「はっ!」  
 先に動いたのは工藤だった。一気に間合いを詰めてお腹目掛けて  
回し蹴り一閃!それを皮一枚で避けた眞子であったが、制服のその  
部分は鋭利な刃物で切られたように裂けていた。追いかけて再度  
工藤は回し蹴りを放つが、眞子は今度はそれを大きく避けた。そして  
後方にバックステップした眞子は口に指を当てて大きく息を吐く。  
高い音と共に生じたかまいたちは工藤の学ランの袖を切り刻む。  
だが、工藤はそれにもめげずに更に突進し、ストレートパンチを放つ。  
「クッ・・・クロスカウンターだぁぁぁぁぁ!!!」  
 眞子は工藤のパンチに合わせてカウンターを放つ。タイミングとして  
同じであったために双方命中したが、それほど大きく踏み込んで  
いなかったために単に当たったという程度で済んだ。  
 二人は後ろに下がり、再度にらみ合った。  
「互角です!まったくの互角です!ここまでの勝負はまさに互角です!!  
 エロイン頂上決戦はその名に相応しい好勝負となってまいりました!!  
 実行委員長、何が勝負の決め手となるでしょうか?」  
「そうだな、どちらがどこまで手の内を曝け出すか・・・になるであろう!  
 この試合がまだ準々決勝であるということが大きなポイントだ」  
「それはどういうことでしょうか?」  
「うむ、勝者は最低でもこのあと2試合を戦わなければならない。  
 だから、できる限り手の内は見せたくはないであろう」  
「切り札はできる限り温存させておきたいということですね」  
「そうだ。だが、温存させ過ぎてこの試合を落としてしまっては元も子もない!  
 だから、できる限りギリギリのところで勝ちたいという訳だ」  
「なるほど・・・その辺のバランスの具合ですね」  
「しかし、ここまで互角だと切り札を出さないと勝ち目はないかもしれないな・・・」  
「あっ!工藤選手、靴を脱いで・・・裸足になった!?」  
 素足になった工藤が再度、眞子に向かって突進をする。しかし今度は眞子も  
反応して、いや機先を制した。  
「工藤出た!しかし、眞子も出ているぅ〜〜〜そして、眞子のショットガンだぁ!!  
 次々と着弾する!工藤サンドバックだぁぁぁぁぁ!!!」  
 一見すると工藤をタコ殴りにしている眞子だが、その背中には冷たいものが  
流れていた。この手ごたえのない感覚・・・最近どこかで味わった感覚・・・・・・  
これは・・・お姉ちゃん!  
 ゾクッとした感覚に囚われた眞子が後ろに下がる・・・その瞬間、工藤が反撃に  
出た。怒涛の攻撃に攻守は完全に一転した。  
「仕掛けたな・・・工藤」  
「どういうことだ、杉並?」  
「朝倉、お前にも分かるように説明しよう。先ほどの眞子の猛攻を工藤は昨日の  
 水越萌のやり方で凌いだ・・・それに悪い予感を感じた眞子に追い討ちを掛ける。  
 つまり防御は柔の水越萌、攻撃は剛の水越眞子・・・男装美少女の持つ二面性を  
 生かした攻防の瞬間的な切替しだ!!」  
 工藤の嵐のようなパンチやキックを懸命に避ける眞子。スピードに勝る眞子は  
何とかそれを上手く避けていたが、ガクンとバランスを崩した。工藤が足の指で  
眞子のスカートを掴んで引っ張っていた。  
「ああっ!眞子選手のスカートが!!」  
 ビリリリィィィと音を立てて、眞子のスカートが裂けてパンツが露になる。だが  
眞子にそれを恥ずかしがっている暇はなかった。立て続けに襲う工藤の攻撃を  
避けなければならなかったからだ。その避ける距離もほとんど至近というものに  
まで追い詰められていた。そして、ボディへの直撃弾という蹴りに対して遂に  
眞子はカードを切った。  
 
 
「はぁっ!!」  
 眞子は大きく強く息を吐いた。そして、その吐いた息を両手で圧縮して工藤の  
太ももを挟む。  
「水越眞子、工藤叶の蹴りを喰らった!しかし・・・しかし!?」  
 工藤の蹴りを喰らった眞子は後ろに弾き飛ばされていた。しかし、工藤は眞子に  
追い討ちを掛けるのではなく、蹴った足をそのままにその場で立ち止まっていた。  
「工藤選手の・・・太ももが露になっているぅ!?」  
 眞子を蹴った足のズボンの部分は裂けてしまい、その足は露にされていた。  
「眞子もカードを出したか」  
「どういうことだ、杉並?」  
「眞子はフルート使い・・・息を使うことができる。  
 つまり、風を操ることができるということだ!」  
「ふんふん」  
「先ほどの技は、その吐いた息を両手で挟んでより圧縮させてコントロール  
 した、いわば小さな竜巻のようなものだ」  
「じゃあ、工藤の足は・・・」  
「それに挟まれて・・・ズボンは裂けて・・・まあ足自体は多少シビレてるぐらいだろう」  
「決定打にはならない・・・」  
「そうだ。つまり双方とも至近距離での戦いは封じられた訳だ」  
「じゃあ、ますます勝負の行方は・・・」  
「判らんな。こうなると・・・どっちが切り札を切るか・・・だな」  
 三度、にらみ合う両者。そして二人は意を決して距離を詰め始めた。  
「どうやら・・・使う気になったらしい」  
 眞子も工藤も双方一気に距離を詰める。そして必殺パンチの打ち合い、に見えた。  
が、それは違っていた。二人とも呪文を唱えており、至近距離からの魔法攻撃を  
敢行してのであった。  
「「うわぁぁぁぁぁ」」  
 だが、この魔法攻撃もまた双方同タイミングで放たれたものであり、決定打には  
ならなかった。その魔法のエネルギーは二人の間で炸裂し、大きな力で二人を  
壁にまで弾き飛ばしたのである。  
「まずいな・・・」  
 杉並が呟く。  
「確かにな。切り札を使っても相手を倒せなかっただけでなく、音夢たちに見られた  
 のだからな」  
「いや、そうじゃない。俺の言ってるのは闘技場のことだ」  
「壊れるのか!?」  
「ああ、但し物理的なものではない。”時空”に関してだ」  
「・・・話が見えないが」  
 純一と杉並の会話を遮るかのように杉並の携帯がなった。  
「大変です、委員長!!」  
「壊れたのか!?」  
「はいっ!いえっ、修復自体はすぐにできたのですが・・・」  
「ですが・・・どうした?」  
「修復中に・・・一匹抜けまして」  
「出てくるのか?」  
「はいっ、残念ですが・・・」  
「一匹だけか・・・とりあえず、試合は続行だ!中止の判断は俺か、白河先生、  
 あるいは理事長が下す!そのように進めろ!!」  
「判りました!」  
 杉並は電話を切った。  
「どうしたんだ、杉並?」  
「ちょっとしたアクシデントだ」  
「どういうことだ!?」  
「さっきの眞子と工藤の魔法エネルギーの衝撃で空間に異常が発生した」  
「だから、どういうことだ?」  
「出てくるんだ・・・」  
「だから、何が?」  
「あれ・・・」  
 杉並が目を向けたあたり、闘技場の真ん中に何やら不思議なゆらぎが発生  
していた。それは瞬く間に大きくなった。そして・・・それが実体化し始めた。  
 
 
 異変に気付いた生徒の一人が慌てる。それに気を取られた他の生徒らも異変に  
気付く。そして、ざわめき出した観客席の様子に対戦中の二人もようやく闘技場に  
起こっている状況に気付いた。  
「これはどういうことなんだ、杉並・・・」  
「それはだな、魔法というものにはエネルギーが必要である」  
「いや、そういう学術的なことを聞いているんじゃないが・・・」  
「まぁ聞け!つまり、この闘技場にはそれだけのエネルギーが一気に集まっている。  
 いわば台風の目みたいなもんだ。で、それだけの負荷に耐えれるような印を  
 組んではいたんだがな・・・実を言うと、白河vs彩珠戦でかなりガタが来てて」  
「修理しろ、修理!」  
「応急の修理はしていたさ。ただ胡ノ宮vs芳乃戦さえ乗り切れば準々決勝の間は  
 持つと思ったからな。昼休みの間に徹底修理する予定だったんだが」  
「間に合わなかった、ということか」  
「うむ、そういうことになる」  
「・・・おい」  
「ツンデレと男装美少女、意外性の戦いだから魔法が使われるとは予想していたが  
 ここまでの威力とは正直予想していなかった。この杉並、一生の不覚!!」  
「お前の存在自体が初音島の不覚だ!で、何が現れるんだ!?」  
「こういう場合、以前に実体を持ったものの影響が残っているからその姿を取るものと  
 考えられる」  
「以前に実体の持ったもの?」  
「今日の試合をよく思い出せ・・・」  
 その話の最中に、闘技場から名状しがたい鳴き声が響いてきた。  
「こっ・・・これは、淫獣ぅぅぅぅぅ!????」  
 途端に会場中がパニックになる。生徒たちは出入り口に向かって逃げ出そうと  
していた。  
「どうするんだ!杉並!!」  
「大丈夫だ、朝倉。ちゃんと対策は考えてある」  
 杉並は放送席のマイクを取った。  
「試合を観戦中の生徒諸君!この淫獣は先ほどの魔法の衝撃により次元の  
 裂け目からさまよい出たものと考えられる。これは戦いの影響によるものと  
 判断し、試合を続行する。なお次元の裂け目自体は既に塞がっており、  
 また闘技場と観客席の間の結界は頑強なものであり、淫獣ごときで破られる  
 ことはない!観客諸氏には試合を存分に楽しんでいただきたい!!」  
 杉並の言葉に観客らは冷静さを取り戻した。  
「そうだな、ビームキャノンの直撃も耐えたのだし・・・案外大丈夫かもな」  
「そういやそうだな!」  
 観客らは元の席にゾロゾロと戻り始めた。  
「なお、先ほども述べたようにこの淫獣は戦闘の結果生じたものであり、  
 試合終了まで実行委員会ならびに審判団は干渉することはしない!  
 また、淫獣を倒したからといって勝ちになることはない!  
 されど、たとえ淫獣によるものでも試合の継続不能状態になれば直ちに  
 負けとする!!」  
「というと・・・淫獣は倒されるか試合が終わるまでいるんか?」  
「そう」  
「淫獣を倒しても試合は終わりじゃない?」  
「そう」  
「淫獣に剥かれたら、負け?」  
「そうだ。敗北条件に変わりはない!」  
 杉並の言葉に会場は沸き立った。  
「「GJ!GJ!杉並!!」」  
 
 
「驚きました!淫獣の乱入により、試合は水越vs工藤vs淫獣の三つ巴だぁ!!」  
 闘技場の内部では眞子と工藤と淫獣が睨みあっていた。いや、淫獣が品定めを  
していた。  
「杉並・・・なんで膠着してるんだ?」  
「それはだな・・・朝倉よ、お前だったら水越眞子と工藤叶のどっちから先に襲う?」  
「う〜〜〜ん・・・迷うな」  
「だろうな、それと同じだ・・・双方、甲乙付けがたい美少女だ、どっちから先に行くか。  
 淫獣先生も大いに迷っておられているご様子だ」  
 やがて、意を決したかのように淫獣は動き始め、三すくみともいえる三者の微妙な  
バランスは崩れた。  
「淫獣が動いたぁ!狙いは・・・両方だぁぁぁぁぁ!!」  
 淫獣の触手が眞子と工藤、それぞれを襲い始めた。  
「淫獣のダブルヘッダーかな・・・」  
「たぁぁぁ!!」  
 工藤が淫獣の触手を殴る。殴られた触手は一旦、地面に叩きつけられるがすぐに  
回復して工藤に襲い掛かる。  
「実行委員長、淫獣の特徴をお願いいたします!」  
「うむ。まず、あの触手を見てくれ!あの触手は軟体のものであり、殴っても効果は  
 薄い!」  
「なるほど・・・では、手の打ちようがないということですか?」  
「いや、そうではない。斬撃系、すなわち斬る攻撃はかなり有効だ。眞子の方を  
 見てみろ」  
 眞子は壁に背をつけて、吐いた息でかまいたちを発生させて近づいてくる触手を  
ズバズバ斬っていた。眞子の善戦ぶりを見たかどうかは不明ではあるが、工藤の  
方も手足を斬撃技に切り替えて、触手に対処し始めた。  
「確かに効果がありますね・・・」  
「もっとも一番効果があるのは魔法なんだが、あの二人は魔法系ではないからな」  
「では、これからの展開はどのようになると予測されますか?」  
「そうだな、一番不利なのは・・・」  
「不利なのは!?」  
「工藤だな」  
「それはどういうことで?」  
「現在の状態は三つ巴ではなく、眞子vs淫獣と工藤vs淫獣になっている。淫獣に  
 対しては打撃系の技はさほど有効ではない。だが工藤の得意とするのはその  
 打撃系の方だ」  
「しかし見てる限りでは斬撃系の技を使っていますが」  
「使っているさ。だが鍛えられた肺活量を元に呼気でかまいたちを作る眞子の方は  
 斬撃する数はかなり多いが、手足の振りで斬る工藤は4つ・・・いや、軸となる部分が  
 いるからせいぜい2〜3個しか対応できない」  
「はい」  
「しかも眞子は手足を拘束されても反撃できるが、工藤は手足を一本絡め取られる  
 だけで戦闘力が大きく損なわれてしまう」  
「・・・ということは?」  
「工藤は・・・捕まったら終わりだ」  
「うわぁぁぁ!!」  
 闘技場で悲鳴が上がる。そこには触手によって足を取られた工藤が転倒している  
姿が。  
 
 
 手足の斬撃で襲い来る触手を切断していたが、その数の多さに対応しきれずに  
後退したもののそこに待ち受けていた触手に右足を巻き取られたのであった。  
「くっ!」  
 工藤は手刀で巻きついた触手を切断しようとした。だが工藤の斬撃は振りかぶら  
ねばならず、そのモーションは大きかった。そして、その動きは誰の眼にも、  
淫獣の眼にも明らかであった。  
「わっ!!!」  
 淫獣は工藤の足を引いた。そして逆さになった工藤を大きく振り回した。  
「あぁぁぁ!」  
 砲丸投げの砲丸のように遠心力をつけられ振り回される工藤。その悲鳴は  
会場内に響き渡った。  
「・・・うぅぅぅ」  
 その回転が終了したとき、工藤は目を回してぐったりとしていた。だが、淫獣の  
攻撃はまだやむことはなかった、いや、むしろこれからが本番であった。  
「・・・えっ?な、何を!?」  
 淫獣は工藤の左足に触手を巻きつけ、足を開かせようとする。当然、工藤は  
抵抗するがその手もまた淫獣の触手が絡みつく。淫獣は工藤の手足を広げる。  
工藤は逆さにされて、手足を開かされた。  
「淫獣が工藤を逆さ磔だぁ!!」  
「「おおっ!!!」」  
「くっ・・・!」  
 まだ目まいが残っていたが工藤は僅かに許された胴体を左右に振って何とか  
淫獣の支配を逃れようとした。そんな抵抗など全くの無意味であった。  
「なっ・・・何・・・」  
 逆さに固定された工藤の周りで淫獣はその触手をムチのようにしならせた。  
その空を切る音が高く響き渡り、工藤に不安を観客らに期待を与えていた。  
「やっ・・・やだ、やめて・・・」  
 ヒュンヒュンと触手の唸る音が高まり、もうすぐ次の瞬間に起こることを予感させた。  
「イッツァ、ショータイーム!!!」  
 実況の叫びに応じたのか、淫獣は触手を工藤に対してふるい始めた。  
 
 
パンッ!  
 淫獣の触手が工藤の太ももに命中する。ズボンは裂け、工藤は悲鳴を挙げ、  
その肌にはムチの痕が残った。観客席は静まり返った。  
「はぁぁぁ・・・」  
 色っぽく呻く工藤。その声が終わらないうちに淫獣は次の攻撃に移った。  
パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!  
 淫獣のムチが工藤を襲う。嵐のような連打に工藤は悲鳴を上げ、制服は  
引き裂かれ、その肌にはムチの痕がくっきりと残った。  
「痛い!や・・・やめっ・・・あああぁぁあぁぁ!!!」  
 手足を触手によって取られている工藤にムチから身を護る術などなかった。  
炸裂するムチの威力は彼女から抵抗する力を確実に削いでいった。  
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」  
 ムチの攻撃が終わり、工藤は完全に打ちのめされていた。手や足はかなりの  
ダメージを負い、制服はボロボロに裂けていた。  
「あっ!な、何を!?」  
 淫獣の触手はボロボロになった工藤の制服を引きちぎり始めた。工藤は  
手足を拘束されているために、それに対して有効な防衛など無理な話だった。  
「やっ、やめろ!この・・・変態!!」  
 淫獣は工藤にとって唯一の抵抗手段である悪態など物ともせず、淫獣は  
制服を引きちぎり続けた。学ランが、ズボンが、そしてYシャツが順次ボロキレに  
化していく。やがて制服を完全に引き裂かれ、工藤は下着姿を露にされた。  
胸は男装を行うためにサラシがきつく結ばれ、パンツは純白でワンポイントの  
赤いリボンのついた勝負パンツを身につけていた。  
「「おおっ!!!」」  
「工藤叶の下着姿だぁぁ!こいつはキレイだぞぉ!!」  
 男装美少女、男物の制服に身を包み、体育は見学が多くて水泳などもっての  
ほかだった工藤の身体を眼にした者はほとんどいなかった。いや、凹凸は少ないが  
均整の取れたプロポーションの工藤のボディを目にするのは今回が初めてで  
あった。そして、この試合で全てを曝け出した工藤のボディは誰も目にしたことが  
ないものから誰もが目にしたことがあるものに変わる。  
「淫獣の触手が・・・工藤のサラシに向かったぁ!!」  
 淫獣の触手は打ちのめされ怯える工藤に向かい、そのサラシに手をかけた。  
「ああっ!!!」  
「「うぉぉぉっっっ」」  
 淫獣の触手は工藤のサラシを引きちぎった。その瞬間、工藤の悲鳴と観客らの  
歓声が交じり合った。  
「お・・・おっぱいだぁ!工藤叶のおっぱいだぁぁぁ!!!」  
 サラシを引き裂かれたことにより工藤の胸は露にされた。押さえつけられた故に  
小ぶりな、しかしながら整った形の工藤のおっぱいに観客らは大喜びであった。  
そのきれいな穢れを知らないピンクの乳首は淫獣の魔の手に怯え、ピクピク  
震えていた。  
 
 
「ひぃっ・・・!」  
 工藤は小さく悲鳴を上げた。彼女の目の前には吸盤のような触手が2本現れた。  
それがどこに向かうかは容易に想像ができた。  
「あうっ!・・・ひゃっ!!」  
 吸盤から逃れようとした工藤の背中にムチが襲う。その威力に弾かれた工藤を  
触手は待ち構え、その小ぶりな乳房に覆いかぶさった。吸いつかれ、しゃぶられる  
工藤のおっぱい。されど、大変なのは彼女のおっぱいではなくお尻のほうであった。  
「痛い!!」  
 淫獣は工藤のお尻を叩く。悲鳴を上げる工藤にまた一回。そのお尻を叩く音は  
会場内に響き渡った。  
「またララパルーザだ!!」  
 触手のお尻を叩く速度を増し、その音と工藤の悲鳴は高く大きくなる。観客らは  
その音に合わせて足を踏み鳴らし、リズムを取る。  
「はうっ!あっ!痛い!やっ・・・やめっ!!」  
「「淫獣!淫獣!淫獣!」」  
 やがて淫獣は工藤の尻のスパンキングを止める。それに伴い、徐々に静まり  
返っていく観客たち。彼らは次に何が起こるか固唾を飲んで待ち構えていた。  
 スパンキングによってパンツのお尻の部分は引き裂かれ、露にされた工藤の  
尻はサルのように赤く腫れ上がっていた。  
「いはぅっ!!」  
 淫獣は工藤の腫れ上がったお尻の双丘を触手により押し広げた。ムチで叩かれ、  
腫れた部分を強く触られたことに工藤は悲鳴を上げたが、彼女の目に映った光景は  
悲鳴すら上げることができなかった。それは闘技場のモニターに映し出された  
彼女の・・・肛門であった。  
「あっ・・・あっ・・・・・・」  
 モニターには淫獣により囚われている工藤の姿と、淫獣によって露にされた両の  
乳房、肛門、そして呆然とモニターを見やる彼女の顔が映し出されていた。モニターに  
映る自らの醜態に彼女の顔は羞恥に歪んだ。もっとも彼女を追い詰めたのは  
モニター上の肛門の映像であり、くっりきと皺まで映りこんだ彼女の肛門は恥辱に  
ヒクヒクと引きつっていた。  
「おい・・・いくらなんでもこれはマズイだろ・・・」  
「うん・・・でもルール上はどうなってるんだろうか」  
「やっぱり、中止かな・・・」  
「え〜おれ、もっと見たいよ!」  
 試合中断を危ぶむ観客らに実行委員長である杉並は再度マイクを取った。  
 
 
「観客のみなさんにご説明いたします。教育的配慮は陰部が露にされる、あるいは  
 されそうになったときに適用するようにルールブックに記載されています。  
 しかし・・・しかし肛門に関しては適用対象として考察はしておりませんでした。  
 これは実行委員長たるこの杉並の不徳のいたす限りです。この件に関しましては  
 至急検討したうえでルールの改正を図りたいと思います。  
 されど・・・されど一旦ゴングが鳴らされ開始された試合の途中でルールを変更する  
 ことは出場選手全員に対して不公平になりますので・・・・・・  
 この試合に関しては旧ルールのままで遂行いたします。  
 すなわち!肛門は教育的配慮の対象外とします!!」  
 杉並の見解に会場は沸き立った。  
「「いいぞ!杉並!!」」  
「「最高だぁ〜〜〜!!!」」  
 杉並の見解はなおも続く。  
「なお!この時点で工藤がギブアップした場合、試合は直ちに終了する!!」  
 この発言に会場は一気に静まり返った。誰もが工藤のギブアップを予測していた。  
だが、彼女の返答は彼らの予想を裏切った。  
「ギ・・・ギブアップしません!!」  
 観客らは歓喜の声を上げた。  
「「いいぞ!工藤!!」」  
「「かっこいい!!」」  
 工藤に事態を打開できる手段などなかった。彼女の目の隅には淫獣の触手と戦い、  
防戦し続ける眞子の姿があった。もし仮に、ここで眞子が淫獣に囚われたところで  
工藤を放置するとは思えず、その場合でも先に負けるのは工藤叶の方であることは  
彼女自身理解していた。  
 工藤は淫獣に何をされるか全く予想できなかったが、ただ悲惨な目にあうことだけは  
理解できていた。だが彼女はそれでもなお降伏しないのには理由があった。  
「理事長、試合を決着させた方がいいのでは?お孫さんの敗北はもはや揺るがし  
 難い事実に思えるのですが・・・」  
「おそらく・・・叶の敗北は間違いないでしょうね」  
「では、なぜ?」  
「工藤家では跪いて許しを乞うのは最大の屈辱です。それをするくらいなら穢され  
 堕ちていくことを選択します。それが"工藤の女"の宿命です!」  
 闘技場では淫獣が工藤の眼前で触手を見せびらかせていた。そのグロテスクな  
触手に工藤は怯えさせた。しかし、彼女が本当に恐れるのはここで降伏することで  
あった。ここで降伏すれば凌辱はここで終わるだろう、だがそれをすればおそらく  
彼女は工藤の家を追い出されてどこか遠くに転校させられるに違いなかった。  
そして、それは彼女の愛する朝倉純一との別れに繋がるのである。  
「(わたしは・・・まだ負けない・・・・・・)」  
 工藤は唇を噛んで、これからの凌辱劇を耐えようとした。淫獣はそんな工藤の  
覚悟を見越したかのように彼女の肛門に襲い掛かった。  
 
 
「淫獣の攻撃が始まったぁ!さあ、工藤選手はどう防戦するのかぁ!?」  
「ひゃうっ!」  
 淫獣はいきなりの挿入はしなかった。工藤の肛門のひだを触手の先端で  
ゆっくりと舐めまわした。そのか細い先端は工藤の肛門に絶妙な刺激を  
与えて猥らな悲鳴をあげさせ、生徒らをして工藤叶の身体について珍奇な  
疑いをかけさせた。  
「おいっ・・・よがってるぜ、工藤のヤツ」  
「まさか・・・お尻だぞ、おい?」  
「もしかして、肛門が性感帯!?」  
「ひゃうっ・・・はぁぁっ・・・くうわぅっ!」  
 淫獣は触手で工藤の肛門を責めるだけではなかった。吸盤状の触手は  
工藤のおっぱいに吸い付き、しゃぶり、舐め、揉みしだき、小さな触手は  
工藤の身体の各所にくっついて、微弱な電流で彼女の身体のポイントを  
チェックしていた。工藤叶は淫獣によって解析されている最中である。  
「あっ・・・!」  
 工藤の肛門に淫獣の触手が当たる。その太さは大人の指程度であった。  
工藤は恐れていた瞬間がまもなく訪れようとしていることを悟った。  
「あっ・・・あっ・・・」  
 淫獣は工藤の肛門の周辺に触れ回りながら、的確な入射角を図っていた。  
その行為は工藤に恐怖を与えるのに十分であった。そして、ついに触手は  
怯える工藤の肛門に突撃を仕掛けた。触手はズブリと工藤の肛門に  
突き刺さった。そのあまりの痛みに工藤は仰け反り、悲鳴を上げた。  
「あぁぁぁぁーーーーーーーー!!!」  
「入ったァ!!工藤の肛門にインサート!!!」  
 実況の絶叫とともに観客らは大歓声を上げる。  
「いいぞぉ!淫獣!!」  
「工藤、今度肛門に入れてやるからなぁ!!」  
 淫獣はなおも工藤の肛門に己が触手を押し込もうとしていた。だが工藤は  
ねぶられる乳房など身体中を開発されながらもこれに抵抗、痛みを堪え  
つつも肛門に力を入れてそれ以上の進入を阻止しようとした。触手が根元に  
行くに従って太くなっていくこともあって、工藤の肛門を巡る攻防は一進一退の  
膠着状況に陥った。  
「くっ・・・くぅっ・・・・・・」  
「懸命に堪える工藤叶!お聞きください、この大歓声!!」  
 淫獣と工藤の死闘に観客らは惜しみない歓声を送った。  
「「がんばれ、がんばれ、淫獣!!」」  
「「イケイケ工藤〜!イッチャエ、イッチャエ、叶!!」」  
「おらおら手ぇ抜いてんじゃねぇぞ、淫獣!!」  
「あきらめろ〜工藤〜さっさと入れられろォ!!」  
「「ア・ナ・ル!ア・ナ・ル!工藤の、工藤の、ア・ナ・ル!!」」  
 好奇の目に晒され、羞恥に身体を染めながらも肛門への進入を拒む工藤。  
そんな工藤の懸命の抵抗に手を焼いた淫獣は策を変えた。  
 
 
「ふぇっ・・・?ひぃぎぃぃぃぃ!!!」  
「あっ!押してダメなら引いてみな!淫獣が動いたァァ!!」  
 淫獣は今まで工藤の肛門に侵入し、押し込んでいた触手を急な動きで引き  
始め、その予期せぬ動きに工藤の肛門は対処することができなかった。急激に  
引かれる触手は、その外殻によって工藤の肛門と直腸に摩擦の刺激を与える。  
その刺激は工藤の肛門括約筋を混乱させた。その一瞬は淫獣にとって、  
工藤の肛門の防衛を打ち砕くのに十分であった。  
「あがっ!ひぐっ!ふぅあああ・・・痛い!う・・・動かさないで!!」  
 抜かれるかに思えた触手は工藤の肛門のあたりで留まり、再度侵入を開始  
する。そしてまた引かれ、押し込まれる。触手のこの急激な押し引きはピストン  
運動となり、工藤の肛門括約筋の抵抗を麻痺させた。  
「あはっ!ふぐぅ・・・ひぃん!!」  
 触手のピストン運動は速度と力を増していった。だが押し込まれるたびに  
触手はより深く工藤の体内に侵入していった。そして、その運動が終わった  
ときには淫獣の触手は工藤の肛門に深々と差し込まれていた。  
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」  
 淫獣の苛烈な攻撃によって息もたえだえな工藤。疲れたのか、淫獣も工藤も  
動きを止め、観客らは次に何が起こるかを期待して見守っていた。  
 
 
「しかし、淫獣もマニアックですね〜お尻からとは・・・」  
「いや!そうではない!!」  
「えっ?どういうことですか、実行委員長!?」  
「それは工藤が手ごわい相手だったということだ」  
「それが肛門とどういう関係があるんだ、杉並?」  
「朝倉よ、教えよう!観客の皆様も聞いていただきたい」  
「大仰だな・・・」  
「生物界には獲物を捕まえるのに毒を使う種類が存在する」  
「えっ?ええ、いますね」  
「ああ、いるわな・・・」  
「それらは獲物を動けなくするために毒を使っている」  
「で・・・それが、肛門にどう関係がある?」  
「まあ待て。その毒を獲物に注ぐために蛇とか蠍は牙や針で相手の体内に  
 注ぎ込む」  
「はい、そうですね」  
「淫獣は工藤に毒を注入したいとする。人間は虫や小動物と違って身体が  
 大きい。牙や針で注ぎ込むのは少量だし、効くまでに時間がかかる。  
 だが大きい針なんかで刺すのはかなり困難だ。その場合どうする、朝倉?」  
「毒を・・・飲ませる?」  
「毒にせよ、薬にせよ、口から飲んだものが吸収されるには腸までいかないと  
 ダメだ。それでは時間がかかりすぎる」  
「では、どこから?」  
「肛門だ。肛門の前は大腸で水分を吸収する役割があり、その周辺には血管が  
 ある。手っ取り早く薬を効かせたいならそこから入れるという手がある。  
 坐薬がすぐ効くのはそのためだ」  
「ああ、なるほど!だから・・・」  
「ちょっと待て!朝倉!!」  
「なんだ?」  
「もう、いいぞ。だから、何だ?」  
「音夢が坐薬好きなのは、そのためかな・・・と」  
「ちなみに、挿入は・・・?」  
「俺だが。たまに勢い余って・・・だから俺も音夢もアナルプレイに抵抗はない!」  
「お前が朝倉妹とどう爛れようと勝手だが、発言には気をつけろ。マイクを  
 切らなかったら観客に殺されるところだぞ」  
「あっ、悪りぃ・・・ところで・・・まずいんじゃないか、工藤は!?」  
「あぁ、まずいな・・・工藤にとっては」  
「毒物なんだろ!命に関わるんじゃねぇか!!」  
「いや・・・毒物と言ってもアッチ系だ・・・・・・  
 あそこを見ろ!あの卵大の膨らみを!あれが淫媚殻だ!!」  
「淫媚殻・・・?」  
「そうだ!あれが工藤の肛門から入って直腸に吸収される!!」  
「されると・・・どうなる?」  
「工藤は・・・開発される!!」  
「「開発!!」」  
 杉並の説明に会場はどよめいた。それはまもなく歓呼のコールに変わる。  
 
 
「「開発!開発!開発!!」」  
 杉並の説明は工藤にも聞こえていた。それは彼女にまもなく訪れる惨劇を  
意味していた。  
「(あ・・・あれが私の中に・・・・・・)」  
 触手の根元にある卵大の膨らみは彼女に恐怖を与えた。  
「さぁ、工藤選手!ギブアップするか!?」  
 実行委員長の杉並の問いかけに工藤の戦意はくじけかけた。降伏を宣言しよう  
と思いかけたとき、彼女は朝倉純一の方を見た。  
「が・・・ん・・・ば・・・れ・・・」  
 工藤は親指を突きたてた純一の唇の動きを読んだ。それに勇気付けられた  
彼女は杉並の問いかけに大きく首を振った。  
「「いいぞー、工藤!!」」  
 観客らは工藤の勇気を称え、歓呼で応えた。そして、淫獣もまた応えるかのように  
淫媚殻を工藤に差し向ける。  
「いいのか、朝倉?」  
「ああ、いいさ。和泉子と同じになるだけだろ。この試合が終わったら、すぐに  
 対応するから準備しといてくれ。そうだ、和泉子も呼んでおいてくれ。  
 新しい・・・肉奴隷の仲間を紹介したいから」  
「鬼畜だな・・・朝倉」  
 淫媚殻は肛門に差し込まれた触手の中を通って工藤の体内に侵入しようとする。  
工藤の肛門を巡る戦いの第2ラウンドである。  
 
 
「あっあぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁっ!!!」  
 工藤は淫媚殻の体内への侵入を拒んだ、しかしそれは一度突破された  
防壁にとって過大な役割であった。  
「痛い・・・痛い!裂ける!裂けちゃうっ!!」  
ニチニチニチニチ・・・  
 卵大の大きさの淫媚殻は工藤の肛門を押し広げて体内への侵入を図る。  
「拡げられています!工藤の肛門が拡張されている様子が手に取るように  
 分かります!!」  
「まずいですねぇ・・・このままでは痔になりますよ〜」  
「いや、心配はない。あれを見よ!」  
 毛先のような細い触手が数本、工藤の肛門に向かっていた。  
「ひゃぁっ!!!」  
 その触手は工藤の肛門の周辺を撫でる。工藤はたまらず声を上げる。  
ズズッ!!!  
「あぁーーーーーーーーーっ!!!」  
 触手が肛門を撫でると淫媚殻はほんの数ミリ歩みを進める。  
「あれは・・・?」  
「あの触手の先端から何らかの液が出ている。触手が工藤の肛門を撫でた  
 ときにそれが塗られる。そうすると工藤の肛門がほんの僅かだが緩む」  
「なるほど!」  
「それだけではない!その液には催淫効果がある!!  
 よって・・・あの淫媚殻が工藤の体内に入った暁には!!」  
「暁には!?」  
「工藤の肛門は開発されることになる!すなわち一粒で二度美味しい!!」  
「「うぉぉぉぉぉ!!!」」  
 歓声を上げる観客らとは裏腹に工藤は必死の防戦を強いられていた。  
肛門を撫でられ、押し広げられ、体内に押し込まれていく物体・・・だが徐々に  
ではあるが、痛みと同時に別の感覚が彼女に襲いかかろうとしていた。  
「ひゃあぁっ!」  
 工藤の上げる悲鳴に別のものが入り混じろうとしていた。  
 一方、淫獣もただ肛門だけを攻撃していたわけではなかった。その抵抗を  
弱めようとする試みを工藤のボディに対して行っていた。いやらしい音を  
立てて吸っているおっぱいもそうであるが、それ以外の攻撃も行っていた。  
「そして!工藤の手足を見よ!!」  
 そう叫んだ杉並は工藤を指差す。工藤の手足には薔薇の茎のようなものが  
巻きついており、その棘は工藤の肌を突き刺していた。  
 
 
「あっ・・・あれは?」  
「あれは薔薇縄だ!あの薔薇の茎に見える部分の中には同様に催淫効果の  
 ある物体が詰っている。そしてあの棘は対象者の身体のポイントに当たって  
 いる。すなわちあの物体は工藤の身体に巻きついて肌を刺すことにより、  
 液を注入し、その反応を引き出そうとしているのだ!!  
 おっ、ちょうどいい!よく見よ!!」  
 淫獣は工藤の太ももに薔薇縄を巻きつける。その棘が肌を刺した瞬間、  
悲鳴こそ上げなかったが工藤の身体はビクッと反応していた。  
「あの薔薇の棘のあるところが工藤のポイントだ!  
 工藤は今まさに!いやらしく改造されている最中である!!」  
「「淫獣!淫獣!淫獣!」」  
 会場は淫獣を賞賛し、工藤のポイントを覚えようと躍起になった。  
「それにしても・・・全身を開発する気なのか?隙のない仕事をする・・・」  
 杉並の呟きどおり、淫獣は工藤の身体にくまなく薔薇の茎を巻きつけていた。  
手首から前腕、二の腕へ。足首からふくらはぎを越え、太ももに。手足を  
巻きつけ終えると今度は工藤の首とお腹に、そしてそのさして大きくない胸を  
強調するかのごとく胸を緊縛し終えたとき、肛門の攻防戦はクライマックスを  
迎えていた。  
「ダ・・・ダメェェェェェェェェェェェェ!!!」  
 卵の形をした淫媚殻の最も太い箇所が工藤の肛門を通過しようとしていた。  
その激痛とそして同じくらいの衝撃で襲いくる快楽に工藤は絶叫した。  
「ひぃあああァあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁああぁ!!!」  
 最も太いところを越えた淫媚殻はスルリと工藤の体内に侵入し終えた。その  
通過した瞬間の激痛と快楽に工藤は意識を失った。  
「「あ〜あ」」  
 会場は失望に包まれた。失神は戦闘続行不能として試合を終わらせるからだ。  
だが、淫獣はそんな会場の失望に応えた。  
「ぴぎぃ!!!」  
 すさまじい叫びを上げて工藤の意識は回復した。淫獣は工藤に強烈な刺激を  
与え、その意識を無理矢理回復させたのである。実況は審判団長の暦の方を  
見る。暦は"終わりか"と問いかける顔の実況に首を振った。意識が戻り、試合が  
可能になった以上、試合の終了は宣告できなかった。  
「続行です!試合は続行です!!」  
 実況の声に会場は割れんばかりの拍手と歓声を上げた。  
「気絶するのも許さじと!淫獣の見事な手腕です!!」  
「「GJ!淫獣!!GJ!淫獣!!」」  
「工藤叶完全開発計画、いまここに発動だぁぁぁ!!」  
「「い〜いけいけ淫獣!がんばれがんばれ淫獣!!」」  
 意識を戻したとはいえ、まだ完全には回復しきっていない工藤にとって会場が  
何を騒いでいるかまったくわかっていなかった。この瞬間の工藤の知覚感覚は  
直腸の巨大な異物感と朝倉純一の姿にだけに集約されていた。  
「最後まで・・・見届ける。だから・・・・・・」  
 唇の動きから純一の言ったことを知った工藤は最後まで戦う決心をした。  
「(最後まで・・・がんばるから・・・・・・)」  
 そんな工藤の決意を嘲笑うかのように淫獣の次なる攻撃が開始された。  
 
 
「つっ、冷たい!!」  
 淫獣は工藤の体内で淫媚殻を押しつぶした。殻の中に入っていた液体が漏れ、  
工藤の直腸に充満した。  
「あふぁっ・・・しっ・・・沁みる!!!」  
 その冷たさに工藤は暴れたが触手によって手足を引っ張られてたちまちのうちに  
押さえ込まれた。その液体は強烈な刺激を持って工藤の腸から吸収され体内に  
循環し始めた。  
「終わったな・・・奇跡でも起こって眞子が負けたとしても、工藤はこれ以上試合を  
 することはできないな。少なくとも今日一日は」  
 純一は口を手で蔽って杉並に語り掛ける。  
「まだ試合は終わっていないが・・・」  
「昨日の和泉子を知ってるだろ。工藤はアレ以上、いやアレを遥かに上回る量の  
 攻撃を受けている。今日どころかしばらく腰が立たないのではないかな」  
「うむ・・・でタオルを投げてやって試合を終わらせようという気は?」  
「全然」  
「鬼か・・・貴様は」  
「ここで試合を止めたら暴動が起きるだろ・・・」  
「おそらくな・・・」  
「それに工藤の限界を見てみたいなと、せっかくだから・・・」  
「その工藤だが・・・かなりぐったりしてるぞ・・・」  
「和泉子の話だと、アレは氷水ぶち込まれたような感じらしい」  
「肛門にか?」  
「肛門に。次いで強烈に沁みるらしい、だけど・・・」  
「だけど?」  
「その後は、全身が熱くなり感覚が鋭敏になる。相当に・・・」  
「ほう・・・じゃあ、今の工藤は・・・」  
「大変なことになっていると思われ」  
 
 
 純一の言うとおり、工藤の身体には淫獣の効果が回り始めていた。その  
身体は焼け付くような熱さで内部から火照り始め、乳首とクリトリスは痛い  
くらいに突き上げていた。  
 一方で薔薇の茎のようなものに巻きつけられた手足は刺さった棘の部分が  
身体の内部の火照りと呼応して煙草を押し付けられたような強烈な熱さに  
襲われていた。工藤は自分の身体がいやらしく改造されていることを自覚した。  
「(いま・・・何かされたら・・・・・・私は・・・)」  
 工藤は自分の身体に起きている変化に恐怖を覚えた。そして、それがもたらす  
ことは確実な未来としてまもなく彼女の身に降りかかろうとしていた。  
「(はうっ!)」  
 淫獣は工藤の乳房に触手を巻きつけた。ただそれだけのことに工藤の身体は  
反応してしまっていた。工藤は漏れる喘ぎをかろうじて飲み込んだ。自分の身体に  
起きているいやらしい変化を学校のみんなに、純一に知られまいとして。  
だが、それは全くの徒労でしかなかった。  
「はんっ!!」  
 淫獣は工藤の乳首を強く弾いた。その時に工藤の口から明らかな嬌声が漏れた。  
工藤はハッとしたが、既に手遅れだった。観客席の雰囲気は明らかに変わっており、  
何よりも淫獣に工藤の状態を知られてしまった。  
「こ・・・こないで・・・・・・」  
 淫獣の触手が工藤を取り囲み、襲い掛かる準備を始めた。そして、観客席からは  
これから始まるショーを楽しみにしている眼差しが彼女の身体に注ぎ込まれていた。  
工藤にとってまずいことは、これから起こるであろうことを誰も止めようとはしない  
ことであった。  
 誰もがみんな、工藤叶がいやらしく改造される様子を楽しみに待っていたのである。  
そして、淫獣は観客らの期待に応えるかのように動き始めた。  
 
「あっ・・・!」  
 淫獣は巻きつけた触手で工藤の乳房を前に引く。そこには別の触手が激し  
く振動していた。どうやら工藤の乳首をそれで強く弾こうという算段のようだ。  
「くっ・・・」  
 工藤は巻きつけられた触手の乳房が強く引かれ感じるのを耐えながら  
前進を拒んだ。今の工藤にとって鋭敏になった乳首を責められるのは  
致命的な醜態を晒すことを意味していた。ただ工藤にとって不幸だったのは  
淫獣がどこからでも攻撃できたことであった。  
「ふぅわうっ!!!」  
 淫獣は棒状に硬くした触手で工藤の股間を攻撃した。乳首に匹敵するほど  
鋭敏になっていた工藤のクリトリスをパンツの上から突き上げたのだ。  
「ふぅわぁっ・・・はうっ!はっ!あうっ!!」  
 グチッグチッと湿り気の混じった音を立てながら突き上げられる工藤の  
クリトリス。  
「湿っている!工藤のパンツが湿っている!!これは一体なぜなんだぁ!!?」  
 カマトトぶった実況の声は工藤の耳には入らなかった。彼女は今、股間を  
突き上げる触手から逃げ出すのに懸命だったからだ。淫獣は工藤が股間に  
気をとられた隙を突き、乳首を激しく震える触手の前に誘った。  
「ひぅ・・・あっ!ああぁぁぁぁああぁぁ!!!」  
 最悪であった。工藤は股間を突き上げられ、乳首を激しく弾かれる格好と  
なった。  
「(ダメ!・・・に、逃げないと・・・・・・)」  
 工藤は唯一の逃げ道である後ろに身体を引いた。淫獣はそこにも罠を  
仕掛けていた。  
「いひゃぁ!!」  
 逃亡者に懲罰とばかりに淫獣は工藤の背中を鞭打った。そして同時に工藤の  
尻にもスパンキングを行った。その痛みに工藤は身体を揺らし、逃げる。しかし  
逃げ道は前方にしかなく、そこにはいたのは彼女が逃げようと苦心していた  
ものであった。  
「ふぅあぁあぁぁっ!!」  
 工藤は再度逃げようとする。だがまたムチとスパンキングが彼女を襲う。  
「がはぁっ!!」  
 また前に弾かれ、乳首とクリトリスを弄ばれる工藤。淫獣は何度も彼女を  
前後に弾き飛ばしながら徐々に間隔を詰めていく。  
 
 
「はんっ!!あはっ!!ひぃんっ!!ふぁうっ!!」  
 大の字に手足を拘束された工藤の喘ぎと悲鳴がこだまする。完全に身動きを  
取れなくされた工藤に対する淫獣の攻撃は苛烈を極めた。淫獣の触手は  
工藤のおっぱいに巻きつき、痛いほど強くも揉みしごき、乳首を前に突き出す。  
その突き出された乳首は淫獣の別の触手により何度も何度も激しく弾かれた。  
工藤のクリトリスはパンツ越しに激しく突き上げられ、その音はグチグチと  
いやらしく湿った音を上げた。背中を襲うムチは加速し、傷を残していく。  
スパンキングは会場中に響き渡るような音を上げ、工藤の尻を真っ赤に染める。  
工藤の肛門に深々と突き刺さった触手は細かな繊毛を出し、その直腸を蹂躙する。  
そして体内に吸収された催淫物質は彼女の全身を駆け巡り、その身体をエロく  
いやらしいものに改造していった。  
「あっ・・・あっ・・・いっ、いや!見ないで!!」  
 全身を攻撃され、痛みと快楽に晒された工藤から大きな悲鳴が上がる。  
「湯気です!工藤のパンツから湯気が出ています!!」  
 工藤のパンツから湯気が出た。それが何かは会場中の誰もが理解した。  
「工藤失禁ッッッ!!!」  
 工藤の失禁により淫獣は攻撃を止めた。されど、それは却って股間から立ち上る  
湯気を引き立たせることになった。  
「あっ・・・あはっ・・・あはっはっ・・・」  
 攻撃がやんだことにより身体を襲う苦痛は止められた。そうなると制御を取り  
戻した理性が彼女を悩ますことになった。  
「(洩らしちゃった・・・朝倉くんが見てるのに・・・)」  
 歓呼と嘲笑の入り混じった歓声が耳に入る。工藤は純一が今どんな顔をして  
観ているか、怖くて確認することができなかった。淫獣はそんな工藤にさらなる  
屈辱を与えようとしていた。  
「おおぅっと!淫獣、工藤を持ち上げて・・・空中で寝かせた!!」  
 淫獣は工藤の身体を持ち上げて、あたかも空中でベッドがあるかのように  
彼女を横たわらせた。そした彼女の両足を思い切り開脚させ、その後に肛門から  
触手を抜き始めた。  
「ぬ・・・抜いちゃダメェェェ!!!」  
「おおっ!工藤、哀願だぁ!!そんなに肛門が気持ちよかったのかァ!!?」  
 無論、そんなことはなかった。工藤が触手を抜かれることを恐れたのは彼女の  
身体の事情によっていた。触手は工藤の大腸、とりわけ直腸を蹂躙していた。  
それはあるモノを活性化させる効果があった。そして触手の侵入により肛門は  
強烈な痛みと痺れに襲われていた。そのために工藤の肛門は本来の役割を  
果す能力が著しく低下していたのである。淫獣の触手は工藤をいたぶると同時に  
栓の役割も果していたのである。それがなくなるということは工藤にとって  
失禁を遥かに超える結果に他ならなかった。  
「ぬ、抜かないで・・・お願いだから、抜かないで・・・」  
 工藤は半泣きになって哀願する。だが無情にも淫獣は工藤の肛門から触手を  
引き抜いた。そして工藤の恐れていたことはすぐに現れた。  
 
 
「はぅっ!!くぅぅぅ・・・・・・」  
 工藤は懸命に肛門に力を入れる。だが、痛みに痺れたそれは満足に役割を  
果すことができなかった。  
「!##&**=#^〜*++*##&&&!!!」  
 言葉にならない悲鳴と共にそれらは工藤の肛門から排出された。これには  
嬉しがりの風見学園の生徒らも少し引き気味であった。  
「ちょっと・・・やりすぎじゃねぇか・・・・・・」  
「淫獣・・・情け容赦がないな・・・・・・」  
 最も半数の生徒らは工藤の痴態に満足していた。  
「「淫獣!ナイス!!」」  
 淫獣は打ちのめされた工藤に更に追い討ちを掛ける。  
「くぅあぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁうぁぁくあっぁ!!!」  
 淫獣は小さな口になっている触手を差し向け、工藤の双方の乳首とクリトリスを  
噛んだ。感覚が強化され、鋭敏になったところだから堪らない。  
「いひゃいっ!はわっ!ひゃな・・・し・・・」  
 淫獣は工藤の哀願に応えて離した。しかし、それは乳首とクリトリスではなく  
彼女の手足の触手であった。  
「!!!!!!!!!!」  
 すさまじい絶叫が工藤から発せられる。手足から触手が離れたことにより、  
工藤の乳首とクリトリスで吊るされた状態になったからである。さほど重くは  
ないとはいえ、工藤の彼女の全体重が両方の乳首とクリトリスのわずか3点に  
かかったのだ、その激痛は今まで味わったことがない代物である。  
 それは時間にしてほんの数秒であったが効果は絶大であった。このような  
虐待に怯えた工藤は再度手足を拘束しにきた触手にしがみつくかのように  
握り締めたのである。淫獣はそんな工藤の怯えですら弄んだ。  
 淫獣は工藤の両手に触手を絡めた。そして破いた工藤のYシャツを触手に  
持ち、彼女の肛門とその内側を器用に拭き取ると両手をそこに誘った。  
「なっ・・・何を!?ひゃうっ!!」  
 淫獣は触手で工藤の手指を操作して肛門を弄らせた。  
「やっ・・・やだ・・・こんな・・・はんっ!!」  
 淫獣によって操作された工藤の指は彼女の肛門の淵をなでる。痛みとシビレに  
惑わされた工藤の肛門括約筋はその指に敏感に反応する。  
「はっ・・・いや・・・はぁ・・・くぅっ!だめ・・・いひっ!!」  
 工藤の指は彼女の肛門を強く荒々しく襲撃する。ヒクつく肛門をいたぶり、  
指で無理矢理拡張させる。その痛みに震える間もなく指はその内壁に歩みを  
進める。触手に嬲られ、キレイに洗浄された直腸は裏切りにも見える自らの  
指の攻撃になすすべがなかった。  
「はぁん・・・あっ!い・・いいっ!ひゃあっ、はんっ!はんっ!!」  
 一本・・・二本・・・肛門を嬲る指の数が増えていく。そして、その速度も力も  
増大していった。工藤の指は肛門を広げ、括約筋をいじる。肛門の中には  
人差し指が、次いで中指が入れられていく。動きやすいように親指と薬指で  
肛門を押し広げる。肛門は既に抵抗を止め、自らの愛撫に委ねた。  
 
 
「はぁん!はぁっ・・・あぁぁぁぁぁっ!!はぁぁっ!!」  
 工藤は全校生徒の前で肛門をオナニーしてイッてしまった・・・。工藤の  
肛門は全校生徒の前で完成が確認された。  
「イキました!工藤叶、確かにイキました!!」  
 もはや工藤に抵抗する力も意志も残されていなかった。ぐったりと、微かに  
呼吸の音が知れる程度の工藤に淫獣はとどめの挿入を行おうとしていた。  
おそらく挿入まではいかないであろう、工藤の身につけている最後の衣類  
−ボロキレのようになったパンツが剥ぎ取られた瞬間に試合は終わりを  
迎えるはずである。  
 観客が満足げに工藤のパンツが剥ぎ取られる瞬間を見やろうとしたときに  
変化が起こった。  
「きゃっ!」  
 闘技場の反対側で悲鳴が起こった。そこには眞子が触手に足をとられ、  
転倒している姿があった。これまで"風の盾"によって淫獣の触手を防御  
していた眞子であったが、それの及ばない砂からの攻撃についに捕まった  
のである。  
「ああっ!!」  
 淫獣は眞子の両足を広げる。眞子はそれでもなお抵抗をやめようとは  
しなかった。淫獣は工藤と同じような攻撃を眞子に仕掛けた。  
「はうっ!」  
 砂の中から現れた触手がパンツごと眞子の肛門にねじりこんだのである。  
これによって眞子の抵抗も弱化していった。  
 その様子を見た観客らが叫び始めた。  
「淫獣ぅ〜〜〜!ちょっと待て!!」  
「水越もやれ〜〜〜!!」  
 新たな犠牲に燃える観客らが淫獣に向かって叫んだ。淫獣はしかし、そんな  
観客らの声を無視して工藤のパンツに触手をかけた。  
「空気よめ〜淫獣!!」  
「剥いたら終わりだぞ〜〜〜!!」  
 だが淫獣は工藤のパンツに触手を巻きつけ、剥ぎ取った。  
「「淫獣ゥゥゥゥゥゥゥ!!!」」  
「勝負有!教育的配慮!勝者、水越眞子!!」  
「防衛システム発動!!」  
 工藤のパンツが剥ぎ取られた瞬間、暦は試合の終了を宣言し、直後に  
杉並が防衛システムを発動させた。結果、多くの観客の失望の声の中、  
淫獣は防衛システムによって元いた世界へと送り返された。  
 水越眞子には自分が勝者であるという実感がなかった。肛門に突き  
刺さったものの異物感は消えていたが、それによる痛みはなお残っていた。  
ただ闘技場の対面に工藤叶が生まれたままの姿で意識を失って  
横たわっている姿が見えた。  
「つぅっ!」  
 おそらく自分が勝ったのではなく、工藤叶が負けたということであろう。  
それで立とうとした眞子は、しかし肛門の痛みに立ち上がることができなかった。  
そして眞子の前に担架を持った実行委員が現れ、彼女を乗せて闘技場  
から連れ出した。  
「ごらんください、勝者も敗者も担架に乗せられて闘技場を後にします。  
 そして、お聞きください、この大歓声!この熱戦に誰もが満足しています!!」  
「ありがとう、水越眞子!ありがとう、工藤叶!そして・・・」  
「ありがとう、淫獣!君の活躍は我々の心にいつまでも残るでしょう!!」  
 
第四試合勝者 水越眞子  
 
 
 
<試合間>  
「ならば、淫獣はもう出てこないと見ていいんだな」  
「はい、この昼休みで防御用の印を強化しておきます」  
「わかった。だが、もしも出てきたら・・・」  
「心しておきます・・・やはり気になりますか、先生」  
「当たり前だ!審判は闘技場に飛び込まなければならないんだからな!  
 審判団長として当然だ!!」  
「そうでしょう・・・だが、心配なのは妹のことり嬢なのでは」  
「否定はせんよ、杉並。私は理事長みたいに泰然といられる自信はない。  
 ましてや、対戦DVDとかパンツのオークションとかはな」  
「さいですか・・・」  
「まぁ、とにかく!淫獣が再度出るような羽目になったら・・・よく考えておけ!!」  
「了解しました」  
「先生!白河先生!!」  
「わかった、すぐ行く!そういうわけだ、杉並」  
 そう言うと暦は彼女を呼ぶ生徒の元に赴いた。そして、杉並はボソッと呟く。  
「でも・・・アンタの妹は倒してますが、淫獣を・・・・・・」  

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