「・・・・・・・・・。」  
 
夢を、見ているのだと思った。なぜなら私には昨日の夜、確かに眠りについたのだから。  
しかしだとすればここはどこだろう?  
何かの本で読んだことがあるけれど、夢とは脳が記憶の整理の間に見るもので、  
過去の記憶の断片であるはずなのだ。  
ここは・・・・・・・いや、「場所」ではないのだからこれと呼ぶべきだろうか?  
桜。比喩ではなく、文字通り舞う桜の花びらが、視界を埋め尽くす。  
初音島に来た時、桜並木から降り注ぐ花びらに驚いたけれど、これほどの量ではなかった。  
桜吹雪・・・・・・どころか雪崩と言ってもいいほどの花びらが音も無く延々と降ってくる。  
前後左右ぐるりと一周しても見えるのはそれだけだ。  
こんなモノは見たことがないし、それに。  
今の私には妙な「現実感」があった。  
 
「・・・・・・・・どうして・・・?」  
 
ふいに聞こえた声に、私は振り返った。  
そこには  
 
「・・・・あなたは・・・・・?」  
 
そう、いつのまにか人影があったのです。花びらに遮られて顔は見えなかったけれど。  
でも、声に聞き覚えがあったから。  
 
「さくらさん、です・・・の・・・・・?」  
 
そう問い掛けてみました。  
その問いには否定も肯定もなく、  
 
「どうしてそんなに魔法を求めるの、アイシア?」  
 
その声と同時に突風が起こり、その方との間に舞っていた花びらが吹き飛ばされました。  
その方はやはりさくらさんで、しかしなぜか哀しそうな顔をしていました。  
 
「魔・・法は、・・・・・・人を幸せにするからですわ」  
 
私の答えにさくらさんは、一つため息をつき。  
 
「少し、話をしようか」  
 
そう切り出しました。  
 
「―――――しばらく前まで、この島には魔法が掛かっていたんだ」  
 
「一年中咲きつづける桜の花。ほとんどの人には『ただの不思議な現象』。それだけだったんだけど、  
『散った花びらを通して人の願いの力を集め、真摯な願いを持つ者にのみ、その願いを叶えられる  
”ちから”を与える』そんな魔法が。」  
 
「ある人は他人の心の声が聞け、自分の周りの人と円滑な関係を築けた。  
 ある人は自分が女である事を周りに気付かせず、男子生徒して学校生活を過ごせた  
でもそれらはみんなそれが真摯な願いだった。」  
 
「でも一人だけ、例外がいた。魔法を掛けた魔法使い――――おばあちゃんの血を引いた、  
このボク。」  
 
「ボクの願いはどんなささいな事でも叶えられた。――――――ある人を殺したいほど憎めば、  
事故か何かで本当に殺せるほど。」  
 
「さらにそれをなかった事にしたいと思えば、今度はその人の痕跡ごとこの世から消えてしまう。  
―――――――一体何人の人がこの島から消えたと思う?」  
 
自嘲の笑みを浮かべ、そんな話をするさくらさんに私は、ただただ呆然とするしかありませんでした。  
 
「さて、話はここまでかな。―――――アイシア、まだ魔法を欲しいと思う?」  
 
その問いに、私は。  
 
頷いていました。  
 
どくんっ  
 
え・・・・・何・・・・・・・・?  
 
「これで諦めるようなら、なにもするつもりはなかったんだけどね・・・・・・・」  
 
どくんっ・・・・・どくんっ・・・・・  
 
から・・だ、がっ!  な・・・に・・・・この・・・感覚っっ!?  
 
「何も考えられなくしてあげるよ。」  
 
「助け・・・・・・」  
 
 
 
その時のアイシアには周りを気にする余裕はまったく無かったが、実はさくらの隣にもう一人  
人が増えていた。  
 
「助け・・・・・・」  
 
『彼』は、地面にへたり込んだアイシアが差し出す手を取ると、彼女を押し倒しす。  
 
「え・・・・・・・?」  
 
そしてそのまま片手で彼女の両手首を掴むと、彼女の唇に自分のそれを押し付けた。  
 
「む・・・・!?ううーーーー!!!」  
 
ただ単に残った片手で、逃げられないようにアイシアの顔を押さえてのキスだったが、  
しばらくたって彼が口を離すと、アイシアは精も根も尽き果てたかのようにぐったりとしていた。  
 
「純一さん・・・・・・・なんで・・・・・・・・?」  
 
そう。それは彼が朝倉純一その人だったからかも知れない。  
 
「『影』だよ。」  
 
そこに芳乃さくらの声が入る。  
 
「お兄ちゃんに少なからず好意を抱いてるみたいだったから。  
気付いてた?ここはキミの夢の中。ただボクが干渉して好き勝手に弄くり回してるけどね。  
どお?お兄ちゃんとのキスは?キス自体初めてだったのかもしれないけど。」  
 
そう言いながら冷笑するさくらだったが、まるでその様子は血の涙を流しているかの様だった。  
 
「大丈夫。『ここ』で起こった事は現実には影響しない。  
むしろ「現実の体には」というべきかも知れないけどね  
――――――せめて良い夢を。アイシア」  
 
「待っ!!」  
 
そう言うと、さくらはアイシアの言葉も聞かずまるで霧散するように消えていった。  
 
と、同時に今までまるで彫像のように動かなかった純一が動き出した。  
アイシアの両手首は片手で掴んだまま、彼女のスカートをたくし上げる。  
 
「やめ・・・て・・・・・・・」  
 
首を振り、彼を拒むアイシアだったが下着の上から大事な場所を触られた瞬間、  
まるで電気を流されたかのように体が跳ね上がった。  
 
「ひっ!!・・・・・・・・ぁ・・・・・・・うああぁぁぁ!!!」  
 
そのままそこを擦られるとギクシャクと体を動かし、やがて体を精一杯のけぞらせた後、  
一気に脱力した。どうやら軽くイったらしい。  
 
『あ、そうそう。忘れてたけどここだと普通じゃありえないほど感じるからね』  
 
どこからかさくらの声が響いていたがもはやアイシアには聞こえていないようだった。  
 
 
「ぁ、ぎっ!!くひいいぃぃぃん!!!」  
 
悲鳴とも絶叫ともつかない叫びを残し、アイシアはもう何度目になるかも分からない絶頂を迎えた。  
 
何しろ『現実』とは感度が全然違う。自分で多少弄った事のある程度のアイシアでは  
到底抗う事はできなかった。  
 
息も絶え絶えと言った感じで、しかし押し寄せる快楽に全てを任せきっている。  
 
しかも最初にさくらに植え付けられた疼きも治まる気配が無い。  
 
下半身は完全に脱がされ、上半身ははだけられ、ブラをたくし上げられた状態だったが  
(後述ではあるが制服姿だった)自分で自分の乳首を弄り出している始末だった。  
 
と、ただ手と口でアイシアを弄ぶだけだった彼が、とうとう生まれ持った凶器を取り出した。  
 
「ひっ!!」  
 
それがはじめてだったのだろう、醜悪な姿のそれを見て、恍惚状態だったアイシアが我に返り、  
顔を蒼白にする。  
 
逃げようともがくが、まったくからだは動かない。押し当てられた時点でアイシアは自分が  
入れられる事を望んでいるのだと思い知らされた。  
 
「ん・・・・・あっ!!あ゙あ゙!!!」  
 
入れられても痛みは無かった。それはさくらの善意であり悪意だったのだろう。  
とにかく最初の一突きですらアイシアは今まででもっとも高いところまで上り詰めた。  
しかもその直後に抽挿が開始され、彼女は完全にイきっぱなしの状態になったのだった。  
 
「ふっ・・・・・あ、はぁぁ・・・・・・・・」  
 
彼女にとって永劫にも等しい刻が流れ、熱い液体が彼女の肢体に降り注ぎ――――その日の『夢』  
は終った。  
 
次の日に起きた時には普通でした。でも毎晩繰り返される度にだんだん、  
私はそれしか考えられなくなっていったのです。  
今ではもう、昼も夜も、寝ても覚めてもそれしか考えられません。  
そのうち部屋から出るのも面倒になって・・・・・・・・・・もう何日こうしているのだろう?  
とにかくあの『夢』を見つづけています。  
それしか考えられないから・・・・・・・・・・・・・・  
 
 
アイシアが学校を休むようになってからもう数日が経過した。さくらに聞くと部屋に篭り切っている  
らしい。彼女が休む前、様子が変だったから話を聞こうとしたんだ。  
でも彼女は何故か顔を赤くしてそのまま逃げてしまった。  
くそっ!!せめてあのときに強引に引き止めていれば・・・・・・・・・・・・  
 
 
できることならこんな手は使いたくは無かったんだ・・・・・・・・・  
でも、もうボクにもどうしようもない。あの娘は、アイシアはもう、自分の力で  
快楽を貪る夢を見つづけている。いつまでもいつまでも・・・・・・・・・・  
 
 
 
Iの悲劇(名前違!!) THE END  
 
 

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