夏もそろそろ間近に控えた、ある梅雨の始まりの午前中。  
退屈で眠気全開の授業がえんえんと続いていた。他になりふりかまわず、眠りを決め込みたいところなのだが、今の講師は眠るとつるし上げられるから、真面目に授業をしているふりをする。  
この間の屋上での情事を見ていたのが、ことりであろうことはなんとなくわかったけれど、俺も萌も、あえてそのことには触れず、ことりも俺たちにその辺のことを聞いたりはしなかった。  
精液を抜いたからか、あのあとの俺は驚くほど冷静に後始末をすることができた。  
でも、やや萌のほうが欲求不満気味だったのを忘れることはできなかった。もっとじっくり愛撫してやればよかったかななどと思っても、もう後の祭り。  
うつら、うつらとしてくる。  
萌も、今ごろ夢うつつの中に落ちているんじゃないだろうか。  
そんな思いをはせながら、授業の時間は過ぎていった。  
 
あいにく屋上を使うことができない空模様だったから、俺も萌も食堂の一角で学食パンのお世話になっていた。  
萌も、自分の作った弁当に箸をつけ、ときおり俺にあーんを強要する。  
そう、強要。  
はっきりいって回りに人の目があるのを気にせずにはいられない。  
「あーん、してください」  
「……かったるい」  
「だめですよぉ、パンだけだと午後も続かないですよ」  
「そうはいってもな……屋上ならともかく、ここでそれは」  
好奇の目が一斉に俺たちに集まっているような予感。一部敵意とか殺意みたいなものを感じる予感。  
萌って、ぽけぽけな変わり者だけれど、容姿だけならことりや音夢にもひけを取らないからな……  
俺たちが付き合ってることを承知で、そういう凶器の心を剥き出しにするやつらがいるであろうことはうすうす感じている。  
「ですけど、やっぱりこういうふうに食べてほしいものなんです」  
「けどな……」  
「1.5人前くらいの量なんですよ、ひとりじゃ無理です」  
「だとしてもだ、やっぱり”あーん”は無理。せめて箸を一緒に使わせてもらうので我慢してくれないか」  
「そうですか……」  
萌から、がっかりと音が聞こえてきそうなほど、萌の肩の力が落ちてた。  
人前でラブラブになりたいんだと思うけど、昨日の今日みたいなのもあるから、ちょっとそういう気分じゃない。萌には悪いが、そういうサービスはまた今度な。と、心の中で謝っておく。  
 
人気の惣菜パンが腹の中に収まるころ、萌の弁当の中身を譲り合いながら、お昼の時間を満喫する。  
「間接キス……」  
とか、萌がやけに意識するそぶりを見せる。  
そんなふうに言われると、こっちまで余計に意識してしまう。  
適当に箸を渡しあいながら食べる光景に、杉並とか美春とかにひやかされたり、眞子に呆れられたりしながらも、雨のせいで薄暗い外を眺めながらのんびりと食後を過ごしていた。  
 
その帰りの廊下で。  
「あの……」  
と、萌が顔を赤らめて立ち止まる。  
人通りもだんだんと減り、もうじき始まる午後の授業の前、催すものをすっきりさせておきたいのは別に男でも女でも一緒なわけで。  
立ち止まった近くにはトイレの入り口が構えていた。  
「ん? トイレか」  
「はい……」  
「わかった、待ってるよ」  
「いえ……」  
俺が差し障りのないやり取りで済ませようとしたのに、萌はそれをわざと振り払った。  
「え? 萌、なにを?」  
「……」  
その意図を汲み取れないボケたふりをしてつき返す。  
その萌に、変なスイッチが入ってしまったのはなんとなく察しがついた。何の事はないが、そこまでマンネリしていただろうか、と疑問に思う。でも、そうまでしてしたいなら、俺も付き合わないことはない。  
次の授業も眠気全開で、少しくらいさぼっても問題ないだろう。まあこってり絞られるかもしれないが、このあとのことを思えば別にどうってことない……  
萌の目がうるみ、内股をすり合わせ、俺を見上げてる。  
……でもそんなふうに萌に変なスイッチを入れる何かって、今日の弁当にあったか?  
俺がそういうのを冷静に考える間もなく、萌に唇を重ねられていた。  
 
洋式便座のある個室に、萌が俺を連れ込んでた。  
そこが女子トイレであることなどはこの際ふれないでおく。はなから、こういったことの主導権がいつも萌にあることは俺も半ば諦め半分になってきていたから。  
もちろんそこまでなら俺も萌に譲歩してやろうと思うし、そういう関係をむしろ好きで付き合ってるあたり、愛のなせるものというもの。ただ、俺にだって主張したいことがいっぱいあるし、萌がそれを受け止めているとは思ってる。  
「あの……これは、なんだか」  
薄い緑色を基調としたショーツを脱がせて乱雑に放置し、俺は萌を小さな子におしっこさせるような体勢に、後ろから足をひろげて抱き上げていた。  
「トイレに入るってことは、そういう用事じゃないのか?」  
「ちがいます、屋上ですると、人目につくから……」  
「ここだって誰がくるかわからないんだぞ?」  
後ろから耳元を見れば、萌がどれほどこの行為が恥ずかしいかわかるくらい耳まで赤く染めてる。  
息遣い、髪の香り、背中を抱いて分かる彼女の暖かさ、熱さにひたる。また視線を落とせば萌の大事な部分がそのまま見える。広げた足に晒されるように、ピンク色の秘部をすべて見ることができる。秘核も、陰唇も、その内側からあふれてる、唾液のような蜜も。  
「ほら、萌、このままじょろじょろ出していいんだぞ?」  
「そんな……どうしても、やらないとだめですか?」  
盛り過ぎる萌が可愛い、と思うのはあばたにえくぼなんだろうか。  
痛いくらいに腕にかかる重みも、これから始まるであろうことからすれば軽いものだ。  
俺は無言で萌を促した。  
「はい……」  
目を閉じて、その瞬間を意識して、集中している。  
萌がこんな倒錯的なことに乗るのかどうかといえば……この間のメイド服のコスプレをするんだから、たぶん萌はSよりMの気質があるんじゃないかと推測し、それを思えばいろいろ俺の身勝手を押し通せる気がした。  
イキんでそれを出そうとしているそぶりは見せる萌なのだが、背中越しに今の彼女の心拍の速さが相当突っ走っているようなのを感じ取る。  
体ががちがちになっているようで、これでもかというくらい萌は緊張していた。  
「ふっ」  
「ひぁっ!!」  
耳に息を吹きかけた。  
不意打ちに萌の体のこわばりがより強くなる。  
「ふぅぅ……はむ」  
ポニーテールの髪を頬に感じながら、萌の右耳に息を満遍なく吹きかけ、耳たぶを甘く食む。  
舌なんかをそこにたどらせてみたりする。  
「ひぁ、はぁ、だ、だめ、純一、くん、みみは、くすぐ……ふぁぁ……っ」  
「萌、耳弱いよな」  
「だって、かんじて、はぁ、はぁぅっ」  
息を口から吐き出すようにしながら、萌の耳をじっくり愛撫してやる。耳の稜線に舌をたどらせ、外耳の模様をなぞり、耳の穴のまわりをつつく。  
「はぁ……やぁぁ、ぁぁぁ……」  
くすぐったいという言葉を意志に示せないようなほど、萌の熱が高ぶってるのがわかって、自然と俺自身も熱くなってくる。熱そのものが、下半身に集まってくる。  
そうして耳を責めながら、便座に二人で座るように体を変え、萌が普通に用を足せるぎりぎりの位置に居座りを直した。  
萌の足を掴む手を解放し、太ももの内側をなぞりながら、唇の位置を萌の首筋に変え、キスをする。  
撫でる右手に、萌のなめらかに張った太ももの感触が伝わってくる。短めのスカートに冷やされてかちょっと冷たいけれど、癖になりそうな弾力が指を押し返してくる。  
「ふぁぁ、じゅんいちくん……っ」  
萌の両手が自然に俺の両腕を、軽く抱くように添えられる。  
しぐさのひとつひとつを可愛いと感じるのは、好きあっている証拠なんだろうな。萌の手は俺の愛撫を妨げたりしない、むしろ、より自分のいい方向へ導こうとしているようにも思えた。  
制服の布地の上からでも感じられる萌の豊かさを、左手で包み込んだ。  
 
「んぁ、じゅんいちくん、じょうず……ですっ、同時に、そんな、はぅぅ……」  
「そんなのわかるのか?」  
「だって、あぁぁ、はぁん、声、止まらないですっ」  
「そんなに声出したら聞かれちゃうぞ?」  
「っぁぁぁ、ふぁぁん」  
思わず口に手を当てる萌の、制服のリボンを外し、上着を肩から滑らし、ワンピース状の本校服の内側から手を突っ込んで、より布地の薄いところから胸を弄る。  
手に、ブラウスの薄手越しに感じる萌のブラの感触を確かめるように、掌で撫でていく。  
手に収まりきらないような萌の胸をいじるうちに、その肉感で自分のを包み込まれているような想像をしてしまう。ただでさえ萌の体温を背中で感じて萌に淫らなことを迫っているから、屹立が固く痛いくらいになってるのを、さらに持ち上げることに。  
そんな俺の興奮を知ってか知らずか、萌は大声と恥ずかしさの戦いを両手でふさいで健気に押さえつけようとしていた。  
この制服、ちょっとややこしいから脱がして生の乳を揉むのはためらわれて、それがちょっとじれったかったから、左手をちょっと乱雑に力をこめて、乳房の柔らかさを身勝手に堪能する。  
「ひぁ、ぁぁ、胸そんな、つよくはだめぇ……っ」  
はなからわかってやってる。  
改めて言われてちょっとかわいそうに感じたけれど、これはいつも襲われてる分のツケだ。  
右手を萌の大事な部分にじょじょに近づけていって、すでに蜜を滴らせてる襞を指で捕えた。  
「あぁっ、ひあんっ! はぁぁん、あぁぁ……」  
秘核を指で押して、指の腹でその外陰の隙間を埋めるように、撫でる。撫でる中指の先が萌の蜜口をつつくたびに、愛液のぬめりを指先に感じる。  
萌の中、かなり熱くなっているかもな……  
その感触にふと、胸を弄る左手も萌のその部位に滑らせた。  
「そういえば萌、なんでふつうに座ってるんだ?」  
「んぅ、ふぅあ……え……ふつうに?」  
ちょっと右の指で、萌のそれらしき出口をつついてやる。  
「っ! 純一く、ん……」  
「用足すつもりだったのに、俺にも見て欲しかったのか?」  
「ちがいます、わたしは、じゅんいちくんとえっちなことを……」  
「ふうん」  
ぐにぐにと、指でそこをほぐすようにしてやる。  
「っぁぁ、きたな、いですよぉ」  
別にこういうことが好きなわけじゃないけど、そう萌を誘導していることがいつもない俺ペースであることに、興奮を抑えきれない。  
「いいさ。それに、萌に汚いところなんかないよ」  
「でも、見られながらは、はぁぁ……」  
右の指を、萌の蜜を垂らす口の入り口に少し押し込む。  
指だけでもすこし窮屈な襞の始まりを、中指でほぐすようにゆさぶった。  
「これもえっちじゃん、すげええっち。してみな、興奮するからさ」  
「っ……はぁぁ、はぃ……あの、指、どけてくれます、か……?」  
今の俺の「えっちだ」というささやきを健気に受け止めてくれた萌が、心を決めた。  
これ、萌を自分ペースにするに使えるかもな……考えておこう。  
俺は萌の秘部から手を外して、その愛液に濡れた指のまま萌の体を抱く。胸の感触が触れても気にせず、むしろその柔らかさを、手に触れたいままに触れさせた。  
「ん……ぁぁ、っ……」  
萌先輩の手は自分の口元を抑えたまま。  
生まれてから味わったことのない羞恥を晒すことに、いつもそんなの平然としていそうな萌が、表情ごと恥ずかしい自分をあらわにして。  
いろんなところを弄りまわしながら、首まわりにキスしながら待つ。  
愛撫と倒錯的な淫靡に、萌は自分を投げ出すように、晒された下半身の、さっき俺が左手の指でいじっていたあたりから、ちょろちょろと黄色みがかった液を漏れさせ、次第に勢いのままトイレの中に尿を放ってた。  
「ぁ、ぁ……こんな、じゅんいちくんに、みられて……」  
そう、つぶやきながら、その放物線はずっと便器に当たっている。  
やがて、次第に勢いが衰えて、尿道を閉じるように二度くらい、余りを絞って、とまる。  
萌の耳の赤みは、頬から連なっていた。  
俺だって、萌に自分の放尿見られたこと……病室で尿瓶で萌に見られた。  
あんな屈辱的なのはもう二度とごめんだと思った。同じことを萌にさせたわけだから、おあいこ、にしてもらう。  
「なにいってんだ、俺も萌に尿瓶でするの見られたんだからな。あっちのほうが恥ずかしいぞ」  
「わたし、じゅんいちくんのは、みてません」  
「嘘ばっかり。でもあれはまじできつかったぞ」  
「はぅぅ……、ごめんなさい……」  
「もうこれであいこなんだから、さ」  
トイレットペーパーを引っ張り、手にとった紙で萌の尿道口付近を拭ってやる。  
「あ……っ」  
尿ばかりでなく愛液も滴らせるそこを丁寧に綺麗にして、便器の中に湿った紙を捨てた。  
 
ずっと勢いづいたままのそこが萌の尻を押したままでいる。  
「これくらいサービスしてやるよ。ちょっとかったるいけどな」  
「はい……っあっ!?」  
少しだけ、部位が濡れっぽさを失ったのを見て、萌の中に右の指を入れようと、入り口を押した。その俺の指に、再び愛液が降りかかるのにそれほど時間はいらなかった。  
萌の入り口を弄りながら、俺も自分の制服のズボンを下ろし、やや苦戦しながらも自身を取り出す。  
最初のころは屹立が邪魔で脱ぐのにやや難儀したこともあったが、今はもう慣れた。いったん萌の入り口から指を外してちょっと立ち上がったからか、肉の部位が萌の腰から背中を撫でるように、反り返る。  
鈴口は、あふれさせた先走りに湿っていた。  
「純一くん……」  
「前に、まわるよ」  
「はい」  
萌の前に座る。彼女の両足の間に、自分の腰を割り込ませる。  
熱くなった自身が、萌の受け入れる口と向き合う。  
「萌……」  
「はい……きて、ください」  
向き合った上の唇を重ねながら、自分を萌の襞に当て、濡れている部位を押しながら、ぬめるままに入るべき部位へ入り込んでいく。  
あっさり萌の中に俺自身がすべりこんで、そのまま……蜜にあふれ返った萌の中に、深々と俺自身が埋め込まれた。  
「っぁぁぁ……、純一くん、あつい、です……ぁぁぁ、はぁぁっ」  
「萌のほうが、熱いだろ……きついし……さ」  
入ったとたん、萌のきつい蜜内が俺自身を包み込んで締める。  
ちょっとだけ居座りを直すだけでも、確実に登りつめる瞬間へ導いてくれるような、優しく、それでいて熱くきつい膣内に、俺の息も熱くなっていた。  
「純一くんは、それよりもっと……あついんです」  
「それより萌のほうがあつい、だろ」  
「ぅぅ……」  
意地の張り合いになりそうなのを萌が嫌った。  
でも萌の中は、否応無しに俺を責めたてる。萌が足を踏みしめて、俺の先を奥にねぶらせた。  
あまり長くもたないかもしれない。早漏なのか、俺。  
「っ……はぁ、萌……」  
「ごめんなさい……じゅんいちくんより、あつくなってしまって」  
「いいんだよそんなの、ただのつまらない意地だしさ。それに……俺早かったりしない?」  
それを聞くと、萌が目を閉じて俺にキスをした。本当に軽い、フレンチキス。  
萌は、唇が重なりそうなほどの位置のまま、舌をちろちろと出して俺の唇を舐めた。  
「はぁ……はぁ……そんなこと、ありませんよ……」  
「それなら、いいか……そろそろ動こう……」  
中の湿潤の責めが、じれったい。それを諌めたかった俺の唇に、萌が指をあてた。  
「だめ、です、そんなふうに、あせっちゃだめです……」  
「でも……」  
ぎゅ、ぎゅ、と、萌の膣内の締め付けが何度も改まってる。俺自身がその萌の中に完全に魅了されてしまってた。動いて、たくさん萌を感じたくてたまらなくなっていた。  
「っ……はぁ」  
でも、俺は完全に萌に上から座られていて、萌に動いてもらえないと、自分も動けそうになかった。  
じれったい。  
動いて、果てたい。萌の中良すぎて……我慢きかない。  
そんなふうに意地悪する萌の唇に吸い付いて、両手を萌の胸にかぶせて、乱雑に揉みしだいた。  
実感とかそんなのをいちいち感じていられなかった。すべての神経が下半身に集まっているような感じが、何もかも冷静にさせてくれなかった。  
焦燥が、たまりにたまってく、萌を感じたくて感じたくて、いたたまれなくなってる。  
その焦れの時間が、本当はほんのわずかだったのに、今の俺には一時限分の授業くらいの長さに思えた。  
「や、は、そんな、はげし、すぎ……です」  
腰の居座りをずらして、俺は萌の背中を真後ろにある蓋と、その向こうのタンクに押し付けるような体制の正常位にしてやる。  
「っ、はぁ、じゅんいち、くん……きょうは、わたしが、してあげる、ば……ひぁぁぁんっ」  
強めに萌の最奥を押してやる。  
鈴口が子宮の口にディープキスしているような、気がした。  
「貴重なシーンを見せてもらったんだから、今日は特別に俺から……な」  
便座のすべりに任せて、俺は萌に体を預けるように身を乗り出すと、その狭い萌の中を蹂躙するように腰を押し付ける。  
ゆさぶり、かきまわし、ねぶり、かき出し。  
味わえるかぎりの方法で萌の膣内の狭さと柔らかさと熱さを、俺自身で堪能する。  
 
「っはぁ、そんな、はぁぁ、や、かんじすぎ、ます、っ、ふぁぁ……」  
予想以上に焦れきってた俺自身は、思うよりじっくり、溜まったものを先へおしやっていた。  
それより、もっと強く感じてたのが。  
「っ……あ、はぁ、もえ、なんか、俺、今日」  
「ふぁぁ、はぁ、はぅぁぁ、もっと、もっと……っ」  
「っ、あ……ぁぁ……っ」  
前後させるたびに、俺も声が止まらなかった。それくらい自分が敏感になっているような気がした。  
どれくらい、萌を感じたかったのか、萌でよくなりたかったのか、想像もつかないくらい高められていたんだ。  
「じゅんいち、くんっ、はぁ、すき、ですぅ……っ」  
腰が止まらない。蜜内の締め付けが良すぎてたまらない。  
「もえ、俺も、すき……っぁぁ……もえぇ……」  
かけあげる精液が寸前なのを実感する。  
「ふぁぁ、じゅんいち、くん、きて……いっぱい、ください……ください……」  
もっと、もっと萌を感じたい。  
萌を感じさせたい。  
ストロークを深さにかえて、射精感をまぎらわしながら萌の中の熱を混ぜる。  
一突きするたびに、衝く声が萌から吐き出される。  
蓋やタンクの軋む音を、萌と俺の声でかき消す。  
「はぁぁ、はぁ、ぅぁぁ……はぁぁんっ」  
「……ぁ、っ……はぁ、っあ」  
萌の膣内の収縮は、俺の精液を甘く誘い込むように、妥協なく圧搾してくるよう。  
二人の感じる声が個室内をどんどん占めていってた。  
声に比例して高まりが頂に手を伸ばしてくる。  
「っ、もえ、おれ……」  
「は、い、ぁぁ、ぁああ、じゅん、いち、くん、いっぱい、なか、を……なか、いっぱい、に……」  
「っぁ……」  
抜いて、外に出すなんて考えられない。  
思い切り萌の最奥を叩くように突き上げ、一番気持ちよく出せる部分に、その絶頂を出すように、体を、腰をあずけて。  
 
びゅく、びゅく……っ、びゅ、っ、びゅ……っ。  
 
「ぅ……あ、あ……あぁっ」  
「なか、に、でて、ふぁぁ、はぁぁん、っああああああっ!!」  
精液を受け止めた萌の口から、強いオーガズムの息が吐き出された。  
まるで、待ち望んでいたかのような頂にあわせた、高い音程の旋律のようだった。  
その声が、限界まで高まった膣圧で俺を掴んだまま……最後の最後まで俺の精液を放たせた。  
 
いつチャイムが鳴ったか、覚えていない。  
少しの間だけ繋がった余韻に浸ってから、トイレットペーパーでお互いの部位の、愛液と精液を拭って処理する。  
家でならともかく、ここで綺麗にしてもらうために舐められたら、2ラウンド目どころか3ラウンド目も平気でしかねない。  
まぁ、この時限が終わってから帰ってもいいんだろうけど……えっちのためにあんまり授業サボるのもかったるい。  
萌はここんとこ欲求不満な感じがするんだが、もっと趣向を変えないとだめなんだろうか?  
俺のない頭をフル稼働しても、その答えが見つかるはずもなく、結局何も思い浮かばないままトイレを出ることに。  
授業時間だから丁度いい、と思ってみたのだが。  
外に出ると、別の個室に誰かが入っているように、そこが閉じられていた。その個室は、つい今しがた俺と萌が情事を重ねあった個室の、すぐ隣なのだ。  
「純一くん……」  
「どうやら、聞かれちまったな」  
非常に恥ずかしいことをしていたのを振り返って俺も萌も顔の火を止められなかった。  
 
……。  
……。  
 
「ぁ……ぁ……」  
指先はねっとりと湿った液で一杯だった。  
梅雨の気温に、あふれさせた蜜が冷やされて、寒さを感じた。  
息と、衣類とが乱れ、着ていた黒い下着に、べっとりと自分の出した液が染み付いていた。指先には完全にそそり立っていた乳首と秘核の感覚が固く残る。  
「はぁ……はぁ……」  
はらりと、おちるのは、制服の上着の色にあわせたカラーリングの、帽子。  
長い髪がずるりとした音をたて、トイレの壁にこすりつけられる。  
夢中になるうちに、もう一人、純一のクラスメイトがサボりにふけっていた。  
 

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