払いたいっていう衝動を抑えるので精一杯です。
まったく・・・兄さんも男の子だから、ついついHな気分になっちゃうことは悪いことじゃないです。
でも、だったら私に言ってくれれば、もっともっと凄い私の写真でも動画でも、私自身でも・・・何でもあげるのに。
私は兄さんにだったら、いつ、どこで、何をされてもいいし、どんなことでもしてあげるよ。
兄さんが望むのなら今すぐに犯されてもいい・・・・・・ううん、望むならなんて嘘だね。本当は私がそれを望んでるんだから。
あは、犯されたいなぁ、兄さんに。
無理矢理服を剥ぎ取られて、押さえつけられながらキスされて、
乱暴に愛撫されて、痛がる私を無視してぐちゃぐちゃにかき回されて、いっぱいいっぱい私の奥に―――――
・・・・・・いけない、日記を書いている最中に自慰を始めてしまうなんて、流石に少しだけ自己嫌悪だ。
兄さんのことを考えていたら、胸の奥が暖かくなって、幸せな気持ちになれるけど、少なくとも日記を書いている間はやめておこう。
でも兄さん、私は本当にいつでも構いませんから・・・したくなったら遠慮せず言ってくださいね。
だから・・・まさかないとは思うけど、いくらHな気分になったからって他の牝と交尾するのはやめてね?
獣姦なんてすると、変な病気をもらっちゃいますよ?
それに、保健所の代わりに、一匹ずつ駆除していくのも割と骨が折れるんですから・・・
<11月△日>
今日は不愉快なことがあった。
私のクラスの女子(一応表面上は友人)に「朝倉さん、桜内先輩と仲いいんだよね?」と声を掛けられた。
一瞬、兄さんの名前を気安く呼ぶなと返したくなったが、我慢して曖昧に頷く。
「あのさ・・・桜内先輩って、今付き合ってる人とかいない・・・よね?」
訂正、不愉快な寝言を垂れ流す口を二度と開かないように縫い付けたくなった。
それも我慢(頬が引きつるのを見られたかもしれないが)して、
「いるわけないよ、そんなの」
「じゃあこれ渡しておいてくれないかな・・・直接はちょっと勇気なくって」
そう真っ白な便箋を私に手渡した。
当然、そんなものは兄さんの目に入る前に、元友人と共にこの世から消え去ってしまったが。
だが今回の件でわかったことがある。あまり悠長に構えて入られないということだ。
今までは兄さんが自分から振り向いてくれるようにという方針でいたが、鈍感な兄さんには自分から、など期待できない。
そうして、その隙を狙って兄さんという極上の獲物を狙うハイエナがあちこちから集まってくるのだろう。
私ももう少し強引にいくべきだったのかもしれない。
そのことを間接的にとはいえ教えてくれた元友人(名前は忘れた)には感謝している。
せめて、もう少し優しく逝かせてあげればよかった、と少し後悔する。
<11月□日>
今日は休日だ。兄さんが出かけた後、いつものように部屋で兄さんのベッドに転がる。
流石にもう兄さんのぬくもりはなかったけれど、それでも布団から香る兄さんの匂いをしっかり味わう。
それと同時に兄さんが眠るときも私を感じられるよう、私の匂いも一緒につけてあげる。
暫くゴロゴロと兄さんの体を包んでいたシーツに転がり至福の一時を過ごしていると、不意にシーツの上に落ちている長い髪の毛が目に入った。
明らかに兄さんのものではないそれに、幸せな気分も瞬時に吹き飛ばされる。
(ベッドに他の女が・・・なんで、なんで・・・・・・!?)
最悪な結末まで脳裏を掠めたとき、あることに気付いた。
(・・・・・・この髪の毛、どこかで見たことがある?)
よくよく見てみると色や長さ、それに染髪料などで痛んだ髪とは段違いの艶やかで柔らかい質感には見覚えがあった。
思うところがあってお姉ちゃんに軽く鎌をかけてみると、
「えっ!? お、弟くんの部屋・・・? あ、あはは・・・何言ってるの由夢ちゃん、いくら姉弟でも勝手に部屋なんて入ったら駄目なんだからね、もう。
そ、それに私はちょっと用事があって出かけていたから、うん。・・・えっ? 何の用事かって? ええと、その・・・生徒会関係の、かな〜」
と実にわかりやすい答えが返ってきた。
どうやらお姉ちゃんの仕業らしい。
その瞬間に今まで胸に燻っていた不快感は残らず消失し、
代わりに私と同じようにベッドで兄さんを感じていたお姉ちゃんの姿を想像して、微笑ましく感じてしまった。
他の女ならともかく、お姉ちゃんだとそういうことも可愛いと感じてしまう自分に驚いた。
でも、お姉ちゃんのことも、兄さんと同じくらい私は大好きなのだから、それはある意味当然なのかもしれない。
それと・・・ゴメンね、兄さん。たとえ一瞬でも兄さんのことを疑ったりなんてして。
やっぱり、恋人同士で一番大切なことは信頼だもんね。
<12月○日>
今朝からずっと、お姉ちゃんの私や兄さんへの態度はどこかぎこちない。
何を聞いても心ここにあらずって感じだし。登校する時、いつもなら兄さんの腕に引っ付くように歩くのに、
今日は顔を真っ赤にしながら離れて・・・そのくせ兄さんのことを濡れた瞳でじっと凝視しているのだから。
反面私と目が合うとすぐに逸らしてしまう。怒ってるっていうより、なんだか居たたまれない様子に見えた。
これはお姉ちゃんの態度から推測したことに過ぎないけど、
おそらく今日、明日辺りにお姉ちゃんは兄さんに想いを伝えるか、もしくはそれに近いことをするつもりだろう。
もうすぐクリパも近いしね・・・・・・それにいい加減鈍感な兄さんに我慢の限界が来てるのかもしれない。
当然私もお姉ちゃんの想いは知っている。
というよりも、お姉ちゃんの態度を見て気付いていないのは兄さんくらいなものだろう。
ただ・・・兄さんは全然気付いてくれてないようだけど、私だって兄さんのことが大好きなのだ。
ちゃんとお姉ちゃんと二人でそういうことを話したことはないけど、多分お姉ちゃんもそんな私の想いに気付いていると思う。
だから私に接するときは申し訳なさそうな顔をしているのだろう。
でも・・・それは、逆に言えば兄さんと同じくらい私のことを大事にしてくれてるってことなのだろうか。
もしそうなら、私はとても嬉しい。
だって、私も兄さんのことは大好きだけど、お姉ちゃんのことだって誰よりも大事な人だって思ってるんだから。
お姉ちゃんは兄さんと私、どちらも大切に思ってくれているから悩んでるんだよね・・・・・・でもね、お姉ちゃん。悩む必要なんてないんだよ。
私とお姉ちゃん兄さんと、3人で幸せになればいいだけなんだから。
私もついこの間までそんな簡単なことに気が付かなかったんだけどね。
それでも今ならわかるよ。3人で一緒に、みんなが幸せになれる素敵な方法が・・・
ちょうどいいことに明日、明後日と学校は休みだ。
最初は誤解されるかもしれないけど、たっぷり2日間かけて説得すれば・・・・・・
そうすればきっとお姉ちゃんも私の考えに賛成してくれるに違いない。
<12月×日>
今お姉ちゃんは私がこれを書いている横で倒れるように眠っている。
ちょっとやりすぎてしまったかもしれない、と反省する。
だけどその甲斐あり、ようやくお姉ちゃんも私の気持ちを理解してくれたようだ。
あれからお姉ちゃんの部屋に行って、寝ているお姉ちゃんの両手足を手錠でベッドに拘束した。
しばらくしてお姉ちゃんが目を覚ましたとき、始めは寝ぼけた様子で、何がおきているのかわからないって表情だったけど、
自分が手錠で繋がれている上に、大事な部分を曝け出していることがわかると激しく暴れだした。
それでも、私がタオルで口を塞いで、とっておきの薬を使ってあげると直ぐに大人しくなる。
何しろその薬、以前私が試しに使ってみたときは、愛液まみれになりながら自分の指を止められず、
結局明け方近くまで一睡も出来なかったほどに強力な媚薬なのだから。
私が使ったときよりもずっと多い量を、直接膣内に注いであげたから、きっと体を動かそうとするだけで凄い快感が走るのだろう。
暗がりでもわかるくらいに肌を紅潮させて、両手を堅く握り締めながら、時折体をビクビク震わせていた。
そんなおねえちゃんに、私は『説得』を開始した。
イキそうになるぎりぎりまで色んなところを刺激して、最後の最後ってところで手を離して、絶対にイカせないようにする。
それを何時間も、朝日が完全に昇りきるまで繰り返していくと、その頃にはもうお姉ちゃんは既に息も絶え絶えという様子で、
ただ「イカせて、もうお願いだから・・・・・・」と擦れた声でうわ言のように繰り返していた。
お姉ちゃんはもう楽になりたいってことしか頭になかったみたいで、
私が「もうイキたい?」って訊くと、懇願するようにンーンー呻くと、学園一とも言われるその綺麗な顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながらガクガク首を縦に振った。
それから私がヌルヌルになったあそこに指を近づけ、中を擦りあげるようにして指を差し込むと同時に、痛そうなくらいに肥大化させたクリを勢いよく指ではじいてあげると、
「っ、ひぃ――――――っはあああああああぁぁ!!!!!!」
何所にそんな力が残っていたのか、思いっきり背を反りかえらせ、手錠に繋がれた両手足を限界まで突っ張りながら絶叫したかとおもうと・・・
数秒後に全ての力が完全に抜き、ベッドに大量におしっこを撒き散らしながら気絶する。
それから私はお姉ちゃんのお願いしたように、何回もイカせてあげた。
途中からお姉ちゃんが狂ったように
「いやぁぁぁ!! お願い、ゆめちゃ、ああああ!!! もう止めて、やめ―――くひぃぃぃ!!!」
と泣き叫んでも。
食事や休憩を挟んでほぼ2日間。
お姉ちゃんは手錠はとっくに外してあったけど、既に逃げようとする体力もなかったようで最後には、
「ごめんなさい・・・由夢ちゃん、ごめんなさい・・・・・・本当にごめんなさい・・・」
と私を見ると怯えたようにボロボロ泣きながら謝りつづけた。
「―――なさい、・・・たし、弟くんのこと、とろうとして、本当に・・・」
どうやらお姉ちゃんは私が兄さんを盗られると思い、それで私が怒ってこんなことをしていると考えていたらしい。
でもそれは誤解だ。
私はお姉ちゃんを安心させるようそっと撫でると、
「謝ることなんてないんだよ、お姉ちゃん。お姉ちゃんは兄さんのことが好きなんでしょ? それとももう好きじゃない?」
私が訊くとお姉ちゃんは嗚咽を漏らしながら、それでもはっきり首を横に振る。
そして小さくごめんなさい、と続ける。
「ううん、それでいいよ。私ね兄さんを世界で一番愛してる。でもそれと同じくらいお姉ちゃんのことも愛してるの。だから私だけじゃなくて、お姉ちゃんにも幸せになって欲しいって思ってるの。
だからお姉ちゃんが良かったらね、兄さんと私、お姉ちゃんの3人で幸せになりたいって。それとも・・・お姉ちゃんは私のこともう嫌いになった?」
「・・・うう、ん。嫌いになんて、なれない。だって・・・ゆ、めちゃん、たった一人の、妹・・・・・・から・・・」
「うん。ありがとう、お姉ちゃん。それとごめんね、私の気持ちをわかってほしかったからってこんなことして。でもこれだけは覚えておいてね、私お姉ちゃんのこと大好きだから・・・」
ギュッと抱きしめながら耳元で囁いてあげると、お姉ちゃんはまるで幼い妹のようにワンワン泣き声をあげ、私に抱きついてきた。
お姉ちゃんはずっと、ごめんなさい、とか、大好き、とか繰り返していたが、やがてそのまま眠ってしまったようだ。
隣ですやすや寝息を立てるお姉ちゃんを見ていると、自然と口の端がつり上がっていく。
もうすぐ、もうすぐで私の思い望んできた未来が現実になるのだから。
後は兄さんだけですよ? 私も、お姉ちゃんも待ってますから・・・・・・
<12月19日>
あれから、お姉ちゃんは私のお姉ちゃんであると同時に妹にもなった。
普段は私と兄さんの姉として、凛とした表情を浮かべ、保護者として接するお姉ちゃん。
だけど二人きりのときは私の妹として、恥ずかしげな表情を浮かべ、甘えるように接してくる。
それでも、あの時から癖になったのか、それとも元々そうだったのかはわからないが、あの日以降ことあるごとに、
「由夢ちゃん・・・まだ私由夢ちゃんに黙って弟くんに告白しようとしたこと、お仕置きされてないよね・・・?」
「私・・・今日は弟くんと二人で○○しちゃったから、だから、約束破った私は叱られないといけないから・・・」
と自分から『お仕置き』を願いでてくるのはちょっと困りものだと思う。
そもそもお姉ちゃんがそれを望んでいるのなら罰にはならないだろうし。
ただ、どうしてもお姉ちゃんが言うことを聞いてくれないときは、最後の手段ともいえるお仕置きがある。
といっても別に何かするわけじゃなく、逆に何もしないだけ。完全無視と言ってもいい。
たった一度だけ、どうしてもお姉ちゃんが聞き分けてくれなかった時にそれをしたことがある。
これは私自身も相当辛いものがあったし、実際にお姉ちゃんが3,4時間で泣きながら謝ってこなければ、多分私の方が先に折れていたと思う。
ごめんねお姉ちゃん。
でも後ちょっとだけ、もうちょっとで兄さんと一緒になれるから。それまで少しだけ我慢してね。
<12月23日>
今日お姉ちゃんの処女をもらった。
お姉ちゃんも最初は驚いた顔をしていたが、
「私がお姉ちゃんの初めてをもらって、お姉ちゃんが兄さんの初めてをもらって、兄さんが私の初めてをもらえばみんな平等だよ。だからね、お姉ちゃんの初めて私にくれる?」
とお願いすると顔を真っ赤にしながらこくりと頷いた。
最初に痛くないように薬を使ってあげることも考えたけど、
「それでも一生に一度の痛みだから、それに由夢ちゃんをきちんと感じたいから」
と私の提案はやんわり断られる。
それならせめて、と丹念に体中を愛撫した後、ぐっしょり濡れたあそこに無機質な玩具を突き入れていく。
初めてなんだから凄く痛かったはずなのに、それでも破瓜の瞬間に涙を堪えながら、
「私、由夢ちゃんが初めての人なんだね・・・ずっと弟くんとって思ってたけど、何でだろう、私ね、今幸せだよ・・・」
微笑んで私にそう言ってくれるお姉ちゃんが心の底から愛しいと思った。
私はお姉ちゃんが少しでも楽になれるよう、ピンと立った乳首を吸ったり指で弾いたり、
鎖骨の辺りを舐めあげたり、クリをこね回したりしながら、なるべく浅いところにゆっくりした抜き差しを繰り返す。
すると、少しずつだけどお姉ちゃんの声音が甘いものになって、
苦悶の表情がぼうっと呆けたような表情に変わり、開いた口からは「んっ、んん・・・あっ・・・」と押し殺したような声が漏れていった。
いつの間にか、お姉ちゃんは奥まで差し込んでもそれほど苦しまないようになり、突き入れる度に歓喜の悲鳴を、抜こうとする度に切なげな声を上げるようになっていた。
それからどれくらいの時間が過ぎたのか、一際深く私がお姉ちゃんの中に突き込んだとき、全身を大きく震わせたかと思うと、お姉ちゃんに凄い力で抱きしめられる。
暫くギュッと抱きしめ続けた後、恥ずかしそうに「イッちゃった」と呟くお姉ちゃんが可愛くて思わずキスすると、お姉ちゃんからもお返しとばかりに何度もされて・・・・・・
そのままじゃれあい続けていた後、いつの間にか私たちはそのまま重なり合うようにして眠ってしまっていた。
「な・・・なんだ、これ。由夢・・・あいつ、まさか本当にこんな・・・・・・」
俺は由夢の部屋に置かれていた日記を見て、頭が真っ白になっていた。
一体何がどうなっているのか、あまりのことに脳が完全に情報処理をストップして、俺は誰もいない部屋で馬鹿みたいに立ち尽くしていた。
今日、12月24日は風見学園のクリパだった。
本来ならカップルでクリパを回り、そのまま聖夜の一時を楽しむのだろう。
が、生憎俺には一緒に回るような彼女どころか、自分の出し物を終えた後にこれといった予定もなかった。
結局俺は音姉の生徒会の仕事に付き合い、由夢と一緒に出店を回った後、そのまま例年通り朝倉家でクリスマスパーティーを行うことになっていた。
ところがいざ帰ろうとした時、二人に少し買い物があるから先に家で待っているように言われ、鍵を渡された。
一緒に行こうかと言うと制止されたので、俺も二人とも何か秘密の買い物でもあるのだろうと深くは考えずに、朝倉家に向った。
そして渡された鍵で家に入り、何か適当に時間を潰せるものでも探そうとして・・・・・・由夢の部屋の前を通ったとき、ドアが空いているのに気付いた。
閉めてやろうとすると、ふいにポツンと机の上に置かれている本らしきものが目に入った。
何故かそれに目を惹かれた俺は、確かめるだけだと言い聞かせつつ中に入り、その本を確認してみると、それが日記帳であることがわかった。
いくら兄妹のような関係でもそれはやってはいけないことだ、そう頭では理解していても好奇心に勝てず、結局俺はそれを開いてしまう。
―――そうして、俺はその選択を心の底から後悔した。
最初のページから以降、毎日のように、どのページをめくっても、
「今日の兄さんは・・・」「また兄さんってば・・・」「兄さんが私に・・・」「兄さんには・・・」「全く兄さんは・・・」
と自分の名前が羅列し、一種狂的な、ページから今にも溢れんばかりの愛情が記されている。
勿論、俺だって普段のそっけない態度とは裏腹に、由夢が自分のことを好いてくれてることは知っていた。
・・・・・・だが、日記に記された俺への気持ちは、家族に対する親愛の情の延長という、そんな俺の考えから遥かにかけ離れていたものだった。
自分に対する普段の態度の裏に、これほどの感情が秘められていたとは思いもしなかった。
しかも、日記に書かれている記述を信用するなら、由夢は音姉を監禁し、そして昨日処女を奪ったことになる。
それも完全に合意の上で。
いつもと変わらない様子だったあの二人が、俺の知らないところでそんな関係になってたのか・・・・・・?
嬉しいとか、あいつの気持ちに応えるとか、そんなことは完全に頭から吹き飛んで・・・正直あいつが恐くて、恐くてたまらなかった。
これは単に由夢が俺のことをびっくりさせる為に仕掛けた悪戯で、次のページにでも「そんなわけないでしょ、兄さんの大バカ」
と、そんな悪態が書かれてあるんじゃないかと。
そう願いながらページをめくろうとして・・・自分の指が震えていることに初めて気が付いた。
それでも、ここで止めたら俺はもう二度と由夢の顔を直視できる自信がない。
だから、最大音量で鳴り響く警告を無視してページに手をかけ・・・・・・誰もいない部屋に俺の絶叫が響き渡った。
<12月24日>
今日はクリパ、そして待ちに待った運命の日。
私が最初に今日の光景を見たとき、どれほど喜んだことか知ってますか?
お姉ちゃんと私と兄さん・・・誰よりも大切な二人と、ずうっとずうっと一緒にいられたらって・・・そんな私の望み続けた光景が夢に出たとき、私は思わず涙しましたよ?
そしてその時ほど、私は自分のこの力に感謝したことはありません。
ねえ兄さん、今この日記を私の部屋で読んでますよね? いえ、怒るつもりはありませんよ。
だって私はそれも視ていたんだから。
ふふふ・・・今日から冬休みですから、これからたっぷり時間はありますよ。
いっぱい、いっぱい、愛し合いましょうね。
まず今日は最初に兄さんの初めてをお姉ちゃんが、そして私の初めてを兄さんが奪ってくれるんですよ。
お姉ちゃんたら兄さんのおちんちんが入ったときに、「ああ、弟くんだ・・・嬉しい、嬉しいよぅ・・・弟くん、好き、大好き・・・!!!」って、
ぎゅうっと力いっぱい抱き付くものだから、兄さんすぐにイッちゃって、挿入ってから一分くらいしか経ってないのに、そのままお姉ちゃんの中でたっぷり出しちゃった。
兄さんには何の薬も使ってないのにそんなに簡単に出ちゃうなんて・・・そんなにお姉ちゃんの中は良かったの?
お姉ちゃん、今日は一番危険な日らしいから・・・ふふっ、きっと兄さんの赤ちゃんできちゃいますね。
しばらくお姉ちゃんが余韻を味わっていたかと思うと、不意に腰を上げると私に向って、
「それじゃ、次は由夢ちゃんの番だよ」と声を掛けてくれたんだ。
私としてはまだお姉ちゃんも達してなかったようだし、もう少し待とうと思っていたんだけど、お姉ちゃんが交代してくれると強く言うのでお言葉に甘えることにしますね。
一度出して小さくなりかけていた兄さんのモノを、私たち二人で左右から舐めたり、口に限界まで含んでみたり、先のほうを擦ったり、上下に手で扱いてみたり・・・・・・
そうそう、そういえば以前兄さんの部屋で見つけたゴミに胸の大きな牛みたいなのがいっぱい出ていましたよね?
なんだか思い出したらムカムカしますが、どうやら兄さんは「ぱいずり」とか言うものに憧れてるらしいので、私とお姉ちゃんの二人がかりで挑戦してみます。
私とお姉ちゃん、計四つのおっぱいで揉みくちゃにされた兄さんのおちんちんは・・・・・・あはっ、あっという間に大きく、堅くなった。
そのまま兄さんのなら顔にかけられても飲んであげても良かったけど、やっぱり一番最初は私の中に直接注いで欲しかったから一度離れる。
それじゃ、いよいよって時になって気付いたけど、この時兄さんはベッドから動けないから私から挿れることになるんだけど・・・・・・正直恐い。
だって下からあんな大きな杭みたいなのがズブリ、だよ? 世の中の女の子はどうして普通にそんなことできるのか不思議ですよ、本当に。
不安がる私の表情を見て、お姉ちゃんが安心させるように手を握ってくれる。それでほんの少しだけ勇気が出たので、私は目を瞑って思いっきり自分腰を下ろして―――
あまりの痛さに声も出ませんでした。
ええ、もう今思い出しても恥ずかしいんですが(ああ、でもこれを書いてるときはまだやってないのか)年甲斐もなく思わず子供みたいに泣いてしまいました。
お姉ちゃんは凄いと思います。あんなに痛いのを堪えて私に微笑んでまで見せてくれたんだから。
そのときもお姉ちゃんは痛がる私を励ましてくれたり、私がしたように色んなところを刺激したりしてくれたので、私も最後の方には何とか自分から腰を少しだけ振ることくらいは出来るようになりました。
・・・・・・今回はあんまり上手じゃなかったかもしれないけど、それでもこれからもっともっと兄さんを気持ちよくさせてあげられるようになりますから。
だから兄さん、楽しみにしていてね?
その日記には今日の、それも少なくともこの日記を書いているときには絶対に書けないはずの現在の出来事が書かれており、それからも延々と続いていく未来の出来事が記されていた。
それも内容にはある共通点がある。
そこには姉妹の監獄の下、俺が少しずつ壊されていく様子が毎日、細部に至るまで鮮明に綴られているということだ。
ある日には二人が俺に「私たちがいなくなったら悲しい?」と訊いたとき、真っ青になって抱きついてくれただの、
ある日には二人以外の女子との接触を完全に断ってくれただの、
ある日にはバレンタイン当日、奇しくもそんなときに限って(義理)チョコをたっぷりもらって嬉しそうだったからお仕置きをしただの―――――
ふいに込み上げてくる吐き気を懸命に堪える。
一体この日記の結末はどうなっているのか・・・俺にはとても確かめることはできそうになかった。
「は、は・・・あは、は・・・ゆ、由夢の奴・・・、こ、こんな『作り話』なんか書いて一体何―――」
「ううん、それ私の『日記』だよ、兄さん」
その途端、背後からガタンとドアの閉まる音と共に、心底嬉しそうな声がかけられた。
「ね、お姉ちゃん。言ったとおりでしょ?」
「うん。凄いよ、由夢ちゃん。本当に由夢ちゃんの言ったとおりになったね」
「や、それはそうだよ。私がお姉ちゃんに嘘つくなんてありえませんから・・・って、本当にってことはお姉ちゃん私のこと信用してくれてなかったんだ」
「え!? ちがっ、違うよ、由夢ちゃん、別にそういうわけじゃ―――」
「私はお姉ちゃんのこと疑ったことなんてないのに・・・お姉ちゃんはそういうこと言うんだね・・・」
「ゆ、由夢ちゃん! 私も由夢ちゃんのこと一度も疑ったことなんて・・・!」
「ふふ・・・冗談。わかってるよ、お姉ちゃん。そんなに慌てちゃって、可愛いなぁ。お姉ちゃん、そんな顔しなくても大丈夫だよ」
「も、もう、由夢ちゃん! 今のは意地悪だよ・・・!」
背後で姉妹同士で甘い声が聞こえてくる中、俺はその場から一歩も動けないでいる。
蜘蛛に捕らえられた昆虫の気持ちが、今ならよくわかる気がした。
「それじゃあそろそろお姉ちゃん・・・」
「あ、うん、了解だよ、由夢ちゃん」
二人がゆっくりと俺に向ってくる。
一歩進んでも、三歩進んでも、二人の息遣いがはっきり聞こえる距離まで進んでも、それでも俺は後ろを振り向くことさえ出来ない。
振り向けば、とてもオソロシイモノを見てしまうのだと理解していたから。
「兄さん・・・・・・」
「弟くん・・・・・・」
「「捕まえたぁ♪」」
音姉と由夢が俺の正面に回り込んで、左右の腕にそれぞれふわりと抱きついてくる。
二人の顔はまるで幼い子供のように無邪気で、幸せそうで、そんな二人の今まで見た中で最高の笑顔と共に―――ガチャリという金属質な音が左右の腕から聞こえた。
同時に、リボンか何かで手際よく目隠しがされる。
「じゃあ兄さん、私についてきてください。それと、逃げようとしても無駄ですから。だって、兄さんの未来は、もう全部夢で視ちゃったから♪
ああ、そんなに恐がらなくても大丈夫ですよ。もうすぐ、何も考えられなくなるくらいに気持ちよくなりますから・・・・・・」
由夢が何かを話しているが、よく聞き取れない。いや、その内容を理解したくないだけか。
おそらく、俺にはあの日記に記されていた通りの出来事が待っているのだろう、と何の確証もなくそう思った。
ああ、それでも一つだけ由夢の日記に訂正を加えないとな。
なぜなら、この瞬間をもって、桜内義之は考えることを永遠に放棄するのだから―――――
end