「い、痛いわね。その手を離して!」  
私は無骨に肩をつかんできた不良学生の手を平手で払う。  
 
「へへ……μってのは、すぐに男に股を開くスケベ人形って聞たんだが抵抗されちゃったぜ。おい」  
 
「それも仕様でーす。なんてな。はははは」  
 
相手の男たちは悪びれる事も無く、私の顔をまるで滑稽なものでも見てるようにニヤニヤと観察している。  
 
お父さんがロボットのμ[開発コード:美冬]に関わってから、この手のからかいや中傷は日常茶飯事だった。  
 
μがただのロボットなら第一人者として、父はもっと普通に評価されていたはずなのに。ある機能……性処理機能なんかを付けたために「精巧なダッチワイフ」作成者としか見られてない。  
 
だから、連日家に女性団体から抗議の電話が来たり、こんな下らない人たちからも見下される事になるのよ!私は彼らをキッと睨みつける。  
 
「私は普通の人間よ。お父さんの仕事とは関係ない。もう帰ります!大事な話って言われて来たのに、そんな事で校舎裏に呼び出されたなんて」  
 
私がこの場から去ろうとするのを、彼らは下卑た笑いを湛えて阻んでくる。  
 
「どいて!……あ」  
「……っ!?」  
 
私が伸ばした手が偶然不良学生の一人を突き飛ばすようになってしまった。私の力じゃ動かせないと思ってたのに、不意の反撃に偶然足がからんでしまったのか、彼はよろけて校舎に体を打ち付けてしまった。  
 
「ってーな!何すんだこのアマー!」  
「ひっ」  
 
熱い衝撃が私の頬を打つ!来ると予感してたのに男の剣幕に怯んでしまった。痛めた頬を庇いながら、私は慌てて男の拳で飛んでしまった眼鏡の行方を捜す。  
 
「痛っ……どこ……どこに行っちゃったの……」  
「おいおいどうした。探し物はコレかあ?」  
 
「や…だってばあ。止めてっ!」  
 
男達の無骨な手が、私の腕を強引に掴んで引っ張る。  
痛い、痛いの、腕が抜けちゃう…!  
 
「ああ、やっぱりμってのはインラン人形なんだな。男の股間を弄りやがってよう」  
「い、いや。嫌ァ」  
 
「オイオイ、また今度舐めたマネしたら親でも分からねえくらい顔変えてやんぞ」  
「大丈夫だろ。ロボット三原則だったかあ?μは人間に逆らえねえようにプログラムされてるんだよなあ。へへへ……」  
 
逆らうも何も、もう私の体は彼らにがっちり抑えられて、身動きなんか出来そうにない。背筋に悪寒が走る。私……こんなところで、こんな連中に……嫌、怖い。怖いよ。  
 
助けて……お父さん!お母さん……っ!  
 
 
「い、嫌、痛いっ、痛いんだってばっ」  
体中を彼らにもみくちゃにされた後、連中は私のパンティを剥ぎ取り、リーダー各の男がのしかかって来た。  
 
醜悪な肉棒が私のスリットを無理やりこじ開けようとぐいぐいと押す。二度ほど腰をひねって狙いを外したものの、両足を男の両肩に乗せられ、二つに折るような感じでのしかかられると身動きが取れなくなった。  
 
「オラ、さっさとくわえろよ!」  
男はうなり声を上げながら強引に挿入しようとしてくる。  
 
「い、いや……酷い、痛い、痛いのっ!!」  
私の意志も空しく、処女の膣口は重力に屈していっぱいに口を開き始め、男根を迎え入れようとしている。  
 
緊張と恐怖でこわばる体が、最後の抵抗として男を押し返そうとするけれど……もう……限界……。  
 
「きゃあああああああ!!!」  
 
疲れからふっと力が緩んだ瞬間、めりっという音と共に肉棒の先端がとうとう私の中に突き刺さってしまった。  
 
見たくはなかった結合部では、とうとう強引に口を開かれ、節くれだった肉棒をくわえさらせられた涙のように、私の純潔だった証の血がつうと流れていた。  
 
「酷い……酷いよ、うええええ」  
 
……特別貞操観念が強かった訳じゃない。けど、こんな形で純潔を奪われたショックで子供のように涙がこぼれ、泣く事しかできない。  
 
「おいおい。ロボットは涙を流さねえんだろ、マシンならマシンらしくしろや」  
「ハハハ」  
 
悔しい、悔しいけどどうすることも出来ない。学校での成績では私にかなうはずも無い連中に!今は自分が腕力で全然かなわないなんて……。  
 
もう許して、早く終わってよ……。  
 
「けほ、こほっ、痛いよぉ……」  
 
傷口の様に痛む膣口に、容赦なくドスドスと肉棒が突っこまれる。抜ける寸前まで引き抜かれ、やっと終わると思わせて、再び体の芯を打ち付ける。  
 
「いやぁぁぁぁっ!!止めてぇぇぇ!」」  
 
痛む傷口を塗りこむ様にペニスが通過する苦痛は、破瓜の時にもまして強かった。衝撃は深く、身体全体が揺さぶられてしまう。押しのけたくても男達に押さえつけられてる腕と足は、どうしても動かせない。  
 
「い、いや……痛いっ、あっあっ、んっ」  
「じたばたすんなよ、このっ」  
 
私の激しい抵抗に焦ってか、男は私を逃がすまいとするかのようにいっそう強く押さえつけ。ずっずっと勢いをつけて突き上げてくる。  
 
そのたびに私の頭はガクガク揺れ。自然と悲鳴と涙がこぼれ唇までが震える。  
「はあんっ……い、痛いよぉ。んっ、あああっ」  
 
「へへ……だいぶおとなしくなってきたな。初めてのこの締り、たまらねえ」  
 
私の意志とは別に、ペニスをしぼりあげるように蠢きだした膣壁に強い興奮を感じるのか、男は瞳を危険な色に染め、段々と動きが早くなる。  
 
「んっく……あぁあうっ……んっ、はぁあ」  
 
私の都合や苦痛などお構い無しに、アソコを壊しそうな勢いの蹂躙。ーいつまで……こんな事が続くの?  
 
「い、いや、こ、怖いっ……やだぁぁぁ!」  
「おおっ、いい、いいぞ、もっと絞ってみせろ!」  
 
苦痛に耐える以外何もできない体と正反対に、熱くなってきたアソコは血以外の体液が混じり、ペニスを滑らかに導きだし始めてる。  
 
「うあっ、で、でる、でそうだ」  
「後がつかえてるんだ。外にしろ、外に」  
 
「いや、何、何なの?ひぃああああああっ!」  
 
ペニスが私の中で膨れ上がったと思った瞬間、男がうめき声と共に、モノをやっと私の中から引き抜いた。責めからの開放感は、下腹部にびしゃびしゃと降り注がれた白い液体で最悪になる。  
 
汚されたんだ……私。中も外も……。  
 
「これで終わりじゃないぜ。ロボットなら無茶しても平気だろ」  
 
狂気の時間はまだ終わりそうになかった。けど、私は力なく目をつぶり、もう何も考えないようにした。  
 
数時間の陵辱の後、私は解放された。  
 
他人にバラシたらただじゃおかねえぞ!と彼らに別れ際、吠えられて。こっちが被害者なのに……何なの……あの態度。  
 
言えない。言える訳が無い。父さんの研究のせいでお母さんはノイローゼ寸前だし弟もまだちいさい。家族の誰も彼もが疲れ切ってる。  
 
私が……しっかりしなきゃ……。私がしっかりできなくなったら私の家は……。  
 
割られた眼鏡をかけ、ぼろぼろの制服をまとい、ずきずき痛む体を引きずるように帰宅する。  
 
股間に感じる異物感で歩きにくい、悔しさで何度も立ち止まりそうになるのとの戦い。  
 
人通りを避け、何度か知り合いに会いそうになりながらも知られないように祈りながら家へとたどり着いた。  
 
いつも何気なく繰り返してる帰宅が恐ろしく長い時間のように感じた。  
 
今の時間ならお母さんは買い物に出かけてて家にはいない。  
 
「……お風呂……入らなきゃ。汚れ……落さなきゃ……」  
そして何も無かったように振るわなきゃ。皆の悩みを増やしてしまうから……。  
 
私はお父さんとは違う。優等生の麻耶……なんだから。  
 
「麻耶か?早かったな。今日は父さんμの起動試験が早めに終わったんで……麻耶!?どうしたんだその格好」  
 
「う…」  
予想外だった。お父さんは私達の手土産に買ったと思うショートケーキの箱を持ったまま硬直している。  
 
「うるさい!うるさい!うるさい!お父さんが……お父さんがそんな機械人形なんかの研究してるせいで私は、私は……」  
 
私は、自分が受けた理不尽な暴力を全てお父さんに爆発させていた。  
 
数日後。お父さんは自殺し、μの研究はスポンサーの一つだった企業に権利が譲渡された。  
 
 
 
「テレビやビデオ、IT。そして太古は浮世絵とかの絵画も元はエロから資金を得て、一大マ−ケットを築けたんや。せっかくの金のなる木を潰そうなんぞ、いつの時代も自称良識派ほど救えんやつ等はおらんな。  
 
普及すれば自称良識派ほどいいお客さんになるのだがねぇ。くくく」  
 
その企業の偉い人はそう言い、もうお父さんの研究で悩まされる事はなくしてやると言った。その目はあらぬ方向を向き、彼の手には小指が無かったが、嫌いなロボットと縁が切れるならどうでもいい事だ。  
 
それから彼の言葉どおり私たちへの中傷は減っていき、私を貶めた連中も、あれからは大人しくなっていった。  
 
最もリーダー各の彼だけは、親がロボット工学の発展から職を失ったという事情から食い下がり、企業にも噛み付いたらしいが、「偶然」一家で不幸な事故にあい。  
 
今の彼らは芋虫のような姿で一生病院のベットの上でを過ごすことになったようだ。  
 
でも私は日常を生き続けなければいけない。  
 
彼は嫌ったロボット化の時代を見ずに済みそうだ。なんて幸せなことだろう。  
 
μの普及を苦々しく思いながら私は仮面をかぶる、私がしっかりしなきゃ。お母さんも弟も困ってしまうから……。  
 

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