体育館の壇上。
かつてのアイドルはそこにいた。今日はマイクも、美しい衣装も用意されていない。壇上の彼女へ送られたのは狂気のこもった喝采だけだった。
「嫌!嫌ぁ!」
ここはあくまで彼女の、白河ななかの舞台である。隣にいる男達は演出家に過ぎず、ここにいる者達の目に最も晒されなければならないのはななかなのだ。ななかの悲鳴は男達の興味をそそらせる程にしかならない。
そして、壇上はライトアップされた。
両手を拘束され、制服姿のまま「運ばれて」来たななかは、男達の視線をその一身に受けていた。脚を自由にされていないために、「運ばれて」来たのだ。
体が柔らかかったななかは、その脚を全開にされたまま、観客に見せる為に傾斜した板に、張り付けられて姿を見せた。
美しい脚の全て、脚先から太ももまでは完全に晒され、かつてちらりとしか覗けなかった場所は惜しげもなくその美しさを見せていた。
しかし、もう観客は、太もも程度で欲望を終わらせる必要は無い。
薄絹の三角地帯、皆の視線を集める魅力的な布は、ななかの怯えのせいからか上下していた。守るには心細すぎるその布は不安そうにふるえている。
捲りあげられたスカートは既に用を成していない。隠されるべき薄絹は最大限に観客に見せられ、その下にあるななかの性器を守る事など、無理に等しいのだ。
それは何より、ななか自身が分かっていた。
「見せないで…隠させてよ…」
ななかの涙は止まらない。同様に観客の歓声も止まらなかった。
制服と下着の下のななかの裸体は、これから始まる「ライヴ」最大の見せ場(見世物)である。
アナウンスが流れた。
「お待たせいたしました」
間もなく、ステージ上部の看板の垂れ幕がはがされた。
「白河ななかー調教ライヴ」