1.  
 
「貴様、ウルベインと、奴の信徒を殺さないか?」  
そう声をかけてきたのは、秘匿者の黒衣に身を包み、金の仮面で顔を隠した”彼女”だった  
 
 
初めて”彼女”を見たとき、不思議な違和感を覚えた。  
 
口元や体付きを見る限り若い女性のようである。  
しかしその顔を覆う仮面は、まるでこの世の理を見行わす老爺のような風でもある。  
そしてその声は甘い響きを伴う…声の変わりきらぬ青年の様でもあった。  
 
”彼女”と呼ぶ事が正しいのかさえ判断のつかぬこの人物に、私は何故か強く惹かれた。  
__もっと知りたい__ そう思った。  
 
”彼女”への強い好奇心から、「殺人」という人として忌むべき行為を犯す事になる依頼を  
何の躊躇も無く引き受けてしまったのだった。  
 
 
2.  
 
黒いヴェールで顔を隠した女は、伏し目がちにゆっくりとメフィストの元へやってくると  
僅かに血の付いたゲリの小剣を、任を果たした証としてメフィストに差し出す。  
 
「フン、ご苦労…。これは謝礼だ。とっておくがいい。」  
「…いえ、こちらの品はお返し致します。」  
 
儚い瞳の石を差し出した手のひらにもう一つ同じ石を握らせるとその手をそっと押し返した。  
 
「…? どういうつもりだ。」  
怪訝そうに訪ねながら少し身構えるように身を引く。  
 
伏せていた目を微かにメフィストの方へ見やると、少し震えた声で言った。  
「…わたしは……あなた以外の何ものも欲しくなどありません。」  
 
一瞬の間をおいてメフィストは笑い出した。  
「……フフッ……アッハハハハハハ…………」  
ひとしきり笑うと一息ついて低い声で  
「冗談も大概にしろ。依頼をひとつこなしたからといって調子に乗るな。愚物が…弁えろ。」  
 
「ただあなたのお側に仕え、あなたの望む事は何でも致します。……もし…  
 もし叶うのであれば一度だけ…ただの一度、あなたの肩を抱き寄せたい…それだけなのです…  
 …許していただけませんか?」  
 
メフィストはフン!と蔑むように一蹴すると  
「私の下僕となりたいのか。ならば何も望むな!」  
と言うなり、女の鳩尾に思い切り蹴りを見舞った。  
 
碌な鎧も身に着けていない女は狼狽し、後ろに倒れ込んだ。  
メフィストは苦しそうに呻く女の上に跨がると、足と腕を押さえ込んだ。  
 
「”一度でいい”だと?ハッ、一度叶えば二度三度と求めてくるくせに…  
 正直に言えよ。本当はこれが欲しいのだろ?」  
 
そう言うと、女の無防備な首筋にその紅い唇をゆっくりと這わせる…。  
                              
 
望んでも手に入る事は無い、愛しい人。  
その冷たい手で私は弄ばれている。  
 
貴女の唇が私の卑しい肌に触れている…そう考えただけでジンと体が熱くなり  
僅かな刺激で思わず声を漏らしてしまう。  
「あぁ……メフィストさま…」  
 
「呼ぶな。穢らわしい…」  
罰を与える狼のように犬歯を突き立て喉笛にきつく噛み付く。  
 
「…ッ!!」  
突然与えられる鋭い痛みに声も出せず唇を震わせた。  
 
喉笛に食い込んだ牙がゆっくりと上ってくる。  
メフィストは右手で顔を覆うベールを剥ぎ取ると、その下の薄く開いた初々しい色を湛える唇に強引に舌を捩じ込んだ。  
 
されるが侭に舌を強引に絡め取られ口内を侵される。  
「んっ…はンッ…ぅぐッ」  
息を継ごうと開く喉に長い舌を無理矢理押し込まれ、吐き戻しそうになるのを必死で堪える。  
 
喉の奥を攻めるのを急に止めたかと思うと、絡めとられた私の舌に噛み付きぐいと引き上げた。  
「ぁぁああぁあぅあぁぁぁぁぁぁっ!!!」  
甲高く細い悲鳴を上げる。  
 
千切れるかと思うほど強く噛み付かれ、本来出る事の無いところまで引き出された痛みで苦痛に歪む目から涙があふれる。  
「やあっえ…ぅエエッ………」  
弱々しく言葉にならない声で哀願するも、その姿を冷ややかな視線で見遣るメフィスト。  
 
と、歯で捉えられた舌先にぬらりとやわらかな舌先が宛てがわれ、くりくりと丁寧に愛撫しだした。  
私の腕を押さえつけていたと思った手もいつの間にやら胸の柔らかなふくらみを包み、服の上からその先を指の腹で摘むように弄ぶ。  
依然として舌は激しい痛みに囚われているのに、舌先と胸を優しく扱われ身体が自然と甘い汗を出し始める。  
 
メフィストはようやく舌を口から離したと思うと  
おもむろに右手でダガーを抜き、ズボンの下に刃を滑り込ませ着衣を引き裂いた。  
 
「きゃあぁっ!?」  
咄嗟の事に腹を切られたかと思い大きな悲鳴を上げてしまった。  
ズボンは股下までぱっくりと裂かれていた。  
 
露になった秘部は既にひたひたと濡れ、女の匂いが立ち籠める。  
 
「おや。そんなに可愛がってやったつもりはないんだが…随分と湿っているようじゃないか。…フン、いやらしい女だ」  
そう言われ恥ずかしさのあまり足を閉じようとするが、メフィストの足に固められ更に股を広げられてしまう。  
 
メフィストは股の下へ手をやり、濡れそぼった花弁の隙間へ指を滑り入れ妖艶な仕草で 緩く、激しく嘗め上げる。  
僅かずつ蜜を流す壺口に指を出し入れされ、緩んだ穴から淫靡な音が耳に届く。  
 
私の襞を弄ぶ黒い蛇のような指とは裏腹に私を見下げる視線、表情には一片の熱も感じられない。  
彼女が何か感じているとすればそれは、身を封じられ、蹂躙され、弄ばれても抵抗できずにいる  
卑しい小さな獣をその手の内に握り込んだという優越感……支配者としての悦びだろうか。  
 
熱い蜜に濡れたその手で肉芽の一番深い部分を探り当てるように  
執拗に花弁の付け根辺りをうにうにと弄る。  
 
「はぁあ”あ”あッッ!!」  
下腹部や内股がしくしくと引きつるような感覚がどっと押し寄せ思わず大きな悲鳴をあげた。  
大きな声に自分でも驚き、我を忘れてはならないと固く唇を噤む。  
 
「フフフ…声を上げたらどうだ?下の奴らにもいい見世物になる。娼婦のように、下衆な男共の性の捌け口にでもなるがいい。」  
 
ますます激しく強く攻められ、それに伴い際限なく押し寄せてくる波のような感覚。  
まるで柔らかい棘が無数に生えた不気味な手が、皮膚や筋の間を撫で回すような不気味な快感。  
暗い夜の海原でどんどん高まる波に呑まれていくような不安と恐怖。  
 
私の心と身体を抗えない力で高みに引きずり込んでゆく魔物に喰われて尚、私自身を保っている事なんて出来るだろうか?  
否、出来ないだろう…。  
なりふりも構わずどんな醜態を晒すかも知れない。しかも、このお方の下で……  
 
必死にメフィストの手から逃れようと腰をぐっと深く引き、背を反らせるが  
腿をがっちりと押さえつけられ後ろに下がれない。  
「お願いですっ……どうかこれ以上は…ッお許しをぉっ…!!」  
手を伸ばし必死の様相で縋り付くがメフィストはそれを軽く払い除ける。  
 
「おまえは私の下僕なのだろ?だったらお前から願う事などあるはずも無い。  
 お前が許されるのは、私がそう言った時だけだ!  
 …それに…  
 
 今のお前は失うものなど一つも無い程に哀れな姿だ。  
 私の指にいいように弄ばれ腰を揺らし、上の口からも下の口からも醜く涎を垂らしながら恍惚と恐怖に慄き、  
 その波に身を委ねた今のお前の姿は卑しい獣以下だ!」  
 
そう罵るなり、手にかけた肉芽を一層激しく揉躙し止めを刺しにかかる。  
 
「だめッ!!洩れてしまッッぅぁ…ひぐぅっ…ひぃん…アァぃいイッッ!!?」  
 
___だめ…___おちる…___  
世界は壊れ、恐ろしい怪物の触手が”私”をあっという間に喰らい尽くし 一瞬の後____  
 
 
……っ………………ぁっ……………はぁっ……………ひっ…く………  
 
 
その瞬間は永遠かと思われる程長く、私の矮小な精神などは その時間の中で完全に焼き切れてしまった。  
一体どのくらいの間叫び続けていたのだろう。私の耳には何も聞こえず…  
漸く呼吸を取り戻し始め、周りの景色が目に入るようになってきて分かったのは。  
 
 
どうやら私は 涎や愛液に留まらず、小水を盛大にぶちまけてしまったらしかった。  
足や腿、尻の下が生暖かい液でぐっしょりと濡れている。  
 
ひどい羞恥心と自己への嫌悪感で息が詰まり、涙が溢れる。  
 
彼女はまだ私の上に変わらず居るようだ。腹のあたりに重さを感じる。  
ああ、だがしかし…一体どんな表情で私を見下しているんだろうか。  
恥ずかしくて顔などあげられない。  
このまま私の首を切り落として深い淵に放り投げてくれれば、少しはましなのに。  
 
 
両の腕で顔を覆い嗚咽を噛み殺していたが、急に腕を強く鷲掴まれ 涙と悲嘆に乱れた顔を晒される。  
「…いやだ…」  
小さく呻くと震える下唇を噛んだ。  
 
「そんなに悦かったか。身の内の汁という汁を恥ずかし気もなく洩らしてしまう程に…  
 なあ?どうなんだ…」  
火を噴いているのではというほど熱を帯びた頬を、私を虐め抜いた手で掴み  
まじまじと顔を覗き込みながら詰問する。  
「主が問うているんだ!黙ってないで答えろ、愚図が!」  
メフィストの長い爪が頬に刺さる。  
 
 
「うっ…凄く…悦かったです…ハァ…この世に居るとは…思えぬほど…」  
言うなりメフィストは頬を掴む手に力を込め、私の頭をがんと床に打ち付けた。  
 
「ああそうだろうとも。おかげで私の手が汚れてしまったじゃないか」  
頬を掴んでいた手をついと私の鼻先に差し出し、指先にキスをしろとでも言うような仕草で  
「舐め取れ」  
と冷たく言い放つ。  
 
私は自分の匂いのする長い指を口に運び、ゆっくりと舐め始めた。  
「もっと丁寧に」  
いきなり喉の奥まで指を突っ込まれ、思わず指を口から離し身悶える。  
 
メフィストは再び私の顎を強く掴み、自分の顔の方に引き寄せた。  
「わたしの僕になるというなら、それなりの覚悟は出来ているのだろうな」  
そう問われた瞬間、滲む視界の中で彼女の視線を受け止め、答えた。  
 
「はい。…私の持てるものの全ては貴女のもの…私の唯一にして最も大切なものは貴女です。」  
 
 
「いいだろう。立て。」  
メフィストは素早く立ち上がると、力なく倒れている女の腕をぐいと掴んで立ち上がらせた。  
「次はハイエナのパッチを殺れ。」  
と耳元で囁くと乱暴に腕を突き放す。  
 
女はよろめきつそのまま階段の方へ去ってゆく。  
その姿を見遣り、ニヤと紅い唇は嘲笑う。  
「あんな端ない姿でどこへ行くつもりかな……フフ…」  
 
女が腰に巻いていた布が、あとに残されていた。  
 

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