早朝。
グータラな俺にしては珍しく寝ている途中で早起きしてしまったようだ。
「えーっと、まだまだ外は暗いな?
なんでこんな時間に起きてしまってんだ?」
眠気が徐々に解放され、意識が覚醒する。
すると、いつもとは明らかに違う違和感に気が付いた。
嗅覚的には鼻をくすぐる、花の香料が混じったようなシャンプーの香り。
聴覚的にはすーすーと細い寝息の声。
触覚的には暖かくて湿っぽくて柔らかいなにかが俺の身体に巻き付いて居るようだった。
そして視覚的には…
「えっ………」
信じられないような物を見たので、目をこする。
ベッドはいつもと違う巨大なサイズに変わっており、
俺の左手側にはクラスメイトの美少女、夜刀神十香が大きめの胸をあててんのよしながら安らかに眠っており
俺の右手側には同じくクラスメイトの美少女、鳶一折紙が手を俺の首に巻きつき足を絡ませて静かに眠っていた。
「お…オイオイオイオイ…これはどういう…」
覚えは全くなかったが、以前に同じような状況があったことを思い出した。
俺の妹、琴里は俺が女の子に対して平常心で居られるように、様々なアクシデントを意図的に起こして訓練させている。
十香を使い、様々な手段で俺を翻弄してくれたが、そのイベントの中に、朝起きたら隣に十香が居てドッキリ!?みたいなのがあったはず。
そう考えれば想定内なはずだが、まさか鳶一を巻き込んで来るとは…。
このまま何も知らないであろう二人が起きてしまったら…って、さすがにそれはマズイ!
「さっさと抜け出さないと…」
しかし二人は完全に密着しており、起こさないように抜け出すのは至難だ。
しかも両腕を動かそうとすると、抱き着いているので二人の膨らみがぽよぽよして男の理性的にも厳しい。
「ぐっ…二人ともサイズいいんだな…って何言ってんだ俺!」
どうにかならないものかと俺は周りを見渡す。
するとあることに気が付いた。
見ている。
鳶一が目を開き、真っ直ぐに俺の顔を見ている。
「わあぁぁぁ!!違う!!違うんだ鳶一!!えーっとそのこれはだな…」
この状況では言い訳しようがなく、困っていたところに鳶一の口が開いた。
「おはよう。あなた」
顔は無表情のまま抑揚のない口調で言われた。
反応の仕方に困ったがとりあえず返事をする。
「お、おはよう鳶一…今日も−−」
「鳶一じゃなくて折紙」
「ごめん、そうだった。まだ慣れてなくて…」
「そう…。ちなみにさっきの台詞はあなたが起きた時に言おうと思っていた」
「そ、そうか…。なんか早く起きちゃって…」
その時、折紙が何かゴソゴソしていることに気が付いた。
「って何やっているの折紙さん!!」
自らの服に手をかけ脱ぎ始めていた。
白い肌と下着が現れる。
「問題ない。この時の為にいろいろ準備してきた。」
よく見たら下着が豪華というか過激だ。
っていうかこの下着、大事なところに穴が空いて…
「ぶっ!問題ありまくりだよ?折紙さん」
「イヤ?」
「イヤとかじゃなくて!ほら…俺達、高校生だし後ろには十香が…」
「これは二人だけの秘密。声は出さないように頑張るから」
「そうじゃなくって!」突然、折紙が俺の手の平を自分の胸に当てた。
「うわあ!?」
俺の手の中にすっぽり入り、先端の小さな突起が凄まじくヤバイ。
理性が大きく揺らぎ、思わず感触を味わうように揉んでしまった。
「わ、ゴメン…」
「構わない」
すると、折紙はさらに俺に密着し、顔が間近に来る。
無表情な美貌は俺を捕らえた。
刹那、唇に柔らかい感触。
「んんん」
口が塞がれ、息がつまる。
俺と折紙がキスをした。
なんだろう。キスは初めてじゃないけど折紙とは凄くドキドキする。
人間である普通の(?)女の子とキスは初めてで、そう考えれば自分にとっては特別なんだろう。
あと折紙のキスは印象に似合わず情熱的で、何と言うかねっとりしている。
唾液と唾液が激しく混ざり合い、折り紙は俺の口の中に舌を入れはじめた。
折紙はとことん俺の舌に絡ませて、脳がオーバーヒートする。
「む…ん……ちゅ…」
俺もいつのまにか夢中になっていた。
その時…、
眠たげな別の声が聴こえて来た。
「ん…。なんでシドーがこんなところに………
シドー!?」
十香が声を荒げて叫ぶ。
異常な状況に気付いたのか、眠気は吹き飛んでいるようだ。
今の状況。
折紙が下着姿(しかもエロ専用)で、俺は折紙の胸を触りつつ、ディープキスをしている。
うん、言い訳は不可能だな。
うあああああぁ、どうすれば。
「こ、こんな、こんな…○×△◎◇」
十香は衝撃のあまり呂律が回ってない。
そして、
「シドオおおおおぉぉ」
深夜に怒号が響き渡った。