ある不死の女性は一人で悩んでいた。  
近づくと爆発する生首や、神聖武器という特殊な武器で倒さなければ復活する骸骨、棘が生える石像など、様々な物で半ば心が折れかけていた。  
ここまで、誰か召喚してしまっては召喚された人に迷惑がかかってしまう、という考えがあったために誰も呼ばずにここまで来たのだが、遂にここでその考えを変えなければならなくなった。  
様々な敵や仕掛けで初めて物悲しいと感じてしまった。  
七色石を使って下を確認したは良いものの、足が地に着かず滑り落ちて死んでしまったりしていたために落下が怖くなってきてしまった。右側には楔のデーモンが居るわけで近寄りたくない。  
辺りを見渡し、下へと恐る恐る視線を向けると、白く光る何かが見える。七色石で確認し、思い切って下へ飛び降りる。  
すると、白く輝く物は二つあり、一つはソウルで、もう一つは召喚サインだった。  
心寂しさ故に、申し訳ないと思いながらも召喚サインに触れた。  
 
少しして世界が交わる音と、頭に無意識に入ってくる白霊の名前、『聖騎士リロイ』。輝かしい装備に、重々しい武器を持っている姿は、強そうとしか言えない。  
お辞儀をしてしたが見えるために一段下りる。すると、車輪骸骨の群れが壁にぶつかったまま回転している。このまま飛び降りると、間違いなく車輪骸骨の餌食になるだろう。  
どうしようかと思案していると、リロイが降りて行った。  
「えっ!? リ、リロイさん!?」  
声が聞こえるか否か定かではないが、リロイは足を止めない。車輪骸骨による攻撃を受けながら、重々しい武器を振りおろした。  
すると、車輪骸骨数匹が一発で倒れる。その威力に目を見張るが、リロイも攻撃を受けていることを思い出して自分も降りた。思いがけないところから車輪骸骨が襲いかかってきたために、反応が遅れた。  
「きゃあっ!」  
女性特有の甲高い声を思わずあげてしまう。しかしその間にも攻撃を受け続ける。もうだめかと思った時、重い武器が振り下ろされた。車輪骸骨は倒れ、何とか難を逃れた。  
車輪骸骨を全て倒し、「ありがとうございます」と言ってリロイに頭を下げる。リロイは何も言わず、何もせずどこかを眺めている。  
攻撃を受けたことを思い出し、エスト瓶を二口飲む。するとリロイは祈るジェスチャーをする。何事かと思った時、金色の光が包むように現れた。  
奇跡、大回復。エスト瓶は私自身の所有物である為に、私が飲んでもリロイは回復できないということを知った。  
続けて奥の方へ進む。霧を抜けて降りると、背を向けていた者がこちらを向いた。三つ顔がある、三人羽織どこか禍々しさを感じる。  
黒い闇を放ち、三人に分身する。三人居ては不利だと分身を攻撃する。二体の分身を消し、振り向いたその瞬間。三人羽織の体力が一気に減った。  
茫然としていると、リロイは間髪入れずに再び攻撃する。二発目で、三人羽織は消滅した。呆気にとられる私だけが残った。  
 
リロイはサインを拾われて溜息をついた。これで何度目だろうか、と。  
この場所で何回かサインを残しては召喚され、三人羽織を倒す。倒しても、注ぎ火の難儀を手に入れる事が出来ない。こちらとしては何の得にもならないのだ。  
これでサインを出すのは最後にしようと決意する。ここで召喚されても注ぎ火の難儀を手に入れられぬのならば、諦める他ない。  
呼ばれた世界で、お辞儀をしてきた女性がいた。別段お辞儀が珍しいわけでもなかったが、いつもしているようにそのお辞儀に応えない。  
だが、いつもと違ったのは、その女性が一向に飛び降りる気配がないということ。車輪骸骨が居るが、皆気にせず降りていく。しかし、女性は躊躇っている。  
仕方なく飛び降り、車輪骸骨に近寄る。攻撃を受けるが、構わずグラントを振り下ろす。女性の驚いた声を無視して。  
しかし、意を決したのか女性が飛び降りてきた。しかし、車輪骸骨が接近し、女性に襲いかかる。その時、甲高い声が響いた。  
その声は女性特有のものだが、何故か可愛らしい、と思ってしまった。しかし、車輪骸骨に攻撃されている事を思い出し、慌てて車輪骸骨を倒す。  
全て倒し終わったのち、深々と頭を下げてきた女性に驚いた。いちいち頭を下げる者など、いただろうか。  
そんな事を思っているうちに、女性はエスト瓶を飲んだ。どうやら進むらしいと判断し、奇跡を使う。体力を回復し、三人羽織を倒そうと進む。びくびくしながら進む女性を、また可愛らしいと思ってしまった。  
降りた先には三人羽織が居た。何度も見た姿はもう何も感じない。分身を消した女性に三人羽織が攻撃しないように早めに倒すことにする。  
戦っている女性の表情は、真剣そのもの。その表情に、無意識に目を奪われたが、今は戦闘に集中しなければならないと意識を戻し、三人羽織を攻撃した。  
三人羽織に苦戦することなく倒し、俺が消える直後まで女性は茫然とした表情を浮かべていた。注ぎ火の難儀を手に入れる事が出来なかったが、その茫然とした表情は可愛かったので良しとしよう。  
 
暗い場所が多い巨人墓地を、頭蓋ランタン片手に歩く女性はびくびくとしており、表情は強張っていた。復活する骸骨よりも大きい骸骨が強い。それなら地下墓地の方が良かったと思う。  
何しろ暗い。ここでも心が折れそうだった。何とかたどり着いた巨人墓地の篝火を前に、座ったまま地下墓地での事を思い出す。  
あの聖騎士リロイは、何をしているのだろうか。いまだあの場所で召喚サインを出しているのだろうか。あの騎士の事が忘れられないでいた。  
ずっとこのまま篝火で休憩して居たいところだがそうもいかない。不死の使命を果たさなければいけないのだから。  
ゆっくりと立ち上がり、頭蓋ランタンと武器を持って進んでいく。ふっと明るい場所に出た。明るい崖であった為、頭蓋ランタンは不要だった。頭蓋ランタンの代わりに盾を構えて進む。  
すると世界が交わる音が響いた。思わず立ち止まる。  
私は誰も召喚していないし、召喚サインを見つけなかった。先ほどの音の原因は、などと疑問を浮かると、印象深い姿が見えた。しかし、その姿は召喚した時とは違い、紅く光っている。  
「闇霊……!? リロイさん、どうして!?」  
その言葉に、リロイはやはり何も言わなかった。細い崖で、落ちないように注意しながら対峙する。重々しい武器は召喚した時にとても頼りにあるものだったが、今は凶器に見える。  
どうして侵入してきたのかという疑問を胸に秘め、やるしかないのかと武器を握る手に力を込めた。  
武器を振るうも、盾で防御される。パリィは苦手で、あの三人羽織と戦った時のダメージを思い出してしまい、どうしても防御してしまう。  
しかし、近距離で衝撃波が放たれた。威力のある衝撃波によろける。防御もろくにしていない時、近寄ったリロイに殺されるのかとぎゅっと目をつぶった。  
しかし、痛みは感じなかった。ふわりと足が宙に浮く感覚を感じ、恐る恐る目を開く。目に入ったものは、リロイが私を抱きかかえているという事実だった。  
「え、リ、リロイさん!?」  
リロイはそのまま暗い場所へと戻る。安定した地に私を下ろし、近くに私が持っていた頭蓋ランタンを置いた。  
背中に感じる冷たい感覚と、私に覆いかぶさるようにしているリロイを見て戸惑う。何故兜を脱いでいるのだろうか。何故私に覆いかぶさるような格好なのか。  
疑問に応えるように、リロイは顔を近づけてきた。抵抗するのもままならず、唇と唇が触れ合う。その感覚に、顔が真っ赤に染まった感覚が自分でも分かった。  
 
徐々に深くなる接吻に、息を荒げながら私はリロイを見上げた。不安げな瞳が、さらにリロイの欲を強める。  
「リ、リロイさん……?」  
真っ赤に染まっている顔も、声も、全てが愛おしいとさえ感じた。リロイは唇を離し、胸を弄る。  
小さい喘ぎが巨人墓場に響く。どんなに小さくても、音は大きく聞えてしまう。それが恥ずかしいためか、女性の顔は真っ赤になったまま戻らない。  
「んっ……あっ、リロイ、さんっ……」  
服を脱がし、直に肌に触れる。胸を弄り、確かめるように見下ろしてリロイは声を発した。男性らしい低い声は、綺麗な声だった。  
「何故、侵入したか分かるか?」  
「えっ、分から、なっ……」  
「召喚されて、貴公が気にかかるようになった。一目惚れというものを初めて体験した。貴公は次にここへ来るだろうと思い、侵入していたのだが……やっと、貴公の元に侵入する事が出来た」  
その言葉に、女性は目を見開いた。胸を弄る手を止め、体のラインをなぞりながら陰部へと手を進める。小さく体が跳ね、女性は首を左右に振った。  
「待って、リロイさんっ……」  
「これ以上、俺は待つ気はない」  
「でもでも、心の準備が……」  
もごもごとする女性の顔は、明らかに不安に満ちていた。これからする行為が不安なのだろう。その不安げな表情が、俺の胸に刺さるように酷く心に残った。  
弄る手を止め、女性に服を着せながら、今回は諦める事にする。  
あくまでも『今回は』であり、『次回は』分からない。最初の死者ニトを倒すまでには、必ず最後まで行為を続けようと心に決めたのだ。曲げる気は無い。  
「今回は諦めよう。だが、次は諦める気は無い」  
口元を歪めてにやりと笑った顔は目を奪われるものであり、印象に残った。  
 
そしてニトに苦戦し、何度も何度もリロイに侵入されて行為を迫られるのは別のお話。  
 

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