戦争は突然来るものではなく、徐々に日常に入ってくるものだ。  
そう語った本はなんというタイトルだったろう。  
どうしてこんなことになったのか、何故このような非道が許されるのか、  
その本の作者や本の主張を疑わなかった者たちには説明できるのだろうか。  
 
島を襲った突然の悪夢。限りない悪意と暴力が平和な島を蹂躙し、人々はなすすべも無く  
逃げ惑い、ある者はこの脅威に敢然と立ち向かっていったが、拙い抵抗に終わった。  
陵辱者たちは統制の取れた行動と並の軍隊を凌駕する武装をもってこの島に乗り込んでおり  
その圧倒的な力の前では、たかだか一般人が束になろうと敵う可能性などなかったのだ。  
 
ここは島内のある場所に設営されたプレハブ小屋。数軒並ぶそれらはある階級以上の兵士の為に  
作られた兵舎であり、一人につき一軒、その急拵えの小さな仮住まいは与えられていた。  
もっとも、より上級の士官は島内の高級住宅地に陣取っている訳だが。  
そしてそのプレハブの中の一軒に、彩珠ななこはいた。  
 
「ん・・ふう・・・ンン・・ン・・!」  
玄関から一面フローリングを施された屋内の一角、大事な所を隠すようにうずくまる裸の少女。  
手錠でつながれた手足には、犬の足に似せたコスプレ用の手袋や靴を履き  
口には穴の空いたプラスチックボール──いわゆるギャグとかいう拘束具──が嵌め込まれ、  
さらには細い首に掛けられた首輪と壁の頑強な留め具の間を、これまた重く頑丈な鎖がしっかり繋ぎ止めていた。  
逃げることも隠れることも許されず御主人様の帰りをひたすら待つメス犬。  
それがメス奴隷となった彩珠ななこに与えられた役割だった。  
 
 
「んっ・・ ふッ!ンふぅぅ・・!」  
閉じた太ももに力を込め、顔を苦悶に歪ませて湧き上がる尿意にななこは耐えていた。  
糞尿を撒いたところですぐに片付けられるが、自身の排泄物を他人に、しかも  
男に見られるなどと十代の少女に甘受できようはずがない。  
(お願い・・出ないで・・!出ないでえ!!)  
しかめた眉がいっそう中心に寄り、眼鏡の下の眼が固く閉じられる。だがその願いはとっくに破られていた。  
彼女はまだ気付いていなかったが、尿道からは既に少量の尿が漏れ出していたのだ。  
流れ出た僅かな尿は太ももを伝い確実にななこの下に溜まりを作っていた。  
腰の下に何やら濡れた感触があるのを一応ななこは認識していたが、おそらく流れた汗のせいだろうと  
思っていた。が、しかし、溜まりが広がるにつれその認識が誤りだと気づかざるをえなくなる。  
 
尿意に耐えて身をよじらせたその時だ。溜まりから発せられる臭いがななこの鼻をついた。  
(!!・・・こ・・この臭いって・・・まさか・・そんな・・嫌ああああッッッ!!!!)  
今まで堪えていた努力が徒労だったと知った瞬間、抑えていた尿意が一気に炸裂した。  
 
ビュッ!!ビュルルッッ!! ブッシャアアアアア━━━━ッッ!!!!  
 
「フヒィィッッ?!ふァッ、ふアアア━━ッッ!!!」  
秘裂から力強く放たれる汚水を目の当たりにし、ギャグの間から悲鳴が漏れる。  
放出される勢いもさることながら今まで抑えていた分、溜まっていた尿の量はかなりのものだった。  
暴発を止めようと尿道に力を込めるが、一度解き放たれた生理的欲求は容易く収まるものではない。  
とめどなく溢れ出す尿がななこの脚を、太ももを、臀部を濡らし、床の尿溜まりはますますその範囲を広げる。  
「んふ〜!んふ〜!ふううぅぅ〜ッッ!!!!」  
(嫌ぁああッ!!、もうやめてえッ、お願い早く止まってええええッッ!!!!)  
ジョロジョロ流れる自らの尿に哀願するななこ。思わず両手で股間を押さえたが、ただ手袋を濡らしただけだった。  
それでも両手を股間に当てたまま脚を閉じ、太ももに力を入れて排泄が収まる時をひたすら待った。  
 
 
永遠と思える悪夢の時間が過ぎた。  
膀胱の中の液体が乏しくなるとともに放たれる勢いは衰え、チョロチョロとした流れに変わった。  
意識すれば抑えられるはずだったが、放心しきったななこにその意志はない。  
フローリングの床に広がる大きな水たまり、それはすべて彼女の流した尿であり  
その中心に全裸のななこが横たわっていた。  
口のギャグの穴からは単調な呼吸音だけが響き、虚ろな眼から流れた涙が眼下の尿溜まりに落ちてゆく。  
ふと背筋に冷たい感覚が走り、少女の身体がビクビク震えた。  
尿を排出した時に体温も尿とともに流れ出し、それに身体が反応したのだ。  
 
(どうして・・どうしてこうなっちゃったのかな・・・)  
 
空っぽの心が問いかける。  
平和で暖かく、ごくありふれた日常。この毎日がいつまでも続くと思っていた、あの日までは。  
でももう帰ることはできない。たとえ解放されて平和な世界に戻れたとしても  
身体と心に受けた傷は一生彼女を責め苛むだろう。もっとも、解放される可能性など無いのだが。  
 
ガチャン  
 
ドアのロックを開ける音。続いてドアが開かれ、足音が屋内に入ってきた。  
足音がななこの近くで止まる。そして足音の主はななこに話しかけた。  
 
「俺がいない時にお漏らしか。ななこは我慢がなってないな」  
 
声に反応して彼女が顔を上げた先には、一人の男がしゃがんで彼女を見下ろしていた。  
コードナンバー>311、兵坦物資輸送班所属、階級は大尉にして今回の作戦にて兵坦輸送の指揮任務にあたった男。  
そして彩珠ななこの御主人様である。  
 
 
「せっかく仕事から帰ってきたのにこんな粗相をされたんじゃたまらんなぁ。  
ここをきれいにしたら、早速ななこにはペットとしての精神を叩き込んであげよう」  
「や・・・やあああ・・もうひどいのいやあ・・! お・・おねがい、もう  
おふかししないから、いい子にするから、ひどいことしないでぇ・・・!」  
 
男の言葉に促されるように身を起こしたななこは小便に塗れた全裸のまま、男にすがりついて哀願した。  
男を見上げる眼鏡の下の眼は明らかに恐怖と恭順の色を宿しており、抵抗の意志は  
全く認められなかった。が・・・しかし・・・  
 
「ちょっと、なにすんだよ!? ああ〜もう、一張羅に小便がついたじゃないか!  
ったく、ホントにななこはいけない子だな!ついでだからお風呂の中でしつけてやる!」  
「あ・・わ・・わわわ、ご・・ごめんなさいっ!!ごめんなさい!! ゆるしてッ、ゆるしてください!!」  
ななこは男から飛び退くと、土下座の姿勢で必死に謝り出した。目の前の男に  
ひたすら頭を下げて詫び続ける全裸のおさげ髪の少女。耐え難い恐怖が彼女の表情を  
凍りつかせ、とめどない涙が眼下にポロポロとこぼれ落ちる。  
そんな様子を男は意に介する風もなく、自身の着衣を脱いで全裸になると詫びるななこに近づいた。  
「さて、汚い体をキレイキレイにしようか。あ、眼鏡は外さないと」  
「う、うわああああ━━ッッ!!いやあッッ、いやああああ━━ッッ!!許してッ!もうゆるしてえええ!!!!」  
血相を変え暴れるななこをねじ伏せて男は首輪のチェーンを外すと、そのまま彼女を風呂場へと引きずっていった。  
 
「助けて!!おねがいッ!! だれか、だれかたすけてええええ━━━!!!!」  
 
風呂場の戸が閉まる寸前、ななこは両親や親友、知人、自身の知りうるあらゆる人々の名前を叫び助けを乞うた。  
だが閉じたドアに叫びは遮られた。しばしの沈黙。そして再び上がる絶叫と悲鳴。  
同様の光景は今も島のあちこちで繰り広げられていた。  
終わりなき陵辱と苦痛の宴はまだ始まったばかりである。  
人間として苦しみ苛まれ続けるか、メス畜生として意志も身体も捧げて楽になるか───  
死すら許されない少女達に掲げられた未来はあまりにも暗く重い。  
 
 

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