<準決勝第2試合 芳乃さくら vs 朝倉音夢>  
「青龍の方角より、芳乃さくら入場!!」  
 大歓声の中をさくらが入場してきた。音夢の対抗馬筆頭の白河ことりが  
負けた今、最大のライバルとして見なされるようになっていた。いや、この  
試合を事実上の決勝戦とまで言い切るものすらいた。  
「さぁ、白河選手の敗北を受け、いまや朝倉音夢選手の最大の対抗馬とすら  
 評されるようになった芳乃選手。この試合、どう占いますか?」  
「難しいです。実力は伯仲していますからね〜  
 どっちが勝ってもおかしくはないです」  
「そうですね。実行委員長はどう思われますか?」  
「うむ。格闘戦なら朝倉妹、魔法戦なら芳乃さくらが優位である。そして  
 今までの試合から判断すると格闘戦優位の傾向があるから、おそらくは  
 6:4で朝倉妹が有利化と」  
「なるほど!それでは二人の血縁者である朝倉純一さん、どちらが勝つと  
 思いますか?」  
「音夢」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「どうした」  
「いや・・・そ、その」  
「空気嫁、朝倉。こういうときは甲乙つけ難いとか言うもんだ」  
「う〜ん・・・でも音夢の方が有利なのは間違いないな、それもかなりの差で」  
「ほう・・・・・・理由を聞きたいな、朝倉」  
「まぁ、双方とも付き合いが長いし、それこそケツの黒子の数どころか地図まで  
 書けそうなくらい互いの手の内は知り尽くしている。そうなると体格の差がな」  
「確かに朝倉妹の方がかなり大きいが・・・・・・」  
「それだけじゃない。さくらは6年前から変わっていないからな・・・・・・  
 音夢のさくらに対するボディイメージに大きな修正はいらない。  
 勝負に関しては相手に対するイメージの変更が少ない音夢の方が有利と  
 なるほずだ」  
「だが、芳乃さくらとて呉下の阿蒙とはいえまい」  
「6年の間、どちらがより多く積み上げてきたか・・・それが勝負になるか」  
「果たして、芳乃さくらの6年間は朝倉妹より上か否か」  
 さくらが入場し終えた後、一際大きな歓声が上がった。  
「白虎の方角より、朝倉音夢入場!!」  
 優勝候補の大本命である音夢が入場してきたのである。  
「朝倉音夢選手の入場です!竜虎相討つ、決勝に進出するのは果たして  
 どっちかぁ?」  
 相対する二人を理事長は感慨深く眺めた。  
「狭い、遮蔽物がない、一対一・・・・・・向坂さん、この闘技場は魔法使いにとって  
 不利な条件となっています」  
「それはどういうことでしょうか、理事長」  
「魔法使いは呪文を唱えますが、この条件下ではその間に対戦相手が殴りに  
 来れると距離しか確保できないのです。その意味で魔法使いが不利な条件と  
 言えるでしょう」  
「そうですか・・・しかし、選手の方々から抗議は?」  
「ありませんでした」  
「そうですか」  
「おそらく、何らかの対抗手段があるのでしょうね・・・・・・」  
 二人は入場口のすぐ前で立ち止まった。お互い、目を合わすどころか相手の  
顔すら見ようとはしなかった。双方にいかなる感情が湧き起こっているのか、  
白河ことりならぬ人々に判る由はなかった。  
 
 
「試合開始!!」  
ドーン!!!  
 太鼓が響く。  
「なの!」  
 さくらが叫ぶ。すると、手の中にあった珠が光輝き、みるみるうちに大きな杖状の  
ものとなった。  
「おおぅ、バトンだ!ロリロリな体型と相まって、まさに正統派の魔女っ子だぁぁぁ!!」  
「バトンというか・・・・・・人、撲殺できますよ、アレ・・・・・・」  
「Stanby ready,Setup!」  
 今度はさくらが光に包まれた。その光は強く、しかし一瞬で消え去った。  
そして、そこに現れたさくらの衣装は光に包まれた時のものとは異なっていた。  
「魔法少女○○カルさくら!!」  
「あっ、あれはスクール水着か!?いや、少し違う・・・  
 だが、見事な魔法少女だぁぁ!!」  
 目の前に起こった現象に音夢も観客も呆気に取られていた。やがて、  
観客はさくらの変身に歓喜し歓声をあげた。そして、音夢はさくらの持つ  
杖の先が自分に向けられていることに気づいた。  
「スターライトブレイカァァァァ!!」  
 さくらの杖から発射された光は流星のごとく集成し、音夢を襲う。音夢は  
それをかろうじて避ける。そして光は闘技場の壁にぶち当たり、会場を、  
いや地下闘技場そのものを揺り動かした。  
「な、なんだ、これはぁぁぁ!こっ、これが、魔法少女の力なのかぁぁぁ!!!」  
「なるほど・・・」  
「どうしたのですか、白河先生?」  
「いや、あれだ。あのステッキの先端についている玉、あれは高性能のCPUだ!  
 あれに呪文をプログラミングしておけば術者が長々と呪文を詠唱する必要が  
 なくなる。つまり、今みたいに一瞬で大魔法を使うことができるようになる」  
「考えましたね、芳乃選手。さすがは天災少女」  
「いや、字が違うぞ。しかし・・・あれだけの呪文の魔力、どのように確保している  
 のか?」  
 暦の疑問は比較的すぐに解消された。  
「Reload」  
 さくらの杖から薬莢が排出され、すぐに何かが装填された。  
「魔力を充填した弾!恐るべき、芳乃さくら!!」  
 感心する暦とは異なり、会場中はさくらの激しい攻撃にざわめいていた。  
衝撃から立ち直った音夢はさくらに対して、眞子がことりに対したように突進を  
仕掛ける。  
「ディバインシュータァァァァァ!!」  
 さくらの杖の先から光の弾が8発飛び出し、音夢に向けて飛んでいった。  
「当たらなければ、どうってことないっ!!」  
 音夢はその光の弾を次々に回避した。  
「朝倉音夢選手、弾を回避!・・・えっ、違います!弾が、弾が、  
 追いかけていきます!!」  
 よけられた光の弾は軌跡を変えて、音夢を追尾していった。  
「なにっ!」  
 さくらは光弾を操作して、音夢を追尾させる。音夢はそれを何度も掻い潜って  
いくも、徐々に追い詰められていく。  
「音夢選手、追い詰められた!そして・・・命中ぅぅぅ!!」  
 光弾は音夢を取り囲み、一斉に着弾した。音夢の姿は弾の爆発する光に  
包まれた。  
「すごい光だぁ!これで決まったかぁぁ!!いえ・・・」  
 実況は眼前に展開した光景に息を呑んだ。そして、それは観客も杉並や暦、  
そして対戦相手であるさくらも同様であった。  
 
 
「む・・・無傷・・・・・・」  
「奥義!転龍呼吸法!!」  
 音夢に命中した光弾は弾かれていた。  
「この転龍呼吸法の奥義は静から動に転じる時にある。  
 そして、その奥義を見た者は"死"あるのみ!!」  
「アクセルシュータァァァ!!!」  
 今度は12発の光弾が発射され、音夢に飛翔していく。  
「あたたたたたたたたたたたたた、あたたたたたたた、うわっちゃっぁぁ!!」  
「北斗百裂拳!!」  
 音夢はさくらの放った光弾を全て打ち落とした。誰しもがその光景に  
愕然とした。  
「朝倉の妹は化け物か・・・」  
「必ず殺すと書いて・・・必殺、刃髏無腕爆弾パンチ!!」  
「プロテクション!!」  
 魔力充填弾の装填の隙をついて音夢が突進する。さくらは音夢の  
必殺パンチを防御魔法で防ぐ。音夢とさくらの間に力と力がぶつかって、  
火花が飛ぶ散っていた。  
「プロテクション・パワード!!」  
 さくらは防御魔法をさらにパワーアップし、音夢を弾き飛ばした。  
「大砲はよけられる・・・誘導弾は効果がない・・・どうする芳乃さくら!?」  
「レストリクトロック!」  
 光の輪が音夢の取り囲み、急速に縮まる。  
「拘束魔法で動きを・・・やるな、芳乃!!」  
 光の輪は音夢を完全に拘束しきってはいなかった。音夢は肩幅くらいの半径の  
ところで両手を広げて光の輪を閉じるのを阻止していた。拘束しようとするさくらと  
されまいとする音夢、攻守を代えた攻防戦が繰り広げられた。  
 どちらが勝つか観客らが息を呑んで見つめるさなか、早期に決着をしたものが  
いた。  
「この勝負、芳乃さんの負けですね」  
 理事長はそう言い切った、そして理由を問いかけようとした環の機先を制し  
回答した。  
「詠唱時間の短縮、魔力充填弾の使用、いずれも魔法詠唱の欠点を補って  
 あまりあるものですが・・・・・・重大な欠点も存在します」  
「重大な欠点?」  
「はい。本来、呪文の詠唱には同時に魔力を練成する意味合いもあります。  
 ですから高度な魔法を使用するには、それなりの長い呪文で魔力を練成する  
 必要があります」  
「つまり、大きな技を使うにはそれなりの用意がいると・・・・・・」  
「そういうことです。芳乃さんのあの方法では瞬間的に大きな魔力が必要と  
 なります。しかし、そんな大きな魔力は、いえ純度の高い魔力はそんなに  
 存在していません。あの場にある魔力、魔力充填弾の魔力、そして芳乃さくら  
 自身の魔力、それくらいです」  
「・・・・・・魔力はない?」  
「いえ、魔力自体は闘技場にはあります。朝倉音夢さんの印の効果もそれを  
 使っていますから。ただ大きな違いは音夢さんはレギュラーで動けるのに対して、  
 芳乃さんはハイオクでなければ動けないということです」  
「では芳乃さんはもうすぐ・・・?」  
「時間の問題でしょう」  
 理事長の予測は正確であった。音夢とさくらの攻防の均衡は崩れかけていた。  
 
 
「音夢選手、光の輪を徐々に!徐々にですが広げていっております!!」  
 音夢を拘束する光の輪はジリジリと広がりつつあった。一方、さくらの杖は  
悲鳴を上げていた。  
「Upham! Upham! Bullet! Have the bullet! Uparm!!」  
 既に魔力充填弾は使い尽くしていた。今、音夢を拘束している魔法の源は  
さくら自身であった。そして、さくらはその力が尽きようとしていることを自覚していた。  
「ぐぐぐ・・・」  
「ぐぐぐ・・・」  
 バチッと大きな音がし、音夢を拘束していた光の輪が壊れた。  
「あぁっ!」  
 さくらは悲嘆し、音夢はその隙を見逃さなかった。音夢は発頸でさくらの身体を  
吹き飛ばす。そして持ち上がったさくらにチョッピング・ライトで地面に叩き落す。  
更に弾かれたところにヤクザキックを食らわそうと目論んだ。  
「芳乃選手、間一髪キックをよけたぁぁ!しかし、ダメージは大きい!!」  
「情け容赦ないですねぇ〜朝倉音夢選手は・・・・・・」  
「ぐぅぅ・・・・・・」  
 苦しそうに立ち上がるさくら、そんなさくらに音夢は勝負を決めようと猛攻撃に  
転じた。  
「音夢選手、非情の猛攻だぁ!芳乃選手、もはや人間サンドバック!!」  
 もはやガードするしかないのか、さくらはひたすら身を固めて音夢の攻撃に  
耐えていた。音夢は攻撃を躊躇しなかった。ガードの上からお構いなしに  
さくらを攻撃した。  
 防御するだけのさくらに対し、音夢は大きいのをぶち込むべくモーションに  
入った。そしてパンチを振り放った瞬間に、さくらはカウンターを入れた。  
「カウンターだぁぁぁ!!」  
「タイミングはいい!だが、リーチが!!」  
 リーチの短いさくらよりも音夢のパンチが先に当たる、みながそう思った。  
しかし、後方に吹き飛ばされたのは音夢の方であった。  
 
 
「な、何が起きた!音夢選手が・・・えっ?だ、誰だ!?」  
「「おい・・・誰だよ」」  
「「戦ってたのは芳乃・・・さくらだよな?」」  
「「そうだけど」」  
「「じゃあ、あれは誰よ?」」  
「「知るかよ!!」」  
 そこにいたのはリトルサイズの少女ではなかった。金髪でツインテール、しかし  
身長の高く、バインバインな胸の美少女であった。  
「いきなり出現した彼女はいったい何者だぁぁ!?」  
「身長も胸も大きい・・・いったい誰なんだ?」  
「金髪でツインテール・・・芳乃さくらが成長したら、あんな感じになるかな・・・・・・」  
「!」  
「!!」  
「ま、まさか・・・あれは・・・アダルトさくら!?」  
「「アダルトさくらぁぁぁぁぁ!!?」」  
 会場がどよめく。  
「し、白河先生!もしかして、魔法でアダルトタッチに・・・?」  
「いや、あれは闘乳呼法だ・・・・・・」  
「闘乳呼法?」  
「そうだ!短い時間ではあるが、バインバインボディになることができる  
 呼吸法だ!!」  
「た、確かに・・・胸は先生より・・・・・・・あだだだ、割れる!割れるぅ!!」  
「せ、先生!アイアンクローは・・・いや、俺は朝倉純一です!  
 何も言って・・・あだだだだ」  
「(闘乳呼法は巨乳ものの技、貧乳ものが使える技ではない!  
 死ぬ気か、芳乃!?)」  
 会場はナイスバディになったさくらを喜ぶもの、ロリロリボディでなくなった  
ことに泣くもの、様々であった。  
 強打を受けた音夢はうめきながら立ち上がった。さくらは音夢を見つつ  
天を指差した。  
「天を指差す芳乃選手、そこには一体何が・・・あぁぁ!!」  
「「あああぁぁ、あれは!!」」  
「「ふ、二人の頭上に!!」」  
「「死兆星が!!」」  
「神にすらこの対決の勝敗は見えぬのか!!」  
「し、白河先生!これは一体!?」  
「この初音島に伝わる言い伝え・・・互角の実力を持つ強者相戦う時、その両者の  
 頭上に死兆星が輝くと!!」  
「さあ、決着をつけよう!音夢ちゃん!!」  
 
 
 さくらの誘いに音夢は応じた。互いのパンチが交差し、相手の顔面を狙う。  
このとき、ヒットしたのはさくらのパンチであった。そして、これを機にさくらの  
攻撃が激化する。  
「今までよくもやってくれたな!と言わんばかりの芳乃選手のラッシュ!!  
 朝倉選手、防戦に手一杯だぁ!!!」  
「アダルトさくらの方が朝倉妹よりもリーチも身長も、そして胸も大きい・・・  
 ここまで認識していたボディイメージとは大幅に異なっている!  
 この食い違い、修正できるかだな」  
「・・・・・・」  
「どうした、朝倉。袋叩きされている妹が心配か?」  
「いや、さくらがな・・・・・・」  
「芳乃さくらがどうかしたのか?」  
「一粒で二度美味しいな・・・と思って」  
 試合はさくらのアダルトチェンジ以降、完全に攻守が入れ替わった。身長も  
リーチも胸も音夢よりも一回り以上大きくなったさくらがその音夢を滅多打ちに  
していたのである。もはや音夢はさくらの猛攻に対して身を守るのが精一杯で、  
なすすべがないように見えた。  
「朝倉選手、ペナルティ1!」  
 防戦に手一杯の音夢が攻撃をしないことで警告を取られた。だが、さくらの  
攻撃に反撃できる隙はなかった。  
「おい・・・こ、これはもしかしたら・・・・・・」  
「ああ・・・芳乃が勝つかもしれんな・・・・・・」  
「二大アイドル、仲良く準決勝で討ち死にか?」  
「「さ・く・ら!さ・く・ら!!」」  
 先ほどまで展開と正反対な様相に会場中はある種の期待感に包まれ始めた。  
「「さ・く・ら!さ・く・ら!!」」  
「「さ・く・ら!さ・く・ら!!」」  
 その期待感はさくらコールに喚起され、盛り上がった。やがて会場はさくらに  
対する声援一色に染まった。  
「朝倉選手、ペナルティ2!」  
「追い詰められたぁ、朝倉音夢!  
 しかし、しかぁし!この猛攻にどう反撃するのかぁ!?」  
 だが、暦は音夢にペナルティを出しながらも奇妙なことに気づいた。音夢はさ  
くらの攻撃に対し、頭部は守っていたがボディはがら空きにしていたのである。  
「(確かに頭部と違って腹部は一撃で倒される可能性は低い。  
 だが、この調子で打たれていたらダメージが蓄積してKOされるのは必定。  
 朝倉音夢は何を考えているんだ・・・)」  
 その疑問に対して緻密な思考能力の持ち主である暦は一つの可能性に  
思い至った。  
「(朝倉音夢は・・・芳乃さくらの"闘乳呼法"の弱点を知っているのではないか・・・  
 それも知識としてではなく、身体で知っている・・・・・・)」  
「(そんなことは有り得るのか・・・・・・いや、有り得る!!)」  
「(変身前のさくらや紫に比べれば大きいかもしれないが、朝倉音夢の胸は  
 決して大きくはない!いや、ことりや水越萌に比べると貧乳といっても  
 差し支えない!!すなわち、それは・・・・・・)」  
「(あの胸では・・・・・・はさめない!!)」  
「(ならば・・・朝倉音夢も試した可能性は十分ある!  
 そして、その弱点も知っている!!)」  
「(だとすると、現在の劣勢は・・・)」  
 暦の思考は会場の歓呼に途切れらされた。  
「ホワイトファング!狼の顎のように上下のアッパーが頭部を震撼!!  
 そしてぇ!!!」  
 ついにさくらの攻撃が音夢の頭部を捉えた。上下のアッパーで挟まれたような  
パンチを食らった音夢の身体はゆっくりと崩れ落ち始めた。その光景に誰もが  
さくらの勝利を確信した、が・・・・・・  
 
 
「音夢選手、崩れ落ちていきます!そして、そのままダウン・・・・・・しません!!」  
 そのまま崩れ倒れ込むかに思えた音夢の身体は、しかし地面に横たわる  
ことなく逆に上に向けて伸び上がった。そして、音夢は伸び上がりざまに  
さくらに左フックのパンチを入れた。  
「ガッ!ガゼルパンチィィィ!!」  
 真っ向にガゼルパンチを受けたさくらがぐらつく。そして、その隙を音夢は  
見逃さない!身体を小刻みに左右に揺らして、リズムを取り、そのまま  
デンプシーロールにつなげた。  
「まだ死んでいない!音夢選手、怒涛の反撃!!  
 今度はまた芳乃選手がサンドバック状態だぁぁぁ!!!」  
 二回、三回、さくらの身体は音夢のリズミカルなパンチに薙ぎ払われる。  
そして、五回目のパンチはさくらの身体を闘技場の床に叩きつけさせた。  
「芳乃選手、ダ〜ウン!!朝倉音夢、見事な逆転劇です!!!」  
 観客らは目の前で起きた惨劇をすぐには理解できず、歓声が上がるのに  
しばらくの時間がかかった。  
「えっ!?では朝倉妹はずっと待っていたということで?」  
「そうだ・・・あの闘乳呼法は巨乳と化し、一時的に強大なパワーを得ることが  
 できる反面、著しく体力を消耗する諸刃の剣なのだ」  
「では、芳乃さくらは体力を自ら削りながら攻撃していたことに・・・・・・・」  
「そうなる。だから芳乃は体力を使い尽くしてしまう前に相手を倒す必要がある。  
 だが、それは芳乃が体力を使い尽くすまでひたすら待ちに徹すればよいと  
 いう意味にもなる。だから朝倉は一撃で意識を断ち切られかねない頭部への  
 防御に重点をおいて、比較的耐えることのできるボディを好きに打たせたのだ」  
「すると、朝倉妹が反撃したということは・・・・・・」  
「芳乃が体力を使い尽くしたということになるな。いや、ホワイトファングの時点で  
 既に体力はなかったと見てもいいだろう、さもなくば朝倉に反撃できるわけ  
 などない」  
 暦の読みどおり、闘技場では元の容姿に戻ったさくらがボロボロになりながらも  
立ち上がろうとしていた。  
「万事休す・・・もはや芳乃に残された力はほとんどない・・・・・・試合終了だな」  
 されど、さくらが立ち上がってしまった以上、暦に試合を止める権限はなかった。  
それゆえ、さくらがギブアップを宣言することを待っていた。だが、この誰の眼にも  
明らかな結末をさくらが決して受け入れることはないことを彼女は、いや会場の  
誰もが予想していなかった・・・ただ二人を除いて・・・・・・  
「(眞子とかことりだったら試合終了だけど・・・・・・  
 音夢を相手にさくらは決して降伏しないだろうなぁ〜)」  
 さくらがギブアップを宣言せずにファイティングポーズを取ったことに観客らは  
全て−暦や杉並を含めて驚いた。ただ朝倉兄妹だけが行動を予測できていた。  
「(立ちはしたけど勝負はもう決している・・・  
 だから可及的速やかに勝負をきめるんだぞ、音夢・・・・・・  
 そして、俺を楽しませろ・・・・・・)」  
 妹は兄の考えていることが理解でき、そしてそのとおり実行しようとしていた。  
「(さくらちゃん・・・可及的速やかに決着をつけてあげる・・・・・・)」  
 
 
ゆらゆらと足元のおぼつかないさくらに音夢は襲い掛かった。突進してくる音夢に  
合わせたカウンターはタイミングそのものは的確であったが、スピードとパワーは  
見る影もなく失われていた。  
「音夢選手、芳乃選手のカウンターを潜り抜けて背後をとったァァァ!!!」  
 さくらの背後に回った音夢は、平手でさくらの尻をスパンキングする。  
「ヒィヤァァァァァァァ!!!」  
 会場に大きな音を響かせながら、目にも留まらぬ速度で執行されるスパンキングに  
さくらは悲鳴を上げる。  
「見えません!手がまったく見えません!!  
 まさに音速の尻たたき、マッハ・スパンキングです!!!」  
「あの技は"水銀の鞭"!!」  
「せっ、先生!それはいったい・・・?」  
「手首を巧みにしならせて高速度で動かすことにより、あたかも鞭で打たれたかの  
 ような衝撃を当たったところに与える脅威の技・・・その威力は高速にして苛烈!」  
「うっ・・・では今のさくら選手はムチで尻を叩かれているような・・・・・・」  
「そうだ!」  
「しかし・・・朝倉妹はいったい、どこからそんな技を・・・・・・」  
「私もよくは知らんのだが、この初音島には"水銀の鞭"を応用して使う一派があると  
 聞いたことがある。確か、あ・・・・・・!・・・朝倉、もしかして・・・・・・」  
「いや・・・俺は教えていない・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「もしかしたら、身体で覚えて知ったのかもしれん・・・・・・」  
「ちょっ・・・あ、あさくら・・・・・・」  
「あっ!音夢選手、芳乃選手を押さえつけたぁ!そして・・・・・・」  
 音夢の熾烈な"水銀の鞭"によって裂けたスク水の臀部の部分から剥き出しに  
なったさくらの尻は真っ赤に腫れ上がった。音夢はさらに痛みに耐えるさくらを  
仰向けにして地面に押し付けた。  
「くっ・・・・・・!」  
 音夢は巧みにさくらの手をホールドし、動かせなくしていた。さくらは押さえつけよう  
とする音夢から離れようと暴れたががっちりと固められ、それを果たすことは  
できなかった。  
「しかし、この大会にフォールルールはありません!  
 ここからどうするつもりなんでしょうか!?」  
 音夢は暴れるさくらの力を利用し、背後からさくらは羽交い絞めにする体勢に  
変換した。脇や上腕などを利用して、さくらの手を拘束しなおした。そしてフリーに  
なった手の部分を音夢はさくらの胸に延ばした。  
「ヒッ・・・!!」  
「芳乃選手の胸に手を持っていった音夢選手・・・これから何をしようというのか!?」  
「失礼な物言いだが、さくら選手のバストでは・・・・・・」  
「可能だよ・・・」  
「!」  
「!!」  
「"水銀の鞭"が使えるくらいしなやかな手ならば、平らな胸であっても揉むことが  
 可能となる。そして"酸素"を武器にできるくらいの上級者になると"みづき"の胸を  
 あたかも"みずき"のそれに匹敵するボリューム感で揉みしだくことが可能になる」  
「あ・・・朝倉、おまえ・・・・・・」  
「それくらい出来なければ、和泉子の胸はもめん」  
 音夢はさくらの胸に手を当てて、揉み、握り、押し付け、また揉んだ。  
「ヒィアッ!ヒギッ!!」  
「さくらちゃん、サイズはちっちゃいけど感度は歳相応なのね」  
「ち・・・違うよ・・・!!」  
「うそつき・・・」  
「ヒャグゥ!!」  
 音夢はさくらの乳首をひねる。その痛みはさくらをして悲鳴をあげさせる。  
 手技により抵抗が沈黙化していくさくらに音夢は攻撃を第二フェーズに  
移行させた。  
 
 
「あぁっ!」  
「「おおっ!!!」」  
 音夢は右手をさくらの胸から離した。そのときにさくらのスク水の右胸の部分を  
引き裂いた。露にされたさくらのちっちゃな乳房に観客らは驚嘆の声を上げる。  
この瞬間、音夢vsさくらの試合のDVDの予約申し込みが殺到した。  
 さくらは音夢の右手が離された瞬間、再度抵抗したが果たせなかった。音夢は  
露にしたさくらの乳房を口に含み、吸い付いて、その小さな乳首を下で転がした。  
「ひゃうっ!あぁ・・・ひゃ!!」  
 さくらは左の乳房を音夢の手で揉まれ、右の乳房を吸い付かれ喘いだ。音夢は  
それに満足せず、攻撃をさらに強化した。音夢は空いた右手をさくらのスク水の  
裂けた部分、尻から奥に滑り込ませた。さくらの身体は衝撃で反応する。  
「さくらちゃん、生えてないね」  
「そっ、そんなこと・・・」  
「だって、ないもの・・・・・・」  
 音夢は潜り込ませた右手をさくらのスク水の下で左右に動かした。その形は  
くっきりと明らかにわかった。  
「おおっ!やはりというか、意外というべきかぁ!  
 芳乃さくら、生えていません!!」  
 実況の声にさくらは羞恥と怒りで赤く染まった。だが、音夢はそんなことで  
怯まずに攻撃をさらに加速する。  
 音夢は人差し指と中指でさくらのクリトリスを攻撃した。さくらはたまらず、  
声を上げる。  
「いやらしい子だね、さくらちゃんは。みんな見てるのに声あげちゃって・・・・・・」  
「そんなこと・・・ひぃん!!」  
「ふふふ、うそつき。じゃあ、これから兄さんのが大丈夫かどうかチェックするから」  
「な・・・なにを・・・・・・」  
 音夢は薬指と小指をさくらの中にいれて、押し広げた。いきなりの攻撃に、  
急激に広げられたさくらは大きく喘いだ。  
「兄さんのはこんなもんじゃないわよ。この程度で痛がっていたら・・・・・・  
 兄さんの相手なんて、無理無理無理ぃぃぃぃぃ!!」  
 もはや、さくらに音夢の言葉に反応する余裕などなかった。揉まれる胸、  
いじられるクリトリス、広げられた陰部、さくらを襲う衝動はこれまで経験した  
ことのないものであった。そして、そんなさくらに音夢は新たな領域を開発  
しようとしていた。  
「兄さんはこっちも守備範囲だから・・・・・・」  
 音夢は親指でさくらのある箇所に触れた。さくらの身体はそれにピクンと  
反応した。さくらがまさかという表情で音夢を見た。  
「正解!」  
 音夢は微笑みながら、さくらの肛門に親指をねじりこんだ。さくらの絶叫が  
会場に響き渡る。  
 
 
「あれは・・・朝倉流フレミングの法則!!」  
「フレミングの法則・・・?」  
「そう!器用な人差し指と中指でクリトリスを弄び、力の指である薬指と小指で  
 膣を拡張させる。そして太い親指を肛門に入れ、開発する・・・・・・  
 一本の手で一気に三つの領域を責める必殺の技だ・・・・・・」  
「そんなことが・・・・・・」  
「それを可能にするのが、"朝倉流フレミングの法則"なのだ!  
 しかし、両手の指に足らぬ経験程度で身にすることができるとは・・・  
 我が妹ながら、恐ろしいヤツだ・・・・・・」  
「・・・・・・後で職員室に来てくれないか、朝倉。  
 いろいろ聞きたいことがあるんだが」  
 音夢の攻撃はさらにテンポアップしていた。この時点で、さくらの身体に  
抵抗する力は残されていなかった。だが、その精神はいまだ屈服をよしとは  
していなかった。  
「(さすがは我が宿敵・・・ならば最後の手段)」  
 今まで音夢自身が兄にやられて耐えることができなかった奥義、それを  
音夢はさくらに対して行おうとしていた。  
「(最終フェーズ移行、ターゲット・ロックオン)」  
 ここまでの攻撃で探り当てたポイント、左右の乳房、クリトリス、膣内、そして  
肛門において、さくらが最も感じる箇所をビンポイントで同時に攻撃する  
究極奥義"五路侵攻"が炸裂した。  
「ふぅあっ!あっ!あぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁあぁあぁぁ!!!」  
 さくらの身体は大きくえびぞり、その喘ぎは絶叫となって観客の耳に届いた。  
そして、さくらは身体から汗や小水に唾液、さまざまな液体が噴出させて  
スク水を湿らせ、その後に意識を失った。  
「勝負あり!勝者、朝倉音夢!!」  
「お漏らしさくら!腹黒音夢の陵辱勝利ぃぃぃぃぃ!!」  
「鎧袖一触!大本命、朝倉音夢の貫録勝ちですね」  
「「ねーむ!ねーむ!ねーむ!!」」  
 音夢は観客の歓呼に右手を突きあげて応えた。その手にはさくらの様々な  
液体で湿り、垂れていた。そして観客らに一礼した後、いまだ身体を小刻みに  
震わせているさくらを一瞥し、闘技場を後にした。  
「決勝戦は、水越眞子 vs 朝倉音夢だぁぁぁ!!」  
 
第二試合勝者 朝倉音夢、決勝進出  

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