アイシアは満足であった。
朝倉純一と朝倉音夢が互いを兄妹と思い、フリーとなった純一を巡って
ことりや眞子、環らがアプローチし始めたのである。アイシアは純一と音夢が
結ばれるために己の気持ちを押し殺していたことりを見ていただけに、今の
喜びに満ちた彼女の姿は自分の願ったことが間違いではなかったことを感じて
いた。
「(魔法はみんなを幸せにできる!)」
「(もっと魔法を使えば、もっとみんなを幸せにできる!)」
自らの願いがみんなの幸せに繋がっていることを確信し、更なる願いを魔法に
託した。
「みんな、もっと幸せにな〜れ!!」
だが、このアイシアの無邪気な願いはその想いとは裏腹にことりや音夢を惨劇に
招くことになる。
「ごめんなさい」
校舎裏でことりが謝る。男子生徒の告白を断ったからである。ことりが
朝倉純一を好きであることは学校中に知れ渡っていたが告白するものは
後を絶たなかった。だが、ことりはその全てをことごとく断っていた。
ことりが深々と頭を下げ、その場を立ち去ると、振られて落ち込んでいる
生徒の周りに仲間らが集まってきて、囃しだした。
「だから、言ったろ。白河は難攻不落だって」
「白河ことりは朝倉が好きなんだって」
「でもよぉ〜朝倉は決めてないんだろう」
「あいつモテモテだからな。水越に胡ノ宮、紫だろ・・・」
「それにほら、一年生にいただろ外人が」
「ハーフだよ!月城!」
「音夢も妹なのに女の目で見てるしな、禁断の恋かな」
「禁断といえば、工藤も見る目が妖しいぞ!」
「ははは、それはいいや!誰が朝倉とくっつけよ!」
「そうだな、そしたらみんな空くぞ」
「ったく!いったい朝倉のどこがいいんだよ!!」
「学校の綺麗どころ独り占めだな・・・」
「ほんとだ。一人くらいこっちに回して欲しいな」
「白河まわしてくれたら、靴でも舐めるぜ」
「いっそ、白河輪姦したいな・・・」
「そうだな・・・・・・」
「ふぅ・・・」
少し離れた場所でことりは溜息をついた。自分を好きと言ってくれるのは
嬉しいのだが、そんな彼らを振ることは彼女にとってかなり心苦しかった。
告白は平均して一日に一回はあり、朝・昼・放課後とある日もあった。これが
振った男の数を自慢するような性悪の女であったら気は楽であったろうが、
人の心が読める能力があったために他人の気持ちを察する傾向のあることりに
とりにとり、このことは負担となっていた。
「でも・・・」
しかし、白河ことりは朝倉純一が好きであり、自分の気持ちを裏切ることは
きなかった。それに同情で告白を受け入れることは告白してくれた人にとっても
失礼である。
「朝倉くんがはっきりしてくれたらな・・・・・・」
純一がはっきり自分と付き合ってくれたら、告白をしてくる生徒らはいなくなる
だろう。いや、振られてもそれはそれで新しい行動が取れるというものである。
しかし、当の純一は態度をはっきりさせないまま日々の学園生活を過ごしている。
純一を好いているものは多い。水越眞子、胡ノ宮環、同級生だけではない学年を
越えた上級生や下級生なども純一にモーションをかけていた。そして、誰よりも
最大のライバルなのは妹の、血はつながっていない朝倉音夢である。ことりには
ライバルが多数いる。
「来週の日曜日、デートに誘おうかな」
ことりは独り言を呟く。負けられないとばかりに力を入れる。
「(あぁ〜パンツ見えないかなぁ〜)」
突然、そんな声がことりの脳裏に響いた。ことりは以前にそのような感覚を感じる
ことができていた。他人の心を読む力、以前ことりが有し、初音島の桜が枯れて
以来失った力である。それが桜の再度の開花に合わせるかのように時々戻って
きていた。しかし、そこに聞こえる声は以前とは異なり、どす黒い欲望−ことりを
餌食にしたいという類であった。
ことりが後ろを振り向いた時、目の合った男子生徒が気まずそうに目をそらした。
「(まさか・・・・・・)」
風見学園のスカートは決して長くはない。どちらかといえば短いともいえる。ことりの
スカートも短い部類に入っていた。
短いスカートが急に恥ずかしくなったことりはスカートの裾を押さえながら、
その場を足早に立ち去った。
「(ああ〜行っちゃった)」
「(しかし、あの脚は犯罪だな!)」
「(ことりにツッコミてぇ〜)」
幸か不幸か、ことりはこの声を聞くことはなかった。
それから幾日−ことりに対する告白や交際の申し込みはパッタリとなくなっていた。
自分を好いてくれる人の好意を無碍にするのは心苦しかっただけに、ことりはこの
状況を失望するのではなく、安堵していた。むしろ、ことりが純一を好きであることを
認めたと嬉しさすら感じ始めていた。
しかし、いくら周りがことりが純一を好きであると認めても、当の純一がことりを
好きであると言わなければ意味のないことである。純一の周りには眞子や環と
言った美少女たちが多くいる。
「(来週の日曜日、デートに誘おう・・・)」
ことりは純一との仲をより深めるべく決意した。
翌日、ことりは映画の前売り券を手に校門の前で純一を待っていた。
「(朝倉くん、早く来ないかな)」
気負っていつもより早く家を出たことりは純一の登校時刻よりも大分早く学校に
着いていた。どう切り出そうか、どう言えばいいか、断られたらどうしよう、色々な
思惑を胸に純一を待つことり、だが彼女の前に現れたのは十人ほどの男子生徒で
あった。
彼らは校門の前で待つことりを取り囲むかのように立ち、明らかに登校時の
生徒という趣きではなかった。
「なっ・・・何か御用ですか・・・・・・」
その只ならぬ雰囲気に怯えたことりは彼らに問いかけた。彼らはことりの質問に
対し沈黙で応えた。しかし、ことりの脳裏には彼らの言葉が流れ込んできていた。
「(ことり、犯す!犯す!犯す!)」
「(いい乳してるなぁ・・・・・・)」
「(ハァハァ、早くツッコミてぇ・・・・・・)」
恐怖したことりが叫び声を上げようとした刹那、一人の生徒がことりの口を手で
押さえ、その目論見を阻止した。更に別の生徒がことりの手を後ろ手にしてガム
テープを巻きつける。その鮮やかな手際にことりはなすすべもなかった。
「んぐっ!」
そして、ことりの口を押さえつけていた手が離れるやいなや今度はガムテープが
張られる。
「そ〜れ!!」
「んぐぐぐぐぐっ!!」
「「わっしょい、わっしょい」」
生徒らは口にガムテープをされ、手を後ろに縛られたことりを胴上げでもするかの
ように担ぎ上げて運んでいく。ドサクサに紛れてか何本かの手はことりの胸や太ももを
さすっている。
「んんんんん〜〜〜!!!」
叫び声を上げようにもガムテープで塞がれた口では思うように発することはでき
なかった。だが、仮に叫ぶことができたとしてもおそらくは役に立たなかったであろう。
早朝とはいえ、登校してくる生徒らやクラブの朝練で賑わっているはずなのに誰
一人としてガムテープで手と口を拘束され担ぎ上げられ運ばれることりに注意を
払おうとはしなかったのである。
「「わっしょい、わっしょい」」
「んぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐっ!!」
異様な光景であった。拉致されているようにしか見えないことりの周りでは日常の
学校生活が営まれているのである。ことりが御輿のように担がれているのが日常で
あるかのように誰一人として騒ぎ出そうとはしなかったのである。
「んぐっ!」
ことりを担ぎ上げている二十本の手のうちの数本は彼女の胸や尻、太ももに
触れていた。その触れられている部分に、ことりは嫌悪感以外のものを感じていた。
いや、ことりは"感じていた"のである。
「(なんで・・・誰も助けてくれないの・・・・・・?)」
ことりは自分の身体に纏わり付く妙な感覚と自分の身に起きている異常な状況が
まるで何事もないかのように周りにやり過ごされていることの驚愕していた。
「お〜い、白河のパンツ見せろよ!」
校舎二階の生徒が叫ぶ。
「(こっ・・・この人、何を言ってるの!?)」
同じ学校の生徒が縛られて運ばれているのに、口をついて出てきたのはパンツを
見せろという言葉・・・ことりならずとも奇異に感じるべきことである。
「(あぁっ!!!)」
二階の生徒のリクエストに応えたかのように、ことりのスカートが捲られる。
「やっぱり白だぞ〜」
「誰だよ、白河のパンツは黒って言ったのは」
「いいぞ〜!!」
いつの間にか、二階の廊下の窓は男子生徒で鈴なりになっていた。ことりは
捲られたスカートを戻そうと身体をよじるががっしりと掴んだ手はそれを許さなかった。
ことりの白いパンツが丸見えに晒し、担ぎ手の生徒らはさながらパレートのように
校庭を練り歩き、体育館へと吸い込まれていった。
「ぷはっ!」
体育館に入って直ぐに口を塞いでいたガムテープを外された。ことりは口を塞がれて
いたことによる呼吸の苦しさからは解放されたが、ここに来るまでに受けた衝撃からは
立ち直ることはできていなかった。
パンツを衆目に晒され、御輿のように担がれ運び去られることりを誰も助けようとは
しなかったからである。誰にも会わなかったのではない。校門から体育館まで多くの
生徒がいた。中には教師やことりのクラスメイトもいた。その誰一人としてことりを
助けようとはしなかったのである。人の心を読むことのできることりには彼や彼女らが
この状況を見てどう感じているのがよく伝わっていた。
無関心−まるで学校で同じ学校の生徒とすれ違うかのような反応、それであった。
だが何らかの手段でことりの身の上に降りかかっている災いを隠しているわけでも
なかった。その証拠に運び去られることりの姿に関心を示すものも少なくはなかった。
ただ、その大部分が"ことりを犯したい"という感情であった。そして、それ以外の
少数のものでもその感情は"妬み"−学園のアイドルである美少女がこれから
穢されることに対する陰湿な悦びであった。
世界中が自分を目の仇にしているかのような状況に打ちひしがれることりの目の
前には更に悲惨な状況が待ち構えていた。
ことりが連れ込まれた体育館の中央には台が築かれ、上にはマットが敷かれている。
台の正面には本式のビデオカメラがスタンバイされ、周辺には照明が準備され、
さながら撮影スタジオという風情であった。
周りには4〜50名のギャラリーが取り巻いていた。ギャラリーは大部分が男で
あったが、女も数名存在していた。その半数は風見学園の生徒が半数を占め、こ
とりの見知った顔もいくらかいたが、明らかな部外者−背広を着た中年男や
ナンパ師やチンピラのような若い男など学校よりも夜の街にいた方が似合いそうな
面々もいる。また多くのものの手にはカメラやハンディビデオが握られていた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
歌姫とも形容されることりは完全防音を誇る体育館の外にまで聞こえそうな
悲鳴を上げた。ことりの頭の中にはその場にいる全員の−そのいずれもが
どす黒いものであり、その全てに共通していたのは"ことりを犯す"という思想が
流れ込んできたのである。
「「ことり!ことり!ことり!!」」
この場でまだ救いがあったとしたら、ことりが"凌辱"に対して知識を持って
いなかったことであろう。
ことりは学園のアイドルと言われてもHなことに対する関心と知識は人並みには
持っていた。しかし、その程度のものではここにいる連中の考えているようなことは
全く思いも寄らぬことであり、そのために感じる恐怖もある程度漠然としたものに
なっていたことである。尤もそれはまもなくことり自身が身を以って体験することには
なることではあったが・・・・・・
つんざくようなことりの悲鳴は、美声を讃えられただけあって大きく美しいもので
あった。そして、その悲鳴はことりをレイプしようとしているこの集団の嗜虐性を
更に増大させようとしていた。
「(この怯えた声!流石は風見学園のアイドルだ!!)」
「(叫んでもムダムダ)」
「(もっと鳴いてくれよ〜)」
ことりの頭に流れ込んでくる思考の波は彼女に更なる絶望感を与えていた。
日中の、それも学校の中でありながら、これだけの大きな悲鳴が上がりながら、
助けは来ない。むしろ、ことりの絶望に覆われた悲鳴を興ずる余裕すら存在して
いた。ことりがこの場でレイプされるのが何かの行事であるかのような、当たり前の
ものであるかのような。
「さぁ、ことりちゃん。綺麗な身体をよく見せて」
一人の生徒がことりの制服の胸元を引き千切る。その勢いのまま、ブラを
下ろして均整の取れたことりの美乳がポロリと露に晒す。
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
「「おおっ〜〜〜」」
絹を引き裂くようなことりの悲鳴、しかし今度は観客らの歓声に打ち消された。
「ピンク色の可愛い乳首だ」
「早く吸いたい・・・・・・」
耳に入る観客らの声と頭に流れ込む声はいずれもことりを凌辱する悦びに
満ちたものであった。絶望に囚われたことりは愛するものの名を叫んで助けを
求める。
「たっ、助けて!朝倉くん、助けてぇぇぇ!!」
しかしながら、それですらことりの絶望を増加させるものでしかなかった。
「んっ?朝倉は確か水越と付き合ってたんじゃなかったっけ」
「いや、彩珠だったはずだが」
「俺は一年のハーフとデートしてるのを見たけどな」
「・・・・・・えっ?」
ことりは耳を疑った。自分が好きな純一が他の女の子と付き合っていることを
ことりには信じられなかった、いや信じたくなかった。しかし、不幸にも他人の
心が読めることりに聞こえる声は彼らは誰も嘘をついていないことを示していた。
「そんな・・・朝倉くん・・・・・・」
予期せぬ内容に呆然とすることりを彼らは許そうとはしなかった。
「まっ、朝倉はことりちゃんとは何の関係もないことだし・・・・・・」
「そうそう、朝倉は朝倉、ことりはことりっと」
「俺たちと楽しく遊ぼうじゃないか!」
「ことり祭りの始まりだ!」
生徒らはことりを台の上に連れていった。宴が始まろうとしていた。
「いただきま〜す」
男子の一人がことりの露にされた乳房に吸い付こうとする。
「ダっ、ダメ!」
口をすぼめて接近する男子を阻止すべく、ことりは必死になって抵抗する。
そのどす黒い欲望はことりに恐怖を与えた。
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ん〜、ん〜、ん〜」
左の乳房に近づいてくる顔を両手で押しとどめようとすることり、男子は
そんなことりの手を払いのけて接近する。か弱いとはいえ、恐怖に端を発する
力は大きく、男子はなかなかことりに近付くことができなかった。
「ん〜、ん〜、もう少し〜」
「いやっ・・・だ、誰か・・・・・・助けて・・・・・・」
それでも力の差は如何ともし難く、男子の顔は徐々にことりの乳房に近付いてくる。
「はぁっ!!」
懸命に伸ばした舌が乳首を掠める。その不快な感触にことりは悲鳴を上げ、
その悲鳴にギャラリーは歓喜の声を上げる。
「はんっ・・・だめ・・・・・・だめ」
ことりの悲鳴により嗜虐感を増した男子は息も荒く、更に迫る。だが、ことりの
方もそのおぞましさに更に抵抗の力を増した。どこにこれだけの力があったのか、
男子の顔は逆にことりの乳房から遠ざかっていった。
「ん〜、ん〜、ん〜・・・ことりちゃん、もっと吸わせてよ」
猛る欲望と充血した目の男子の口から涎が垂れて、不快な感触も気に留めず、
露にされた乳房を隠すこともないほど抗うことり。
「だ、誰か・・・助けて!・・・・・・助けて!!」
「よ〜し、助けようか〜」
助けを求めることりの声に答える声が上がる。もっとも、助けに応えたのは
男子の方に対してである。別の男子二人が後ろからことりの腕を持って押さえ
つけた。
「あぁ!!」
抵抗がなくなるや否や、男子はことりの乳房にむしゃぶりつき、己の欲望を
満たし始めた。
「いっ・・・いや・・・・・・気持ち悪い・・・・・・」
セックスなどしたことのないことりの身体はその意味で未成熟であるが、それ以上に男子の愛撫は
稚拙であった。懸命に乳房を揉み掴み握り絞め、乳首を嘗めて噛んで転がすが快楽を与えるどころか
痛みと不快感、それにおぞましさを感じさせることしかできなかった。
「へたくそ、俺が見本をみせてやる!」
別の男子生徒がことりのもう片方の乳房に食いつく。しかし、その男子のテクも本人の大言とは
異なって上手いとは言えず、ことりに与える苦痛は倍になっただけである。
「放して!な、なんでこんなことを!!」
ことりの叫びを無視して乳房をむさぼる二人の男子。周りの観客も野次を飛ばすだけでことりを助けようと
するものは誰一人いなかった。
「ひぃっ!」
ことりは小さな悲鳴を上げる。誰かがことりのスカートをめくり、露にされた白いパンツの中に手を
入れたのである。そして、その手はことりの大事な箇所に侵入を開始し、陵辱を行った。
「いっ・・・痛い・・・・・・放して・・・もうやめて」
凌辱される両の乳首とクリトリス、そのいずれもが性感帯でありながら、ことりに快感を与えなかったのは
ことりの身体が女として未成熟であること、身体が準備されていないこと、そして何よりも三人のテクが
稚拙であることが大きな要因であった。
囃し立て、野次っていた観客らもよがるどころか苦痛に呻くだけのことりの姿に興を殺がれたのか、
いつしか三人の男子に対してブーイングを行い始めていた。そのブーイングに押された三人はことりに
対する行為を止め、うろたえ始めた。
ことりがこのまま終わってくれるのかと微かな希望を抱き始めた頃、それを完膚なきまでに打ち壊す
提言がなされた。
それを行ったのは腹のぽっこり出た中年太りの男性であった。
「ことりちゃんも悦ばせてあげないといけないなぁ」
そういうと鞄の中から何やら怪しげなものを取り出した。それは一見くし団子のようなもので最大で
ピンポン玉程度の球が大小いくつか付いているものであった。
「これをことりちゃんに使う!」
ことりは恐怖に青ざめた。この発言の瞬間、男の思考がことりの頭の中に流れ込んできたためであった。
男の手にしたものの球は何かの薬でコーティングされており、その成分はことりをおかしくさせる類のもので
あった。そして、男はそれをことりの肛門に入れようと画策していた。
得体のしれない道具を手にした男は三人の男子生徒らに話しかける。
「大体、お前ら下手くそなんだよ。ことりちゃんは呻いてるだけじゃねえか」
「・・・うっ」
「だから、こいつを使えばことりちゃんもいちころだぜ」
しかし、その何やらわからない道具を使用するのはこの生徒らにとっても不安で
躊躇している様子がありありであった。
「こんなことりちゃんの様を見せられたら勃つものも勃たなくなるぜ!」
ことりの痛がるばかりの姿にいささかの動揺を感じていた三人はこの指摘に対して
更に自らを追い込んでしまった、そしてこの道具をことりに用いることを決心した。
「じゃあ、ありがたく使わせて・・・・・・」
「ちょっと待て!」
道具を受け取ろうとした生徒に男は声を張り上げる。
「な、なんだよ・・・」
「ただと思ってるんじゃねぇか!?」
「か、金とるのかよ・・・・・・」
「金なんかいらねぇよ!」
「じゃあ、一体何を・・・・・・」
「貰おうか!」
「だから、何を?」
「ことりの・・・処女をだよ!!」
男の発言に生徒らは憤慨した。
「俺らより先にしようってのかよ!?」
「ずるいぞ、このくそおやじ!」
「大体おっさん何番なんだよ」
「俺か。俺は248番だ」
「僕は2番だよ、2番!何人抜きだよ!!」
注意が男と生徒らの言い合いに向いて、自分を抑えている手の力がなくなっている
ことに気づいたことりは今こそ逃げるチャンスだと判断した。
「(そ〜と)」
そして、気づかれぬように身体をずらして抑えている生徒の手を外して、逃げようと試みた。
「あっ!?」
自分のそばからことりが離れたことに気づいた生徒が声を上げる。逃げるルートに
見当をつけ、ダッシュしたことりをいきなりのことに動けず、誰も阻止することができないように
見えたが・・・
「甘いぜっ!」
予想外に速い男の動きにことりの逃亡の試みはほんの数秒で阻止されてしまった。そして、
体当たりで転ばされてしまったことりを男は足蹴にしながら言い放った。
「お前らがトロトロしてるから、ことりが逃げちまうところじゃねぇか!!」
「「・・・うっ」」
ことりが逃げようとしたのはお前らのせいだと言わんばかりの言葉に生徒らは沈黙してしまった。
「先にやらせてもらうぜ」
「・・・わかった」
「安心しな!俺らが終わったら、すぐにやらせてやるからな!」
生徒らは不満げながらも押し切られてしまった。そして意気揚々とする男は踏みつけている
ことりの方に顔を向けてニタァと笑いながら話かける。
「さぁ、楽しもうか。ことりちゃん」
その瞬間、ことりの頭に男の思考が流れ込んできた。男が自分に何をしようとしているのかを
知ったことりは絶叫し、両親に、姉に、そして純一に助けを求め叫んだ。だが、それに反応する
ものは誰もいなかった。
<つづく>