「弟くんのいじわる…」  
いや、そうは言いましても。  
火がついたら止められないわけです。  
「そんなに荒っぽいのはイヤ!」  
「だって…音姉…」  
とりあえずいい加減布団の中に入れてください。  
暖房切っちゃってますから凍え死にそうです。  
そりゃ…止めてって言ってるのに止めなかった俺も悪いけど。  
「恋人同士がするアレって、あんなんじゃないと思うの」  
自分だけ布団を肩までかけて、顔と手だけ覗かせちゃって。  
おまけにそんな「お姉ちゃん」って目をされたら…って俺はシスコンかい。  
「なら音姉はどんなのがいいの?」  
「え、それは弟くんに任せるって言うか…」  
「いや、音姉が始めに言い出し…」  
「もう!とにかくわかって!」  
ぷい、として布団の中に潜り込んだ。  
ん〜。わかってって言っても、何回もしてるんだからいい加減気持ち良さそうな声を聞けてもいいんだけどなあ…  
聞いてみるか。  
「音姉?」  
「…」  
沈黙している。  
布団の上から、うずくまるような音姉の形が浮かび上がった。  
「気持ち良くなかった?」  
「…ううん」  
「…ごめん。何したらいいかわかんない」  
音姉も言われて始めて気付いたのか、もう一度頭をひょっこり出し、こちらを視界に捉える。  
「とりあえずベッドの中にいれて?」  
「…はい」  
音姉が片手で布団を持ち上げて、俺がその中に入る。  
ちらりと音姉の綺麗な胸が見えた  
音姉の肌と、それが乗り移った布団のお陰で俺の体はすぐに温もりを得る事が出来た。  
「「む〜」」  
裸の男女が一つの布団の中にいればやる事は一つしかないはずなのに、音姉は真剣に考えている。  
何だか音姉に悪い気がして、俺も考えてみる事にした。  
 
「音姉?」  
閃いた。  
「なに?」  
「キスしない?」  
「え?いきなりな…」  
言い切る前に唇を奪った。欲望的じゃなくて、ついばむようなキス。  
すぐに音姉の力が抜けて、まるでひな鳥の様に俺のキスを待ち始めた。  
「ん…」  
「音姉…」  
「弟くん…」  
少しだけ間をおく。  
「音姉って…」  
「ん?」  
「キス、好きだよね」  
「…そうかもしれない」  
スッポリと包み込む様に音姉の体に手を回す。  
「え?」  
「音姉」  
「?」  
「こうすれば音姉の好きな時にキスできるだろ?」  
胸の後ろに手を回して、抱き寄せた。  
 

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