『さくらの異常な愛情
またはボクは如何にして我慢するのを止めて和服プレイを愛するようになったか』
芳乃さくらが祖母から引き継いだ家屋敷は、小娘一人では持て余すほどに広い。
また昨今では、初音島の治安は急速に悪化の一途を辿っているのである。
不安を覚えた芳乃は、幼少の頃より頼りにしてきた隣宅に棲む男を金銭で囲った。
その晩、芳乃さくらが鴨鍋を食っていた時のことである。
突如、屋敷の戸が騒々しく開け放たれた。
日ごろから警戒していた芳乃は行燈の火を落としたが、その晩は月夜。
明かりを失った芳乃は暗闇に放り出されたが、一方の賊から芳乃は丸見えであった。
忽ち伸びあがって来た男の腕によって、葦のように細い肢体を掴まれてしまう。
賊は単独であった。
「お、おまえは…誰だ!!」
「俺は天下の風来坊、朝倉純一だ」
「……うにゅぅ……お兄ちゃん、それ番組違うから」
「うそ〜ん」
「うにゃにゃぁ…折角モエモエにお鍋借りてきて料理の仕込みも万全だったのに」
「スマン、さくら。このとおりだ」
「こ、この通り、あっしは色気のネェ餓鬼でごぜえやす。ど、どうか銭だけで勘弁なすって下せぇ」
「(ってコレ続けるのかよ)ヘッヘッ…よぅ、さくら」
「!!!お兄ちゃん」
「銭にはぁ興味ねぇ。俺はぁ、おめぇの体をトックリと味わいに来たのよ」
「そ、そんな目で…見ないで…(ああ、お兄ちゃんがボクにあんな表情するなんて…)」
「観念しな(こんな感じでいいのか?俺的にはかなり微妙なんだが)」
「ひっ!?…んゃ…やめ…(あンッ、夢にまで見たお兄ちゃんとのプレイ…)」
「ひへっへぇ…やい、さくらんぼ!!!覚悟しやがれッ(ってなぜこのシチュで濡れますかこの娘は)」
「!!?ひぎぃ!!!………っく…ん…ぁ!?……よすぎる…ょぅ…ぁはぁ…(…おにい…ちゃ…ん…)」
「ただ挿れただけだってのにッ!うおおッ、締まる…(さ、さくら…)」
………
「…なぁ、さくら。なんでまた押し込み強盗なんだ?」
「ちがーう、畜生働きプレイだよ。ち・く・しょ・う・ば・た・ら・き」
「なんだそりゃ?」
「にゃはっ!男は殺めて女は犯す。見下げ果てたひでぇ奴等のすることなんですぜ?」
「話が見えないぞ」
「うにゃぁ…これはあくまでボクの原体験の再現なんだよ?」
「ちょっとまて、お前まさかガキの頃になんかあったのか!!?」
「ちがーう!!!ほら、ボクさ、小さい頃に時代劇をいっぱい観ていたよね?」
「ああ。隣の爺さんと婆さんが夕飯時に山へしばかれに…何か違うな」
「…んと、とにかく、そのとき見た畜生働きの場面がだね…その、初めての…」
「ん?初めて一人で…トイレ行けなくなったとか…」
「その…いじ…弄ってみたくなっちゃってね…」
「んんん?!」
「お兄ちゃんに酷いことされる場面を想像しながら…いっぱい恥ずかしいことしちゃったの…」
「………左様か」
「……驚かないの?」
「いやまぁ、その、なんだ。さくらは基本的にMだと思っていたからさ」
「!」
「そういうことだ」
「あにゃ…恥ずかしい…」
「照れるな照れるな。また可愛がってやるからさ、な?」
「…えと…ね、お兄ちゃん?」
「ん?」
「現場検証して」
「は?」
「ボクは賊に酷いことされて翌朝まで放置されちゃったんだよ?火盗改めが検分するんだよ」
「人相書きでも作るのか?」
「ううん、散々触ったり服を脱がせたりしてくれればいいんだよ?」
「ほぅ…」
「それでね『酷ぇ手口だな』とか『下手人のお目当ては娘の体だったようです』とか言うの」
「俺は一人何役こなすんだ」
「んーとねぇ…いっぱい!」